[BCN This Week 2009年3月16日 vol.1276 掲載](週刊BCN編集長の谷畑良胤さんの許可を得て記事を掲載)
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プログラマは「書く」より「読む」

プログラマの第一義(もっとも根本的で大切な事柄)は何でしょうか。プログラミングのためのセンス(鋭い感覚)とスキル(練った技術)であることは間違いないのですが、どちらも一朝一夕で成るものではありません。コードリーディング(プログラムを読む)という日課を長く続けることによって成ります。プログラムが上手に書けないのは、読んだプログラムの量に不足があるのです。書く練習よりも読む練習が大切なのに、とりあえず文法を覚え、まずはプログラムを書くことばかりやってしまいがちです。

あまりにも当たり前の話ですが、小説を読まずに小説家になった人はいません。音楽を聞かずに音楽家になった人もいません。映画を観ずに映画製作にかかわる人もいません。プログラマとして身を立てるには多量なプログラムの読破がプログラムを作る前に先立っています。子どもが言葉を覚えてゆくのと同じです。まず聞き取りや読み取りが先行し、その後に書き取りが続きます。この順番が逆転することはありません。幸いにもオープンソース(ソースコードが公開されたプログラム)が身近に溢れるようになりました。本の中に書かれたプログラムもオープンソースですし、ウェブをググって出てくるプログラムもオープンソースです。これらのプログラムの読みが日課になればプログラマへの道が開けてきます。

プログラムを読むという日課(毎日の勤務)は一種の生活リズム。これを根本で支えているのは実のところ食事と睡眠になります。これも当たり前の話なのですが、軽んじる方々が多いようです。寝食を忘れてプログラミングするのは褒められません。決まった時間に食事をし、定まった時間に睡眠をとることは、吸収効率のいい脳(精神活動)を調整してくれます。疲れた脳を咀嚼運動でリフレッシュ、乱雑に引き出されて散らかった脳内を睡眠で整理整頓。一日3回の食事と一日3分の1の睡眠が脳活動のメリハリであるリズムを生み出し、プログラマとしてのセンスとスキルを磨いてくれます。

朝食の前にコレをやろう、昼食の前までにソレをしよう、夕食の前にはアレを終わらせよう、就寝するまでにここまで読もう、ことほどさように食事と睡眠が生活のマイルストーンになっています。まさに計画性の源。こうなりたいという具体策を執行する糧ですね。くれぐれも「寝食を忘れて仕事に没頭」などの言葉に惑わされずに、寝食を正して、プログラムの読みを日課としましょう。


Updated: 2009/12/22 (Created: 2009/10/03) KSU AokiHanko