CAMBODIA '93 | 

Western Baray, Angkor Thom
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 「西バライ」は11世紀にアンコール朝によって建造された巨大な人造湖である。
この土木技術力が農業生産力の発展と人口増加をかつてもたらしたという。
			  
今日ではUNTAC(国連カンボジア暫定行政機構)
の隊員や比較的裕福な社会層の集まるリゾート地となっており,
また地元の人達の憩いの場として人気がある。
湖にはり出した水上レストランも最近開業し,おもにUNTAC相手に商いをしているそうだ。
休日ともなると白地にUNの文字を刻んだ車が浜辺にならび,
大きな体躯の欧米人が歓声をあげながら水浴にボートにと興じている。仏教僧が拡声器のボリュウムをいっぱいにして宗教音楽をならしているのが耳障りだ。
さいわいホテルが林立して景観をぶち壊すということもなく,
昔ながらの姿を保っている。 
 ところで,この湖に船出する漁師の姿は
幾世紀を越えて変わらなかったのではあるまいか。
あの落日の一瞬に最初に心をときめかしたのはほかならぬこれら漁師たちの先祖であったのだろう。 
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  参考文献 
  
  上野継義「カンボジア取材手帳から」 
『ガリレオ通信』第1号(1993年 5月 10日)  |