性別変更訴訟(子なし要件)
特別抗告審決定

性別の取扱いの変更申立却下審判に対する抗告審の却下〔棄却〕決定に対する特別抗告事件
最高裁判所 平成19年(ク)第704号
平成19年10月19日 第三小法廷 決定

抗告人(原々審申立人 原審抗告人) A

■ 主 文
■ 理 由

 大阪高等裁判所平成19年(ラ)第346号性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告について,同裁判所が平成19年6月6日にした決定に対し,抗告人から特別抗告があった。よって,当裁判所は,次のとおり決定する。


 本件抗告を棄却する。
 抗告費用は抗告人の負担とする。


 性同一性障害者につき性別の取扱いの変更の審判が認められるための要件として「現に子がいないこと」を求める性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項3号の規定は,現に子のある者について性別の取扱いの変更を認めた場合,家族秩序に混乱を生じさせ,子の福祉の観点からも問題を生じかねない等の配慮に基づくものとして,合理性を欠くものとはいえないから,国会の裁量権の範囲を逸脱するものということはできず,憲法13条,14条1項に違反するものとはいえない。このことは,当裁判所の判例(最高裁昭和28年(オ)第389号同30年7月20日大法廷判決・民集9巻9号1122頁,最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁)の趣旨に徴して明らかである。論旨は理由がない。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 田原睦夫  裁判官 藤田宙靖  裁判官 堀籠幸男  裁判官 那須弘平  裁判官 近藤崇晴)

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