研究目的(研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか。)

2.研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか。

上記の学術的背景とこれまでの研究成果をもとに,本研究では,これまでなされてこなかったオランダ東インド会社の会計システムの全貌を明らかにした上で,株式会社の生成・本質と会計システムの関係について,会計史的観点から研究を行う。そこで本研究期間内では,以下の点を明らかにする。


① これまで散逸され,全体像が不明とされたオランダ本国アムステルダム本社の会計史料の現存状況について,オランダ・ハーグの国立公文書館(Nationaal Archief)における調査をもとに把握する。また,そのデータベースの作成を行う。(第1 年度)


② 役員会議事録の解読による会社組織と会計システムの位置づけの研究を行い,連合東インド会社の記帳原則,帳簿組織図および内部統制機構を明らかにする。(第1 年度後半‐第2 年度)


③ 会社草創期のアムステルダム本社および各カーメル(先駆会社の後継組織)の会計帳簿の照合と検討を行い,連合東インド会社の会計システムの全体像とそこで行われた会計教育法の解明を行う。(第2 年度‐第3 年度前半)


④ 連合東インド会社200 年を俯瞰し,それぞれの時代の社会経済的背景を考慮しつつ,「企業黎明期→発展期→成熟期→衰退期」のそれぞれにおいて,同社の会計システムが果した役割を実証的に分析し,その総合的評価を行う。また研究成果公刊の準備を行う。(第3 年度)