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Science Seminars

Fiscal 2014

Date: 2 Feb. 2015
Speaker: Go Mishima (U. of Tokyo)
Title: 電子g-2に対する非摂動QEDの寄与
Abstract: 電子g-2に対するQEDの寄与の計算では、 相互作用を摂動的に取り入れる計算手法が成功していると言える。 現在では相互作用の10次つまり5ループまでの計算が完成しており、 この寄与を含めた標準モデル予言値は電子g-2の測定値とよく合致している。 本研究では、これまで考えられてきた寄与に加えて、 非摂動的QEDによる寄与が存在することを示した。 非摂動的QEDによる寄与は、 内線の電子・陽電子対の束縛状態による寄与とクーロン散乱による寄与の2つである。 これらの寄与の大きさは 結果的には現在の電子g-2の不確かさの範囲内に収まっているが、 結合定数αの次数は5ループの寄与と同じであることが分かった。 本発表ではこれらの寄与の具体的な計算手法や妥当性について議論する。
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Date: 26 Jan. 2015
Speaker: Taizan Watari (Kavli IPMU)
Title: 超弦理論のコンパクト化でのフレーバー構造について
Abstract: 標記テーマに関して、私自身の2006年の論文以来の 私の考え方と、その後9年間を経た現状での到達点をお話しします。
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Date: 8 Dec. 2014
Speaker: Antonio De Felice (YITP)
Title: Massive (bi)gravity, and modified gravity models
Abstract: I will review some of the modified gravity models I have worked on recently. Especially in the context of massive gravity and massive bigravity. In particular, I will focus my talk on different possibilities people have investigated recently on the possibility of having a massive graviton in a sensible theory of physics.
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Date: 17 Nov. 2014
Speaker: Masanori Hanada (YITP)
Title: 超対称ゲージ理論の数値シミュレーションとゲージ重力対応
Abstract: マルダセナの予想したゲージ重力対応が正しければ、超対称ゲージ理論を用いて超弦理論を(少なくともある特定の時空の周りでは)非摂動的に定義する事が出来る。また、格子QCDを用いてハドロンの物理を第一原理から記述できるのと同様にして、超対称ゲージ理論のコンピューターシミュレーションによって量子重力を第一原理に基づいて調べる事も出来るはずである。
超対称ゲージ理論のシミュレーション手法(超対称ゲージ理論の格子正則化など)はここ10年ほどで飛躍的に進展し、超弦理論と関連する様々な理論が実際にシミュレーションできるようになっている。このセミナーでは、超対称ゲージ理論のシミュレーション手法を非専門家向けに簡単に解説した後、マルダセナ予想がゲージ理論の1/N補正と超弦理論の量子補正を含んだレベルで正しい事を示唆する最新のシミュレーション結果を説明する。
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Date: 7 Oct. 2014
Speaker: Shun'ya Mizoguchi (KEK)
Title: E7に基づく九後・柳田世代統一模型のF理論による実現について
Abstract: 世代統一(family unification)とは、現実に観測されているすべてのクォークとレプトンを、ある単純群をターゲット空間とする超対称非線形シグマモデルの南部・ゴールドストーンボゾンの超パートナーと同一視する考え方である。特に、ターゲット空間をE7/((SU(5)xSU(3)xU(1))に選ぶと(九後・柳田模型)、ちょうど3つのSU(5)の10+5+1(に加えて1つの5)表現の多重項が得られ、現実に観測されているような「非平行」な三世代を実現する非常に魅力的なものとなる。ところが、このような模型を超弦理論によって実現することは今までなされておらず、またゲージ場と結合した際のアノマリーも問題であった。
本講演では、この九後・柳田模型は、F理論と呼ばれる超弦理論の枠組みにおいて自然に実現されることを示す。さらにアノマリーの存在は、F理論への埋め込みにおいて全フラックスが0でないことの反映・ナあり、モノドロミーが自明になるよう付加的に7-ブレーンを考えることにより(stable degeneration)、アノマリーは自然に相殺されることを議論したい。
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Date: 22 Sep. 2014
Speaker: Takashi Toma (Durham U.)
Title: スカラー暗黒物質の対消滅から生じるガンマ線
Abstract: 宇宙に暗黒物質が存在することはほぼ明らかであるが、 その性質は未だによく分かっていない。 暗黒物質の性質を調べるための一つのアプローチとして 暗黒物質の対消滅により生成される粒子を観測することが挙げられる。 特に生成粒子が鋭いエネルギースペクトルを示すガンマ線であれば、 暗黒物質の性質を決める重要な情報となりうる。 今回は新粒子としてベクトル的フェルミオンとスカラー粒子を導入した模型の中で、 スカラー粒子を暗黒物質としたときに対消滅により放出されるガンマ線に焦点を当てる。 この模型では暗黒物質の二体対消滅が強く抑制される。 その結果、三体の対消滅過程から生じるガンマ線が重要となり、 既存の模型よりも強いガンマ線スペクトルが期待されることを示す。
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Date: 6 Aug. 2014
Speaker: Nobuhiro Maekawa (Nagoya U.)
Title: E6 Grand Unified Theory and Family Symmetry with Spontaneous CP Violation
Abstract: 大統一理論は、3つの力を統一するだけではなく、 物質をも統一するという理論的な魅力を持っているだけでなく、 それぞれの統一に対して実験的なサポートも存在しているので、 素粒子の標準模型を超える理論として最も有望な理論と言える。 SU(5)大統一理論に対する物質の統一は、 10 =qL+uRc+eRc5 =dRc+lLと実現されるが、 「10場に関係する湯川行列は5場のものよりも大きな質量階層性を持つ」 という仮定から実験で測定されているクォーク、 レプトンの質量や混合角が少なくとも定性的に理解できることは、 この方向の正しさを示唆しているものと考える。
E6大統一理論の重要な特徴の1つは、 SU(5)大統一理論においては仮定に過ぎなかった 質量階層性に関する上記の仮定が自然に導出されることである。 結果として、たった1つの質量行列の階層性から、 標準模型における様々な質量行列の階層性を実現できる。 そのたった1つの質量行列の階層性を世代対称性の自発的な破れによって実現することで、 3世代のクォーク、レプトンを1つが2つの場に統一しつつ、 現実的なクォーク、レプトンの質量や混合角を実現する、という理論を構築することができる。 同時にこの世代対称性により、超対称性フレーバー問題を解決できる。 更に世代対称性を破るヒッグス場の真空期待値に消去できない位相があると、 自発的にCP対称性を破る理論になる。 その理論では、小林−益川位相の起源が説明でき、かつ、超対称性CP問題も解決できる。LHCでヒッグス質量が決定された影響についてもコメントしたい。
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Date: 2 Jul. 2014
Speaker: Natsumi Nagata (Kavli IPMU)
Title: 非加速器精密測定実験による高スケール超対称性の探索
Abstract: LHCにおける超対称粒子直接探索の結果,および126 GeVのヒッグス質量は, 超対称性のスケールが電弱スケールと比べて高いという可能性を示唆している。 この場合,LHC等の加速器実験で模型を探索することが非常に難しくなる。 一方で,非加速器精密測定実験は, 加速器実験で到達しうるよりも遥かに高いスケールまで感度を持ちうることが知られている。 これらの実験を用いて模型を調べるためには, 高精度の実験が必要なだけでなく,理論側でも精密な計算が求められる。 そこで,精密測定実験を用いて高スケール超対称性を探ることを本講演の主題とし, 最近改善された理論計算のいくつかを紹介しつつ,将来実験への展望を議論する。
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Date: 26 Jun. 2014
Speaker: Haruki Watanabe (U. of California, Berkeley)
Title: ローレンツ対称性がない場合のEnglert-Brout-Higgs機構
Abstract: 自発的対称性の破れやそれに伴って現れる南部・ゴールドストーンボソン、 さらにはゲージ対称性の場合のEnglert-Brout-Higgs機構などは、 いずれも長い研究の歴史があり良く理解されてきた。 しかしひとたびローレンツ対称性という強い縛りを外してしまうと 途端に一般的にどのようなことが起こるのかが自明ではなくなってしまう。 本講演では、ローレンツ対称性を仮定しない場合の 南部・ゴールドストーンボソンの数や分・U関係についてレビューした後、 Englert-Brout-Higgs機構について詳しく議論したい。 特に非可換な対称性の保存電荷に関わる微妙な問題や、 自発的な空間回転対称性の破れが弱結合領域では避けられない事などを議論する。
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Date: 4 Jun. 2014
Speaker: Hiroshi Yokoya (U. of Toyama)
Title: Naive-T-odd asymmetry in W+jet events at the LHC
Abstract: Wボソン生成過程において、 Wボソンの崩壊に現れるレプトンの角分布を見ることで 生成機構を詳細に調べることが出来る。 特に、レプトン角分布の中にパリティ奇の特徴を持つ成分があり、 この成分は散乱振幅の吸収項から生ずることが知られている。 我々は、QCDのone-loopレベルの摂動計算を用いてこの効果を解析し、 LHC実験におけるW+jetイベントにおいて大きなアシンメトリーが期待できること、 現在の観測データを用いて実証可能であることを議論した。 本講演では、この研究成果を紹介する。
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Date: 21 May 2014
Speaker: Kazunori Nakayama (U. of Tokyo)
Title: Chaotic inflation after BICEP2
Abstract: 最近BICEP2実験が宇宙背景放射のBモードの発見を報告した。 これが真実なら、 インフレーションのエネルギースケールが決定されたことになり、 中でもChaotic inflationと呼ばれるシンプルな模型が観測結果をよく説明する。 本講演では、Chaotic inflationを引き起こすいくつかの模型や、 超対称性理論への制限など、現象論的な観点からBICEP2の示唆を議論したい
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Date: 30 Apr. 2014
Speaker: Shotaro Shiba (MISC)
Title: 新しいラージN極限とインスタントン
Abstract: 超弦理論においては、 ゲージ・重力対・桙フ関係にあるゲージ理論を扱うとき、 ラージN極限(N→∞)としてトフーフト極限と呼ばれる、 g^2 Nを有限に固定した極限をよく考えます。 この極限の下では、1/N展開が弦のループ展開と同一視できます。 また、この極限では平面的なファインマン図だけが物理に効いてくること、 インスタントンによる非摂動効果は物理に効かないことなどが知られています。
 しかし、M理論のゲージ・重力対応を考えたいときには、 このトフーフト極限は取れません。 g^2はだいたい弦の結合定数ですから、 M理論の領域においてはg^2 NはラージN極限で無限大になってしまうからです。 実際、M理論とゲージ・重力対応するゲージ理論を考えると、 ラージN極限でもインスタントンの効果は残ることが期待されます。
 それでは、超弦理論とM理論のラージN極限では、 物理が全く変わってしまうのかと思われるかも知れませんが、 そうではないということを議論したいと思います。 具体的には、M理論と関係の深い4次元N=2*ゲージ理論を使って、 ラージN極限における自由エネルギーの振る舞いと オービフォールド等価性について議論をします。

参考文献:
T. Azeyanagi, M. Hanada, M. Honda, Y. Matsuo, S. Shiba, arXiv:1307.0809 [hep-th] (accepted by JHEP)
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Date: 23 Apr. 2014
Speaker: Atsushi Watanabe (MISC)
Title: 暗黒物質と右巻きニュートリノの U(1)' 対称性
Abstract: ニュートリノ質量とダークマターの物理の関連を探る試みのひとつとして、 ゲージ無色のフェルミオンとU(1)'対称性を軸としたモデルについて議論します. また、この方向に沿ったゲージ階層性問題やバリオン数非対称性についての 今後の展望についてお話しします.
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