フランス語起源の日本語

平塚徹京都産業大学 外国語学部

京都産業大学外国語学部では、英語ドイツ語フランス語スペイン語イタリア語ロシア語中国語韓国語インドネシア語を専門的に学ぶことができます。


フランス語からの外来語など、フランス語に由来する日本語の語句の一覧です。多くの辞書類は語源に当たるフランス語を挙げているだけですが、このページでは、元のフランス語の語句と意味が異なっている場合や、英語などを経由して日本語に入って来ている場合などの情報を記載するようにしています。

フランス語からの外来語については、解説記事「フランス語からの外来語」もご覧ください。

アール
are(アール)から。100倍は「ヘクタール」
アールデコ
art déco(アールデコ)から。直訳すると「装飾芸術」という意味。
アールヌーボー
art nouveau(アールヌーボー)から。直訳すると「新芸術」という意味。
アールブリュット
art brut(アールブリュット)から。
アヴァンギャルド
→アバンギャルド
アヴァンタイトル
→アバンタイトル
アヴァンチュール
→アバンチュール
あおいとり【青い鳥】
L’Oiseau Bleu(『青い鳥』)から。もともとはベルギーの作家メーテルリンクの童話劇の題名。フランス語ではoiseau bleu(青い鳥)は、滅多に見つからない素晴らしい人や物のことを言うが、日本語で身近にあるのに気がつかない幸福を「青い鳥」と言いう。
アクメ
acmé(最盛期・絶頂)から。日本語では特に「オーガズム」も意味で用いられる。
アタッシェケース
英語のattaché case(アタッシェケース)からだが、attachéはフランス語のattaché(大使館員・公使館員)から。「アタッシュケース」とも言う。
アタッシュケース
→アタッシェケース
アップリケ
appliqué(貼り付けられた・取り付けられた)から。フランス語には「アップリケ」の意味はない。英語で「アップリケ」を指すのにこのフランス語のappliquéを用いたものが、日本語に入った。
アトリエ
atelier(作業場・工房)から。日本語では「アトリエ」は芸術家の工房を指すのに使われている。
アバン
→アバンタイトル
アバンギャルド
avant-garde(前衛)から。
アバンタイトル
フランス語のavant(〜より前に)と英語のtitle(タイトル)を組み合わせた語。単に「アバン」とも言う。
アバンチュール
aventure(意外な出来事・冒険・色事・情事)から。日本語では「アバンチュール」は恋愛の危険な火遊びの意味で使われている。 
アプレ
→アプレゲール
アプレゲール
après-guerre(戦後)から。日本語では、「戦後派」や「戦後に従来の道徳や価値観にとらわれずに行動した若者」の意味で用いられる。略して「アプレ」ともいう。
アベック
前置詞のavec(〜といっしょに)から。英語のwithにあたる。日本語では、男女二人づれの意味で使っていたが、最近は「カップル」と言うことが多い。「アベック優勝」や「アベックホームラン」と言う言葉にも使われている。
アペリチフ
→アペリティフ
アペリティフ
apéritif(食欲増進のために飲む食前酒)から。「アペリチフ」とも言う。
アマチュア
フランス語のamateur(愛好家・素人)が英語に借用され、それが日本語に入った。短縮して「アマ」とも言う。
アラカルト
à la carte(メニューから選んで・自由に選択して)から。日本語では「アラカルト」はメニューから選んで注文する一品料理の意味で使われている。
アラザン
argent(銀)から。日本では洋菓子の飾りに使う銀色の小さな粒を「アラザン」と呼んでいる。
アラベスク
arabesque(アラベスク)から。この語は、植物や幾何学図形などを絡み合わせたアラビア風の装飾模様や、バレエで片脚で立ってもう片方の脚を後ろに伸ばすポーズを指し、いずれの用法も日本語に入っている。また、音楽作品などのタイトルにも使われていて、これもそのままカタカナで「アラベスク」と表記される(ドビュッシー『2つのアラベスク』が代表例)。
アラモード
à la mode(流行の)から。日本では、「プリンアラモード」のように、アイスクリーム、生クリーム、果物を添えたデザートの名前に使っている。
アロマテラピー
aromathérapie(芳香療法)から。英語のaromatherapyを経由した「アロマセラピー」と言う言い方もあるが、「アロマテラピー」の方が多い。
アンケート
enquête(調査、アンケート)から。
アンコール
encore(まだ・また)から。日本語の「アンコール」の用法は英語から入ったものと考えられる。フランス語で「アンコール」はアンコールはbisと言う。
アンサンブル
ensemble(一緒に・全体・調和・合奏[団]・合唱[団]・合わせて着る一揃いの服)から。日本語では「調和・合奏[団]・合唱[団]・合わせて着る一揃いの婦人服」などの意味で用いられている。
アンシャンレジーム
Ancien Régime(旧体制)から。
アンツーカー
en-tout-cas(晴雨兼用傘)から。全天候型テニスコートの商標に使われたことから、日本語では全天候型のテニスコートや競技場、また、そのための赤れんがの粉のような土を指す。
アントレ
entrée(入ること、入口、アントレ)から。フランスのentréeは、フランス料理用語としては、スープやオードブルより後、メインディッシュの肉料理の前に出される料理だが、最初に出てくる前菜の意味でも用いられる。しかし、日本語では、これらの意味に加えて、メインディシュの意味でも用いられる。これはアメリカ英語における用法を取り入れたもの。このため、日本語での「アントレ」には3種類の異なる意味が見られる。
アントレプレナー
entrepreneur(請負業者・企業家)が英語に起業家の意味で借用され、それが日本語に入った。
アンニュイ
ennui(悩み・困ること・退屈)から。日本語の「アンニュイ」は退屈の意味で用いられている。
アンペア
フランスの物理学者アンペールAmpèreの名にちなむ電流の単位ampèreが英語でampereとなり、日本に借用された。
うさぎごや【兎小屋】
cage à lapins(うさぎ小屋・狭くて画一的な集合住宅)から。1979年にEC(欧州共同体)の内部資料で日本の住宅を形容して用いられたものが、英訳のrabbit hutch(うさぎ小屋)を経由して日本でも報道され、1980年代に日本人が日本の狭い住宅を自嘲的に表す流行語となった。
エクリチュール
écriture(書かれたもの・文字・筆跡・文体・書くこと)から。
エクレア
éclaire(稲光・閃光・エクレア)から。「エクレール」ではなく「エクレア」となっていることから、英語を経由して入ったのではないかと考えられる。
エシャロット
échalote(エシャロット)から。日本では、同じネギ属のラッキョウを若いうちに採ったものを「エシャロット」と呼んでいたことがあるが、本物のエシャロットが販売されるようになって「エシャレット」に改名された。しかし、現在でも若採りのラッキョウが「エシャロット」と呼ばれることがある。「シャロット」とも言うが、これは英語のshallotから。
エスカルゴ
escargot(カタツムリ)から。日本語では、食用のカタツムリおよびそれを使ったフランス料理の名前として用いられている。
エスカロープ
escalope(肉・魚の薄い切り身)から。「エスカロップ」とも言う。
エスカロップ
→エスカロープ
エスキス
esquisse(下絵)から。
エステ
→エステティック
エステティシャン
esthéticien(美学者・美容師・エステティシャン)から。日本では全身美容をするエステティシャンの意味で用いられている。
エステティック
esthétique(美学・美容術)から。日本では「全身美容」の意味で用いられている。短縮して「エステ」とも言う。
エスプリ
esprit(精神・才気・機知)から。
エチケット
étiquette(商品や荷物につける札、ラベル、礼儀作法)から。日本語には礼儀作法の意味で借用されている。
エチュード
étude(勉強・研究・検討・調査・習作・練習曲)から。日本語では「エチュード」は、習作や練習曲の意味で使われている。
エペ
épée(剣、エペ)から。「フェンシング」という言葉は英語のfencingの借用だが、フェンシング自体はフランス起源なので、フェンシング用語はフランス語である。→サーブル、フルーレ
エリート
élite(エリート)から。
オーエス
Oh ! Hisse !(力を合わせる時の掛け声)から。日本語に入って、綱引きをするときの掛け声「オーエス」になった。
オーデコロン
eau de Cologne(オーデコロン)から。直訳すると、「ケルン(ドイツの都市)の水」の意味。Cologne[コローニュ]を「コロン」と読むのは英語での発音から。
オートクチュール
haute couture(オートクチュール)から。
オードトワレ
eau de toilette(オードトワレ)から。直訳すると、「化粧の水」の意味。フランス語の発音により忠実な「オードトワレット」という言い方もあるが、使用頻度は「オードトワレ」の方が高い。
オードトワレット
→オードトワレ
オードブル
hors-d’œuvre(オードブル・前菜)から。
オクターブ
octave(オクターブ)から。音楽用語はイタリア語が多いが、「オクターブ」はフランス語由来。フランス語由来の音楽用語としては他に「ソルフェージュ」がある。
オノマトペ
onomatopée(オノマトペ・擬音語)から。
オブジェ
objet(物体・対象・目的)から。日本語には美術用語として借用されている。
オペア
au pair(オペアの・オペアで)から。「オペア」という発音から考えると、英語を経由して入ったものと考えられる。
オペラ
opéra(複数の層からなる直方体のチョコレートケーキ)から。もともと歌劇のオペラを指す語。この名前がケーキについた理由については諸説あってよく分からないが、いずれもパリのオペラ座が関連している。
オマージュ
hommage(敬意・賞賛)から。日本語では、特にある作者や作品を思わせる表現をして敬意を表すことを「オマージュ」と呼ぶ。
オムそば
→オムレツ
オムライス
→オムレツ
オムレツ
omelette(オムレツ)から。「オム」と短縮して、「オムライス」や「オムそば」のような料理名を作る
オンド・マルトノ
ondes martenot(オンド・マルトノ)から。ondesは「波」の複数形。Martenotは発明者の名前。
ガーゼ
フランス語のgaze(ガーゼ)がドイツ語に借用されてGaze(ガーゼ)になり、これが日本語に借用された。
カシス
cassis(クロスグリ・クロスグリの実・クロスグリの実のリキュール)から。
カジノ
casino(カジノ)から。
カシュクール
cache-cœur(着物のように前身ごろが打ち合わせになった服)から。
かちゅうのくりをひろう【火中の栗を拾う】
tirer les marrons du feu(火中の栗を拾う)から。17世紀フランスの詩人ラ・フォンテーヌの寓話「猿と猫」に出てくるtirer marrons du feu(火の中から栗を取り出す)に由来する。しかし、現在のフランスではこのtirer les marrons du feuという成句は、他人を犠牲にして自分だけ利益を得るという意味で用いられることが多くなっている。
ガトー
gâteau(ケーキ・菓子)から。「ガトーショコラ」の「ガトー」。→ガトーショコラ
ガトーショコラ
gâteau au chocolat(ガトーショコラ)からフランス語に忠実に「ガトー・オ・ショコラ」と表記されることもあるが、たいてい「オ」を省略して「ガトーショコラ」と呼ばれている。fondant au chocolatが日本語ではたいてい「フォンダンショコラ」と呼ばれているのと同様である。→ガトー、フォンダンショコラ
ガナッシュ
ganache(ガナッシュ)から。
カナッペ
canapé(ソファー・カナッペ)から。canapéはソファーを意味するが、そこから、具を載せる薄切りのパンをソファーに見立ててcanapéと呼び、さらにカナッペ全体をcanapéと呼ぶようになった。日本語では「カナッペ」は料理名として借用されている。
カヌレ
cannelé(カヌレ)から。溝のついた円筒形のボルドーの伝統的な焼き菓子。nが一つのcaneléという綴りもあるが、これは1985年にボルドー・カヌレ協会が発足した際に、ボルドーのカヌレを他地域のものと区別してブランドを守るために定められたものである。
カフェ
café(コーヒー・カフェ)から。
カフェオレ
café au lait(カフェオレ)から。「牛乳入りのコーヒー」の意味。「カフェ」の部分を入れ替えて「抹茶オレ」などの言葉も作られている。
カムフラージュ
camouflage(カムフラージュ)から。日本語では、「カムフラージュ」あるいは「カモフラージュ」と表記する
カモフラージュ
→カムフラージュ
カラメル
caramel(カラメル・キャラメル)から。
カリヨン
carillon(カリヨン・チャイム)から。
ガルニ
→ガルニチュール
ガルニチュール
garniture(付け合わせ)から。略して「ガルニ」あるいは「ガロニ」とも言う。
ガロニ
→ガロニチュール
カロリー
calorie(カロリー)から。
かんがえるあし【考える葦】
roseau pensant(考える葦)から。→人間は考える葦である
キッシュ
quiche(キッシュ)から。
キャバレー
cabaret(ショーを上演し客が飲食したり踊ったりできる店)から。日本では「キャバレー」はホステスが客を接待する飲食店を指すのに用いられ、フランスのcabaretとは異なる。
キャミソール
camisole(キャミソール)から。フランス語のcamisoleのsの発音は[z]だが、日本語では「キャミソール」となっている。英語ではcamisoleのsの発音は[s]なので、日本語の「キャミソール」は英語を経由して入ってきたのではないかと考えられる。
ギャルソン
garçon(男の子)から。日本ではレストランのボーイを指す「ギャルソン」と言う言葉で知られている。
キュビスム
cubisme(キュビズム・立体派)から。
キュリー
curie(キュリー)から。放射線を研究したキュリー夫妻Curieの名前に由来する。
キュロット
culotte(半ズボン・パンティー・ショーツ)から。フランス語のculotteは、元々は半ズボンの意味だが、現代ではむしろパンティーやショーツを指す。日本語では「キュロット」はキュロットスカート(半ズボン風のスカート)を指すのに用いられているが、これは英語由来だと考えられる。キュロットスカートはフランス語では、jupe-culotteと言う。jupeはスカートの意味。
キュロットスカート
→キュロット
ギロティン
guillotine(ギロチン)から。フランス革命の時代にギロチンの使用を提案した医師ギヨタンGuillotinにちなんで名付けられた。ただし、日本語の「ギロチン」という発音は英語を経由したためと考えられる。
クイニーアマン
kouign-amann(クイニーアマン)から。ブルターニュ地方の菓子。kouign-amannはもともとブルトン語で、発音は「クイニャマン」の方が原音に近い。フルトン語では、kouignは「菓子」、amannは「バター」の意味。
クーデター
coup d'État(クーデター)から。
クーペ
coupé(クーペ)から。
クーポン
coupon(クーポン)から。
クール
フランス語のcours(流れ・講義・課程・相場)が語源と言われている。日本語では放送期間の区切りとしての3ヶ月・13回分を「クール」あるいは「ワンクール」と呼ぶが、フランス語のcoursにはこの意味はない。
クーロン
coulomb(クーロン)から。フランスの物理学者クーロンCoulombの名前に由来する。
クラヴサン
→クラブサン
グラタン
gratin(グラタン)から。
クラブサン
clavecin(クラブサン)から。同じ楽器を指す「ハープシコード」は英語のharpsichord、「チェンバロ」はイタリア語のcembaloから。
グラム
gramme(グラム)から。
グランプリ
grand prix(大賞・グランプリレース)から。grandは大きい、prixは賞という意味。
クリシェ
cliché(決まり文句)から。
クリスマスコフレ
→コフレ
グリモア
→グリモワール
グリモアール
→グリモワール
グリモワ
→グリモワール
グリモワール
grimoire(魔導書・魔道書)から。悪魔や天使などを召喚し操って願望を叶えるための手引書。ヨーロッパではこのような書物が実際に書かれてきたが、日本では特にファンタジー作品などのフィクションにおいて知られているようである。グリモアールとも呼ばれる。グリモアやグリモワと言う言い方もあるが、これは英語の発音を取り入れたものかもしれない。
クルトン
croûton(クルトン)から。
グルマン
gourmand(食いしん坊・美食家)から。
グルメ
gourmet(食通の人・美食家)から。日本語では、「ご当地グルメ」や「B級グルメ」のように「グルメ」は美味しい料理のことを指すことが多い。
クレヴァス
→クレバス
クレソン
cresson(クレソン)から。
クレープ
crêpe(クレープ)から。食べ物のクレープの他にちりめんのような織物のクレープもあり、両方とも日本語に入っている。食べ物のクレープは日本ではお菓子のように思われているが、フランスではハムやチーズのような色々な具を入れて食事のための料理にもなる。→クレープデシン、ジョーゼット
クレープデシン
crêpe de Chine(クレープデシン)から。直訳すると「中国のちりめん」の意。起源が中国にあるからである。しかし、日本では「ふらんすちりめん」とも言う。「デシン」とも言う。→クレープ
クレームブリュレ
crème brûlée(クレームブリュレ)から。
クレオール
créole(クレオール)から。
クレバス
crévasse(クレバス)から。
クレヨン
crayon(鉛筆)から。もともとチョークに始まりさまざまな筆記道具や素描に使う画材を意味したが、現在では単にcrayonと言うと普通は鉛筆を意味する。英語に借用されて、「クレヨン」の意味で用いられている。日本語には英語を経由して入ったと考えられる。
グログラン
gros-grain(畝のある絹織物)から。
クロシェ
crochet(鉤・かぎ針・かぎ針編み)から。日本では「クロシェ」はかぎ針編みを指すのに用いられている。
クロッキー
croquis(クロッキー)から。
クロックマダム
croque-madame(クロックマダム)から。
クロックムシュー
croque-monsieur(クロックムッシュー)から。
くろまによんじん【クロマニヨン人】
→クロマニョン人
くろまにょんじん【クロマニョン人】
最初に化石が発見されたフランスのクロマニョンCro-Magnon洞窟から名付けられた。「クロマニヨン人」とも言う。
クロワッサン
croissant(三日月・クロワッサン)から。三日月の形をしているので、croissantと呼ぶ。もっとも、三日月の形をしているのはマーガリンを使ったクロワッサンで、バターを使ったクロワッサンはまっすぐな形をしている。
げいじゅつのためのげいじゅつ【芸術のための芸術】
L'art pour l'art(芸術のための芸術)から。19世紀フランスの詩人・小説家ゴーティエが提唱した。
ゲートル
guêtre(ゲートル)から。
ゴーフル
gaufre(ワッフル)から。フランス語のgaufreは日本で「ワッフル」と呼んでいるお菓子に相当する。日本で「ゴーフル」と呼ばれているお菓子はフランス語のgaufreとは異なる。
コキーユ
coquille(貝殻)から。肉や魚介などをホワイトソースであえてホタテ貝の貝殻(あるいはその形の皿)にのせてオーブンで焼いた料理も意味し、この意味で日本語に入っている。本来、ホタテ貝の貝殻を使うが、「牡蠣のコキーユ」のようなものもある。英語読みで「コキール」ともいう。
コキール
→コキーユ
コキュ
cocu(妻を寝取られた男)から。
ココット
cocotte(蓋付きで鋳物の両手鍋)から。日本ではオーブンに入れて調理に使う小型の円形の陶器製の容器を指して「ココット」と言うことが多い。「卵のココット(œuf cocotte)」にしばしば使われる容器なので、これを「ココット」と呼ぶという理解が定着していると思われる。しかし、この容器は現代のフランス語では普通ramequin[ラムカン]と呼ばれる。
コサージュ
corsage(ブラウス)から。英語に借用されて、女性が服の胸元や襟元につける花飾りを刺すようになり、この意味で日本語にも借用されている。
こっきょうなきいしだん【国境なき医師団】
Médecins sans frontières(国境なき医師団)から。
コッペパン
コッペはフランス語のcoupé(切られた)が語源と言われている。しかし、意味変化が明確でなく疑問視されており、ドイツ語のKuppe(丸い山頂)やKopf(頭)が語源だとする説もある。糧友会編『製パン教程』(糧友会、1939年)の191ページには、「ジャムパン形に短く撚つて、表面中央へ斜めの切込を加へ、そこを勢ひよく裂けさせたフレンチコッペー」とあり、ここでは「コッペー」は切れ目を入れたと言う意味で使われていると思われる。しかし、同書の口絵にある「フレンチコッペー」には切れ目らしきものが見えるが、「小型コッペー」には切れ目が見当たらない。雑穀奨励会編『雑穀の調理』(産業図書、1948年)の45ページには「雜粉パンはコツペーの形がよい」、46ページには「瓦斯拔きせずに臺上に上げてコツペー型に丸める」とあり、「コツペー」とはパンの形のことのようである。また、43ページには、「コツペー型(フランスパン式)は二〇分內外、サンドウイツチ型は四五分かゝる」とあるが、57ページに「角形(サンドウイツチ型)のパン」とあることも考え合わせると、長方形の箱型の型で焼いた食パンを「サンドウィッチ型」と呼んでいたのに対して、型に入れずに丸みのある形で焼いたパンを「コッペー型」と呼んでいたと想像できる。それが日本独自のナマコ形のパンの名称になっていったのかもしれない。
コニャック
cognac(コニャック)から。
コフレ
coffret(小箱)から。日本では、化粧品を小箱に詰め合わせたものを指すのに用いられている。特にクリスマスシーズンに発売されるものを「クリスマスコフレ」と言う。
コミュニケ
communiqué(コミュニケ)から。
コラージュ
collage(貼り付けること・さまざまなものを貼り付ける絵画の手法)から。日本語には美術用語として入っている。
コルネ
フランス語のcornet(円錐状の容器)から。日本では角笛型のパンにクリームを詰めた菓子パンの名称として使われている。コルネは日本のものであり、フランス語のcornetはパイ生地を角笛型にして焼いたものにクリームを詰めた菓子(cornet à la crème)を指す。コロネとも言う。
コロネ
→コルネ
コロッケ
croquette(コロッケ)から。
コンクール
concours(選抜試験・コンクール・コンテスト)から。日本語では「コンクール」の意味で借用されている。
コンシエルジュ
concierge(建物の管理人やホテルの宿泊客の要望に応じるサービス係)から。日本語ではホテルのコンシエルジュを指すほか、「住まいのコンシェルジュ」や「医療コンシェルジュ」のように特定の分野の情報を紹介・案内する人の意味で使う。
コンソメ
consommé(コンソメ)から。
コンテ
コンテの発明者および製造会社の名前Conté(コンテ社)から。
コント
conte(短い物語)から。日本語では特にお笑いの短い芝居の意味で使われている。
サーブル
sabre(サーベル、サーブル)から。「フェンシング」という言葉は英語のfencingの借用だが、フェンシング自体はフランス起源なので、フェンシング用語はフランス語である。→エペ、フルーレ
サディズム
sadisme(サディズム)から。フランスの作家サドSadeの名前に由来する語。
サブレ
sablé(サブレ)から。
サボタージュ
sabotage(仕事などをぞんざいにすること・機械や設備の破壊)から。
サボる
「サボタージュ」の短縮語を動詞化した語で「サボタージュする」ことだが、特に怠ける意味で用いられている。→サボタージュ
サロペット
salopette(ズボンに胸当てと肩紐がついた作業着・スポーツウェア・子供服)から。マリオシリーズのキャラクターである配管工のマリオとルイージが着ているのもsalopetteである、日本語では、「サロペット」は同じ形のファッション性のある女性用普段着に用いられている。
サロン
salon(応接間・広間・美容室・喫茶店・展示会・美術展)から。英語にも借用されていて、「ビューティーサロン」「ヘアサロン」「ネイルサロン」は英語からの借用。
サンセリフ
英語のsans serifあるいはsanserifから。sansはフランス語のsans(〜の無い)。つまり、sans serifは「セリフの無い」という意味。serif(セリフ)はフランス語ではない。
シードル
cidre(シードル)から。
シェフ
chef(集団や組織の長・リーダー・コック長・料理長)から。日本語では「コック長・料理長」の意味で借用されている。
ジオラマ
diorama(ジオラマ)から。もともとは箱の穴から中を覗き込むと本物の風景が広がっているように見える見せ物。19世紀初頭にフランスで作られ、日本でも明治時代に流行った。しかし、現代では博物館の展示や映画の撮影のための景色を縮小した立体模型を言う。「ディオラマ」とも言う。
ジゴロ
gigolo(男めかけ・つばめ)から。
シソンヌ
sissonne(バレーで両足で踏み切り片足で着地する跳躍)から。考案者である17世紀フランスの貴族の名前に由来する。日本のお笑いコンビがこの名前を使っている。
シック
chic(しゃれた)から。
シニヨン
→シニョン
シニョン
chignon(髪を束ねて後頭部でまとめた髪型)から。「シニヨン」とも言う。
シネマ
cinéma(映画・映画館)から。日本語では「映画」の意味で使う。
ジビエ
gibier(狩猟の対象となる鳥獣[の肉])から。
シブースト
Chiboust(19世紀フランスの菓子職人の名前)から。シブーストが考案したクリームを「クレーム・シブースト(crème Chiboust)」と言い、これを用いたケーキの一種を日本語では単に「シブースト」と呼んでいる。
シフォン
chiffon(ぼろきれ・雑巾)から。英語に借用されて薄くて透ける織物の意味になり、これが日本語に借用された。→シフォンケーキ
シフォンケーキ
「シフォンケーキ」の「シフォン」は、もともとフランス語でぼろきれ・雑巾を意味chiffonが語源。フランス語のchiffonが英語に借用されて薄くて透ける織物の意味で用いられ、さらにはパイやケーキのきめが細かくふわふわである事を意味するようになった。これに英語のcakeを補ってできたchiffon cakeという言葉が日本語に「シフォンケーキ」として入った。→シフォン
シミーズ
→シュミーズ
シャッポ
chapeau(帽子)から。→シャッポを脱ぐ、シャポー、ポシャる
しゃっぽをぬぐ【シャッポを脱ぐ】
「シャッポ」はフランス語のchapeau(帽子)から。「シャッポを脱ぐ」は、「兜を脱ぐ」の「兜」を「シャッポ」に言い換えたものというのが通説である。しかし、フランス語には、ôter son chapeau à 〜/tirer son chapeau à 〜(〜に脱帽する、〜に感服する)や Chpeau bas !/Chapeau !(脱帽だ!参った!)と言った表現があり、こちらが「シャッポを脱ぐ」の元になったと考えた方が分かりやすい。通説は、棋垣実(1932)「隠語化された外来語」(『外来語研究』創刊号)が以下のように推測したものが流布したものと思われる。
「當外れ」と云ふ意味で「シャッポ」〔Fr. chapeau〕と云ふ語があるが、按ずるにこれは、「兜を脱ぐ」と云ふ熟語を「シャッポを脱ぐ」と言ひ換へたものが、「降參した」から「閉口した」に移り、遂󠄂に「散々な目に會つた」「當が外れた」と轉じたのではなからうか
→シャッポ、ポシャる
シャポー
chapeau(帽子)から。→シャッポ
シャンソン
chanson(歌)から。日本語ではフランスの大衆的な歌を「シャンソン」と呼ぶが、フランス語のchansonは歌の総称。
シャンパン
champagne(シャンパン)から。フランスではchampagneの名称はシャンパーニュ地方産でないと使用できないが、日本では発泡性白ワイン全般を「シャンパン」と呼ぶこともある。
ジャンル
genre(種類・ジャンル)から。
シュークリーム
フランス語で「シュークリーム」は、chou à la crème。chouはキャベツ、crèmeはクリームなので、直訳すると「クリーム入りのキャベツ」。日本語の「シュークリーム」は、フランス語の「シュー」と英語の「クリーム」をくっつけたことば。
シュール
「シュールレアリスム」の短縮語。「シュールだ」「シュールな」のように形容動詞として用い、「超現実的である・非日常的である・奇抜である」という意味で用いられている。→シュールレアリスム
シュールレアリスム
→シュルレアリスム
シュシュ
chouchou(シュシュ)から。
シュミーズ
chemise(シャツ・ワイシャツ)から。フランス語のchemiseは、普通、男性用のシャツを指す。日本語では「シュミーズ」と言うと、女性用下着の一種。これは英語から借用したために元のフランス語とは意味が違ってしまったと考えられる。
シュルレアリスム
surréalisme(シュルレアリスム・超現実主義)から。
ジュレ
gelée(煮凝り、ゼリー、ジュレ)から。
ジョーゼット
crêpe Georgette(ジョーゼット)から。フランスの婦人服仕立屋Georgette de la Plante(ジョルジェット・ドゥ・ラ・プラント)の名前から付けられた。crêpeはちりめんのような織物→クレープ
ショコラ
chocolat(チョコレート・ココア)から。日本語ではチョコレートの意味で使う。
ショコラティエ
chocolatier(チョコレート職人・チョコレート屋)から。女性の場合には、chocolatierの女性形のchocolatièreを借用して、「ショコラティエール」と言うこともある。
ショコラティエール
→ショコラティエ
シルエット
silhouette(シルエット)から。18世紀のフランスで緊縮政策を行なった大蔵大臣シルエットが影絵による肖像画を好んだためにそのような絵を「シルエット」と言うようになったと言われている。
ジレ
gilet(チョッキ・ベスト・カーディガン)から。日本では特に女性がはおる袖が無く前開きで丈の長い上着を指して使っていることが多いようである。「ジレー」とも言う。
ジレー
→ジレ
スエード
suède(スエード)から。
スフレ
soufflé(スフレ)から。
スペクトル
spectre(幽霊・脅威・スペクトル)から。もともと幽霊や脅威という意味で、さらに科学用語としてスペクトルの意味でも使われるようになった。日本語には最後の科学用語のスペクトルの意味で借用されている。
ズボン
jupon(ペチコート)が語源だと言われているが、女性用下着からズボンへの意味変化が疑問視されている。江戸時代に日本に滞在したツンベルク(1743-1828)は、その著書『日本紀行』で、袴をpantalon(ズボン)と呼び、「女性のjupon(ペチコート)に似ている(Ils ressemblent à un jupon de femme)」と述べている。袴すなわち日本のズボンはjupon(ペチコート)に似ているということから、ズボンにもjupon(ペチコート)の語が転用されたのだろうか。注:高橋文訳『江戸参府随行記』(平凡社、1994年)は「女性のスカートに似ており」と訳しているが、分かりやすさを考慮してのことだろう。山田珠樹 訳註『ツンベルグ日本紀行』(奥川書房、1941年)は「歐洲婦󠄁人のジュポンに似てゐる」と訳している。
ソヴァージュ
→ソバージュ
ぞうげのとう【象牙の塔】
tour d’ivoire(象牙の塔)から。
ソテー
sauté(ソテーした・炒めた・ソテー)から。日本語では「ソテー」は料理名として使われる。
ソバージュ
sauvage(野性の)から。日本では髪型の名称として借用されている。
ソムリエ
sommelier(ソムリエ)から。本来はレストランのワイン係の意味だが、日本では、最近、特定の商品分野について専門的知識を持っていて顧客にアドバイスしてくれる人を「〇〇のソムリエ」や「〇〇ソムリエ」と呼ぶという用法が広がっている。
ソリスト
soliste(独奏者・独唱者・ひとりで踊る舞踏家)から。
ソルフェージュ
solfège(ソルフェージュ)から。音楽用語はイタリア語が多いが、「ソルフェージュ」はフランス語由来。フランス語由来の音楽用語としては他に「オクターブ」がある。
ソワレ
soirée(晩・夜のパーティー・夜の公演)から。日本語では「夜会・夜間興行」の意味で借用されているが、それに加えて「夜会服」の意味で用いられている。
たいがしょうせつ【大河小説】
フランス語のroman-fleuveの直訳。
タカラジェンヌ
「宝塚」と「パリジェンヌ」のカバン語。→パリジェンヌ
ダダ
→ダダイスム、ダダイスト
ダダイスト
dadaïste(ダダイスト)から。短縮して「ダダ」とも言う。
ダダイスム
dadaïsme(ダダイスム)から。「ダダイズム」とも言う。また、短縮して「ダダ」とも言う。
ダダイズム
→ダダイスム
タフタ
taffetas(タフタ)から。
タブロー
tableau(板やキャンバスなどに描かれた絵)から。板絵やキャンバス画など移動できる絵画を指し、壁画の対立概念。伝統的には額縁に入れられる。
タルト
tarte(タルト)から。フランス語では、パイ生地に果物などを載せて焼いた菓子、あるいは、肉・魚・野菜などを載せて焼いた前菜料理。しかし、日本では「タルト」というと菓子の方を指す。四国のロールケーキの「タルト」はフランス語のtarteとは関係ない。
チュチュ
tutu(バレリーナ用のスカート)から。
チュール
tulle(ベールなどに用いる薄い網状の布)から。
ちんはこっかなり【朕は国家なり】
L'État, c'est moi.(国家とは私のことだ)から。絶対王政を象徴する言葉。ルイ14世の言葉と言われているが、実際には言っていないらしい。
テアトル
théâtre(劇場・演劇)から。日本語では「劇場」を意味し、特に劇場の名称に使われている。
ディオラマ
→ジオラマ
ディスコ
disco(ディスコ)から。
デカダン
décadent(退廃した・デカダン派の芸術家)から。
デカダンス
décadence(衰退・退廃)から。
テキ
→ビフテキ
デコルテ
décolletée(婦人服の襟ぐりあるいはネックライン、婦人服の襟ぐりから露出している胸や肩や背の露出部分)から。日本では、襟ぐりの広い婦人服を着たら露出するであろう胸から首にかけての部分を指すの用いられている。あるいは、「ローブデコルテ」の短縮語。→ローブデコルテ
デシン
→クレープデシン
テリーヌ
terrine(テリーヌ、テリーヌ型)から。フランス語においてはテリーヌ型(テリーヌを作るための容器)の意味の方が先で、そこからその容器で作ったパテを指すようになったが、日本では後者だけを「テリーヌ」と言い、容器の方は「テリーヌ型」などと言う。
トーク
toque(縁のない円筒形の帽子)から。現代のフランスでtoqueと言えばコック帽である。日本では浅い円筒形で縁無しの婦人用の帽子を指すのに用いられている。これは英語での用法が入ってきたものではないかと考えられる。
トラバーユ
travail(仕事・勉強)から。日本では、女性向け求人情報誌の名称に使われたことから、「転職」の意味で用いられる。
トンテキ
→ビフテキ
デザート
フランス語のdessert(デザート)が、英語に借用され、日本語に入った。
デジャヴ
déjà-vu(すでに見たもの・既視感)から。フランス語の発音は[デジャヴュ]に近い。日本語の「デジャブ」や「デジャヴ」は、英語を経由した発音かと思われる。
デッサン
dessin(デッサン)から。
テニス
英語のtennis(テニス)から。英語のtennisは、テニスの元になったフランスの球技でサーバーが言っていたtenez !「取れ!」という フランス語 に由来すると言われている。しかし、この説は語源学者からは批判されている。
デニム
フランス語で「ニーム産の」を意味するde Nîmesを語源とする英語denimが日本語に借用された。
デビュー
début(初め、初登場)から。
デフォルメ
déformer(形をゆがめる・変形する)から。フランス語では動詞だが、日本語では名詞・サ変動詞語幹になっている。
デブリ
débris(破片・残骸)から。日本語では、なだれ落ちた雪や岩石のかけらを指す登山用語として使われている。これは、英語でフランス語からの借用語debrisが地学用語の「岩屑」の意味で用いられ、さらに登山用語としても用いられたものが日本語に借用されたのではないかと思われる。また、「スペースデブリ」や「燃料デブリ」という言葉にも用いられているが、これらも英語からの借用語だろう。
デミグラスソース
フランス語のdemi-glace(ドミグラスソース)が英語に借用され、ソースであることを明確にするためにsauceを加えられたdemi-glace sauceが日本語に入った。
デミタス
demi-tasse(デミタス・デミタス1杯のコーヒー)から。しかし、フランス語ではあまり使われなくなって普通の辞書には載っていない。日本語にはおそらく英語経由で入ってきたと思われる。
デラシネ
déraciné(根なし草・故郷や祖国を失った人)から。日本では曲やゲームなど色々なものの名前に「デラシネ」が用いられている。NHKの朝ドラ『舞いあがれ!』(2022年10月〜2023年3月放送)に出てきた古本屋の屋号にも用いられた。
テラス
フランス語のterrasse(テラス)あるいは英語のterrace(テラス)から。
テリーヌ
terrine(テリーヌ、テリーヌ型)から。フランス語においてはテリーヌ型(テリーヌを作るための容器)の意味の方が先で、そこからその容器で作ったパテを指すようになったが、日本では後者だけを「テリーヌ」と言い、容器の方は「テリーヌ型」などと言う。
ドーラン
フランスのDorin社から。多くの辞書でドイツのDohran社からと説明されているが、これは誤りと考えられる。詳しくは、「ドーランの語源はドイツ語ではなくフランス語」を参照。
ドリア
『日本国語大辞典』をはじめ数多くの国語辞典においてフランス語のdoriaが語源だとされているが、そのようなフランス語はない。ドリア自体がフランス料理ではなく、日本発祥の料理。
トリアージ
triage(選別)から。英語で多くの傷病者が出た場合に治療の優先順位を決めることを意味する専門用語になり、それが日本語にも借用されている。
トリコロール
tricolore(三色の・青白赤三色の)から。フランス語では形容詞だが、日本語ではフランス国旗の三色旗あるいは三色旗の青白赤の三色を表す名詞になっている。
トリュフ
truffe(トリュフ・トリュフに似せて作ったチョコレート菓子)から。
ナポリタン
napolitain(ナポリの)から。イタリア料理になぜフランス語の名称なのかと疑問に思う人もいるかもしれないが、ナポリタンは本来のイタリア料理ではなく、日本で考案された料理である。
ニュアンス
nuance(同系色の微妙に違う色調。音・香り・味・意味・感情などの微妙な違い)から。
にんげんはかんがえるあしである【人間は考える葦である】
L’homme est un roseau pensant.(人間は考える葦である)から。パスカルの『パンセ』にあるL'homme n'est qu'un roseau, le plus faible de la nature ; mais c'est un roseau pensant.(人間は葦にすぎない。自然の中で最も弱いものである。しかし、それは考える葦である)という一節を簡潔にした文。→考える葦
ヌガー
nougat(ヌガー)から。
ネグリジェ
negligé(身なりをかまわない[こと]・だらしない[こと])から。かつては女性用の部屋着の意味もあったが、現在ではdéshabilléと言う。日本語に入って女性用のワンピース型の寝間着を指す「ネグリジェ」となった。
ノーブレスオブリージ
→ ノブレスオブリ ージュ
ノーブレスオブリージュ
→ ノブレスオブリ ージュ
ノスタルジー
nostalgie(郷愁)から。
ノブレスオブリージ
→ ノブレスオブリ ージュ
ノブレスオブリ ージュ
Noblesse oblige(高貴さは義務を強いる)から。高い身分には義務が伴うことを意味する格言。英語に借用されて「高い身分に伴う義務」を表す。日本では『マッシュル』などのマンガやアニメにも出てくる。「ノブレスオブリージ」「ノーブレスオブリージ」「ノーブレスオブリージュ」のような表記が見られる。
のみのいち【蚤の市】
marché aux puces(蚤の市)の直訳。英語にも直訳されてflea marketとなり、これは日本語に「フリーマーケット」として入っている。よって、「フリーマーケット」は自由市場ではなく、蚤の市の意味。「フリマ」と省略される。→フリーマーケット
ノンシャラン
nonchalant(無頓着な、なげやりな)から。
ノンブル
nombre(数)から。日本では、特に印刷業界や出版業界において印刷物のページ番号を指すのに用いられている。
バカンス
vacances(休暇・バカンス)から。
はくへい【白兵】
フランス語のarme blanche(刀剣類)が文字通りには「白い武器」と訳せることから翻訳借用された語だと言われている(「兵」には「武器」の意味がある)。しかし、漢籍にも「白兵」という語が見られることから、漢語由来とも言われている。おそらくどちらかが起源とは言い切れず、両方ともが起源となっているというところではないだろうか。「白兵戦」は明治時代に造語された。
はくへいせん【白兵戦】
→白兵
バゲット
baguette(棒・バゲット)から。棒状のパンだからbaguetteと言う。日本語にはパンの名称として借用されている。
パスカル
pascal(パスカル)から。フランスの哲学者・数学者・物理学者パスカルにちなむ圧力の単位。天気予報で100倍の「ヘクトパスカル」がよく使われている。
パスチャライズ
→パストライズ
パストライズ
フランス語でパスツール化するという意味のpasteuriserに由来する英語pasteurizeを借用した語。「パスチャライズ」とも言う。
パテ
pâté(パテ)から。
パティシエ
pâtissier(ケーキ屋・ケーキ職人)から。女性の場合には、pâtissierの女性形のpâttissièreを借用して、「パティシエール」と言うこともある。
パティシエール
→パティシエ
パティスリー
pâtisserie(ケーキ・ケーキ屋)から。
パドドゥ
pas de deux(パドドゥ)から。
バトルロワイヤル
英語のbattle royal(3人以上が最後の1人になるまで戦う乱戦)のroyalをフランス語のroyaleに置き換えた小説の題名。漫画化および映画化もされた。その影響でゲームジャンルのバトルロイヤルにも「バトルロワイヤル」の呼称が用いられる。
ババロワ
bavarois(ババロア)から。元々は「ドイツのバイエルン地方の」という意味。
パピヨン
papillon(蝶・蛾)から。日本語には犬種の名前として入っている。この名前は、両耳から垂れた毛が蝶の羽を思わせることに由来する。
パフェ
parfait(完全な・パルフェ)から。「パルフェ」というパフェの原型となったデザートも意味する。そこから日本語に借用され「パフェ」となった。
バラード
ballade(バラード)から。日本のポピュラー音楽ではスローテンポで感傷的なラブソングを指すことが多いが、これは英語のballadの用法を取り入れたものと思われる。
パラシュート
フランス語のparachute(パラシュート)が英語に借用され、それが日本語に借用された。chを[ʃ]で発音するのはフランス語の読み方。
バリカン
バリカンを製造していたフランスのバリカン・エ・マール社Bariquand et Marreの名前から。この語源が発見された経緯については、金田一京助他(1954)「語源を語る」(『言語生活』35)に詳しい。『日本国語大辞典』や『大辞泉』はBarriquand、『日本大百科全書(ニッポニカ)』はBariquant と、綴りを誤っているので注意が必要。
パリジャン
Parisien(パリの人・パリっ子)およびparisien(バゲットより太いフランスパン)から。
パリジェンヌ
Parisienne(パリの女の人)
パリテ
parité(同等・均等・平等)から。数学・物理・情報科学・経済学の用語の「パリティ」のフランス語。男女同数の政治参画の意味でも用いられ、この意味で日本語でも近年よく見るようになった。
パルクール
parkour(パルクール)から。障害物を飛び越えたり登ったりなどして素早く移動していくフランス発祥のスポーツ。スポーツ競技でのコースを意味するparcoursが語源。
バレエ
ballet(バレエ)から。「バレーボール」の短縮語の「バレー」と区別するために、一般的に「バレエ」と表記する。
バレッタ
barrette(髪留め)から。「バレット」とも言う。
バレット
→バレッタ
バロック
baroque(バロック様式[の])から。
ぱんがなければおかしをたべればいいじゃない【パンがなければお菓子を食べればいいじゃない】
Qu'ils mangent de la brioche !(ブリオッシュを食べればいいじゃない)が元になったフランス語。マリーアントワネットが言ったと言われているが、これは史実ではない。
パンタロン
pantalon(ズボン)から。日本では女性が履く裾の広いズボンをかつて「パンタロン」と呼んでいたが、フランス語のpantalonはズボン一般を指す。
ビー玉
日本語の「ビー玉」の語源は「ビードロ」だというのが通説であるが、フランス語で「ビー玉」を表すbilleが語源だとも言われている。
ピーマン
piment(とうがらし)から。現代のフランス語ではpimentはとうがらしの意味で、ピーマンはpoivronと呼ばれる。しかし、カナダのフランス語ではピーマンのことをしばしばpimentと呼んでいる。
ピエロ
pierrot(白いダブダブの衣装を着て白塗りの顔が特徴の喜劇やパントマイムのキャラクター)から。日本語に借用されてサーカスのピエロを指しているが、サーカスのピエロはフランス語ではclownと言う。
ピケ
piqué(畝模様のある織物)から。
ピコ
→ピコット
ピコット
picot(レースなどの縁飾り)から。フランス語の本来の発音通り「ピコ」とも言う。
ビシソワーズ
フランス中部の都市ヴィシーのという意味のvichyssoiseが語源。考案者のニューヨークのホテルの料理長がヴィシーの出身だったためにこの名前がついたと言われている。
ビス
vis(ねじ釘)から。
ビスク
bisque(ビスク)から。
ビスチェ
→ビュスチェ
ビストロ
bistro[t](ビストロ)から。
ビデ
bidet(ビデ)から。
ビバーク
bivouac(野営・露営・野宿)から。日本語には登山用語として借用されている。
ビフテキ
bifteck(ビーフステーキ)から。このフランス語は英語のbeefsteakを借用したもの。日本語では「テキ」とも略し、また、「ポークステーキ」を「トンテキ」とも言う。
ピペット
pipette(ピペット)から。
ピューレ
purée(ピューレ)から。
ビュスチェ
bustier(肩紐がなく胸から腰までをぴったりと覆う女性用の下着や服)から。本来は肩紐が無いものを指すが、肩紐があるものもある。日本語では「ビュ」が発音しにくいためか、「ビスチェ」とも言う(Vuittonを「ヴュイトン」ではなく、「ヴィトン」と呼んでいることを参照)。
ビュッフェ
buffet(食器棚・立食用テーブル・立食料理・駅構内の軽食堂)から。日本語では、「ビュッフェ」は駅や列車の中の簡易食堂・立食形式の食事・バイキングの意味で使われている。促音を入れずに「ビュフェ」とも言う。また、「ビュ」が言いにくいためか「ブッフェ」とも言う。
ビュフェ
→ビュッフェ
ヒレ
filet(牛や豚のヒレ肉・魚の三枚におろした切り身・鶏のささ身)から。日本語にはヒレ肉の「ヒレ」として借用されている。関西では「ヘレ」と言う。
ピロティ
pilotis(ピロティ)から。
ファサード
façade(建物の正面)から。
ファムファタル
femme fatale(男を破滅させる女)から。
フィアンセ
fiancé(婚約者)から。
フィナンシェ
financier(フィナンシエ)から。この単語は本来「財界人」や「金持ち」という意味。この名称がついたのは、金塊に似ているからとか、パリ証券取引所近くの金融街から広がったからとか言われている。
ブイヤベース
bouillabaisse(ブーヤベース)から。
ブイヨン
bouillon(ブイヨン)から。
フィレ
filet(牛や豚のヒレ肉・魚の三枚におろした切り身・鶏のささ身)から。→ヒレ
ブーケ
bouquet(花束・熟成によって生まれるワインの芳香)から。
ブーケガルニ
bouquet garni(煮込み料理に使うハーブの束)から。
フォアグラ
foie gras(フォアグラ)から。
フォルム
forme(形・形式)から。日本語では美術用語で使われる。
フォワグラ
→フォアグラ
フォンダンショコラ
fondant au chocolat(フォンダンショコラ)から。フランス語に忠実に「フォンダン・オ・ショコラ」と表記されることもあるが、たいてい「オ」を省略して「フォンダンショコラ」と呼ばれている。gâteau au chocolatが日本語ではたいてい「ガトーショコラ」と呼ばれているのと同様である。→ガトーショコラ
フォンデュ
fondue(チーズフォンデュ)から。日本語では「チーズ」を加えて「チーズフォンデュ」とも言う。
フォンドボー
fond de veau(フォンドボー)から。
プチ
petit(小さい)から。「プチトマト」「プチホテル」「プチ整形」のように造語要素となっている。
プチプラ
「プチプライス」の略。→プチプライス
プチプライス
フランス語のpetit(小さい)と英語のprice(値段)の複合語。「プチプライス」よりも、短縮形の「プチプラ」の方がしばしば用いられる。→プチ
プチブル
→プチブルジョア
プチブルジョア
petit bourgeois / petit-bourgeois(小市民・中産階級の人)から。「プチブルジョワ」とも言う。短縮形の「プチブル」がよく使われる。
プチブルジョワ
→プチブルジョア
ブッフェ
→ビュッフェ
ブティック
boutique(小規模の店)から。日本語では、流行の服やアクセサリーを売る店を指すのに「ブティック」と言うが、これは英語での用法に由来しているのかもしれない。
フラッペ
frappé([飲み物が]冷やされた)から。日本語の「フラッペ」は、細かく砕いた氷で冷やした飲み物を指している。これはおそらく英語でのfrappéの用法を元にしていると考えられる。日本語ではかき氷も表すようになっている。
フランベ
flamber(燃やす・お酒を振りかけて火をつけてとばす)から。日本語にはお酒を振りかけて火をつけてとばすことを表す料理用語として借用され、「フランベする」のように用いられる。また、「バナナのフランベ」のようにフランベして作る料理を表す名詞としても用いられる。
フランボワーズ
framboise(ラズベリー)から。
ブラマンジェ
→ブランマンジェ
ブランマンジェ
blanc-manger(ブランマンジェ)から。「ブラマンジェ」とも言う。
フリーマーケット
英語のflea market(フリーマーケット)の借用だが、この英語はフランス語のmarché aux puses(蚤の市)の直訳。自由市場ではない。→蚤の市
ブリオーシュ
→ブリオッシュ
ブリオシュ
→ブリオッシュ
ブリオッシュ
brioche(ブリオッシュ)から。「ブリオシュ」「ブリオーシュ」とも言う。
フリカッセ
fricassée(フリカッセ)から。「チキンフリカッセ」は、フランス語ではfricassée de poulet。
ブルジョア
bourgeois(ブルジョア)から。「ブルジョワ」とも言う。
ブルジョアジー
bourgeoisie(ブルジョア階級)から。「ブルジョワジー」とも言う。
ブルジョワ
→ブルジョワ
ブルジョワジー
→ブルジョアジー
ブルゾン
blouson(ジャンパー)から。フランス語ではジャンパーを指す普通の語だが、日本語では、ファッション性の高いジャンパーを差別化してフランス語の「ブルゾン」で呼ぶようになっている。
フルーレ
fleuret(フルーレ)から。「フェンシング」という言葉は英語のfencingの借用だが、フェンシング自体はフランス起源なので、フェンシング用語はフランス語である。→エペ、サーブル
プレタポルテ
prêt-à-porter(プレタポルテ)から。直訳すると「着る準備ができている」という意味。
プロフィール
profil(横顔・輪郭)から。日本語では「プロフィール」は、簡単な人物紹介の意味で使われている。これは英語のprofileから生じた用法かもしれない。
フロマージュ
fromage(チーズ)から。日本では「ドゥーブルフロマージュ」「タルトフロマージュ」「スフレフロマージュ」「バトンフロマージュ」「ガトーフロマージュ」のように洋菓子の名前に使われることが多い。フロマージュがチーズケーキのことを意味するという誤解もあるようである。
プロムナード
promenade(散歩・遊歩道)から。日本語では遊歩道の意味で借用されている。
プロレタリア
フランス語のprolétariat(プロレタリア階級)あるいはドイツ語のProletarier(プロレタリア階級の労働者)から。
ベージュ
beige(ベージュ)から。英語にも入っているが、もともとはフランス語。
ベクレル
becquerel(ベクレル)から。ウランの放射能を発見したフランスの物理学者ベクレルBecquerelの名前に由来する。
ベトン
béton(コンクリート)から。
ベルモット
vermouth(ベルモット)から。
ヘレ
→ヒレ
ベレー
béret(ベレー)から。日本語では、「ベレー帽」とも言う。
ベロア
velours(ビロード)から。日本語には英語のvelour(s)を経由して入ってきたものと思われる。
ポエジー
poésie(詩・詩情)から。
ポシェット
pochette(小さな袋・小型ハンドバッグ)から。フランス語のpochetteは肩ひもや持ち手のない小型のバッグを指すが、英語に借用されて肩紐のある小型のバッグを意味するようになり、この意味で日本語に借用されている。
ポシャる
「シャッポを脱ぐ」の「シャッポ」の逆さ言葉を動詞化したもの。→シャッポを脱ぐ
ポタージュ
potage(スープ)から。フランス語のpotageはフランス料理のスープ全般を指す。日本語では「ポタージュ」はとろみのある濃厚なスープを指すが、フランス語のpotageは澄んだスープであるコンソメも含む。
ポチ
フランス語のpetit(小さい)に由来するという説があるが、その他の語源説もあり、はっきりしない。
ポトフ
pot-au-feu(ポトフ)から。
ポプリ
pot-pourri(ポプリ)から。
ホワイエ
foyer(暖炉・源・家庭・会館・集会所)から。英語に劇場やホテルの休憩所やロビーの意味で借用され、それが日本語に入っている。
ポワレ
poêler(鍋で蒸し焼きにする、フライパンで調理する)から。もともと料理の専門用語としては「鍋で蒸し焼きにする」ことを意味したが、poêleが「フライパン」を意味することから「フライパンで調理する」ことも意味するようになった。このため2つの違う意味があるというややこしいことになっている。「フライパンで蒸し焼きにする」という理解の仕方は両者を折衷したものである。フランス語のpoêlerは調理方法を表す動詞だが、日本語の「ポワレ」は調理方法および料理を表す名詞になっている。
ボンボン
bonbon(キャンディー)から。「ウィスキーボンボン」の「ボンボン」。
ポンポン
pompon(衣服・帽子・カーテンなどにつけるウールや絹の球形の装飾や球状に咲いた花)から。英語に借用されて、チアリーダーが両手にもつポンポンも指すようになり、これが日本語にも借用されている。
ポンパドゥール
→ポンパドール
ポンパドール
18世紀のフランス王ルイ15世の愛人ポンパドゥール夫人の名前Pompadourから。日本では前髪を高く盛り上げ後ろに流して額を見せる髪型を「ポンパドール」と呼んでいるが、この用法はおそらく20世紀のアメリカ英語から始まったものと思われる。フランス語の発音は「ポンパドゥール」の方が近い。
マカロン
macaron(マカロン)から。
マシーン
フランス語のmachine(機械)が、英語に借用され、それが日本語に借用された。chを[ʃ]で発音するのはフランス語の読み方。
マチエール
matière(物質・素材・題材・科目)から。日本語では美術用語として、作品の素材や題材を表すほか、作品の材質がもたらす効果も意味するが、これはフランス語ではむしろeffet de matière(s)か。
マチネ
matinée(午前中・昼の公演)から。もともと午前中の意味だが、19世紀の社交界でmatinéeが午後の意味で使われたことから、芝居やコンサートなどの昼間の公演を指すようになり、この意味で日本語に借用されている。「マチネー」とも言う。
マチネー
→マチネ
まっちゃおれ【抹茶オレ】
→カフェオレ
マドレーヌ
madeleine(マドレーヌ)から。
マドロス
フランス語のmatelot(水夫・船乗り)がオランダ語に借用されてmatroos(水夫・船乗り)になり、これが日本語に借用された。
マヌカン
mannequin(ファッションモデル・マネキン人形)から。日本語には「マヌカン」として借用され「ファッションモデル」の意味で使われている。他方、英語を経由して日本語に「マネキン」として借用されている。→マネキン
マネキン
mannequin(ファッションモデル・マネキン人形)から。英語を経由して日本語に借用されて「マネキン」になった。他方、フランス語から直接「マヌカン」としても借用され、「ファッションモデル」の意味で用いられている。→マヌカン
マヨネーズ
mayonnaise(マヨネーズ)から。
マクラメ
macramé(マクラメ)から。「マクラメレース」「マクラメ編み」とも言う。
マダム
既婚女性の敬称であるmadame(〇〇夫人、奥様)から。日本ではバーなどの女主人のことも指す。生活に余裕があって暇を持て余している既婚女性を指すのに「有閑マダム」と言う。
マリアージュ
mariage(結婚・組み合わせ)から。日本語では、ワインと料理などの味の相性が良いことを言うのに「マリアージュ」という言葉が使われる。
マリオネット
marionnette(操り人形)から。
マリネ
mariné(マリネにした・酢漬けにした)から。フランス語のmarinéは形容詞で、saumon mariné(サーモンのマリネ)のように素材を形容して料理名を作る。日本語の「マリネ」は料理を指す名詞になっている。
マルシェ
marché(市場)から。
マロニエ
marronnier(マロニエ)から。
マロン
marron(栗)から。→マロングラッセ
マロングラッセ
marron glacé(マロングラッセ)から。→マロン
マント
manteau(コート)から。フランス語のmanteauは袖があるコートを指すが、日本語の「マント」は袖がないコートを指す。日本語の「マント」は、英語での用法に由来しているのかもしれない。
ミクロン
micron(ミクロン)から。
ミニアチュール
miniature(ミニアチュール)から。
ミモレ
(à) mi-mollet(ふくらはぎの中ほどまでの)から。日本語ではしばしば「ミモレ丈」と言う。
ミュール
mule(足の後ろの部分を覆わない女性用の履き物)から。フランス語ではヒールの有無は関係ないが、日本語ではヒールが高いものを指すことが多い。
ミリグラム
milligramme(ミリグラム)から。
ミリバール
millibar(ミリバール)から。
ミリメートル
millimètre(ミリメートル)から。
ミリリットル
millilitre(ミリリットル)から。
ミルクレープ
mille(千の)とcrêpe(クレープ)から。ミルクレープは日本発祥で、「ミルクレープ」は和製仏語。「ミルフィーユ」にならって造語されたと思われる。
ミルフィーユ
millefeuille(ミルフィーユ)から。本来、洋菓子の名前だが、日本では「ミルフィーユ豚カツ」や「ミルフィーユ鍋」のように薄い食材を重ねた料理の名前にも用いられている。
ムース
mousse(苔・泡・泡立てた卵白と生クリームを加えて作る料理や菓子)から。日本語では、料理用語・製菓用語として借用されている。資生堂の泡状の整髪料の登録商標にも用いられているが、普通名称化している。
ムートン
mouton(羊・羊の肉・羊の毛皮)から。日本語では「羊の毛皮」を指すのに用いられている。例えば、「ムートンブーツ」など。
むーるがい【ムール貝】
moule(ムール貝)から。
ムニエル
(à la) meunière(ムニエルにした)から。文字通りには「粉屋風の」という意味。sole munière(シタビラメのムニエル)のように素材を形容して料理名を作る。日本語では、「ムニエル」は料理あるいは料理法を表す名詞になっている。
メーデー
英語のmayday(メーデー)からだが、これはフランス語の[Venez] m'aider(私を助けに[来て])に由来する 。
メートル
mètre(メートル)から。「メートル」は世界共通の単位制度を目指して18世紀末のフランスで生まれた。
メセナ
mécénat(財力のある者による文芸や芸術の庇護・企業による文化支援活動)から。日本においては企業による文化支援活動を指すのに用いられている。
メゾネット
maisonnette(小さな家)から。フランス語では古風な語。英語に借用されてmaisonnetteあるいはmaisonetteとなり、集合住宅の各戸が2階にわたるものを指すようになった。これが日本語にも借用された。フランス語ではメゾネットはduplexと言う。
メゾン
maison(家)から。フランス語のmaisonは家の意味だが、日本ではアパートやマンションの名前に「メゾン」が使われている。
メッシュ
mèche(ろうそくやランプの芯・導火線・髪の房・部分的に色を変えた髪)から。日本語では、「部分的に色を変えた髪」の意味で用いられている。
メトロ
métro(地下鉄)から。「東京メトロ」や「大阪メトロ」の名称に使われている。
メランジ
mélange(混合・混合物)から。日本では、霜降り糸や杢糸のように色の異なる繊維を混紡した糸を指して「メランジ」と言う。これは英語での用法が取り入れられたものではないかと考えられる。さらに、異なる色を混ぜた霜降り調や杢調の織物や編み物も指すようになっている。「メランジュ」とも言う。地質学用語の「メランジ」は「メランジュ」を参照。→メランジュ
メランジュ
mélange(混合・混合物)から。泥岩などにさまざまな種類や大きさの岩石が入り混じったものを指す地質学用語。「メランジ」とも言う。服飾用語の「メランジュ」は「メランジ」を参照。→メランジ
メルシー
merci(ありがとう)から。
メレンゲ
meringue(メレンゲ)から。
モアレ
moiré(波形模様)から。
モービル
→モビール
モケット
moquette(モケット)から。フランス語のmoquetteは部屋全体に敷き詰めるカーペットの意味でも用いる。
モスリン
mousseline(モスリン)から。フランス語ではもともと薄地の綿織物を指したが、絹や羊毛の薄織物も指す。日本では薄い毛織物を指すようになり、メリンスと同義になった。綿製のものは「綿モスリン」と言う。
モチーフ
motif(動機・理由・絵画の題材・曲の主題・反復模様の一単位)から。もともと行動の理由を表したが、そこから、絵画・曲・模様を生み出すものを指す意味が派生した。日本語には派生した意味で借用されている。
モティーフ
→モチーフ
モビール
mobile(動かせる・吊り下げた動く彫刻)から。日本語には「吊り下げた動く彫刻」の意味で借用されている。「モービル」とも言うが、これは英語からの借用。
モワレ
→モアレ
モンタージュ
montage(組み立て・特殊な効果を得るために異なる要素を組み合わせること[その結果できたもの]・フィルムの編集・映画のモンタージュ技法・合成写真)から。日本語には映画用語・写真用語として借用されている。
モンブラン
mont-blanc(モンブラン)から。フランスとイタリアの国境にある山Mont-Blanc(モンブラン)に由来。直訳すると「白い山」という意味。
ユマニスム
humanisme(人文主義)から。
ユマニチュード
humanitude(ユマニチュード)から。
ユマニテ
humanité(人間性)から。
よのじしょにふかのうのもじはない【余の辞書に不可能の文字は無い】
ナポレオンの言葉とされるが、厳密には違う。Impossible n’est pas français.(不可能はフランス語にあらず)の意訳。
ラグー
ragoût(肉や野菜をソースで煮込んだフランス料理)から。パスタに使う「ラグー」あるいは「ラグーソース」はイタリア語のragùからだが、これも結局フランス語のragoûtにさかのぼる。
ラクロス
英語のlacrosse(ラクロス)からだが、これはカナダの先住民が行なっていた競技をフランス人がフランス語でla crosse(ホッケーなどのスティック)と呼んだのが語源(laは定冠詞)。
ラタトゥイユ
ratatouille(ラタトゥイユ)から。フランス語では「ごった煮」や「粗末な料理」の意味もある。rata(ごった煮)とtouiller(混ぜる)からできた言葉だという説明が見られるが、rataという語自体がratatouilleを短縮してできたものなので、話が逆転してしまっている。ratatouilleの語源については諸説あり、はっきりしない。「ラタトゥーユ」「ラタトゥユ」とも表記される。
ラタトゥーユ
→ラタトゥイユ
ラタトゥユ
→ラタトゥイユ
ラメ
lamé(金属箔を施した糸を織り込んだ織物)から。日本語ではむしろ金属箔を施した糸の方を指すのに用いられている。また、化粧に用いる金色や銀色の粉も「ラメ」と呼んでいる。
ラルクアンシエル
l'arc-en-ciel(虹)から。l'は定冠詞。日本のロックバンドが名称にしている。
ラングドシャ
langue-de-chat(ラングドシャ)から。直訳すると「猫の舌」。
ランジェリー
lingerie(下着類、特に女性用のもの)から。日本語では「ランジェリー」は装飾性の高い女性用下着を指す。
ランデブー
rendez-vous(会う約束)から。日本語では特に恋人同士が約束して会うことを表すのに使っていた。フランス語でも、日本語でも、宇宙船や宇宙ステーションがドッキングのために宇宙空間で接近することも指すが、英語でのrendezvousの用法からだろう。
リエゾン
liaison(連絡・関係・連音)から。フランス語学習者には「連音」を表す語として知られている。韓国語の発音についても「リエゾン」という語が使われることがあるが、現象としてはアンシェヌマンenchaînementの方に近く、韓国では「リエゾン」(리에종)とは呼んでいないようである。→リエゾンオフィス、リエゾン精神医学
リエゾンオフィス
英語のliaison office(連絡事務所)からの借用だが、liaisonはもともとフランス語で「連絡」の意味。日本では特に大学の社会連携を支援する部署の名称として用いられている。→リエゾン
りえぞんせいしんいがく【リエゾン精神医学】
英語のliaison psychiatry(リエゾン精神医学)の訳語だが、liaisonはもともとフランス語で「連絡」の意味。この「リエゾン」は、マンガおよびドラマ『リエゾン ーこどものこころ診療所ー』の題名にも出てくる。→リエゾン
リキュール
liqueur(リキュール)から。
リットル
litre(リットル)から。「リッター」は英語読み。
リュージュ
luge(小型のそり・小型のそりを使った競技)から。「リュージュ」は冬季オリンピックの正式種目として知られている。
リラ
lilas(リラ・リラの花)から。
リンネル
フランス語のlinière(亜麻の[女性形]・亜麻畑)を語源とする説があるが疑わしい。他に、英語のlinen(亜麻糸・亜麻布)、ドイツ語のLinnen(亜麻布)、オランダ語linnen(亜麻布)を語源とする説があるが、これだと語末が「ン」ではなく「ル」になることが説明できないために考えだされた説であろう。ドイツ語語源説は、亜麻布を指すにはLeinenの方が多く用いられることが問題である。『日本国語大辞典』では「リンネル」の初出が『服製年中請負仕様書』(1868頃)の「リンネル 三揃」であり、この語が早くから使われていたと考えると、オランダ語語源説が有利のように思われる。「リンネン」ではなく「リンネル」となったのは、「フランネル」やその短縮語の「ネル」の影響だとする説もあるが、鼻子音が連続しているために最後の鼻子音が異化した結果かもしれない。
ルー
roux(赤茶色[の]・小麦粉をバターで炒めたもの)から。日本語ではカレーのルーを指すのに使っている。しばしば「ルウ」と表記される。
ルウ
→ルー
ルージュ
rouge(赤・赤い・紅・口紅)から。日本語では口紅を指すのに「ルージュ」が使われている。
ルーペ
フランス語のloupe(虫眼鏡)がドイツ語に借用されてLupe(虫眼鏡)になり、これが日本語に借用された。
ルーレット
roulette(キャスター・ギャンブルに使うルーレット・布に歯車を押し付けて回転させて点線の跡を付ける裁縫道具)から。日本語にはギャンブルのルーレットと裁縫道具のルーレットが借用されている。ただし、裁縫道具のルーレットは「ルレット」とも言う
ルクス
lux(ルクス)から。
ルセット
recette(レシピ)から。日本語では英語recipeを借用した「レシピ」が広く使われているが、フランス料理ではフランス語由来の「ルセット」も用いられている。
ルックス
→ルクス
ルネサンス
Renaissance(ルネッサンス)から。もともとは「再生」という意味。
ルポルタージュ
reportage(ルポルタージュ)から。日本語では省略して「ルポ」とも言う。また、「ルポ」を書く人を英語の「ライター」と組み合わせて「ルポライター」とも言う。
ルレット
→ルーレット
レオタード
英語のleotard(レオタード)からだが、この名称は考案者であるフランスの軽業師Jules Léotard[ジュール・レオタール]に由来する。しかし、フランス語ではléotard[レオタール]とはあまり言わず、justaucorps[ジュストコール]と言う。
レジスタンス
résistance(抵抗・抵抗運動)から。
レジメ
→レジュメ
レジュメ
résumé(要約)。日本語ではしばしば会議やプレゼンで配布する資料あるいはハンドアウトの意味で用いられる。「レジメ」とも言う。
レストラン
restaurant(レストラン)から。
レゾンデートル
raison d'être(存在理由)から。
レビュー
revue(ミュージックホールの歌・ダンス・コントからなるショー)から。「評論」の意味の「レビュー」は英語のreviewから。→レビューガール
レビューガール
おそらくドイツ語のRevuegirl(レビューガール)から。Revue(レビュー)とGirl(踊り子)の複合語だが、Revueはフランス語からの借用語。→レビュー
ローブ
robe(ドレス・法服)から。→ローブデコルテ、ローブモンタント
ローブデコルテ
robe décolletée(背中や胸元が見えるようにした女性用の礼服)から。→ローブ
ローブモンタント
robe montante(襟の高い女性用の礼服)から。→ローブ
ローリエ
laurier(月桂樹・月桂樹の葉)から。日本語には香辛料としての乾燥した月桂樹の葉を指す言葉として借用されている。
ロココ
rococo(ロココ様式)から。
ロゼ
rosé(ロゼワイン)から。
ロマン
roman(長編小説)から。日本語では「男のロマン」や「古代のロマン」のように空想をかき立てるものごとを指すのにも「ロマン」という語が用いられるが、これはフランス語のromanの借用というよりは、「ロマンチシズム」「ロマンチック」「浪漫主義」「浪漫的」などの語から生まれてきた用法のようである。
ロマンチスト
英語のromanticistを借用した「ロマンチシスト」が変化したものとされるが、フランス語のromantismeを借用した「ロマンチスム」から新たに派生されたとも考えうる。→ロマンチスム
ロマンチズム
英語のromanticismを借用した「ロマンチシズム」が変化したものとされるが、フランス語のromantismeを借用した「ロマンチスム」の変異形とも考えうる。→ロマンチスム
ロマンチスム
romantisme(ロマン主義・夢想的な性格)から。→ロマンチズム、ロマンチスト
ワンクール
→クール

フランス語からの外来語については、解説記事「フランス語からの外来語」もご覧ください。



©平塚徹(京都産業大学 外国語学部)

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