再婚禁止期間違憲訴訟
上告審判決

損害賠償請求事件
最高裁判所 平成4年(オ)第255号
平成7年12月5日 第3小法廷 判決

上告人  甲本花子 外1名
被上告人 国

■ 主 文
■ 理 由


 本件上告を棄却する。
 上告費用は上告人らの負担とする。

[1] 国会議員は、立法に関しては、原則として、国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり、個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではなく、国会ないし国会議員の立法行為(立法の不作為を含む。)は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというように、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けるものでないことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和53年(オ)第1240号同60年11月21日第1小法廷判決・民集39巻7号1512頁、最高裁昭和58年(オ)第1337号同62年6月26日第2小法廷判決・裁判集民事151号147頁。)
[2] これを本件についてみると、上告人らは、再婚禁止期間について男女間に差異を設ける民法733条が憲法14条1項の一義的な文言に違反すると主張するが、合理的な根拠に基づいて各人の法的取扱いに区別を設けることは憲法14条1項に違反するものではなく、民法733条の元来の立法趣旨が、父性の推定の重複を回避し、父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解される以上、国会が民法733条を改廃しないことが直ちに前示の例外的な場合に当たると解する余地のないことが明らかである。したがって、同条についての国会議員の立法行為は、国家賠償法1条1項の適用上、違法の評価を受けるものではないというべきである。
[3] そして、立法について固有の権限を有する国会ないし国会議員の立法行為が違法とされない以上、国会に対して法律案の提出権を有するにとどまる内閣の法律案不提出等の行為についても,これを国家賠償法1条1項の適用上違法とする余地はないといわなければならない。
[4] 論旨は、独自の見解に基づいて原判決の国家賠償法の解釈適用の誤りをいうか、又は原判決を正解しないで若しくは原審で主張しなかった事由に基づいて原判決の不当をいうに帰し、採用することができない。 
[5] 上告人らの被った不利益が特別の犠牲に当たらないことは、当裁判所の判例の趣旨に照らして明らかである(最高裁昭和37年(あ)第2922号同43年11月27日大法廷判決・刑集22巻12号1402頁参照)。したがって、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

[6] よって、民訴法401条、95条、89条、93条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 千種秀夫  裁判官 園部逸夫  裁判官 可部恒雄  裁判官 大野正男  裁判官 尾崎行信)

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