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セミナー(自然科学系)


過去のセミナー(2017年度)

日時: 2018年1月29日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 大塚 啓 氏(早稲田大学)
題目: F-理論におけるフラックスコンパクト化
概要: IIB型超弦理論及びその強結合極限として知られるF-理論の有効理論にはコンパクト化を通じて, 複数のモジュライ場が4次元有効理論に現れる. 本講演では、IIB型超弦理論におけるフラックス コンパクト化について紹介した後, 楕円ファイブレーション構造を持つカラビ・ヤウ多様体上に コンパクト化されたF-理論において, フラックスコンパクト化を議論する. F-理論におけるフラックスコンパクト化では, open mirror symmetryの手法を用いることで, IIB型超弦理論のD-branesに付随する開弦モジュライ場の固定が可能になることを紹介する.
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日時: 2017年12月18日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 鎌田 耕平 氏(IBS)
題目: 宇宙磁場と物質反物質非対称
概要: FermiによるTeVブレーザーの観測は本来あるはずのカスケードGeVガンマ線を検出していない。 これは銀河間に磁場があるとすれば説明でき、そのような磁場の起源を初期宇宙に求めることは 興味深い可能性の一つである。今回我々は、もし初期宇宙の電弱相転移前に(ハイパー)磁場が生成 されたとするならば、素粒子的宇宙論の観点からも面白い現象が起こることを発見した。すなわち、 もし(ハイパー)磁場がヘリシティを持っていたならば、素粒子標準模型のカイラル量子異常を通じて、 電弱相転移前および相転移時に物質反物質非対称が生成され、その非対称は相転移後も宇宙に残る のである。したがって、この機構によって現在の宇宙の物質反物質非対称が説明でき、銀河間磁場は その痕跡である可能性がある。注目すべきはこの機構自体には素粒子標準模型を超えた物理は必要と されず、磁場生成にこそ標準模型を越えた物理が必要とされる点である。このセミナーではこの機構 を概説し、その痕跡としての銀河間磁場がどのような特徴をもつべきかを紹介する。この機構に必要 とされる磁場を作る方法についても触れたい。
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日時: 2017年12月12日(火)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 西中 崇博 氏(立命館大学)
題目: Chiral algebras associated with Argyres-Douglas SCFTs
概要: 4次元N=2超共形場理論(SCFT)には特別なBPS局所演算子が存在し、それらの演算子積展開(OPE)は自然に2次元の chiral algebra(あるいは vertex operator algebra)の構造を内包している。 2013年に発見されたこの事実は、特に強結合の 4d N=2 SCFTs の OPE を調べるのに役に立つ。 このトークではまずこの 4d/2d 対応をレビューし、それを 4d N=2 強結合 SCFT の代表例である Argyres-Douglas 理論について考察した例を紹介する。
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日時: 2017年11月27日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 両角 卓也 氏(広島大学)
題目: A new mechanism for generating particle number asymmetry through interactions
概要: 粒子数非対称性の新しい生成機構を展開する。この機構は1つの中性スカラー場と一つの複素スカラー場を含むラグランジアンで実現される。複素スカラー場は粒子数に対応するU(1)電荷をもつ。時間に依存するスケールファクターを持ち空間的には平坦な宇宙で 粒子数非対称性の時間発展を計算した。初期条件として中性スカラー場がゼロでない凝縮を持つとした。この初期条件の下では、初期時間においては粒子数非対称性はゼロで あるが時間の経過とともに複素スカラー場との相互作用を通じて非対称性が生成される。粒子数非対称性は、はじめは振動し、その後小さくなる傾向を示す。 振動の周期や振幅はモデルの質量スペクトル、温度や宇宙の膨張率に依存する。 ここで見出された振動する粒子数非対称性が宇宙のバリオン数非対称性のシナリオに どのような意味を持つかを議論する。
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日時: 2017年11月20日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 山下 公子 氏(お茶の水女子大学)
題目: 隠れたU(1)ゲージ場を媒介として 光とパリティを破った相互作用をするフェルミオンの4光子有効ラグランジアンと真空複屈折実験での探索について
概要: 隠れたU(1)ゲージ場を媒介として光とパリティを破った相互作用をするフェルミオンに注目する。この場合の光の4点相互作用の有効ラグランジアンを導出し、真空複屈折実験での探索について提案を行った。 arXiv:1707.03308 [hep-ph](PTEPへ掲載決定)、arXiv:1707.03609 [hep-ph]
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日時: 2017年10月30日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 大木 洋 氏(奈良女子大学)
題目: 格子QCDによる核子構造の研究と標準模型を越えた物理
概要: 宇宙の物質非対称性の起源の解明につながるCP対称性の破れを表す電気双極子能率(EDM)の精密測定実験から、 標準模型を超えた物理の存在を示唆する大きなCP対称性の破れの発見が期待される。 一方理論計算では、これらの実験結果を検証するための精密計算が必要であり、 特にハドロン行列要素の計算では、量子色力学(QCD)に基づく厳密な核子構造の研究が重要である。 本講演では、QCDの第一原理計算法である格子QCDを用いた、上記実験に有用となるハドロンのEDM行列要素の計算法についての最近の進展について講演する。 またθEDMやchromo-EDMの核子EDMの最近の数値計算結果について紹介する。
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日時: 2017年10月23日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 深谷 英則 氏(大阪大学)
題目: 物理屋でもわかるAtiyah-Patodi-Singer の指数定理
概要: Atiyah-Patodi-Singer (APS)指数定理は境界のある多様体上のDirac 演算子の指数定理であり、トポロジカル物質や格子ゲージ理論のドメインウォールフェルミオン行列式の研究で注目されている。しかし、そのオリジナル論文は難解で、しかもAPS境界条件という、物理的に実現されるとは考えられない大域的な境界条件をフェルミオン場に課しつつ指数定理を求めている。本研究では、境界のない場合の藤川の方法のように、物理屋にもわかりやすい方法でAPS指数定理を理解することを試みる。特に、トポロジカル絶縁体の表面のように物理的に実現可能な境界条件のもとで、新しい指数定理の定式化を提案する。 文献:Hidenori Fukaya, Tetsuya Onogi, Satoshi Yamaguchi, arXiv:1710.03363
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日時: 2017年7月24日(月)14:00
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 北山 哲 氏(東邦大学)
題目: Sunyaev-Zel'dovich効果の高精度観測と宇宙論的意義
概要: Sunyaev-Zel'dovich(SZ)効果は、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)光子が電子により逆コンプトン散乱されて生じる2次的CMB異方性であり、宇宙最大の天体である銀河団が主な生成源となる。理論的には、宇宙の進化や構造形成に関する貴重な情報源となることが1970年頃から指摘されていたが、信号が微弱であるため、高空間分解能の測定を行うことは長らく困難であった。我々は、アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計ALMAを用い、初めて5秒角の空間分解能でSZ効果を検出することに成功した。本講演では、その手法・結果・展望等について解説する。
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日時: 2017年7月18日(火)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 鈴木 博 氏(九州大学理学研究院)
題目: グラディエント・フローによる4次元N=1超対称ヤン・ミルズ理論における超対称カレントの構成
概要: グラディエント・フローという手法を用いると、ゲージ理論における繰り込まれた複合演算子を採用する正則化に依存しない形で定義することができる。このアイデアは近年、格子ゲージ理論におけるエネルギー運動量テンソルの構成に応用され、成果を挙げてきている。ここでは、この同じアイデアに基づいて、4次元N=1超対称ヤン・ミルズ理論における超対称カレントの正則化によらない表式を得た研究を紹介する。この目的のためには、ウェス・ズミノゲージでの超対称ウォード・高橋関係式を満たす(例えば次元正則化を用いた)超対称カレントを見出す必要があり、これ自身も非常に非自明な興味深い研究である。我々の結果は、4次元N=1超対称ヤン・ミルズ理論の格子シミュレーションにおいて、実用上も有用であると考えられる
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日時: 2017年7月10日(火)10:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 山縣 淳子 氏(京都産業大学)
題目: 中間子−原子核系で探る媒質中のK-中間子の性質
概要: 核媒質中における中間子の性質を調べることにより、質量起源の謎の解明を行うことが興味を持たれている。特にK-中間子はストレンジネスクォークを持つ最も軽い中間子であるということから、アップクォークやダウンクォークのみで構成される中間子では見られない現象を引き起こすのではないかと期待されている。 本セミナーでは、核媒質中のK-中間子の性質を知るために有効であるK-中間子‐原子核系の構造と生成について、初歩から説明する。中間子−原子核系とはどのような状態か、理論計算と実験の関連などを踏まえながら進めていく。
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日時: 2017年6月26日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 伊藤 洋介 氏(東京大学ビッグバン宇宙国際研究センター)
題目: GW150914の発見と重力波天文学
概要: 2015年9月14日、アメリカに建設された2台の重力波検出器LIGOが、36および29太陽質量の 2つのブラックホールが合体したことによる重力波を検出した。セミナーでは、発見の経緯や手法 について述べる。また、検出器・検出手法や解釈についてや今後本格稼働するKAGRA/Virgoについて も概観する。
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日時: 2017年5月22日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 二間瀬 敏史 氏(京都産業大学理学部 宇宙物理・気象学科)
題目: 弱い重力レンズの宇宙論への応用と重力理論の検証
概要: 近年重力レンズは様々なスケールでの質量分布を直接測定できることから観測的宇宙論で重要な役割を果たしている。 今回は弱い重力レンズを取り上げてその基礎的な説明と最近の応用として、近傍銀河団内の暗黒物質サブハローの観測、 超新星のm-z関係によるニュートリノ質量の制限、Verlindeのemergent gravityの検証の紹介をおこなう。
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日時: 2017年5月1日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 上村 尚平 氏(益川塾)
題目: 現実的なmagnetized orbifold 上での Kahler moduli 固定
概要: 超弦理論のコンパクト化においてモジュライ固定は重要な問題である。 今までの多くの議論ではモジュライ固定は hidden sector が行っていると仮定して、visible sector とは独立に考えられていた。 しかし実際の模型でそのような状況が実現できるかは非自明である。 我々は実際にある程度現実的な模型を実現するDブレーンの配置を考え、その中でのDブレーンインスタントンによるモジュライ固定が可能かを議論した。
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日時: 2017年4月24日(月)13:30
場所: 京産大 1号館4階 談話室
講師: 菊地 健吾 氏(京都産業大学益川塾)
題目: グラディエントフロー方程式とその拡張
概要: グラディエントフロー方程式は、場の理論における紫外発散を取り除く新しい手法として注目を浴びている。本講演ではこの手法の基礎的な内容から出発し、一般化されたGF方程式を提唱、SUSYモデル、ラージNモデルへ適応した結果を解説する。特に、最新の研究である作用のグラディエントで与えられないモデルに対するフロー方程式の構成に関して議論する。厳密繰り込み群との関連性についても触れたい。
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