山北村議会出席停止事件 | ||||
控訴審判決 | ||||
懲罰決議等取消請求事件 東京高等裁判所 昭和33年10月16日 第4民事部 判決 控訴人 (原告) 大滝伊八 外1名 被控訴人(被告) 新潟県岩船郡山北村議会 外1名 ■ 主 文 ■ 事 実 ■ 理 由 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 控訴代理人は、第一次的請求として、 「原判決を取り消す。との判決を求め、予備的請求として、 「原判決を取り消す。との判決を求め、 被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の事実上の陳述は、控訴代理人において、 「(一) 地方議会議員が違法な「出席停止」の懲罰議決によつて出席停止に処せられたときは、出席停止期間の経過、議員としての任期の満了の後も、出席停止期間中の地方議会議員としての報酬、手当、費用弁償などの給与に関する請求権を確保するために、懲罰決議の無効確認又は取消を求める利益がある。と述べた外、原判決事実摘示記載のとおりであるから、ここにこれを引用する。 [1] まず、第一に、控訴人両名を被控訴人議会に出席を停止する旨の懲罰決議の無効確認並びに取消の訴の適否について考えるに、現在出席停止期間が経過していることは、控訴人の主張自体によつて明らかであるから、現在においては訴の利益がないものというべきである。控訴人らは、給与に関する請求権確保のため、又は条例改正決議の無効確認を求めるための先決問題訴訟として訴の利益があると主張しているけれども、訴の利益は、直接かつ具体的なることを要するものと解すべきであつて、控訴人の主張するところをもつてしては、いまだ右の訴につき訴の利益ありと認めるには不十分である。よつて控訴人らの右訴は、ともに不適法として却下すべきものである。 [2] 第二に、「新潟県岩船郡山北村役場位置条例の一部を改正する条例の議案を可決する旨の決議」の無効確認の訴の適否について考えるに、地方公共団体の議会の議決は、地方公共団体の内部的意思決定に過ぎないから、右は「公法上の権利関係」ということはできない。従つて地方自治法第176条のように特に訴の提起を許している場合の外は、地方公共団体の議会の議決の無効確認を訴求することはできないものというべく、控訴人らの右訴はともに不適法として却下すべきものである。 [3] 次に、被控訴人村長のなした「条例」の告示の無効確認並びに取消の適否につき考えるに、地方自治団体の長による条例の公布は、特定人に対し直接現実に法律効果を及ぼし、その点において一般の行政処分と異らないような場合を除き、条例の公布は、行政事件訴訟特例法第1条にいう「行政庁の処分」にはふくまれないものと解すべきものである。しかして本件条例の公布によつて控訴人らに対し直接現実に法律効果を及ぼすものでないことは、条例の内容自体によつて明らかであるから、条例の公布自体の無効確認並びに取消を求める訴も、ともに不適法として却下すべきものである。 [4] よつて原判決は相当であつて、控訴人らの本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用の負担につき民事訴訟法第89条、第95条、第93条を適用し、主文のとおり判決する。 | ||||
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