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上野継義写真展
──JOCSのはたらき──

1998年12月1〜17日
京都産業大学中央図書館
パソコン・ルームにて



日本キリスト教海外医療協力会 (JOCS) について

今から30年以上も前のネパールの奥深い山村での出来事です。

ひとりの青年が,病をえて動けなくなったおばあさんを道端に見つけ,JO CSの医師のいる山の上のタンセン病院まで背負ってきてくれました。そ の青年の話しを聞けば,山を7つ,谷を7つ越え,5日間かけてやってき たというのです。

岩村昇医師はその労に報いようと,お金を差し出したところ,青年は「サン ガイ・ジウネ・コラギ」とだけ言い残して,いま来た道を帰っていきまし た。「私はみんなで生きるためにしたまでです」という青年のこの一言が, 岩村のその後の人生を方向づけ,ひいてはJOCSの基本姿勢となりまし た。

以来JOCSは,東南アジアの人々が自分たちの手で健康が守られるように との願いと,私たち自身が「ともに生きる」ことを学ぶべく,草の根の保 健医療活動に従事してまいりました。この写真展では,これまでに出会っ たアジアの人々を紹介し,合わせてJOCSの活動の一端をお伝えしたい と思います。




1.アンコール・トム
今こうしてペンを持っていても一体何を書いてよいのやら。筆舌に尽くし難いなどという表現が安易に聞こえてしまうような。――取材手帳より

2.自然の力

Cambodia no. 096

Ta Prohm, Angkor

国破れて山河あり。タ・プロムに見るのは崩壊の美学とでもいうべきもの であろう。動物のように手足をからませるこの植物は「熱帯の無花果」ス ポアン。

3.ナーガの参道
19世紀にアンコール・ワットを発見したアンリ・ムオ曰く。「この寺を見ていると魂はつぶれ,創造力は絶する。ただ眺め,賛嘆し,頭の下がるのを覚えるのみで,言葉さえ口にでない。」

4.やし並木
椰子の美林に囲まれたゴルノディ・カソリック・ミッションの敷地にはいると,外の喧騒がまるで別世界のことのように思えてくる。ここにJOCSはワーカーを派遣している。

5.国会議事堂
バングラデシュは世界の最貧国ともいわれるが,都市の風景を部分的に切り取るなら,建物も人も東京と見紛うばかり。

6.パステル・カラー
バングラデシュの人たちが明るく鮮烈な色を好むのはなぜか。市場を歩いていて納得した。色とりどりに並ぶスパイスの売り場は,彼らのパレットなのだ。

7.れんがわり
バングラデシュには石がない。だからレンガを砕いて石を作り,それを土木工事に使ったりする。仙人のような風貌のこの老人は素手で作業をしているが,普通レンガを支えるほうの手に革製の当てものをつけて手を保護する。

8.吟遊詩人
「あれはいったいなにを歌っているのか」と地元の人に尋ねると,「バングラデシュは貧しいから,もっと援助をよこせ」と説いているそうな。詩情に欠けるが,詩人の言葉ひとつに世界経済の縮図を見る思いがする。

9.THIS IS DHAKA
警笛を鳴らしながら行き交うリキシャの波。首都ダッカの中心部はいつも交通渋滞。建物にはりつけられた看板同様,騒々しい。



来館者からのメール
  • 「百聞は一見にしかず」とはよくいったもので、今回の写真展で、
    それを痛感しました。
    機会があれば僕も写真を撮ってみたいな、という気持ちにもなりました。


★ ★ ★ 関連文献 ★ ★ ★

  1. 「カンボジア取材手帳から(写真とエッセイ)」 日本キリスト教海外医療協力会『みんなで生きる』第241号 (1993年 6月 10日): 12-13.

  2. 「バングラデシュの伝統医療――コビラージと民衆世界――」 日本キリスト教海外医療協力会『みんなで生きる』第268号 (1996年 3月 10日): 8.

  3. 「NGOカメラマンの見たカンボジア(上)(下)」 『北海道情報大学紀要』第5巻第2号 (1994年 3月): 160-80; 第6巻第 1号 (1994年 9月): 158-69.  1993年 10月 17日,中央大学文学部での講演記録


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Photographs: Taken by T. Ueno. Copyright by Japan Overseas Christian Medical Cooperative Service (JOCS).