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写 真 館

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CAMBODIA '93

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Cambodia no. 045


光陰矢のごとし。わたしがカンボジアを訪ねてから早10年以上の歳月が流れ, 1993年の出来事は過去の歴史になろうとしている。 この写真を撮影した背景についてひとこと説明しておきたいと思います。

当時のカンボジアは,内戦に終止符を打つべく国連が介入している時代でした。 明石康氏を代表とする国連カンボジア暫定行政機構(UNTAC) が,全土に展開して, 治安の維持と政治の民主化プロセスのお膳立てをしていた頃です。

私がかかわっていた日本キリスト教海外医療協力会 (JOCS) というNGOは,当時 すでに,カンボジア南部のバティ郡に柳沢理子ワーカーを派遣して,地域住民の 保健衛生活動に従事していました。彼女の活動とカンボジアの人々の日常の姿を 記録にとどめるべく,私はフォトグラファーとして派遣されました。

ちなみに日本の自衛隊が展開したのが同じバティ郡です。彼らの出立を見送る情 景がテレビで報道されていましたが,隊員の家族はあたかも今生の別れであるか のごとく涙を流していました。ですがバティ郡は治安のよいところで,隊員の多 くはカンボジアの人々の素朴なふるまいと豊かな食文化,平和な農村風景に感銘 を受けて帰国したことでしょう。

わたしはJOCSの現地スタッフの薦めもあって,アンコールワットに足を伸ばし ましたが,ここの治安は不安定かつ流動的でした。奥地の神殿ではプノンペン政 府軍の兵士が自動小銃をもって警備にあたっていました。同政府に対立するポル ポト派は,国際的に孤立し,影響力を弱めていましたが,それなりの勢力を依然 保っており,私が訪ねてから数週間後にシエム・レアップへの総攻撃を仕掛けま した。

ここに紹介する写真は,主としてアンコールワットの風景とシエム・リアップの 市場を撮したものです。戦火の絶えない中,笑顔の人たちと出会いました。 (2006年11月19日記す)


近日公開予定

CHICAGO, CHICAGO '90
BANGLADESH '95
YOSEMITE and LAKE MONO AREA '95
GLACIER NATIONAL PARK 2006





なぜフォトグラファーを志したのか 作 品
わたしは写真に前々から関心があり,〈見る〉ことも,〈撮る〉ことも好きでした。 大好きだからできたのだと思います。

〈見る〉方では,当初は,ルイス・ハイン (Lewis W. Hine) のような社会派の 写真表現に強く惹かれました。彼らの写真への思い入れや社会活動への取り組みについても勉強しました。アメリカ写真史に関する小論を『アサヒカメラ』という雑誌に載せていただいたのはその頃です。

モホリ=ナジとニュー・バウハウス
『アサヒカメラ』
〈撮る〉方では,海外医療協力NGOのボランティア・フォトグラファーとして, カンボジアとバングラデシュを訪ねましたが,いま振り返るなら, それもまた,ルイス・ハインへの関心が底辺にあったからかも知れません。 プラス体力と被写体に対する愛と興味と大胆さでしょうか。

また,この活動を通じて,医療人類学という学問に興味をもち,バングラデシュの 「伝統医療」について一文をまとめることができました。

バングラデシュの
伝統医療
カンボジアとバングラデシュで撮影した写真は,NGOの写真展として全国を巡回しました。

わたしの作品は,1998年に神山祭と京産大図書館で展示させていただきました。

Cambodia
 no. 096
現在の仕事にも写真への関心は活かされています。

神戸大学経済経営研究所の公開講座でお話ししたアメリカ写真史は, かつてルイス・ハインについて調べた時に収集した史料と, フォトグラファーとしての自らの経験がベースになっています。

写真の
アメリカ経営史

写真関係の論説(抄録)
アメリカ写真史論
  1. 上野継義「シカゴでジョージ・バーナードの写真展」 『アサヒカメラ』(朝日新聞社)1990年 5月号, 134頁.

  2. 同「ハル・ハウス100周年でカークランドの写真集刊行」 『アサヒカメラ』(朝日新聞社)1990年 7月号, 130頁.

  3. 同「社会派の系譜につらなるロゴーヴィンによる2枚組写真『働く人々』」 『アサヒカメラ』(朝日新聞社)1990年 9月号, 118頁.

  4. 同「中学・高校用の学校教材に使われたルイス・ハインの歴史写真」 『アサヒカメラ』(朝日新聞社)1990年 11月号, 127頁.

  5. 「モホリ=ナジとニュー・バウハウス(上)」 『アサヒカメラ』(朝日新聞社)1991年 6月号, 118-19頁.

  6. 同「モホリ=ナジとニュー・バウハウス(下)」 『アサヒカメラ』(朝日新聞社)1991年 7月号, 126-27頁.
NGOフォトグラファーとして
  1. 「カンボジア取材手帳から(写真とエッセイ)」 日本キリスト教海外医療協力会『みんなで生きる』第241号 (1993年 6月 10日): 12-13.

  2. 「バングラデシュの伝統医療――コビラージと民衆世界――」 日本キリスト教海外医療協力会『みんなで生きる』第268号 (1996年 3月 10日): 8.

  3. 「NGOカメラマンの見たカンボジア(上)(下)」 『北海道情報大学紀要』第5巻第2号 (1994年 3月): 160-80; 第6巻第 1号 (1994年 9月): 158-69.  1993年 10月 17日,中央大学文学部での講演記録


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Photographs of Cambodia: Taken by T. Ueno. Copyright by Japan Overseas Christian Medical Cooperative Service (JOCS). All rights reserved.