課税処分無効事件(昭和48年)
上告審判決

所得税賦課処分無効確認等請求事件
最高裁判所 昭和42年(行ツ)第57号
昭和48年4月26日 第一小法廷 判決

上告人 (原告 控訴人)  花里広吉 花里みち子
右両名訴訟代理人弁護士   宮崎正男

被上告人(被告 被控訴人) 神奈川税務署長 杉山健太郎
右指定代理人        貞家克己 鎌田泰輝 山口憲弥 佐伯秀之

■ 主 文
■ 理 由

■ 上告代理人宮崎正男の上告理由


 原判決を破棄する。
 本件を東京高等裁判所に差し戻す。

[1]一、論旨は、要するに、原判決が、本件土地建物は問題の譲渡前において訴外岡田信二の所有であつたもので、上告人らの所有であつたことはなく、その売買行為も岡田が上告人らの名義を冒用したものであつて、譲渡による所得はすべて同人に帰属し、上告人らには全く無関係であつたとの事実を認定し、かつ、上告人広吉が課税処分前の調査の段階において被上告人税務署長の許に出頭して右の事情を説明した旨の原審証人高橋国太郎の証言を採用しながら、上告人らに本件土地建物に関する譲渡所得ありとしてなされた課税処分を無効でないとしたのは、理由不備の違法を免れず、また、行政事件訴訟法3条4項の解釈適用を誤り、ひいて憲法30条に違反するものである、というのである。

[2]二、よつて按ずるに、原判決引用の第一審判決の認定するところは、次のとおりである。
[3] 被上告人は、昭和37年11月20日、第一審判決添付第一目録記載の(一)(二)土地の上告人広吉名義から訴外下川茂、同照井竹雄への譲渡、右(一)土地上の同(三)建物の上告人みち子名義から上告人広吉名義への譲渡につき、上告人らに昭和35年中に譲渡所得を生じたとして、上告人広吉に対し、同年度所得税(第一審判決10枚目表5、6行目に「昭和37年度所得税」とあるのは、誤記と認める。)111万8,480円、加算税27万9,500円、上告人みち子に対し、本件係争外の土地1筆の譲渡をも含めて、昭和35年度所得税(第一審判決12枚目表8行目に「昭和37年度所得税」とあるのは、誤記と認める。)82万5,710円、加算税20万6,250円の賦課の決定をしたが、右(一)(二)土地および(三)建物は、(一)(二)土地の譲渡前において、すべて岡田信二の所有であつた。しかるに、被上告人が(一)(二)土地および(三)建物の前記譲渡につき上告人らに譲渡所得ありとしたのは、以下述べるような事情のもとに、主として登記簿の記載に拠るものであつて、すなわち、上告人らは夫婦で、岡田は上告人みち子の姉の内縁の夫であるが、岡田は、上告人らに無断で、自己所有(ただし、登記簿上は第三者名義)の(一)(二)土地につき、昭和28年6月10日、上告人広吉名義に所有権移転請求権保全の仮登記を、また、同じく自己所有(ただし、登記簿上は第三者名義)の(三)建物につき、昭和32年(第一審判決6枚目表4行目に「昭和30年」とあるのは、誤記と認める。)11月13日、上告人みち子名義に所有権移転登記を経由した。その後、岡田は、自己の債務を返済するため(一)(二)土地を売却する必要に迫られ、なお、(一)土地の売却には、同土地とその地上の(三)建物との所有名義人を同一にしておくことが有利と考えて、上告人ら名義の印章を無断購入して印鑑届をしたうえ、上告人ら名義の売買契約書、登記申請書、委任状等を偽造し、これを行使して、(一)土地につき昭和35年9月13日上告人広吉に対する所有権移転の本登記を、(三)建物につき同日上告人みち子より同広吉に対する所有権移転登記を経由したうえ、(一)土地を同年10月28日、代金850万円で下川に売り渡し、また、(二)土地につき同年12月13日上告人広吉に対する所有権移転の本登記を経由したうえ、同月24日、これを代金39万5,100円で照井に売渡した。被上告人は、主として登記簿の記載に依拠しつつ、これに買受人下川、同照井に対する反面調査の結果を加え、さらに、昭和36年3月10日および同37年9月20日の2回にわたり上告人広吉に出頭を求めたが応じなかつたとして、同年9月26日、上告人らに対し昭和35年度の譲渡所得の税額を通知したうえ、同37年11月20日本件の決定に及んだが、上告人らからは適法な異議申立期間内にその申立てがなかつた、というのである。

[4]三、これを要するに、(一)(二)土地は、いずれも岡田が、第三者名義で所有していたものを、ほしいままに、上告人広吉名義に所有権移転請求権保全の仮登記を経由し、その後7年余を経て同上告人名義に本登記を経由したうえ、同名義で他に売却し、また、(一)土地上の(三)建物は、同じく岡田が、第三者名義で所有していたものを、ほしいままに、上告人みち子名義に所有権移転登記を経由し、その後2年余を経て、同名義で上告人広吉に対する所有権移転登記を経由して、(一)土地の売却の便宜を図つたものである、というのであつて、けつきよく、以上の各登記および(一)(二)土地の売却は、岡田が上告人らに無断でしたことで、上告人らは、(一)(二)土地および(三)建物のいずれについても、これを所有したことはなく、したがつて、上告人ら名義でなされたこれら土地建物の譲渡のいずれについても、被上告人主張の譲渡所得を生ずるに由ないものであつた、というに帰着する。

[5]四、ところで、課税処分が法定の処分要件を欠く場合には、まず行政上の不服申立てをし、これが容れられなかつたときにはじめて当該処分の取消しを訴求すべきものとされているのであり、このような行政上または司法上の救済手続のいずれにおいても、その不服申立てについては法定期間の遵守が要求され、その所定期間を徒過した後においては、もはや当該処分の内容上の過誤を理由としてその効力を争うことはできないものとされている。
[6] 課税処分に対する不服申立てについての右の原則は、もとより、比較的短期間に大量的になされるところの課税処分を可及的速やかに確定させることにより、徴税行政の安定とその円滑な運営を確保しようとする要請によるものであるが、この一般的な原則は、いわば通常予測されうるような事態を制度上予定したものであつて、法は、以上のような原則に対して、課税処分についても、行政上の不服申立手続の経由や出訴期間の遵守を要求しないで、当該処分の効力を争うことのできる例外的な場合の存することを否定しているものとは考えられない。すなわち、課税処分についても、当然にこれを無効とすべき場合がありうるのであつて、このような処分については、これに基づく滞納処分のなされる虞れのある場合等において、その無効確認を求める訴訟によつてこれを争う途も開かれているのである(行政事件訴訟法36条)。
[7] もつとも、課税処分につき当然無効の場合を認めるとしても、このような処分については、前記のように、出訴期間の制限を受けることなく、何時まででも争うことができることとなるわけであるから、更正についての期間の制限等を考慮すれば、かかる例外の場合を肯定するについて慎重でなければならないことは当然であるが、一般に、課税処分が課税庁と被課税者との間にのみ存するもので、処分の存在を信頼する第三者の保護を考慮する必要のないこと等を勘案すれば、当該処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれであつて、徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが、著しく不当と認められるような例外的な事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である。

[8]五、これを本件についてみるに、上告人らは、前記のように、(一)(二)土地および(三)建物のいずれをも所有したことがなく、その真の譲渡人は岡田であり、したがつて、譲渡所得はほんらい同人に帰属し、上告人らについては全く発生していないのであるから、本件課税処分は、譲渡所得の全くないところにこれがあるものとしてなされた点において、課税要件の根幹についての重大な過誤をおかした瑕疵を帯有するものといわなければならない。
[9] そして、上告人らが本件課税処分を受けるに至つた事情についてみるのに、原審認定の事実関係を前提として考察すれば、本件課税処分の基礎資料となつたものは、(一)(二)土地および(三)建物に関する登記簿の記載であるが、その登記手続は、岡田の偽造した上告人らの印章、上告人ら名義の売買契約書、登記申請書、委任状等によるものであつて、(下川に対する反面調査において提出されたのも、右の売買契約書および領収書等である。)けつきよく、上告人らは岡田に名義を冒用されたのみで、本件課税処分の基礎資料となつた登記簿の記載の現出等につきいかなる原因を与えたものでもない、というに帰着する。
[10] 要するに、上告人らとしては、いわば全く不知の間に第三者がほしいままにした登記操作によつて、突如として譲渡所得による課税処分を受けたことになるわけであり、かかる上告人らに前記の瑕疵ある課税処分の不可争的効果による不利益を甘受させることは、たとえば、上告人らが上記のような各登記の経由過程について完全に無関係とはいえず、事後において明示または黙示的にこれを容認していたとか、または右の表見的権利関係に基づいてなんらかの特別の利益を享受していた等の、特段の事情がないかぎり、上告人らに対して著しく酷であるといわなければならない。
[11] しかも、本件のごときは比較的稀な事例に属し、かつ、事情の判明次第、真実の譲渡所得の帰属者に対して課税する余地もありうる(論旨の指摘するところによれば、原判決の言及する証人高橋国太郎の証言は、上告人広吉が被上告人のした呼出に応じて、本件賦課の決定前の調査の段階において被上告人の許に出頭し、以上の事情を説明した、というものである。はたして然りとすれば、たとえ法定の期間内に適法な異議申立てがなかつたとしても、被上告人において、真実の所得者たる岡田に対して、(一)(二)土地の譲渡につき所得税の賦課の決定をする余地も十分ありえたものといわなければならず、上告人らが適法な異議申立てをしなかつたからといつて、ただちに、被上告人において岡田に対する正当な課税の機会を逸したものということもできないのである。)ことからすれば、かかる場合に当該処分の表見上の効力を覆滅することによつて徴税行政上格別の支障・障害をもたらすともいい難いのであつて、彼此総合して考察すれば、原審認定の事実関係のみを前提とするかぎり、本件は、課税処分に対する通常の救済制度につき定められた不服申立期間の徒過による不可争的効果を理由として、なんら責むべき事情のない上告人らに前記処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合に該当し、前記の過誤による瑕疵は、本件課税処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である。

[12]六、そこで、進んで本件において、岡田が(一)(二)土地につき上告人広吉名義の仮登記を、(三)建物につき上告人みち子名義の登記を経由した経緯をみるのに、原判決引用の第一審判決の認定するところによれば、岡田は、昭和28年頃上告人らから30万円を借り受けたが、自己の経営する会社の事業が思わしくなかつたところから、万一の場合の右借受金の担保として自己所有の(ただし、登記簿上は会社名義となつていた。)(一)(二)土地を上告人広吉名義としておくよう内妻の静子(上告人みち子の姉)に勧められ、また一つには、名義を変えておけば会社の債権者から差押えを受けることも避けられると考えて、上告人らに無断で、昭和28年6月(一)(二)土地につき上告人広吉名義に仮登記を経由し、また、同32年11月同様の趣旨で、自己所有の(ただし、登記簿上は第三者名義となつていた。)(三)建物につき上告人みち子名義に所有権移転登記を経由した、というのである。これによると、上告人らと岡田との間には、実質上(一)(二)土地および(三)建物によつて担保される債権関係があつたものということができ、これらの土地建物に対する上告人ら名義の前記の仮登記および本登記は、必ずしも上告人らに不利益なものでないことが明らかであつて、以上のような上告人らと岡田らとの間に事実上の親族関係および貸借関係を考慮すれば、かりに前記の各登記が、その当初において、岡田が上告人らに無断でその名義を冒用することにより経由されたものであるとしても、その後上告人らにおいてその事実を知りつつこれを容認したということも決してありえないことではなく、(一)(二)土地の売却によつてさきの貸金が回収されうるとすれば、上告人広吉名義をもつてする売却も、必ずしもその意に反するものとは限らないこととなる筋合である。
[13] そして、かりに上告人らにおいて、岡田がほしいままにした登記を事後的に容認していた事実があり、または右登記上の表見的権利関係の存在によるなんらかの利益を享受していた事実があるとすれば、その事情のいかんによつては、右権利関係の誤認に基づく瑕疵の存する処分による不利益を上告人らに甘受させることも、あながち不当とするには当たらないと認められる余地が存するのである。

[14]七、しかるに原判決が、上記に指摘した諸点を顧慮することなく、本件課税処分は課税要件のないところに課税したもので、その瑕疵は重大であるが、なお明白であるとはいいえないとして、これを無効でないと即断したのは、課税処分の無効に関する法の解釈適用を誤つたか、または審理不尽、理由不備の違法があるものというべく、論旨はけつきよく理由があり、原判決は破棄を免れない。そして本件は、なお上記に指摘した点についてさらに審理する必要があるので、これを原審に差し戻すべきものとし、行政事件訴訟法7条、民訴法407条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

 裁判官岩田誠は退官につき評議に関与しない。

  最高裁判所第一小法廷
  裁判長裁判官 大隅健一郎  裁判官 藤林益三  裁判官 下田武三  裁判官 岸盛一
[1] 原判決が引用する第一審判決の事実認定によれば、本件土地建物の売買は名義は上告人らの氏名を以てしているが、実際は訴外岡田信二、花里静枝の両名が上告人らに無断でその氏名を冒用し印章等を偽造して為したもの、従つてその所得は上告人らに全く関係なくその全部を有訴外人が得たものであることを認定し、その点で本件所得税賦課処分には重大な瑕疵があるとしながら、その瑕疵は明白でないと判断し上告人らの請求を棄却している。ところで、行政処分の瑕疵が明白であるというのは、処分成立の当初から誤認であることが外形上、客観的に明白である場合を指すものとすることには異論はないが、その外形上、客観的に明白か否かの判断は処分当時の主観的客観的な一切の事情を基礎として客観的に判断して為すものと解すべきである。
[2] 本件課税処分の基礎となつた不動産の売買名義は、上告人らと右訴外人らとが何んらかの目的を以て相謀つて上告人らの名義を使用したというようなものではなく、その意味では上告人らの利益を全く度外視し右訴外人らの一方的利益の為めに上告人らの氏名を冒用して為されたもので謂わば上告人らは一方的被害者と言うべき立場にある(その意味で最高裁判所昭和36年3月7日判決の場合の事情とは全く異る。)而して、此の事情は本件課税処分が為される以前に既に処分庁たる被上告人の知るところだつたのである。(証人高橋国太郎の証言)。斯かる事情を基礎として考えるとき、本件売買の所得を実質的に得たのは何人かということは、審理の結果始めて分るというようなことではなく、正に客観的に明白であつたと言わねばならない。
[3] 然るに、これを明白性なしと判断した原判決は、行政事件訴訟法第3条第4項の解釈適用を誤つたものと言うべく、その誤りは判決に影響を及ぼすこと明らかであるから原判決は破棄を免れない。
[4] 憲法第30条によれば「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ」のであつて、これを反対に謂うなら国民は法律に基かない税金を納める義務は絶対にないことになる。ところで本件の如き所得税については所得税法があり、本件課税も又この法律に従つて為されたものと解せられるが所得税法第12条によれば「資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受」しない者である場合は所得税法はその者には適用せられないことになる。本件の場合、原判決の認定するところによれば、上告人らは正に右に謂う単なる法律上帰属するとみられる名義人に過ぎない者、即ち所得税法の適用を排除せらるべき者である。これを無視して上告人らに課税した被上告人の処分は所得税法に違反したものと言わねばならない。そうして他に上告人らに課税すべき基礎となる法律がない以上、正にそれは法律に基かないものであり憲法第30条に反する課税というべきである。従つて、この課税処分を有効視する原判決は明らかに憲法の解釈適用を誤つており、かつ、その誤りは判決に影響を及ぼすことは明らかであるから原判決は破棄を免がれない。
[5] 原判決の引用する第一審判決は
「被告(被上告人)は原告(上告人)等が別紙第一目録(一)乃至(三)記載の不動産につき、登記簿上所有名義人とされていたことから、前記認定にかかる岡田の不動産譲渡行為を、当然原告(上告人)等のなしたものと判断し、同目録(一)記載の土地買受人下川に対し売買契約書、領収書等の提出を求め、同目録(二)記載の土地買受人照井に対し昭和37年5月頃所謂反面調査を行い、結局右各書類並びに各買受人の陳述から、原告(上告人)等と右買受人間に真実売買がなされたものと認定したこと、そして更に右各土地売買及び同目録記載の建物の売買につき、その資料を蒐集し、併せて原告(上告人)等の言分を確認すべく、昭和36年3月10日、昭和37年9月20日の2回に亘り、原告(上告人)広吉に対し被告(被上告人)の許へ出頭を求める呼出をなしたが、原告(上告人)は出頭」
しなかつたと認定し、かつ、行政処分を当然無効とするための瑕疵の明白性とは処分の外形上、客観的に誤認が一見して看取し得るか否かに求めているところからみると、第一審判決は、上告人が処分前に被上告人の許に出頭しなかつたこと即ち処分前には被上告人が処分の瑕疵を知り得る機会がなかつたことに明白性否定の根拠を求めていることが明らかである。しかるところ、原審における証人高橋国太郎の証言によれば上告人は被上告人の出頭の求めに対し被上告人の許に出頭し、かつ、その事情を説明していること、即ち第一審判決の事実認定とは全く異る事実が認められるのである。しかるに、原判決は第一審判決の事実認定と全く反する前記高橋証言の全部を採用しながら尚第一審判決の前記事実認定と同一の事実を認定している。一体原判決はこの認定事実と相反する内容の高橋証言をどのように扱うのか、この点原判決の説明だけを以てしては全く不明である。而して瑕疵の明白性の判断に際しては、
「当審証人高橋国太郎、同島村四郎の各証言及び当審における控訴人(上告人)花里広吉の本人尋問の結果によつても、右処分の瑕疵が明白であつたことを認むるには足らず」
としているが、前記の如く、第一審判決の判断は、上告人が処分前に被上告人の許に出頭しなかつたことを重要な原因として明白性なしと判断しているのであるから、これに反する内容の高橋証言をどのように判断するか、若しこの証言の存在を以てしても尚明白性なしとするなら何故にそのように判断するのかその理由の説明もあつて然るべきであるのに、単に前記の如く判断したに止まつている。以上いずれにしても原判決は、上告人の主張を証明する唯一の証拠とも言うべき高橋証言について全く触れていないが、若しくは何らの説明を付せずに排斥しているのであつて、これは理由不備たるを免れない。よつて原判決は破棄さるべきである。

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