研究活動(平成26年度の研究計画)

(平成26年度の研究計画)

1.会計史料の発掘
オランダ・ハーグ所在の国立公文書館において,史料の発掘作業を行う。オランダ東インド会社関係の史料のほとんどは同館で保存されている。上記のようにそれはまとまった形ではなく,多くの部署の史料として分類されており,まずはこれらのうちもっとも会計史料にかかわるものから発掘する必要がある。これまでの申請者の調査により,オランダ東インド会社史料のうち,Opperboekhouder(上級簿記係)の項目にかなりの会計史料が存在することがわかっており,その一部はすでにデータとして入手していることから,まずこの史料の位置づけと解読を行い,データベース化に着手する。また,この他,申請者は主要なカーメルであったホールン・カーメルの会計史料の一部も収集しており,これについても引き続き収集と解読を行う。

2.役員会議議事録の翻訳と解読
会計システムの構築には役員会の意思が十分に反映していたと見るべきである。本社史料の散逸を,ライバル会社(イギリス東インド会社)への戦略的な措置と見る向きもあるが,長崎商館の帳簿を見る限り,その完成度の高さから本社には精密な会計システムを構築し運営する能力があったものと考えられる。そこで,本社議事録のうち会計システムに言及したものを抽出し,その整理と解読を行う。