一般廃棄物収集運搬業不許可事件
控訴審判決

一般廃棄物処理業不許可処分取消請求控訴事件
名古屋高等裁判所金沢支部 平成12年(行コ)第21号
平成14年8月28日 第1部 判決

口頭弁論終結日 平成14年6月5日

控訴人 (被告) 松任市長 A
    同訴訟代理人弁護士 岡田進 横山昭

被控訴人(原告) 株式会社北紙
    同代表者代表取締役 B
    同訴訟代理人弁護士 北尾強也 岩淵正明 奥村回 橋本明夫

■ 主 文
■ 事 実 及び 理 由


1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

1 控訴人
(1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人の請求を棄却する。
(3) 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人の負担とする。

2 被控訴人
 主文同旨
[1] 本件は,被控訴人が控訴人に対し,平成10年3月17日付けで,廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)7条1項に基づき,松任市内で事業活動に伴って生じる一般廃棄物(し尿・浄化槽汚泥を除く。)の収集・運搬を業として行うことの許可申請をしたところ,控訴人が平成10年4月2日付けでこれを不許可とする処分(以下「本件不許可処分」という。)をしたことから,被控訴人がその取消しを求めた事案である。

[2] 原審は,被控訴人の請求を認容したため,これを不服とする控訴人(原審被告)が,本件控訴に及んだ。

[3] 当事者間に争いのない事実,争点,争点に関する当事者双方の主張は,次項に控訴人の当審における補充主張を付加するほかは,原判決「第二 事案の概要」の一,二に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 廃棄物処理法7条3項1号について
[4] 一般廃棄物の処理は,改正前の地方自治法2条3項7号,9項及び同別表2の2の10の3に明示されているとおり市町村固有の行政事務の一環として位置づけられており,これを具体化したのが廃棄物処理法である。したがって,市町村が一般廃棄物の処理を履行するにあたっては,自ら直接処理するのが本来的ということができる。しかし,現実には,市町村の清掃用具等の設備及び従業員確保等の財政負担の軽減あるいは経費の有無等から,市町村以外の者に委託し,あるいは民間業者に対して許可することによって履行しているのが実状である。ただし,市町村長が民間業者に一般廃棄物収集・運搬業の許可をしても,それによって市町村が一般廃棄物収集・運搬の責務を免れることはないから,市町村長の許可を受けた民間業者である一般廃棄物収集・運搬業の立場は,一般廃棄物の収集・運搬に責務を負う市町村と上命下服の関係に立つ履行補助者的立場である。
[5] このような理解に立てば,廃棄物処理法7条3項1号の「市町村による一般廃棄物の収集又は運搬」とは,市町村自ら又は委託の方法により行う一般廃棄物の収集・運搬のみをいうものではなく,市町村の許可を受けた民間業者による一般廃棄物の収集・運搬も含まれると解すべきである。
[6] 仮に同法7条3項1号の「市町村による一般廃棄物の収集又は運搬」が市町村自ら又は委託の方法により行う一般廃棄物の収集・運搬のみをいうものと解されるとしても,松任市の場合には,一般廃棄物の収集・運搬が困難でないと認定判断することを正当化し得る特段の事情が認められる。
[7] すなわち,株式会社石川衛生公社(以下「衛生公社」という。)は,古く昭和37年4月1日から控訴人より委託を受けて家庭系一般廃棄物の収集・運搬を行い,その関係で昭和54年4月1日からは控訴人より事業系一般廃棄物収集・運搬について同法7条1項の許可を受けて,一体的に家庭系・事業系一般廃棄物の収集・運搬を行ってきたのである。かかる事実関係からすれば,衛生公社における事業系一般廃棄物の収集・運搬の実体は限りなく委託に近い。このような沿革からすれば,控訴人において,事業系一般廃棄物の収集・運搬について,衛生公社1社に対し同法7条1項の許可を与え,衛生公社が事業系一般廃棄物の収集・運搬を支障なしに行っていることは,松任市においては同法7条3項1号規定の「困難性」は認められないと認定判断することを正当化し得る特段の事情ということができる。

(2) 廃棄物処理法7条3項2号について
ア 許可を複数の業者に与えた場合における事業系一般廃棄物の増加の可能性の有無
[8](ア) 控訴人において許可業者を複数とした場合,事業系一般廃棄物の排出者である事業者におけるリサイクルの徹底が困難になるおそれが十分にあり,その結果,松任石川広域事務組合(以下「本件事務組合」という。)が建設し運営する松任石川環境クリーンセンター(以下「クリーンセンター」という。)に搬入される事業系一般廃棄物の量が増加することは明らかである。クリーンセンターに搬入される一般廃棄物の量は,クリーンセンターの処理能力の限界に近づいているから,なんとしても,家庭系,事業系いずれもリサイクルを徹底して,クリーンセンターへの一般廃棄物の搬入量を抑制しなければならない状況にある。クリーンセンターへの一般廃棄物の搬入量の増加が続くと,本件事務組合は,近いうちに第2のクリーンセンターの建設を余儀なくされるが,クリーンセンターの建設費用には145億円を要しており,松任市,石川郡の市町村には第2のクリーンセンターを建設する余裕は全くない。
[9](イ) クリーンセンターは,家庭系一般廃棄物が家庭から直接クリーンセンターへ持ち込まれた場合,マニュアル(丙37号証)に従った指導をし,なるべく直接搬入しないようにということとリサイクルを指導している。
[10] 家庭系一般廃棄物の場合,収集は松任市の委託で行われており,松任市のチェックも容易であるが,事業系一般廃棄物については,事業者が自主的に行っているため,本件事務組合では,「事業所ごみ減量マニュアル」(丙38号証)を作成して,事業者における一般廃棄物の減量化とリサイクルの徹底を要請しており,事業者は,許可業者が一般廃棄物を収集に来たときは,各事業者自身でリサイクル可能な廃棄物を分別し,リサイクルできない廃棄物を許可業者に出すことになっている。
[11] 現在,松任市の許可業者は1社であり,この業者は家庭系一般廃棄物の収集・運搬を松任市から委託を受けて行っている業者でもある。許可業者が1社なら,事業者が一般廃棄物を出す際に,リサイクル可能な廃棄物が混入していた場合には,許可業者からその事業者へ分別を申し入れることができるし,事業者もこの申入れを受け入れざるを得ない。ところが,許可業者が複数になると,分別を厳しく求める許可業者は当然のことながら敬遠され,事業者は,分別をうるさく言わない許可業者に廃棄物を出すようになる。そして,さらに許可業者間の競争が激しくなると,分別を許可業者でするというサービス競争に発展するということになる。このような状態になると,許可業者は,リサイクル可能な廃棄物を実際は分別せずにクリーンセンターへ持ち込む可能性が高くなる。
[12](ウ) 事業者がクリーンセンターへ直接一般廃棄物を持ち込む場合は,それを持ち込む車両は平ボディーの貨物自動車によることになる。その場合,クリーンセンターはマニュアル(丙37号証)に従いその廃棄物の搬入を受け付けることになるから,リサイクル可能な廃棄物については拒否し,リサイクル業者への搬入を指導する。ところが,許可業者がクリーンセンターへ一般廃棄物を持ち込む場合の収集車はパッカー車であり,パッカー車の場合はクリーンセンターの職員がその中身の廃棄物を確認することは不可能である。したがって,許可業者のパッカー車にリサイクル可能な一般廃棄物が混入していてもクリーンセンターはこれを受け入れざるを得ず,ピットへ投入してしまうとどの許可業者が持ち込んだかもわからず,本件事務組合としては行政処分もできない。以上のとおりであるから,事業者が直接クリーンセンターに持ち込む一般廃棄物の量と,許可業者が複数になった場合に許可業者がクリーンセンターへ持ち込む場合の一般廃棄物の量とが異なることは十分にあり得ることである。
[13](エ) ところで,被控訴人の関連会社有限会社シマハタクリーンサービスは,金沢市において許可業者となっている。金沢市環境部清掃事業概要(丙45号証)によると,許可業者が焼却処理場へ持ち込む一般廃棄物の持ち込み手数料は1キログラムあたり6円である。他方,クリーンセンターは,先般1キログラム1円50銭値上げして5円としたが,それでも金沢市とクリーンセンターでは,1キログラムあたり1円の差がある。2トン車で2000円,4トン車で4000円の違いであるから,これは大きな違いである。
[14] したがって,被控訴人が,関連会社に金沢市で収集させた事業系一般廃棄物をクリーンセンターへ持ち込むことは十分に考えられる。そういうことがあるため,クリーンセンターのマニュアル(丙37号証)では,廃棄物の発生場所の確認をすることになっている。
[15](オ) 平成12年10月から事業系一般廃棄物の収集・運搬を許可制とした神奈川県川崎市の場合,許可制とした結果,事業者の負担する一般廃棄物収集・運搬手数料が増加することが確定した平成11年度に,事業者の直接搬入の廃棄物が急増した。許可制が発足した平成12年度も事業系一般廃棄物は急増している。
[16] 輪島市の場合,平成11年度に許可業者が2業者から5業者に増えると,平成12年度には,事業系一般廃棄物の量が対前年比52.6パーセントという異常な増加を見せ,羽咋郡広域事務組合は,許可事業者数の増加に伴い事業系一般廃棄物の量が毎年増加しているなど,許可業者を増やした市町村,広域事務組合は,軒並み事業系一般廃棄物が急増している。
[17](カ) 以上のとおり,他の市町村の現実その他からすると,控訴人において許可業者を増やすことは,事業系一般廃棄物の増加を招くことは明らかであり疑問の余地はない。
イ 事業系一般廃棄物の増加と一般廃棄物処理計画との適合性
[18](ア) 廃棄物処理法7条3項2号にいう「一般廃棄物処理計画」は,基本計画と実施計画の双方をいう。松任市の基本計画は,ごみ処理基本計画(丙1号証の1)のうち23頁ないし35頁(「第4章 ごみ処理基本計画の検討」の部分。以下「基本計画」という。)であり,平成6年11月に策定され,平成20年度を最終年度とした計画である。松任市が,一般廃棄物の処理において最も重要視しているのは,一般廃棄物の処理の効率化と資源の有効利用,一般廃棄物の減量化である。これについて,同法2条の3は,国民に対し,廃棄物の排出の抑制,再生利用,分別排出,自己処分,減量についての市町村への協力を義務付けている。また,同法4条は,市町村に対し,一般廃棄物処理の減量に関し,住民の自主活動の促進を図らなければならないと定めている。
[19](イ) これを踏まえ,松任市では,基本計画第4章第1節1項において,「ごみ処理基本姿勢」を定め,資源の有効利用で一般廃棄物処理に対処し,一般廃棄物処理にあたっては経済的で効率的な運営を行うことを基本として,収集・運搬,中間処理,最終処分の各処理体制を長期的展望のもとに相互によく整合のとれた体制として計画的に整備していくと定めている。基本計画は,第4章第1節2項「基本方針」において,(a)適正処理の促進として,「廃棄物の発生から最終処分まで一貫した廃棄物の適正処理を行うため,収集計画に基づき計画的な収集・運搬を行う。」と定め,(b)生活環境の保全として,一般廃棄物の速やかな収集・運搬,減量化をすることを定め,(c)資源化と有効利用の促進において,省資源,省エネルギーを図るための一般廃棄物の減量化,資源化,有効利用をすることを定め,その他,(d)で処理施設の近代化,高度化について,(e)で一般廃棄物の適正処理,減量化,資源化を進めるための住民に対する啓発について,(f)で経済的で効率の良い一般廃棄物処理体系の確立についてそれぞれ定めている。そして基本計画第4章第4節1項において,「一般廃棄物の排出抑制・再資源化計画」を定め,(1)で「住民・事業者の協力の基に排出源での抑制策,ごみの減量化・資源化のための施設整備を検討するとともに,既存処理設備や最終処分場の延命化に努めるものとする。特に排出源での抑制に向けて,住民・事業者に対し,ごみ処理の現状を知らせ,考え,行動してもらうために,具体的なごみの減量の目標と方策を示していくものとする。」と定めて,減量化・資源化を強く進めていくことを目標としている。
[20](ウ) 松任市の一般廃棄物処理の基本計画が以上のとおりであり,事業系一般廃棄物収集・運搬業の許可業者が増えると上記アで述べたとおり事業系一般廃棄物は明らかに増加することからすると,控訴人に対する被控訴人の事業系一般廃棄物の収集・運搬業の許可申請は,基本計画第4章第1節1項,2項,第4章第4節1項(1)に適合しないことは明らかである。
[21] 当裁判所も,本件不許可処分はこれを取り消すべきものと判断するが,その理由は,次項に控訴人の当審における補充主張に対する当裁判所の判断を付加するほかは,原判決「第三 争点に対する判断」の一ないし三に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 補充主張(1)について
[22] 控訴人が衛生公社に廃棄物処理法7条1項の許可を与えているということは,松任市による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であること(同条3項1号)を自ら認めていることであり,衛生公社の業務により松任市における一般廃棄物の収集・運搬が支障なく行われているからといって,松任市自身による一般廃棄物の収集・運搬が困難であることには変わりがない。同条3項1号の「当該市町村による一般廃棄物の収集又は運搬が困難であること」との要件は,当該市町村自身の意思と能力によって判断されるものであって,許可業者の存在を含めて判断されるべきものではない。このことは,条文の文理及び趣旨に照らし明らかであり,この点に関する控訴人の主張は失当である。
[23] また,控訴人は,松任市においては,古くから衛生公社1社に許可を与え,一般廃棄物の収集・運搬が支障なく行われてきたのであるから,その実体は限りなく委託に近く,一般廃棄物の収集・運搬が困難でないと認定判断することを正当化し得る特段の事情がある旨主張する。しかし,委託と許可は,法形式及び法的効果を異にするのであり,いやしくも行政庁である控訴人が,委託によらず,許可という法形式を採用しながら,その許可が限りなく委託に近いなどと主張することは,法治主義の原則からしても,許されることではない。したがって,控訴人の上記主張も採用することができない。

(2) 補充主張(2)について
[24] 控訴人は,事業系一般廃棄物の収集・運搬の許可業者を複数にすれば,過当競争を招き,一般廃棄物がリサイクルされないままに事業所から排出され,結果として一般廃棄物が増加し,その処理を行う中間処理施設(クリーンセンター)の能力の限界を越える事態が予想されるが,これは,一般廃棄物の減量化,再資源化,処理施設の延命化などを定める松任市の「一般廃棄物処理計画」に反する旨主張する。
[25] しかしながら,事業系一般廃棄物の収集・運搬の許可業者を複数にすれば,一般廃棄物が増加するとの事実は,本件全証拠によるも,これを認めるに足りないというべきである。
[26](ア) 廃棄物処理法は,事業系一般廃棄物の処理について,3条1項で「事業者は,その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」と規定している。他方,一般廃棄物の処理は,市町村の固有事務であるから,市町村としては,事業者がその事業活動から生じた一般廃棄物を処理施設に搬入してくれば,これを有料とし,また,分別,再生利用化などの協力を要請することができるとしても(3条2項,3項),基本的には,これを受け入れなければならない(丙38号証)。そして,松任市の担当者が別件の訴訟で証言したように(丙50号証),一般廃棄物が増加するかどうかの主要な要因は,そのときの経済状況,事業所の数,資源リサイクルの状況などであることからすると,同法7条1項の収集・運搬の許可業者の数が一般廃棄物の増加と直接結び付くとは,通常考え難いことである。
[27](イ) 控訴人は,川崎市や輪島市などの例を引用して,許可業者の増加が廃棄物の増加に繋がると主張するが、丙33ないし35号証によれば,松任市では,許可業者は1社であるにもかかわらず,事業系一般廃棄物は,平成10年度から平成12年度にかけて増加の傾向にあることが認められる。また,弁論の全趣旨によれば,多数の許可業者が存在するのに,ここ数年,ゴミの排出量が減少している都市もあることが認められ,控訴人が引用する都市の例をもって,控訴人の主張が裏付けられたということはできない。むしろ,一般的にいえば,ゴミの減量化は,全国の自治体にとって,その対策に苦慮する行政上の最重要課題の一つであるから,仮に,控訴人の主張するように,複数の業者に収集・運搬の許可を与えることが一般廃棄物(ゴミ)の減量化に反するというのであれば,全国の市町村はこぞって可能な限り許可業者の数を1社に限定しようとする筈である。しかし,弁論の全趣旨によれば,同法7条1項の許可を複数の業者に与えている市町村は全国に多数存在していることが窺われ,丙29,39ないし41,44号証によれば,石川県においても,松任市より一般廃棄物の排出量の多い金沢市や小松市はもとより,同規模の排出量の加賀市も,また,排出量の少ない輪島市,羽咋市その他の町でも複数の業者に許可を与えており,その中には,松任市が所属する本件事務組合(一般廃棄物処理のため,松任市及び石川郡3町5村が設立した組合)の組合員である美川町も含まれていることが認められる。また,一般廃棄物収集・運搬業の許可についてのアンケート調査の結果報告(丙47号証)によれば,回答をした都市(23市)から幾つかの問題点が指摘されているが,少なくとも,複数の業者に収集・運搬の許可を与えることがゴミの減量化の阻害要因となっているとの指摘はされていないことが認められる。このようなことからすると,控訴人の主張は,必ずしも一般的通用性を有するとは認められない。
[28](ウ) 控訴人は,複数の業者に許可を与えれば,過当競争を招き,一般廃棄物の分別化,リサイクル化が阻害されるともに,不法投棄,他地区の廃棄物の不法搬入などが生じるなどと主張する。なるほど,競争原理が働けば,利点はあるものの,弊害の生じる可能性も,一概にこれを否定することはできない。しかし,一般廃棄物の分別化,リサイクル化は,基本的には,事業者と行政の責任であって,業者間の過当競争の故をもって,それが阻害されるなどと主張することは,責任の転嫁であり,首肯することができない。また,市町村長は,抜き打ち検査などから業者に法令違反の事実が認められれば,許可を取消し(同法7条の3),又は許可を更新しない(同法7条3項4号)こともできるのであるから,この点からも,控訴人の主張に合理性があるとは認められない。
[29] なお,控訴人は,松任市が所属する本件事務組合が設置した中間処理施設(クリーンセンター)の運営や処理能力のことを問題にしているが,前記のとおり,同組合の一員である美川町は複数の業者に収集・運搬業の許可を与えているところ,そのことにより,中間処理施設(クリーンセンター)の運営その他に支障が生じたことは,何ら主張立証されていないのであって,この点に関する控訴人の主張は根拠を欠くものといわなければならない。
[30](エ) 以上のことからすると,控訴人の主張に添う丙42,48ないし50号証などをもってしても,同法7条1項の許可を複数の業者に与えることが事業系一般廃棄物の減量化,再資源化の阻害要因になるとは認め難く,これを前提とする控訴人の主張は,採用するに由ないものである。

[31] よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。

  名古屋高等裁判所金沢支部第1部
  裁判長裁判官 川崎和夫  裁判官 榊原信次  裁判官 渡邉和義

■第一審判決 ■控訴審判決 ■上告審判決   ■行政法判決一覧