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経済データ処理実習 第8講 「経済格差を測ってみよう(2)」

本日の内容:ローレンツ曲線とジニ係数の計算(その2)


T.ジニ係数の意味(復習)
U.ジニ係数の計算(1)−Aの面積を求める−
             (2)−ジニ係数を求める−
             (3)−単位を注意!−
練習問題1.    練習問題2.

T.ジニ係数の意味(復習)

 前回説明したように,ジニ係数とは不平等度を測定する尺度です.
そして,それは図と定義式で以下のように表されます.

テキスト ボックス: 所得金額累積百分率

 ジニ係数は,データ集合の不平等度が大きいほど大きな値となり,
不平等度が小さいほど小さな値
を示します.

 ただし,実際に計算する際に,@の弓形の面積を導出するのは厄介ですので,
@の面積を,「@とAを足した三角形からAを引く」という形で導出します.
したがって,ジニ係数の導出式を以下のように変形します.

        

U.ジニ係数の計算

 では,前回使った表2および図2を用いて,ジニ係数の具体的な計算方法を
説明しましょう.ポイントは,「上図のAの面積は台形の面積を足し合わせて求める」
という点です.

表2
階級 世帯数 階級内平均月収 累積月収 累積百分率
T 25世帯 15万円 15万円 9.37%
U 25世帯 25万円 40万円 25%
V 25世帯 40万円 80万円 50%
W 25世帯 80万円 160万円 100%
合計 100世帯 160万円
図2
テキスト ボックス: 所得額累積百分率

(1)Aの面積を求める
 ローレンツ曲線と縦・横の軸で囲まれたAの面積は,階級ごとに上図のように分けて
考えることができます.そこで,それぞれの図形の面積を求めて足し合わせれば,
Aの面積を計算できます.

 (a)階級Tの面積
    この部分のみ三角形ですので,三角形の面積の公式を使います.
    Tの面積=(25×9.37)/2=117.125

 (b)階級T以外の図形の面積
    階級T以外は台形ですので,台形の面積の公式を使います.
    
    Uの面積={(9.37+25)×25}/2=429.625
    Vの面積={(25+50)×25}/2=937.5
    Wの面積={(50+100)×25}/2=1875

 つまり,階級T以外の台形の面積の求め方は,以下の公式で表されます.


 ※最後の「高さ」に該当するところのみ,世帯数の百分率(累積ではない!)であることに
  注意してください.

 以上を足し合わせると,Aの面積が出せます.
 Aの面積=117.125+429.625+937.5+1875=3359.25

(2)ジニ係数を求める
 Aの面積が求められたので,次にジニ係数を求めます.その前に分母となる@+A,
つまり三角形の面積は,
 三角形の面積=(100×100)/2=5000

したがって,ジニ係数の値は上の導出式より,
  

(3)単位に注意!
 ここでの例の計算は,すべて累積百分率に100を掛けた値でやっています.
もし,Excelに計算させた値をそのまま使うと,それぞれの世帯の累積百分率は
0.0937,0.25,0.5,1となります.
 この数値を使った計算というのは,図2の両軸の最大値を1と考えていることを意味します
ので,その場合は,三角形の面積を0.5としてジニ係数を出さなければいけません.

※練習問題1
 前回使った表3のデータを用いてジニ係数を計算しなさい.

表3
階級 世帯数(世帯) 階級内平均月収(万円) 累積月収額 月収累積百分率 世帯百分率
T 45 15      
U 25 25      
V 20 40      
W 10 80      
合計 100 160

※練習問題2.
  「家計調査.xls」の各年代のSheetのデータを使って,
 @1980年  A1990年  B2000年
 のジニ係数を計算しなさい.


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