(November 7, 1996)
【天文対話】 ゼミナールOBの諸君,元気ですか。この度は森枝君の近況報告と山本君の愉快な山登り日記が掲載されて,充実した内容となりました。どうぞご笑覧ください。また,合宿の日程が決まりましたので,お知らせいたします。由起さんもわたしたちと一緒に空沼の山中で夜空を仰いだ仲間ですから,どうぞ遠慮せずに参加してください。(う)
【ゼミナールの近況】
【山登り日記――恵庭岳の巻,その1――】
この計画を元に,我々は,6月8日,情報大前より二台の車で出発した。準備万端,天気は晴れ。申し分なしである。我々は最初,上野隊長の家に向かった。隊員の森枝と山本が,隊長を迎えに行き,隊長の荷物を持って車に戻った。隊長は中谷の車に乗り込んだ。さっそく出発し,目的地の支笏湖へと向かった。だが車に乗って数分後,我々の完璧な計画にトラブルが生じた。堀の運転する車が,ロストしてしまったのだ。二台で一緒に目的地に行こうという計画が早くも変更になってしまった。数分後,堀の車を発見した隊長は,二台の車が別々で目的地に向かうように指示した。突然のトラブルであったが,夕方には無事に目的地である支笏湖に二台ともたどり着いた。さっそくテントをたて,我々は,夕食の準備にとりかかった。
夕食のメニューはすき焼きである。隊員である森枝は,ご飯をとぎに行き,堀と中谷は火を起こし,すき焼きの用意にとりかかった。周りの人は明日が平日であるため(この日は日曜日),続々と帰る準備をしている。夜には,我々だけになる予定であった。すき焼き鍋を火にかけ,我々の長い長い夕食が始まった。
五時か六時頃から(正確な時刻は記憶にないが),すき焼きを食べ始めた。当初はまともな,すき焼きだったのだが,あたりが真っ暗になり,人がほとんどいなくなると,すき焼きが石焼きになった。大きな石で炭を囲っていたため,石が熱を帯びて熱くなり,鉄板の役目を果たすようになったのだ。発案者は誰だったかわからない。とにかく誰かが石の上で,肉だの野菜だのを焼きだした。隊長は,ビールの缶を何本かあけ,ウイスキーをストレートで飲んでいたため,すでに無敵の状態になっていた。そのため,石焼きをしたときも,「どんどんやっちゃえ!」と,石の上に肉,うどん,野菜と,どんどんのっけて炭だか食い物だか分からないものを食べていた。我々も,もちろん食べたのだが,これが結構おいしいのである。まさに野生と化していた我々は,ひたすら食べ続けていた。時間にして五時間以上は食べ続けていたのではないだろうか。よく胃が壊れなかったものである。隊員の堀は自分のビールがなくなったため,先生からウイスキーをもらっていたが,彼もよい気分になったのであろうか。「上を向いて歩こう」を声高に歌っていた(だが堀は次の日,二日酔いのため,山登りをすることなく帰ることになる)。
この日の夜は結局眠ることはなかった。我々は隊長とともに人生を語り,星を眺めた。これは私の思い出の中でも,深く印象に残っていることなのであるが,隊長は,星を眺めて,我々にこう言ったのである。「古代の人は,想像力を膨らませ,ただの星の集まりからいくつもの神話を作っていった。……古代の人たちは現代人なんかよりもずっと,想像力をもった人たちだったんじゃないか。」私はこの言葉を聞いて,現代人が物質的なものをたくさん得た代わりに失った,人間が本来持っていた力について考えた。クラッシックの音楽を聴きながら,我々は,深い感動と,ゆったりと流れる時間,途中で出てきて隊長に一喝されて逃げていった狐とともに,一夜を過ごしていった。(Tom saw や) * * * * * * * * 【星界の報告】★★1995年3月卒◆恵子さんから年賀状を頂きました。とても元気そう。いま帯広の気象台で働いています。 ★★1996年の卒業生◆ 由起さんから,暑中の礼状を頂きました。和紙で作られた綺麗な葉書です。一緒に空沼岳に登ったのは2年前の94年秋のことです(当時は北星学園大学の学生でした)。仕事が忙しくて旅行が出来ないとぼやいてますが,少林寺拳法を習いはじめたとのこと。やるね。斎藤君のニュージーランド行に心動かされて,私もひとつやってやろう……とのこと。江別の「夢創造」で働いていますから,訪ねてあげてください。 ◆大樹くんは,職場で良い先輩に恵まれて楽しそうです。また,ローター・アクトという社会福祉団体で活動しはじめました。 ◆ニュージーランドに遊学している達郎くんから美しい絵葉書と,しばらくしてさらに英文の手紙が届きました。英文は韻を踏んだり,随所に技巧が凝らされていて,なかなかの名文です。少し引用いたしましょう。「How are you getting on these days? It is winter in New Zealand now, nevertheless, I cannot regard this season as winter. There is no snow and harsh cold, so it is comfortable to stay for me except high humidity. Yes indeed, I hate high humidity of Auckland, but I love high humanity of Aucklanders. 」いま英語でヘミングウェイの『老人と海』やカミュの『異邦人』を読んでいるそうです。
【JOCS】
【青年海外協力隊】
【冬合宿へのお誘い】
と き:1996年12月13日〜15日(2泊3日) * * * * * * * * 時節柄,風邪などひかぬように。ガリレオ通信は住所のわかる人全員に送りました。どうぞ諸君の近況をお伝えください。1996年11月7日
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