課税処分無効事件(昭和48年)
控訴審判決

所得税賦課処分無効確認等請求控訴事件
東京高等裁判所 昭和41年(行コ)第4号
昭和42年4月17日 判決

控訴人 (原告) 花里広吉 花里みち子
右両名訴訟代理人弁護士      宮崎正男

被控訴人(被告) 神奈川税務署長 加藤太刀男
右指定代理人 法務省訟務局検事  川村俊雄
  同    法務事務官     山口三夫
  同    大蔵事務官     武内正人
  同              吉本宏

■ 主 文
■ 事 実
■ 理 由


 本件控訴を棄却する。
 控訴費用は控訴人等の負担とする。


 控訴代理人は、
 原判決を取消す。
第一、主たる請求
(一) 被控訴人が昭和37年11月20日なした控訴人花里広吉に対する昭和37年度所得税の賦課処分、並びに右同日なした控訴人花里みち子に対する同年度所得税賦課処分中、本税については金52,500円、加算税については金13,096円を各超える部分はいずれも無効であることを確認する。
(二) 被控訴人が控訴人花里広吉所有の原判決別紙第二目録記載の不動産に対して昭和38年6月26日なした差押処分はこれを取消す。
(三) 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
第二、予備的請求
 主たる請求の(二)が認められないときは、被控訴人が控訴人花里広吉所有の原判決別紙第二目録記載の不動産に対して昭和38年6月26日なした差押処分は無効であることを確認する
との判決を求め、
 被控訴人指定代理人は主文同旨の判決を求めた。

 当事者双方のなした事実上の陳述、証拠の提出、援用、認否は
 控訴代理人において
当審証人高橋国太郎、同島村四郎の各証言及び当審における控訴人花里広吉の本人尋問の結果を援用し、乙第11号証の成立は否認する、但し控訴人の署名が控訴人の筆蹟によるものであること及びその名下の印影が控訴人の印顆により顕出されたものであることは認めるが、それらは控訴人の意思に基づきなされたものではない
と述べ、
 被控訴人指定代理人において乙第11号証を提出した
ほか原判決事実摘示と同一であるからここにこれを引用する。


 本件について当裁判所のなす判断は、原判決5枚目表初より9行目「同花里静枝」の次に「当審証人島村四郎」と、同行「原告両名」の次に「及び当審における控訴人花里広吉の」と、同7枚目表初より7行目「乙第6号証の1、2」の次に「及び当審証人高橋国太郎の証言と」と、同裏末行「原告両名」の次に「及び当審における控訴人花里広吉の」と、同8枚目表初より9行目末尾に続け「当審証人高橋国太郎、同島村四郎の各証言及び当審における控訴人花里広吉の本人尋問の結果によつても、右処分の瑕疵が明白であつたことを認むるには足らず、他にこれを認むべき証左はない。」と各加えるほか、原判決理由記載と同一であるから、ここにこれを引用する。

 しからば控訴人等の請求中差押処分の取消を求める控訴人広吉の主たる請求を却下し、控訴人等のその余の請求を棄却した原判決は相当で、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、民事訴訟法第384条、第95条、第89条にのつとり主文のとおり判決する。

  東京高等裁判所第11民事部
  裁判長裁判官 福島逸雄  裁判官 武藤英一  裁判官 三和田大士

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