2000.9.24. 11号館11202CALL教室
☆自己紹介
山上證道(やまかみ しょうどう) 1939年生まれ 京都大学文学部大学院(哲学・インド思想)、インド・デリー大学留学、イギリス・ オックスフォード大学研究員、インドムスリムの調査、文博。 文化学部国際文化学科 「アジア文化基礎演習」「アジア事情」「インド思想史」「仏教文化論」「文化講読」 を担当。 他に、共通科目として「古代インドの世界」「仏教の世界観」を担当。 よく尋ねられる質問 「なぜ、インドを専門に研究するようになったの?」「インドは好き、嫌い?」 「文化学部と外国語学部、どう違うの?」
インドには何がある?
---インド文化入門---
1. 混沌のインド
(1)時代的混沌=古いものと新しいものの共存 (左・古いもの、点線の右・現代インド) a. インダス文明(BC2300〜BC1700頃) 牛の神聖視 - - - - - 町中を闊歩する牛 水の神聖視 - - - - - ヴァラナシの沐浴 インダス文字(ドラヴィダ系)(資料1) - - - - - 南インドはドラヴィダ系(資料2) b. アーリヤ民族の侵入(BC1500頃)と - - - - - 北インドはアーリヤ系 四姓(バラモン・クシャトリヤ・ 複雑なヴァルナ・カースト制 ヴァイシャ・シュードラ)の成立(資料3) c. 仏陀(釈迦)の出現(BC5〜6世紀) - - - - - ストゥーパ(卒塔婆→塔婆→塔) ヴィシュヌの化身としての仏陀 d. ヒンドゥー教(シヴァ神・ヴィシュヌ - - - - - シヴァ・ヴィシュヌ信仰が中心 神信仰)の広がり(AD0頃) e. イスラムの北インド支配(1200頃)- - - - - タージマハル(シャー・ジャハーン) イスラム国家(パキスタン・バング ラデーシュ) シク教徒(イスラムの影響大) f. イギリス支配(17世紀以後)と - - - - - 英語が第2公用語(第一はヒンディー語) ガンディー(1869-1948) 議会制民主主義 g. コンピューターとハイテク・マハラジャの現代 (2)民族的混沌=多民族の共存 a. ある一家の構成(4言語による新聞) 祖父=現在パキスタン領の出身(ウルドゥー語) 祖母=カルカッタ出身(ベンガル語) 父=デリー育ち(ヒンディー語) 母=デリー育ち(英語) 長男(大学生)・次男(小学生)=デリー育ち(ヒンディー語) b. <>100ルピー紙幣(約300円) <>裏面(15言語で100ルピーと明記、ヒンディーと英語を加えると17言語) c. 主な民族 <>アーリヤ系(北、西、中インド)、<>ドラヴィダ系(南インド)、 <>シナ・ティベット系(東インド・ヒマラヤ地方)等 d. 主な宗教(資料4) ヒンドゥー教(83%)、イスラム教(11%)、キリスト教(2.5%)、 シク教(2%)、仏教(0.7%)、ジャイナ教(0.4%)、その他(0.4%)2. 統一要素としてのヒンドゥーイズム(ヒンドゥー教)
混沌の国を、「インド」という一つの国にまとめているものは何か? その答えは、おそらく、「ヒンドゥーイズム(ヒンドゥー教)」であろう。 ヒンドゥーイズム=単に宗教のみでなく宗教を基盤にした「インド的考え方およ び生き方」。(資料5) (1)宗教としてのヒンドゥーイズム(ヒンドゥー教) a. シヴァ神、ヴィシュヌ神、ブラフマ神[梵天]の3神が中心。 しかし、他にこれら3神に関係する多数の神々が存在する。(資料6) シヴァ一族(妃・・・パールヴァティー・カーリー・ドゥルガーなど 息子・・・ガネーシャ・スカンダ[韋駄天]、 乗り物・・・ナンディン牛) ヴィシュヌ一族(妃・・・ラクシュミー[吉祥天]、 乗り物・・・ガルーダ鳥) 10化身のうちに仏陀 ブラフマ一族(妃・・・サラスヴァティー[弁才天]、 乗り物・・・ハンサ鳥) b. これら多数の神々は究極的には一つ。 この考えがヒンドゥー教の寛大さの源になっている。どのような異質なものを とり入れても、結局はヒンドゥー的なる一つのものに融合してしまう。 (2)社会生活としてのヒンドゥーイズム(ヒンドゥー教) a. いわゆるカースト制度 = 浄・不浄が原因となった職業区分。(資料7) 浄とは、神に近いもの=祭官であるバラモン。 b. 家庭生活 誕生から成人まで、ヒンドゥー教の儀式、結婚式も勿論ヒンドゥー儀式。 結婚して男子をもうけることが義務、それはその家の先祖の霊を祭るため。 (3)インドのカレー インド料理(カレー)を食べてヒンドゥーイズムの特徴が理解できる?3. 最後に
(1)なぜインドとパキスタンとは仲が悪いの?(資料8) (2)日本とインドとの比較。日本にもヒンドゥー教的な要素がある? (3)日本とインドで一番違うことは?4. おまけ
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