森林法違憲判決
上告審判決

共有物分割等請求事件
最高裁判所 昭和59年(オ)第805号
昭和62年4月22日 大法廷 判決

上告人 (控訴人・被控訴人 原告) 甲野孝志(仮名)
              代理人 藤本猛
被上告人(被控訴人・控訴人 被告) 甲野茂(仮名)
              代理人 西部健次

■ 主 文
■ 理 由

■ 裁判官坂上壽夫の補足意見
■ 裁判官林藤之輔の補足意見
■ 裁判官大内恒夫の意見
■ 裁判官香川保一の反対意見

■ 上告代理人藤本猛の上告理由


 原判決中上告人敗訴の部分を破棄する。
 右部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。

[1] 所論は、要するに、森林法186条を合憲とした原判決には憲法29条の解釈適用を誤つた違法がある、というのである。

[2] 憲法29条は、1項において「財産権は、これを侵してはならない。」と規定し、2項において「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」と規定し、私有財産制度を保障しているのみでなく、社会的経済的活動の基礎をなす国民の個々の財産権につきこれを基本的人権として保障するとともに、社会全体の利益を考慮して財産権に対し制約を加える必要性が増大するに至つたため、立法府は公共の福祉に適合する限り財産権について規制を加えることができる、としているのである。

[3] 財産権は、それ自体に内在する制約があるほか、右のとおり立法府が社会全体の利益を図るために加える規制により制約を受けるものであるが、この規制は、財産権の種類、性質等が多種多様であり、また、財産権に対し規制を要求する社会的理由ないし目的も、社会公共の便宜の促進、経済的弱者の保護等の社会政策及び経済政策上の積極的なものから、社会生活における安全の保障や秩序の維持等の消極的なものに至るまで多岐にわたるため、種々様々でありうるのである。したがつて、財産権に対して加えられる規制が憲法29条2項にいう公共の福祉に適合するものとして是認されるべきものであるかどうかは、規制の目的、必要性、内容、その規制によつて制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を比較考量して決すべきものであるが、裁判所としては、立法府がした右比較考量に基づく判断を尊重すべきものであるから、立法の規制目的が前示のような社会的理由ないし目的に出たとはいえないものとして公共の福祉に合致しないことが明らかであるか、又は規制目的が公共の福祉に合致するものであつても規制手段が右目的を達成するための手段として必要性若しくは合理性に欠けていることが明らかであつて、そのため立法府の判断が合理的裁量の範囲を超えるものとなる場合に限り、当該規制立法が憲法29条2項に違背するものとして、その効力を否定することができるものと解するのが相当である(最高裁昭和43年(行ツ)第120号同50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁参照)。

[4] 森林法186条は、共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者(持分価額の合計が2分の1以下の複数の共有者を含む。以下同じ。)に民法256条1項所定の分割請求権を否定している。
[5] そこでまず、民法256条の立法の趣旨・目的について考察することとする。共有とは、複数の者が目的物を共同して所有することをいい、共有者は各自、それ自体所有権の性質をもつ持分権を有しているにとどまり、共有関係にあるというだけでは、それ以上に相互に特定の目的の下に結合されているとはいえないものである。そして、共有の場合にあつては、持分権が共有の性質上互いに制約し合う関係に立つため、単独所有の場合に比し、物の利用又は改善等において十分配慮されない状態におかれることがあり、また、共有者間に共有物の管理、変更等をめぐつて、意見の対立、紛争が生じやすく、いつたんかかる意見の対立、紛争が生じたときは、共有物の管理、変更等に障害を来し、物の経済的価値が十分に実現されなくなるという事態となるので、同条は、かかる弊害を除去し、共有者に目的物を自由に支配させ、その経済的効用を十分に発揮させるため、各共有者はいつでも共有物の分割を請求することができるものとし、しかも共有者の締結する共有物の不分割契約について期間の制限を設け、不分割契約は右制限を超えては効力を有しないとして、共有者に共有物の分割請求権を保障しているのである。このように、共有物分割請求権は、各共有者に近代市民社会における原則的所有形態である単独所有への移行を可能ならしめ、右のような公益的目的をも果たすものとして発展した権利であり、共有の本質的属性として、持分権の処分の自由とともに、民法において認められるに至つたものである。
[6] したがつて、当該共有物がその性質上分割することのできないものでない限り、分割請求権を共有者に否定することは、憲法上、財産権の制限に該当し、かかる制限を設ける立法は、憲法29条2項にいう公共の福祉に適合することを要するものと解すべきところ、共有森林はその性質上分割することのできないものに該当しないから、共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者に分割請求権を否定している森林法186条は、公共の福祉に適合するものといえないときは、違憲の規定として、その効力を有しないものというべきである。

[7]四1 森林法186条は、森林法(明治40年法律第43号)(以下「明治40年法」という。)6条の「民法第256条ノ規定ハ共有ノ森林ニ之ヲ適用セス但シ各共有者持分ノ価格ニ従ヒ其ノ過半数ヲ以テ分割ノ請求ヲ為スコトヲ妨ケス」との規定を受け継いだものである。明治40年法6条の立法目的は、その立法の過程における政府委員の説明が、長年を期して営むことを要する事業である森林経営の安定を図るために持分価格2分の1以下の共有者の分割請求を禁ずることとしたものである旨の説明に尽きていたことに照らすと、森林の細分化を防止することによつて森林経営の安定を図ることにあつたものというべきであり、当該森林の水資源かん養、国土保全及び保健保全等のいわゆる公益的機能の維持又は増進等は同条の直接の立法目的に含まれていたとはいい難い。昭和26年に制定された現行の森林法は、明治40年法6条の内容を実質的に変更することなく、その字句に修正を加え、規定の位置を第7章雑則に移し、186条として規定したにとどまるから、同条の立法目的は、明治40年法6条のそれと異なつたものとされたとはいえないが、森林法が1条として規定するに至つた同法の目的をも考慮すると、結局、森林の細分化を防止することによつて森林経営の安定を図り、ひいては森林の保続培養と森林の生産力の増進を図り、もつて国民経済の発展に資することにあると解すべきである。
[8] 同法186条の立法目的は、以上のように解される限り、公共の福祉に合致しないことが明らかであるとはいえない。

[9] したがつて、森林法186条が共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者に分割請求権を否定していることが、同条の立法目的達成のための手段として合理性又は必要性に欠けることが明らかであるといえない限り、同条は憲法29条2項に違反するものとはいえない。以下、この点につき検討を加える。
[10](一) 森林が共有となることによつて、当然に、その共有者間に森林経営のための目的的団体が形成されることになるわけではなく、また、共有者が当該森林の経営につき相互に協力すべき権利義務を負うに至るものではないから、森林が共有であることと森林の共同経営とは直接関連するものとはいえない。したがつて、共有森林の共有者間の権利義務についての規制は、森林経営の安定を直接的目的とする前示の森林法186条の立法目的と関連性が全くないとはいえないまでも、合理的関連性があるとはいえない。
[11] 森林法は、共有森林の保存、管理又は変更について、持分価額2分の1以下の共有者からの分割請求を許さないとの限度で民法第3章第3節共有の規定の適用を排除しているが、そのほかは右共有の規定に従うものとしていることが明らかであるところ、共有者間、ことに持分の価額が相等しい2名の共有者間において、共有物の管理又は変更等をめぐつて意見の対立、紛争が生ずるに至つたときは、各共有者は、共有森林につき、同法252条但し書に基づき保存行為をなしうるにとどまり、管理又は変更の行為を適法にすることができないこととなり、ひいては当該森林の荒廃という事態を招来することとなる。同法256条1項は、かかる事態を解決するために設けられた規定であることは前示のとおりであるが、森林法186条が共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者に民法の右規定の適用を排除した結果は、右のような事態の永続化を招くだけであつて、当該森林の経営の安定化に資することにはならず、森林法186条の立法目的と同条が共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者に分割請求権を否定したこととの間に合理的関連性のないことは、これを見ても明らかであるというべきである。
[12](二)(1) 森林法は森林の分割を絶対的に禁止しているわけではなく、わが国の森林面積の大半を占める単独所有に係る森林の所有者が、これを細分化し、分割後の各森林を第三者に譲渡することは許容されていると解されるし、共有森林についても、共有者の協議による現物分割及び持分価額が過半数の共有者(持分価額の合計が2分の1を超える複数の共有者を含む。)の分割請求権に基づく分割並びに民法907条に基づく遺産分割は許容されているのであり、許されていないのは、持分価額2分の1以下の共有者の同法256条1項に基づく分割請求のみである。共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者に分割請求権を認めた場合に、これに基づいてされる分割の結果は、右に述べた譲渡、分割が許容されている場合においてされる分割等の結果に比し、当該共有森林が常により細分化されることになるとはいえないから、森林法が分割を許さないとする場合と分割等を許容する場合との区別の基準を遺産に属しない共有森林の持分価額の2分の1を超えるか否かに求めていることの合理性には疑問があるが、この点はさておいても、共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者からの民法256条1項に基づく分割請求の場合に限つて、他の場合に比し、当該森林の細分化を防止することによつて森林経営の安定を図らなければならない社会的必要性が強く存すると認めるべき根拠は、これを見出だすことができないにもかかわらず、森林法186条が分割を許さないとする森林の範囲及び期間のいずれについても限定を設けていないため、同条所定の分割の禁止は、必要な限度を超える極めて厳格なものとなつているといわざるをえない。
[13] まず、森林の安定的経営のために必要な最小限度の森林面積は、当該森林の地域的位置、気候、植栽竹木の種類等によつて差異はあつても、これを定めることが可能というべきであるから、当該共有森林を分割した場合に、分割後の各森林面積が必要最小限度の面積を下回るか否かを問うことなく、一律に現物分割を認めないとすることは、同条の立法目的を達成する規制手段として合理性に欠け、必要な限度を超えるものというべきである。
[14] また、当該森林の伐採期あるいは計画植林の完了時期等を何ら考慮することなく無期限に分割請求を禁止することも、同条の立法目的の点からは必要な限度を超えた不必要な規制というべきである。
[15](2) 更に、民法258条による共有物分割の方法について考えるのに、現物分割をするに当たつては、当該共有物の性質・形状・位置又は分割後の管理・利用の便等を考慮すべきであるから、持分の価格に応じた分割をするとしても、なお共有者の取得する現物の価格に過不足を来す事態の生じることは避け難いところであり、このような場合には、持分の価格以上の現物を取得する共有者に当該超過分の対価を支払わせ、過不足の調整をすることも現物分割の一態様として許されるものというべきであり、また、分割の対象となる共有物が多数の不動産である場合には、これらの不動産が外形上一団とみられるときはもとより、数か所に分かれて存在するときでも、右不動産を一括して分割の対象とし、分割後のそれぞれの部分を各共有者の単独所有とすることも、現物分割の方法として許されるものというべきところ、かかる場合においても、前示のような事態の生じるときは、右の過不足の調整をすることが許されるものと解すべきである(最高裁昭和28年(オ)第163号同30年5月31日第3小法廷判決・民集9巻6号793頁、昭和41年(オ)第648号同45年11月6日第2小法廷判決・民集24巻12号1803頁は、右と抵触する限度において、これを改める。)。また、共有者が多数である場合、その中のただ1人でも分割請求をするときは、直ちにその全部の共有関係が解消されるものと解すべきではなく、当該請求者に対してのみ持分の限度で現物を分割し、その余は他の者の共有として残すことも許されるものと解すべきである。
[16] 以上のように、現物分割においても、当該共有物の性質等又は共有状態に応じた合理的な分割をすることが可能であるから、共有森林につき現物分割をしても直ちにその細分化を来すものとはいえないし、また、同条2項は、競売による代金分割の方法をも規定しているのであり、この方法により一括競売がされるときは、当該共有森林の細分化という結果は生じないのである。したがつて、森林法186条が共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者に一律に分割請求権を否定しているのは、同条の立法目的を達成するについて必要な限度を超えた不必要な規制というべきである。

[17] 以上のとおり、森林法186条が共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者に民法256条1項所定の分割請求権を否定しているのは、森林法186条の立法目的との関係において、合理性と必要性のいずれをも肯定することのできないことが明らかであつて、この点に関する立法府の判断は、その合理的裁量の範囲を超えるものであるといわなければならない。したがつて、同条は、憲法29条2項に違反し、無効というべきであるから、共有森林につき持分価額2分の1以下の共有者についても民法256条1項本文の適用があるものというべきである。

[18] 本件について、原判決は、森林法186条は憲法29条2項に違反するものではなく、森林法186条に従うと、本件森林につき2分の1の持分価額を有するにとどまる上告人には分割請求権はないとして、本件分割請求を排斥しているが、右判断は憲法29条2項の解釈適用を誤つたものというべきであるから、この点の違憲をいう論旨は理由があり、原判決中上告人敗訴の部分は破棄を免れない。そして、右部分については、上告人の分割請求に基づき民法258条に従い本件森林を分割すべきものであるから、本件を原審に差し戻すこととする。

[19] よつて、民訴法407条に従い、裁判官坂上壽夫、同林藤之輔の補足意見、裁判官高島益郎、同大内恒夫の意見、裁判官香川保一の反対意見があるほか、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。


 裁判官坂上壽夫の補足意見は、次のとおりである。

[1] 香川裁判官の反対意見に鑑み、わが国における森林所有の実態を踏まえて、一言しておきたい。
[2] 香川裁判官の説かれるところは、森林の共同経営という観点から共有森林についての分割制限の合理性を指摘されるもので、たしかに、森林の共同経営に当たつて、途中での分割を許すことは、経営的には不都合を来す場合があると考えられ、共同経営を目的とした共有を考える限りにおいて、まことに傾聴すべき見解であると思われるが、
「森林を自らの意思により共有する者についていえば、一般的に森林の共同経営の意思を有するものという前提において立法措置のされるのが当然のことであ」
るとされるのは、森林共有者の中に、相続による共有者を除いては、自らの意思によらずして森林を共有することになつた者の存在は考えなくてもよいということであろうか。また、自らの意思により森林を共有するといつても、共有するについてはいろんな場合が考えられ、森林を共同経営する意思を有しない者もいると思われるのに、そのことを抜きにして論じてよいものであろうか。なお、共同経営に不都合を来さないためという観点からは、持分2分の1以下の権利者の分割請求のみを許さないとすることの説明が、多数決原理を云々されるだけでは肯けないものがある(のちに述べるように、分割されて困るとすれば、それはむしろ持分2分の1以下の少数権利者の側であろう。)。
[3] ところで、森林経営という面についてであるが、香川裁判官が、
「森林経営は、相当規模の森林全体について長期的計画により数地区別に木竹の植栽、育生、伐採の交互的、周期的な施業がなされるものであつて、森林の土地全体は相当広大な面積のものであることが望ましいし、また、その資本力、経営力、労働力等の人的能力も大であることを必要とする反面、将来の万一の森林経営の損失の分散を図るため等から、森林に関する各法制は、多数の森林所有者の共同森林経営がより合理的であるとしているのである……そして、それに連なる共有森林は……」
と説かれるところは、多人数の共同経営の難しさ、煩わしさということを別にすれば、理論としては正にそのとおりであろうが、残念ながら、わが国の森林所有の実態に即しない憾みがあるように思われる。以下、議論を正確にするため、統計数字については、林野庁監修「林業統計要覧」1986年版所載の各表によることとするが、その「1980年世界農林業センサス結果」によると、わが国での共同所有者による森林保有は、統計に表れない0.1ヘクタール未満の森林を除き、0.1ヘクタール以上のものに限れば、16万6145事業体で合計60万1673ヘクタールに過ぎず(この数字には、相続により生じた共有体を含むものと思われるが、その内訳は不詳である。)、面積比にすると、2500万ヘクタール余とされるわが国の全森林の2.4%、1470万ヘクタールに及ぶ私有森林全体の約4%を占めるのみである。しかも、そのうち0.1ヘクタールないし1ヘクタール(未満)しか保有しない事業体(農林水産省統計情報部「林家経済調査報告」によると、昭和59年度において、9.3ヘクタールを保有する林家の林業粗収入額は、薪炭生産やきのこ生産等による収入をも含めて29万5000円であり、これに対する経費総額は12万7000円であつて、林業所得額は16万8000円(平均値)であるから、1ヘクタール当たりにすると、僅かに1万8000円に過ぎない。0.1ヘクタールないし1ヘクタール(未満)という森林がいかに零細なものであるかがわかろう。)は9万6280事業体に達し、全共同事業体の約58%に当たり、これに1ないし5ヘクタール(未満)しか保有しない事業体を併せると、14万4996事業体(全共同事業体の87%強)にも達するのである。他方、香川裁判官が望ましいとされる「相当広大な面積」をかりに100ヘクタール以上(本件上告人、被上告人の共有森林は、全地区を合計するとこの範囲に入ることになる。)と低く抑えたとしても、その条件に達するものは僅かに557事業体(全共同事業体の0.3%強)に過ぎない。共有にかかる森林の殆どは、共同所有ではあつても、共同経営という名に値しないものである。
[4] とすれば、森林経営の観点から共有を論じても余り意味はなく、森林法186条は、ほんの一握りの森林共有体の経営の便宜のために、すべての森林共有体の、しかもそのうちの持分2分の1以下の共有者についてのみ、その分割請求権を奪うという不合理を敢えてしていると結論せざるを得ない。
[5] もとより、森林経営というほどのものでない小面積の共有森林でも、否、小面積の森林なるが故に、分割しては著しく採算に影響するという場合もないではないであろうし(例えば、トラツクの通行可能な道路までの伐採木の搬出距離が長いため、搬出のための架線等の設置に多大の経費を要するというような場合等)、極端な場合には、分割しては森林の全売上をもつてしても全経費を賄うに足りないという事態もありうるであろう(多数意見のいう森林の安定的経営のために必要な最小限度の森林面積を割る場合ということになろう。)。香川裁判官の説かれる共同経営論は、このようなことも配慮されてのことであると理解できるが、分割した場合につねに生ずるということではない。なお、蛇足を加えると、例えば、持分4分の3と持分4分の1の2人の共有者があつて、4分の3の持分権者の請求によつて分割が行われた場合があつたとしよう。4分の3の権利者に分割された森林は、単位面積当たりの採算が分割前より多少不利になつたとしても、なお、一応の利益が得られるが、4分の1の権利者の方は、自己に分割された森林だけでは経済的に維持できないというような場合も生ずることが考えられるのである。こういう場合に分割請求を許すべきでないのは、むしろ2分の1を超える持分権者の方でないと、筋が通らないのではなかろうか。いずれにしても、経営採算ということを考えると、共同経営にかかる森林の分割はこれを許さないとすることに相応の理由があることを否定しないが、森林の共同経営を考える者は、共同経営に当たつて必要な取決め(分収造林契約、分収育林契約、民法上の組合あるいは間伐時や伐採時の共同施業等)をしておけば足りることであつて、必ずしも共同経営に合意した結果生じたとは限らない共有全般について、法律の規定による分割請求権の剥奪で対処すべきことではないと思われる。
[6] 更にいえば、分割請求権の行使を認めないことによつて、森林の細分化を防止し、それによつて森林経営の安定を図り、ひいては森林の保続培養と森林の生産力の増進を図り、もつて国民経済の発展に資することが公共の福祉に合致するとの立場をとるならば、前述のように、わが国の森林面積の2.4%、そのうちの私有森林のみの面積と対比してもその約4%を占めるに過ぎない共同所有森林(相続による共有分を除けば、その割合はもつと小さい筈)の、そのまた少数持分権者のみに、その制限を課するのは何故であろうか。森林法186条による共有森林の分割請求権の制限は、到底首肯するに足る理由を見出だすことができないのである。


 裁判官林藤之輔の補足意見は、次のとおりである。

[1] 私は、多数意見に示された結論とその理由に同調するものであるが、共有物の分割方法に関して私の考えるところを補足しておきたい。
[2] 多数意見は、民法258条2項にいう現物をもつてする分割の一態様として、共有者の一部が持分以上の現物を取得する代わりに当該超過分の対価を他の共有者に支払わせる旨のいわゆる価格賠償による分割を命ずることも許されるから、共有者の一部に分割を認めても必ずしも森林の細分化をもたらすものではないとし、最高裁昭和28年(オ)第163号同30年5月31日第3小法廷判決・民集9巻6号793頁は、これと異なる限度で改めるとしているのであり、私も多数意見の右の説示に賛同する。右の小法廷判決は、昭和22年法律第222号による改正前の民法のもとにおける遺産相続により共有となつた遺産の分割につき、右改正法の附則32条により改正後の民法906条が準用されることとなる事案に関するものであるが、
「遺産の共有及び分割に関しては、共有に関する民法256条以下の規定が第一次的に適用せられ、遺産の分割は現物分割を原則とし、分割によつて著しくその価格を損する虞があるときは、その競売を命じて価格分割を行うことになるのであつて、民法906条は、その場合にとるべき方針を明らかにしたものに外ならない」
と判示している。しかし、家庭裁判所での遺産分割審判の実務においては、右判例にかかわらず、遺産分割につき家事審判規則109条を適用して、特別の事由があるときは、共同相続人の一部にその相続分以上の現物を取得させる代わりに、他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物をもつてする分割に代えることが広く行われてきており、しかも、右にいう特別の事由はかなり緩やかに解されているのであるが、この債務を負担させることによる分割の実態は、多数意見にいう価格賠償にほかならないのである。
[3] ところで、遺産分割については、民法が特に分割の基準について906条の規定を設けているほか、手続上も、家庭裁判所に非訟事件である遺産分割の審判の申立をすることができるものとされているのに対し、通常の共有物の分割にあつては、民事訴訟上の訴えの手続によるべきものとされている。しかし、この共有物分割の訴えも、いわゆる形式的形成訴訟に属し、当事者は単に共有物の分割を求める旨を申し立てれば足り、裁判所は、当事者が現物分割を申し立てているだけであつても、これに拘束されず、競売による代金分割を命ずることもできるのであつて(最高裁昭和53年(オ)第927号、第928号同57年3月9日第3小法廷判決・裁判集民事135号313頁)、その本質は非訟事件であり、その点では、典型的な非訟事件である家事審判と異なるところはない。それにもかかわらず通常の共有物分割と遺産分割との間で右のように取扱いが異なるのは、右のような法律上の規定の仕方の違いもさることながら、遺産分割は、被相続人に属していた一切の財産が分割の対象とされ、不動産、動産、債権のほか、これらの権利が結合して構成される商店、病院等の営業というようなさまざまな遺産を一括して共同相続人に配分するものであり、しかも、先祖代々の土地建物、農地、家業というべき営業のように、相続人のうちの誰か適当な者が承継して人手には渡したくないとする一般的な意識や、分割に適しない性質を想定しうる財産も含まれているのに対し、通常の共有については、これまで1個の物の分割が典型例として考えられ、分割が個々の共有物について各共有者の持分権をその価格の割合に応じて単独所有権化するものという角度から捉えられ勝ちであつたためではないかと思われる。しかし、通常の共有の場合であつても、多数意見の指摘するように、同一共有者間において同時に多数の、性質等の異なつた共有物について分割が行われることもあり、また、遺産分割の結果共同相続人のうちの数名の共有とされた財産が再分割されるときのように遺産分割に近い実質をもつこともあるのであつて、そのようなときにまで、現物を持分に応じて分割することができないか又はそれができても著しく価格を損する場合には、直ちに現物分割によることができないものとし、価格賠償による調整をかたくなに否定することは、現物分割の途をいたずらに狭めるものであり、実状に合うものとはいい難い。建物の分割においても、持分に応じた分割が可能なのは、たとえ分割の対象となつている建物が多数あるときでもそのそれぞれがたまたま持分に相当する価格の建物である場合とか、1棟の建物ではあるが持分に相当する価格の区分所有建物とすることが可能である場合のようなむしろ例外的場合に限られることになり、土地についても、地形や道路との関係、さらには地上建物との関係などから持分に応じた分割をすることには無理が伴つたり、著しく価格を損することがむしろ多いといえよう。
[4] 共有物の分割にあつては、共有者間の公平が最も重視されなければならない。そして、価格賠償によるときは、価格が裁判所の認定にかかることになつて、観念的には競売による方がより公正な価格によることになるといえるかも知れない。しかし、現実には、競売価額が時価とはかけ離れた低額のものである場合も多々みられるところである。民法258条2項は、現物分割により著しくその価格を損する虞があるときは競売による代金分割によるべきこととしているが、競売によるときは、現物分割を避けることにより社会的にはその物自体が有する価格の減少を防ぐことができても、共有者が分配を受け得る利益からみれば著しく価格を損する結果となる虞なしとしないのである。現物分割の一態様として価格賠償の併用を認めると、必ずしも現物を持分に応じて分割しなくてもよいことになり、現物分割により得る場合はかなり増えるものと考えられ、当事者の利益からいつても、ことに当事者が希望しているような場合にまで、裁判所が鑑定等に基づいて認定する金額による価格賠償を否定すべき実質的な根拠はないと思われるのである。
[5] 以上のような見地から、私は、民法258条による共有物の分割につき価格賠償により過不足を調整することも許されるとする多数意見に賛成するものであるが、更にすすんで、共有者の数が非常に多数の場合に、その中のごく少数の者のみが分割請求をしたというようなときは、事情によつては――多数意見が規制の必要あることを認める共有森林の伐採期あるいは計画植林完了時の前になされた分割請求の如きはその適例であるが――共有物を残りの者だけの共有とし、分割請求者は持分相当額の対価の支払を受けるという方法によることも、右のごく少数の分割請求者からみれば対価を受け取るにすぎないにせよ、これを全体としてみるときはなお現物分割の一態様とみることを妨げないものというべきであり、このように共有物を共有者のうちの1人又は数名の者の単独所有又は共有とし、これらの者から他の者に価格賠償をさせることによる分割も、かかる方法によらざるをえない特段の事情がある場合には、なお現物分割の一態様として許されないわけのものではないと考えるのである。


 裁判官大内恒夫の意見は、次のとおりである。

[1] 私は、本件について、原判決を破棄し、原審に差し戻すべきであるとする多数意見の結論には同調するが、その理由を異にし、共有森林の分割請求権の制限を定める森林法186条は、その全部が憲法29条2項に違反するものではなく、持分価額が2分の1の共有者からの分割請求(本件はこの場合に当たる)をも禁じている点において、憲法の右条項に違反するにすぎないと考えるので、以下意見を述べることとする。

一 森林法186条と財産権の制約
[2] 森林法186条は、共有森林の分割につき、「各共有者の持分の価額に従いその過半数をもつて分割の請求をすること」のみを認め、それ以外の持分価額が2分の1以下の共有者がなす分割請求を禁じているが、これは、民法が共有者の基本的権利としている分割請求権を持分価額が2分の1以下の共有者から奪うものであるから、かかる規制は、憲法上、経済的自由の一つである財産権の制約に当たり、憲法29条2項にいう公共の福祉に適合することを必要とする。ところで、経済的自由の規制立法には、精神的自由の規制の場合と異なり、合憲性の推定が働くと考えられ、財産権の規制立法についても、その合憲性の司法審査に当たつては、裁判所としては、規制の目的が公共の福祉に合致するものと認められる以上、そのための規制措置の具体的内容及びその必要性と合理性については、立法府の判断がその合理的裁量の範囲にとどまる限り、これを尊重すべきものである。そして、同じく経済的自由の規制であつても、それが経済的・社会的政策実施のためのものである場合(積極的規制)は、事の性質上、社会生活における安全の保障や秩序の維持等のためのものである場合(消極的規制)に比して、右合理的裁量の範囲を広く認めるべきであるから、右積極的規制を内容とする立法については、当該規制措置が規制の目的を達成するための手段として著しく不合理で裁量権を逸脱したことが明白な場合でなければ、憲法29条2項に違反するものということはできないと解するのが相当である(最高裁昭和43年(行ツ)第120号同50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁参照)。以下、この見地に立つて、森林法186条が憲法の右条項に違反するかどうかについて判断する。

二 森林法186条の立法目的
[3] 森林法の右規定は、これと同旨の旧森林法(明治40年法律第43号)6条の規定を踏襲したものであるが、もともと旧森林法が同規定を設けた立法目的は、当時の議会における政府委員の説明及び審議経過に徴すると、共有森林に係る林業経営の特殊性にかんがみ、共有者の分割請求権を制限し、林業経営の安定を図つたものであると解される。すなわち、森林は植林から伐採に至るまで長年月の期間を要し、資本投下も森林の維持・管理も長期的な計画に従つてなされるから、林業経営にあつては経営の基礎を安定したものとする必要が極めて大きいというべきところ、共有森林について民法256条1項がそのまま適用されるとするときは、共有者のうち1人が分割請求をする場合でも、何時にても、分割(原則として現物分割又は競売による代金分割)が行われざるをえず、林業経営の基礎は不安定であることを免れないことになる。そこで、旧森林法は前記の規定を設け、共有森林について分割請求権を制限することとしたのであつて、同規定は林業経営の安定を図ることを目的としたものであるというべきである。そして、森林法186条が旧森林法6条の規定をそのまま受け継いだこと、及び森林法が1条に新たに同法の目的規定を設けたことを考慮すると、同法186条の立法目的は、林業経営の安定を図るとともに、これを通じて森林の保続培養と森林の生産力の増進を図り、もつて国土の保全と国民経済の発展に資するにあると解すべく、右立法目的が公共の福祉に適合することは明らかである(なお、同条は、持分価額が2分の1以下の共有者からの分割請求は認めないとし、その限度で共有森林の分割請求を制約するのみで、持分価額が2分の1を超える共有者からの分割請求は勿論、共有者間の協議による分割も同条の禁ずるところでないから、森林の細分化防止をもつて同条の直接の立法目的であるとすることはできないと考える。)。

三 森林法186条の規制内容
[4] 森林法186条は、右の立法目的を達成するため、共有森林について、持分価額が2分の1を超える共有者(以下「過半数持分権者」という。)からの分割請求は認めるが、持分価額が2分の1以下の共有者からの分割請求は認めないとしている。ところで、右は前記経済的自由についての積極的規制に当たり、前示基準に従つてその憲法適合性が判断されることになるが、持分価額が2分の1以下という中には、2分の1未満と2分の1との2つの場合があるので、場合を分かつて検討する。
1 持分価額が2分の1未満の共有者の分割請求の禁止
[5] これは他方に過半数持分権者が存在する場合であるが、この場合、同条が持分価額が2分の1未満の共有者(以下「2分の1未満持分権者」という。)の分割請求権を否定したのは、下記のとおり理由があると認められ、同条のこの規制内容が、その立法目的との関係において、明らかに合理性と必要性を欠くものであるということはできないと考える。
[6](一) 旧森林法制定の際の議会における審議経過に徴すると、同法6条の政府原案は、「民法第256条ノ規定ハ共有ノ森林ニ之ヲ適用セス」とのみ定め、共有森林についてはすべて分割請求を禁止するものであつたが、右原案に対し、貴族院において、共有者の分割請求権を絶対的に禁じてしまうのは酷であり、少なくとも共有者の過半数以上の者が分割を請求する場合は、許してよいのではないか、との修正意見が出され、これを受けて、右原案に、「但シ各共有者持分ノ価格ニ従ヒ其ノ過半数ヲ以テ分割ノ請求ヲ為スコトヲ妨ケス」とのただし書が追加され、立法がなされたものである。右の立法経緯によると、旧森林法の立法においては、林業経営の安定を図るという目的から、林業経営にとつて不安定要因であると目される民法256条の分割請求権に手が加えられたが、その際右分割請求権を全面的に否定するという方法はとらず、これを一部制約するにとどめたこと、及びいかなる者に分割請求権を認め、いかなる者にこれを認めないかについては、多数持分権者の意思の尊重の見地から、「持分ノ価格ニ従ヒ其ノ過半数」である者(過半数持分権者)にのみ分割請求を許すことにしたことが認められるのであつて、旧森林法の右規定及びこれを受け継いだ森林法186条は、林業経営の安定と共有者の基本的権利(分割請求権)との調和を図つたものということができる。このように見て来ると、同条において2分の1未満持分権者の分割請求権が否定されているのは、同条が、林業経営の安定等のため、民法256条の分割請求権を制限し、過半数持分権者にのみ分割請求権を認めることとした結果にほかならないから、森林法186条の右規制内容は同条の立法目的との間に合理的な関連性を有するものといわなければならず、また、過半数持分権者の分割請求が許されるのに、2分の1未満持分権者の分割請求が禁じられる点は、多数持分権者の意思の尊重という合理的理由に基づくものとして首肯できるというべきである。
[7](二) 次に、2分の1未満持分権者の権利制限の程度について見ると、同持分権者も、過半数持分権者との間で協議による分割を行うこと、及び過半数持分権者が分割自体に同意する場合、具体的な分割の方法・内容の裁判上の確定を求めて、分割の訴えを提起することは、いずれも森林法186条の禁ずるところではないと解されるので、結局、右2分の1未満持分権者がなしえないのは、過半数持分権者の意に反して分割請求をすることだけである。しかも、右2分の1未満持分権者が自己の持分を他の共有者又は第三者に譲渡する自由は、なんら制約されていないので、森林法186条による分割請求権の否定が右2分の1未満持分権者にとつて不当な権利制限であるということはできない。
[8] してみると、同条のうち、2分の1未満持分権者の分割請求を禁止する部分が、前記立法目的を達成するための手段として著しく不合理で立法府の裁量権を逸脱したことが明白であると断ずることはできないから、同条の右部分は憲法29条2項に違反するものではないというべきである。
2 持分価額が2分の1の共有者の分割請求の禁止
[9] 持分価額が2分の1の共有者(以下「2分の1持分権者」という。)が分割請求をする場合は、分割請求の相手方も2分の1持分権者であつて、右1の場合と異なり、過半数持分権者が存在しないが、森林法186条はこの場合も分割請求を禁じている。しかし、右の最も典型的な場合は、共有者が2人(甲、乙)で、その持分価額が相等しい場合であるが、この場合共有者の1人である甲が同条によつて分割請求を禁じられるのは、ただ甲が過半数持分権者に該当しないというだけの理由からであつて、前記1の場合のごとく、他に過半数持分権者が存在し、多数持分権者の意思を尊重するのが合理的であるというような実質的理由に基づくものではない。そして、過半数持分権者に該当しないという理由で分割請求を禁じられるのは、共有者の他の1人である乙も同様であつて、甲、乙互いに対等の地位にあるにかかわらず、いずれも相手に対して分割請求をすることを禁じられるのである。その結果は、甲、乙両名(すなわち共有者全員)が共有物分割の自由を全く封じられ、両者間に不和対立を生じても共有関係を解消するすべがないこととなるが、このことの合理的理由は到底見出だし難く、共有者の権利制限として行き過ぎであるといわなければならない。思うに、森林法186条は林業経営の安定等の目的から共有者の分割請求権を制約するものであるが、全面的にこれを禁止しようとするものではない。したがつて、2分の1持分権者の共有関係の解消について生ずる右のような結果は、同条の所期するところでないとも考えられ、結局、同条のうち2分の1持分権者の分割請求を禁止する部分は、前記立法目的を達成するための手段として著しく不合理で立法府の裁量権を逸脱したことが明白であるといわざるをえない。よつて、同条の右部分は憲法29条2項に違反し、無効であるというべきである。

[10] 本件事案は、上告人及び被上告人が同人らの父から本件森林の贈与を受け、これを共有しているが、その持分は平等で各2分の1である、というのであり、前項2の場合に該当するから、上記の理由により上告人の分割請求は認容されるべきである。したがつて、上告人の論旨は理由があるから、本件については、原判決(上告人敗訴部分)を破棄し、原審に差し戻すべきものと考える。

 裁判官高島益郎は、裁判官大内恒夫の意見に同調する。


 裁判官香川保一の反対意見は、次のとおりである。

[1] 私は、森林法186条が憲法29条2項に違反するものとする多数意見に賛成し難い。その理由は次のとおりである。

[2] 民法の共有に関する規定は、原則的には、共有関係からの離脱及びその解消を容易ならしめるため、各共有者の共有持分の譲渡について何らの制限を設けないのみならず、共有者全員の協議による共有物の分割のほか、各共有者は何時にても無条件で共有物分割の請求(訴求)をすることができるものとしているが(同法256条1項本文、258条1項)、その反面、共有物の不分割契約を期間を5年以内に制限しながらも更新を許容してこれを認めている(同法256条1項ただし書、同条2項、なお、同法254条により不分割契約は特定承継人をも拘束するのである。)。その趣旨は、所有権の型態として単独所有が共有よりもより好ましいものとして共有物の分割を認めながらも、共有関係の生じた経緯、目的、意図、共有物の多種、多様な性質ないし機能等に応じて、何時にても共有関係を解消し得る共有から一定期間共有関係を解消しない共有までの合目的な法律関係を形成し得る途を開いているものということができる。さらに、同法254条により、共有物の使用、収益等に関する共有者間の特約による権利義務関係が共有者の特定承継人をも拘束するものとして、共有関係の目的、意図等に対応し得る方途について配慮しているのである。因みに、各人の出資により共同事業を営む共同目的の組合契約による組合財産は、すべて総組合員の共有に属するが(同法668条)、清算前には組合財産の同法256条1項本文の規定による共有物分割の請求を禁止するなど(同法676条)しているのも、共同事業の遂行が共有物分割の請求により阻害されることを防止するための必要によるものに外ならない。そして、同法256条1項本文は、共有の目的物を特定していないが、目的物を限定して右の分割請求を考察した場合、その目的物の種類、性質、機能等によつては、同項本文について何らかの修正を施すべき必要があることは容易に考え得るところである。
[3] 以上の考え方からいえば、共有物分割の請求をいかなる要件、方法、態様等により認めるべきかあるいは制限すべきかの立法は、経済的自由の規制に属する経済的政策目的による規制であつて、憲法29条2項により公共の福祉に適合することを要するが、その規制措置は、共有物の種類、性質、機能、関係人の利害得失等相互に関連する諸要素についての比較考量による判断に基づく政策立法であつて、立法府の広範な裁量事項に属するものというべきである。したがつて、その立法措置は、甚だしく不合理であつて、立法府の裁量権を逸脱したものであることが明白なものでなければ、これを違憲と断ずべきではない。

[4] そこで、森林法186条について考えるに、同条は、民法256条1項本文と異なり、共有持分の価額に従い過半数を以てのみ共有森林の分割請求をすることができるものと規定している。森林法における森林とは、(1)木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹、(2)木竹の集団的な生育に供される土地を指称するのであるが(同法2条1項)、かかる「森林」は、その性質上木竹の植栽、育生、伐採、すなわち森林経営に供されることをその本来の機能とするものであり、このような供用による使用収益をその本質とする財産権である。さればこそ、同法は、かかる森林の所有者について、一般的に森林経営を行う者であることを前提として所要の規定を設けており(同法8条、10条の5、10条の10、11条、14条等)、この森林所有者には森林の共有者も含まれることはいうまでもない。そして、森林経営は、相当規模の森林全体について長期的計画により数地区別に木竹の植栽、育生、伐採の交互的、周期的な施業がなされるものであつて、森林の土地全体は相当広大な面積のものであることが望ましいし、また、その資本力、経営力、労働力等の人的能力も大であることを必要とする反面、将来の万一の森林経営の損失の分散を図るため等から、森林に関する各法制は、多数の森林所有者の共同森林経営がより合理的であるとしているのである(同法18条、森林組合法1条、同法第3章生産森林組合等参照)。そして、それに連なる共有森林は、森林経営に供されるものである以上、民法256条1項本文の規定により、何時にても、しかも無条件に、共有者の1人からでもなされ得る共有物分割の請求によつて、森林の細分化ないしは森林経営の小規模化を招くおそれがあるのみならず、それ以上に、前記の長期的計画に基づく交互的、周期的な森林の施業が著しく阻害され、他の共有者に不測の損害を与え、ひいては森林経営の安定化、活発化による国民経済の健全な発達を阻害し、自然環境の保全等に欠けるおそれがあるので、森林法186条は、かかる公共の福祉の見地から、右の共有物分割の請求を制限することとし、ただ、森林経営についても私有財産制の下における営業であり、私的自治の原則が尊重されるべきものであることにかんがみ、謙抑的に、共有物分割の請求の全面的禁止を採らず、共有者の合理的配慮を期待して、いわゆる多数決原理に則り、森林経営により多く利害関係を有する持分価額の過半数以上を以てしなければ共有森林の分割請求をすることができないものとしているのである。そして、共有物分割の請求は、本来非訟的なものであるにもかかわらず、訴訟によることから自づと判断資料が限定され、森林経営に則した合理的な分割の裁判は、決して容易なものではなく、審理が長期化せざるを得ない性質のものであつて、その間における森林経営の停滞、森林の荒廃という避けるべくもないデメリツトも当然予想されるであろうから、分割請求を持分価額の過半数をもつて決することとすることにより、右のデメリツトをも考慮して分割請求の可否、利害得失をも含め分割請求に関する合理的、妥当な共有者間の意思決定がされることを期待しているものといえるであろう。
[5] 以上のとおり、森林法186条は、その立法目的において公共の福祉に適合するものであることは明らかであり、その規制内容において必要性を欠く甚だしく不合理な、立法府の裁量権を逸脱したものであることが明白なものとは到底解することができないから、憲法29条2項に違背するものとは断じ得ない。

[6] これに対し、多数意見は、判決理由四の2の(一)において、「森林が共有であることと森林の共同経営とは直接関連するものとはいえない」から、森林法186条はその立法目的(森林経営の安定)とその規制内容において合理的関連性がないものとし、森林共有者(特に持分が同等で2名の共有の場合)間において共有物の管理又は変更について意見が対立した場合、森林の荒廃を招くにかかわらず、かかる事態を解決するための手段である民法256条1項本文の規定の適用を排除している結果、森林の荒廃を永続化させ、森林経営の安定化に資することにならず、立法目的とその手段方法との間に合理的関連性がないことが明らかであるとしている。
[7] しかし、前記のように、森林は、その性質、機能からいつて森林経営に供されるものというべきであり、かかる森林を自らの意思により共有する者についていえば、一般的に森林の共同経営の意思を有するものという前提において立法措置のされるのが当然のことであり、森林法186条も亦かかる前提に立つてはじめて理解し得るものである。この点において多数意見は私の見解と根本的に異なるのであるが、多数意見の右の指摘する点についていえば、共有物の管理について過半数によつて決することができない場合に管理ができなくなることは、民法252条もこれを予想し、それ自体止むを得ないこととして、その場合の不都合を若干でも除去し、少なくとも共有物の現状維持を図るために、同条ただし書において保存行為を各共有者がなし得るものとしているのであつて、既存の樹木の育生に必要な行為は右保存行為に該当するから、必ずしも森林の荒廃を防ぎ得ないものではない。また、共有者間において管理又は変更について決することができない場合の森林の荒廃という事態を解決するための手段として同法256条1項本文の規定があるものとすること自体甚だ疑問であるし、むしろ共有森林の分割請求が森林経営を阻害し、保存行為も充分になし得ず(分割請求により自己の取得する部分が不明である以上、各共有者に保存行為を期待することは無理であろう。)、反つて森林の荒廃を招くおそれがあるのではなかろうか。共有森林の管理について共有者間の意見が一致しない場合、共有関係の継続を欲しない者がその持分を譲渡して共有関係から離脱することも必ずしも困難を強いるものではない。
[8] 次に、多数意見は、判決理由四の2の(二)において、協議による分割、持分価額の過半数による分割請求及び遺産分割を禁止しないで、ただ持分価額の2分の1以下による分割請求を禁止しているが、右の分割の許される場合に比し、分割請求の禁止される場合が森林の細分化を防止する社会的必要性が強く存すると認めるべき根拠はないし、しかも森林の安定的経営のための必要最小限度の面積をも法定せず、分割請求の制限される森林の範囲及び期間の限定もないまま、特に当該森林の伐採期あるいは計画植林の完了時期を考慮することなく無期限に分割請求を制限することは、立法目的の達成に必要な限度を超えた不必要なものであるという。さらに分割請求の場合の現物分割としても、調整的な価格賠償により分割後の管理、利用の便等を考慮して合理的な現物分割がされるし、多数共有者の1人による分割請求の場合に、請求者に持分の限度で現物を与え、その余を他の共有者の共有とする分割も許されるし、さらに代金分割のための一括競売がされるときも、いずれも共有森林の細分化をきたさないから、右の分割請求の禁止は、必要な限度を超えた不必要な規制であるという。しかし、森林法が共有者全員の協議による分割を禁止していないのは、私有財産制の尊重からかかる分割まで禁止することの適否は疑問であり、森林の共同経営を前提とする以上、分割の可否及び可とする場合の分割について共有者全員の合理的な協議を期待してのことであつて、かかる期待も立法態度として肯認されるものであろう。次に、遺産分割を禁止していないのは、遺産分割が遺産の全部を対象とするものであるのに、その一部である森林のみについて異なる扱いをすることは円滑な遺産分割を阻害するおそれがあるし、もともと森林又はその共有持分の共同相続人は自らの意思により共有関係に入つた者ではなく、森林の共同経営の意思を有するものとは必ずしもいえないからである。これらの分割を制限していないことには、右のような相当の理由があるものというべく、ただ、共有者の1人からでも何時にてもなされる分割請求は、多数の意思に反して森林経営のための円滑な施業を阻害するから、これを制限しているのである。次に、分割請求の制限される森林の範囲及び期間を限定せず、特に伐採期、計画植林の完了時期を考慮することなく無期限に分割を制限している点については、森林経営に必要な最小限度の土地の面積を法定することは、実際問題として立法技術上も困難であるし、さらに伐採、植林の時期が地区別に交互周期的に到来するのが通常であろうから、分割制限の期間及び時期の限定は、難きを強いるものではなかろうか。最後に、分割請求の制限をしなくても、合理的な現物分割がされるというが、現物の細分化の防止からのみいえば現物分割の結果がなお森林経営上合理的な規模となる場合もあり得ようが、分割の裁判が相当長期間を要することから、分割請求そのものによる森林経営のための円滑な施業の阻害は避けられないであろう。さらに代金分割については、一括競売される限りにおいては当該森林の細分化は防止できるであろうけれども、一括競売は共有物分割の止むを得ない最後の方法であり、共有森林の細分化の防止の観点から、必ずしも時価売却の実現を保し難い競売による代金分割を常に採ることができるかどうか甚だ疑問であつて、以上のような分割の方法があることをもつて、森林法186条の分割請求の制限が必要な限度を超えた不必要なものであると果たしていえるであろうか。
[9] 以上のように、多数意見が森林法186条の違憲の論拠とする点は、これを総合しても、同条が甚だしく不合理で、立法府の裁量権を逸脱したものであることが明白なものとする理由としては、到底首肯し得ないところである。

[10] したがつて、上告人の論旨は理由がないから、本件上告は棄却すべきものと考える。

(裁判長裁判官 矢口洪一  裁判官 伊藤正己  裁判官 谷口正孝  裁判官 牧圭次  裁判官 安岡満彦  裁判官 角田禮次郎  裁判官 島谷六郎  裁判官 長島敦  裁判官 高島益郎  裁判官 藤島昭  裁判官 大内恒夫  裁判官 香川保一  裁判官 坂上壽夫  裁判官 佐藤哲郎  裁判官 林藤之輔)
[1] 原判決は憲法の解釈に誤りがあるので破棄されなければならない。

[2]、原判決は、上告人の共有林分割請求については、第一審である静岡地方裁判所の判断を相当であるとして控訴を棄却した。
[3] 然して、第一審における判断の理由とするものは、上告人が分割を求める山林は上告人と被上告人との持分各2分の1宛の共有山林であるところ
(1) 森林法第186条において、森林の各共有者は持分の価額に従いその過半数をもつてする場合の外は森林の分割を請求し得ないと定めており、
(2) 同条は財産権の制限たるを免れないところであるが、同条が設けられた趣旨は、一般の共有物のように共有森林についても自由に何時でも分割し得るものとすれば、必然的に森林は細分化され、小団地となつて、森林の公の立場からする合理的な経営ができ難くなり、森林法の主眼とする森林の保続培養及び生産力を増進して国土保全と国民経済の発展に資せんとする目的が阻害されるおそれがあるから、右目的を達成するため、分割を制限して森林の細分化を防止しようとするものであり、
(3) 同条によつて分割は制限されても、森林の処分権を奪うものではないから、森林の共有者はその持分の譲渡その他の処分は自由になしうるものである
から、右森林法の規定は憲法第29条に違反するものではないというにある。

[4]、しかしながら、森林法第186条は次の理由により憲法第29条に違反し、無効と言わなければならない。
 すなわち、
[5](1) 近代の自由国家の成立に際して、市民階級が演じた重要な役割の当然の結果として、私有財産権の保障はどこの人権宣言にも定められるに至つた。明治憲法第27条もまた、財産権の不可侵を定め、日本国憲法第29条第1項は、「財産権はこれを侵してはならない」と定めている。ただ、同条第2項において、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める」ものとしている。公共の福社とは、各人の人権を実質的公平に尊重すべきものとする原則であり、本条においては、とりわけ、各人に人間的な生存を保障しようとする社会国家的公共の福祉を意味するものと考える。私有財産制の絶対化が多数の国民の窮乏化をもたらす傾向があることは、過去の経験によつてあまりにも明らかであるので、この欠点を是正するのがこの規定の意味するところである。
[6](2) 次に、共有とは数個の所有権が互いに制限し合う状態であるから、共有者間に格別緊密な団体的関係の存在しない共同所有関係であり、共有者の1人が欲すれば他の者はその分割に応じなければならない(民法第256条)のが原則である。
[7] ただ、共有者の自由意思による不分割の契約はこれを有効とするが、この特約とても5ケ年を限度とするものであり、その他特に法律の定める場合にのみ分割を認めないこととしたものである。
[8](3) これを本件森林について見るに、本件森林が上告人と被上告人との持分各2分の1とする共有森林となつたのは、上告人らの先代甲野熊吉が上告人・被上告人両名にとくに生前贈与をなしたことに起因する。
[9] かりに、上告人ら先代がこの生前贈与をなさないで死亡したとすれば、本件森林は当然相続財産となり、遺産分割の対象とされ、上告人の相続分が過半数にならないことは明らかな事実であるが、相続人等の持分に関係なく分割されたであろうことは諜々の要を見ない。
[10] そして、上告人ら先代が、その相続人の中で三男である被上告人と四男である上告人とが兄弟仲好く森林経営を行うことを希望して本件森林の贈与をしたものと考えられるところ、一件記録で明らかなように、被上告人は本件森林全部について自己の所有権を主張し、上告人の所有権を認めようとしない状態である。更に、本件森林の経営に関しては、被上告人の独断と専横を強行し、上告人の意見を徴することさえせず、上告人を全く無視し、立木の伐採処分等被上告人独自に行つておる。このような事実は、本件訴訟記録、とくに損害賠償請求関係により明らかな事実であり、それ故にこそ、昭和41年以来19年間本件訴訟が継続し、上告人・被上告人の協議も行われることなく、森林は放置されて荒れるにまかされている状況にある。
[11] このような状態で、果して第一審判決が言うように、森林の保続培養と健全な森林生産の実を挙げることにより国民経済に寄与することが期待されるであろうか。そしてまた、本件上告が棄却されることにより、法律上本件森林の分割が許されないということになれば、被上告人が分割を拒否する理由がたんに上告人に意地悪をすることにより上告人を苦境に追い込むことのみを目的とするところにある以上、両者の協議により分割することは到底期待し得ぬところであり、森林経営は窮地におちいり、森林法が分割禁止を求める精神と全く反対の結果を招来することは明らかである。
[12](4) さらに、第一審判決は、森林法の規定は、分割により森林が小団地に分割されることを防止するために分割を制限するものであるところ、本件訴訟において分割の請求をする森林は別紙物件目録記載のとおりであつて、
(イ)桑野山の山林は41筆 68万1483平方メートル(73町1反9畝23歩)
(ロ)藤川の山林は15筆 21万9856平方メートル(21町8反3畝19歩)
(ハ)青部の山林は7筆 11万5108平方メートル(11町6反21歩)
(ニ)奥泉の山林は5筆 2万2903平方メートル(2町3反29歩)
であり、さらに、桑野山の山林自体山の尾根によりほぼ両分されていることを考慮すれば、これを分割することにより第一審判決が考慮するように、森林経営上小団地の細分化に連がるおそれは全くない。例えば、たんに本件森林を2分すれば総面積103万9350平方メートル(109町2反2畝2歩)の各2分の1は51万9675平方メートル(54町6反1畝1歩)であり、藤川、青部、奥泉の山林に桑野山の一部16万1808平方メートルを分割して加えれば略平等になるのであつて、決して細分化されるものではないことは明らかである。
[13] さらに、桑野山字ナイダイ557番1、同2、564番(合計1万2028平方メートル)は他の森林団地と飛び離れているので分割する必要はなく、林道によつて他の森林団地と区画されている桑野山字ナイダイ578、579番、同字横引581、583、586、587、590番を合計すれば15万3051平方メートルとなるので、此の区画を一方の共有者に分与することにより事実上森林を分割することなく、共有森林の分割を実施することが可能である。
[14] そうであれば、森林法第186条が守ろうとする森林細分化の防止は完全に実現されるものと言わなければならない。
[15](5) 次に、森林共有者は、かりに分割を請求することができなくてもその処分権までを奪われるものではないから、その持分権を譲渡することによつてその権利を実行することができるから、森林法の規定自体は財産権を侵害することにはならないとする理論は、形式的には一応正当のように見受けられる。
[16] しかしながら、本件のように、過去20年にわたつて係争を続けている兄弟の共有森林持分を正当に譲受ける者が果して居ると考えることが可能であろうか。その係争を承知し、なおかつこれを承継することを前提としてその共有持分権を譲受ける者があるとすればそれは通常の取引としてはあり得ないところであり、持分権者がその意思に反し不当に低廉な価格で処分することを強制されることは自明の理であり、これをもつて正当な財産権の行使と言うことはできない。そうであれば、森林法第186条の規定は、財産権の不可侵を規定した憲法第29条に違反するものと言わなければならない。

[17]、このように、森林法が共有森林について森林の歴史的慣習的性格にかんがみ、森林経営の零細化防止の政策的視点から分割の請求を禁止したことは、本件の場合、明らかに憲法に違反するものである。さらに、この場合でも持分の過半数をもつてすれば分割の請求を許すのであつて、過半数、例えば、50.1パーセントと49.9パーセントの持分比率であれば分割請求が可能であるのに、持分比率が50パーセント対50パーセントの場合これを認めないとする合理的根拠があるのであろうか。共有物分割請求の自由は、持分処分の自由とならんで民法における共有の本質を形づくる。すなわち、共有は所有者が複数であるためやむなく拘束された状態にあるだけであつて、各共有者は、つねに所有権を具体化する権能を留保しているのであつて、その手段が民法第256条である。したがつて、本件においてもこの原則は守らるべきであり、憲法第29条に違反する森林法第186条を適用した原判決は、民事訴訟法第394条に定める判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の違背ある場合に該当し、破棄さるべきである。

(物件目録省略)

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