浜松市土地区画整理事業事件
控訴審判決

行政処分取消請求控訴事件
東京高等裁判所 平成17年(行コ)第127号
平成17年9月28日 第11民事部 判決

口頭弁論終結日 平成17年7月4日

■ 主 文
■ 事 実 及び 理 由


1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は,控訴人らの負担とする。

1 原判決を取り消す。
2 本件を静岡地方裁判所に差し戻す。
[1] 被控訴人浜松市が施行者である西遠広域都市計画事業上島駅周辺土地区画整理事業(以下「本件土地区画整理事業」という。)について、被控訴人静岡県知事は,平成15年11月17日付け都市第262号をもって本件土地区画整理事業に係る設計の概要を認可し(以下「本件設計の概要の認可」という。),これを受けて,被控訴人浜松市は,同月25日付けで本件土地区画整理事業に関する事業計画を定め(以下「本件事業計画の決定」という。),同日,浜松市公告第213号をもって,これを公告した。
[2] 本件は,本件土地区画整理事業の施行地区内に土地を所有している控訴人らが,本件設計の概要の認可及び本件事業計画の決定は違法であるとして,被控訴人静岡県知事に対して本件設計の概要の認可の取消しを,被控訴人浜松市に対して本件事業計画の決定の取消しを求めた事案である。これに対し,被控訴人らは,上記違法との控訴人らの主張を争うほか,本案前の答弁として,本件設計の概要の認可及び本件事業計画の決定は,いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分とはいえず,本件訴えは不適法であるとして,本件訴えの却下を求めた。
[3] 原審は,本件設計の概要の認可及び本件事業計画の決定は,いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分とはいえないとして,本件各訴えを不適法として却下したので,控訴人らが控訴した。なお,控訴した原告A,同Bは控訴を取り下げた。
[4] 基本的な事実,争点に関する控訴人ら及び被控訴人らの主張は,原判決の「事実及び理由」第3及び第4に摘示のとおりであるから,これを引用する。
[5] 控訴人らは,控訴理由において,本件設計の概要の認可及び本件事業計画の決定の処分性を肯定すべきであるとして,原審での主張を敷衍する。しかし,当裁判所も,累次の判例(最高裁判所大法廷昭和41年2月23日判決・民集20巻2号271頁,同第一小法廷平成元年2月16日判決・訟務月報35巻6号1092頁,同第三小法廷平成4年10月6日判決・裁判集(民事)166号41頁,判例時報1439号116頁参照)に示された法理によれば上記論点については消極に解すべきであり,本件についてこの見解を変更すべき事情は見あたらないから,控訴人らの本件訴えは不適法であり,却下すべきものと判断する。その理由は,原判決21頁1行目の「静岡県知事」を「被控訴人静岡県知事」に,同5行目の「計画の概要」を「設計の概要」に,同27頁19行目の「立たされるどうか」を「立たされるか否か」に改めるほか,原判決の「事実及び理由」第5の1に説示のとおりであるから,これを引用する。

[6] よって,原判決は相当であり,控訴人らの本件控訴は理由がないのでいずれも棄却することとして,主文のとおり判決する。

  東京高等裁判所第11民事部
  裁判長裁判官 富越和厚  裁判官 桐ヶ谷敬三  裁判官 佐藤道明

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