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モダンダンスの経営社会史

──「モダン・ボールルーム」の企業者的性格について──


研究の経緯
  この研究は私の社交ダンスへの関心から始まったものです。

  2006年の暮れから、20世紀初頭に米国と英国で出版された「ダンス教本」 を集めはじめました。当初は今日の社交ダンスの起源を探るといった素 朴な関心ではじめたのですが、 しばらくして「ボールルーム・ダンシング」の語に冠せられた 「モダン」という言葉の意味に注目するようになりました。この言葉の 意味を辿っていくと、新しいスタイルのダンスが社会でどのように受け とめられていたのかが分かります。一般的には、ダンスはいかがわしい といった道徳的批判がなされていたわけですが、そういった批判を乗り 越えてダンスを「ビジネス」として発展させていった人たちがいて、当 時のダンス教本は主として、そういった企業者的なイノヴェーターによって著されたものだ ということが分かってきたのです。

 したがって、「モダン」の意味を問 うことを通じて、ダンス・ビジネスの経営史を描くことができるだろう という目論見でこの研究は開始されました。いまだ短いエッセイ程度の ものしかまとめていませんが、このサイトを通じて研究資料を蓄積し、 情報の発信と収集をすすめていけたらと思っています。この頁は少しず つ充実させていく予定です。















Ford Factory

キャッスル夫妻のダンス教本(表紙)

著名なダンス教本と関連文献
  1. キャッスル夫妻『モダン・ ダンシング』(1914年刊)

  2. アイリーン・キャッスル『 マイ・ハズバンド』(1919年刊)

  3. シルヴェスター『モダン・ ボールルーム・ダンシング(第3版)』(1932年刊)

 






基礎知識と用語
  1. 現在使われている「モダン」の語について
    今日「ボールルームダンス」の語に冠せられている「モダン」なる言葉につ いて、イギリスのダンススポーツに関するウェッブサイトに簡単な説明文 があったのでここに関連部分も含めて訳出してみました。これは「現在」の用 語法です。私が研究しようとしている20世紀初頭の用語法とは異なりますが、 参考までに紹介しておくことにします。

    「ボールルーム・ダンス」「モダン」「スタンダード」「インタナショナル」 「ダンススポーツ」これら一連の言葉にはそれぞれどのような違いがあるのだろうか。

    ボールルームはもっとも広く用いられている最古の用語だが、その時々によって 指し示す範囲が異なり、ワルツ、タンゴ、スローフォックストロット、クイック ステップ、ヴェニーズ・ワルツだけを指すこともあれば、ラテン・アメリカン・ ダンス、つまりチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイブを含めること もある。さらには「オールド・タイム」とかシークエンス・ダンスを意味するこ ともある。このような状況なので、「モダン・ボールルーム」(略して「モダ ン」)なる用語がのちに英国で用いられるようになったのは、これによって「私 がここで言及しているダンスは、オールド・タイムでも、シークエンスでも、ラ テン・アメリカンでもありませんよ」と明示するためであった。

    ところがヨーロッパでは、「モダン」なる言葉はまったく異なるタイプのダンス にもっぱら使われてきた(つまり、ジャズ・ダンスなど、一人で踊るダンスのこ となのだ)ために、欧州の人たちは上述のモダン・ボールルームのことを「スタ ンダード」と呼ぶようになった。しかし「スタンダード」の語彙は、アメリカへ 来ると、はなはだ曖昧であり、アメリカ流の言葉(アメリカン・スムーズ)もあ る。そんなわけでアメリカ人は用語の違いをクリアにするために「インタナショ ナル・スタンダード」という表現を使い始めたわけである。

    ダンススポーツという言葉は、スタンダードやラテン・アメリカンを競技として 踊るときに使う。カップルの踊りが審査員によって採点され、上位を目指して戦 うのが目的である。ダンススポーツは三つの部門からなる、つまりスタンダード、 ラテン・アメリカン、10ダンスがそれだ。10ダンスはスタンダードとラテンを合 わせたもので、スタンダード5種目、ラテン5種目、合わせて10種目に挑戦する。

    いま述べてきたことと異なる側面に注目した用語に「ソーシャル・ダンシング」 があり、これは個人的なお楽しみとか人との出会いを求めるためのダンスである。 この手のダンスでは、ダンスの種類はあまり重要視されていないから、わたした ちは気軽に「ボールルーム・ダンスをしようよ」と言うわけだ。
    出典:Dancesport UK, "Ballroom Dancing FAQ," http://www.dancesport.uk.com/training/index.htm, accessed 19 December 2009.

  2. 「ステップ」「フィガー」「アマルガメーション」について
      私たちが何気なく使っている「ステッ プ」とか「フィガー」という言葉につい て,ダンス教本のスタンダードともいうべき『ボールルーム・ダンシング』の中 で、アレックス・ムーア氏は 次のように説明しています。 ステップは 音節 (syllable),フィガーは単語 (word), アマルガメーションは文 (sentence) と考えるとよいです。複数のステップを組み合わせてフィガーが作 られ,複数のフィガーでアマルガメーションは組み立てられます。したがって, 複数のアマルガメーションをつなげた一曲のダンスは,あたかも 「一段落の文 章 (a paragraph)」のようなものです,と。ですから,言外の意味をくみ取って, ムーア氏のいわんとするところを補足するならば,ダンスは美しい文章を つづることであり,それによって一つの物語を創造することだと言ってよいでしょう。






































関連サイト
  1. 現在のダンス用語の解説 Ballroom Dancing FAQ (Frequently Asked Questions)

  2. 米国議会図書館のダンス教本ライブラリー An American Ballroom Companion: Dance Instruction Manuals Ca. 1490-1920







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