受講生のみなさんへ

授業は休まないように心がけましょう。

*10月3日    大乗仏教の思想を見る前に、五蘊の思想に代表される「存在の分析」をみてみました。
*10月10日 大乗仏教がどのようにして興ってきたかを詳しく説明しました。仏教の大きな転換期です。
*10月17日 大乗仏教の思想的特徴である「空」とそれに続く「唯識」の思想を少々話しました。
*10月24日 唯識思想の三性説を簡単に説明しました。難しかったと思います。
   我々の日常世界が夢幻の世界、とは現代の我々にはとうてい受け入れることはできないでしょうが、
   別な見方をすればそこから学べることも多いと思います。
*10月31日 バラモン教学のうち、ウパニシャッド伝統の外で発達したと思われる思想と、ウパニシャッド
   伝統を受け継いだと思われる思想について話しました。とくに後者は今後の展開の上で重要です。
*11月7日 ウパニシャッドの伝統を受け継いでインドの代表的な哲学となったヴェーダーンタ思想
      を見ました。とくに、インドで最も偉大な思想家といわれるシャンカラのブラフマン一元論を
      見ましたが、今後お話しするヒンドゥー教の人格神崇拝とこのブラフマン一元論との相克に注目してください。
*11月14日 今日からヒンドゥー教に入ります。バラモン教神学のブラフマン一元論とこれから
   お話ししますヒンドゥー教の人格神崇拝との葛藤が後にはヴィシュヌ派哲学者のブラフマン=
   ヴィシュヌ神という形に凝縮されることになります。
*11月21日 ラーマーヤナとヒンドゥー教のつながり、さらには、ヴィシュヌの十化身に
   ついての伝説を話しました。
*11月28日 まず、マハーバーラタのアウトラインを見てみました。その上で、ヒンドゥー教との関わりで、
   バガヴァッド・ギーターの核心を説明しました。これが何故ヒンドゥー教最高の聖典といわれるか
   理解できたと思います。
*12月5日 タントラについて少し話しました。7,8世紀からインドで流行した思想傾向ですが、
   詳細は未だよくわかっておりません。性力(シャクティ)信仰や神秘的人体生理学などが結合した
   きわめて現実肯定的な思想傾向であることは間違いないようです。
*12月12日 今日からイスラム影響下のインドの話に入りました。インドの民衆に大きな影響を与えた
   スーフィーと呼ばれたイスラム神秘主義者達がなぜ出現したのかを考えました。
*12月19日 デリー・サルタナット政権が、ヒンドゥー融和策をとったことを説明して、インドに
   おいては「片手にコーラン、片手に剣」という西アジアにみられたイスラムのあり方とは異なって
   いたことをまず話しました。次に、デリー3大スーフィーのうち、最も親しまれている
   ニザームッディーン・アウリアーの廟とその周りにできたダルガーと呼ばれるイスラム施設の
   説明をしました。
*1月9日 イスラム教のスーフィーの活躍と同時に、ヒンドゥーサイドでも、バクティ思想に変化が
   生じたこと、ウパニシャッド思想を引きずった古いバクティ思想が次第にリベラルで差別のない
   バクティ思想へと変容していく様子などを、南インドのバクティ運動とそれを北インドへ
   もたらしたラーマーナンダの存在などを中心に話しました。
*1月16日 グル・ナーナクが始めたシク教と、ナーナク以後のグルたちの活動を見ました。
   ヒンドゥーとイスラムとの抗争をなんとかして収束させたいとのナーナクの初心もその後の
   ムガールやヒンドゥー指導者との対立で思ったようには進まなかったことが理解できたと思います。

秋学期試験について

#日時  1月23日(木)2限(10:40〜12:10) #教室  11406 #形式  記述式 *以下に重要なトピックスを列挙しておきますので試験の勉強に利用してください。 1 大乗仏教の意味とその特質を整理してみよう。 2 唯識という考え方を自分なりに理解してみよう。 3 シャンカラの一元論を説明して、なぜそれが幻影主義といわれるか、その理由を考えてみよう。 4 ヒンドゥー教の三神をあげ、その特質をまとめてみよう。 5 バガヴァッド・ギーターという文献についてそれがいかなる文献であり、いかなる思想を持ったものか、   整理してみよう。 6 スーフィー、スーフィズムとはなにか、またインドにおいてどのような役割を果たしたのか。   また、一人のインド生まれのスーフィーの活動のあとを訪ねてみよう。 7 シク教とはいかなる宗教であるか。その特徴をまとめてみよう。

私のHPに掲載した二つの論文「インド理解のキーワード---ヒンドゥーイズム---」 「反目と融和---インド亜大陸におけるヒンドゥー教とイスラム教の交流---」が上記の 勉強の役に少しは立つかもしれませんから見てください。

春学期の内容

*4月11日  イントロダクション    インド思想の流れについて概説しました。 *4月18日  創造神話    ヴェーダ文献から宇宙創造神話を取り上げてインド古来からの宇宙観を説明しました。 *4月25日  宇宙開闢の讃歌    リグ・ヴェーダの最高峰といわれる「宇宙開闢の讃歌」を読みながら、インド思想の象徴ともいえるその内容を説明しました。 *5月9日 アタルヴァ・ヴェーダ    アタルヴァ・ヴェーダの中から特に注目に値する讃歌を2,3取り上げました。特に、大宇宙と小宇宙との 対照が見られる「プラーナの歌」などはインド思想の核心に関わる重要なものとして見逃せないことを説明しました。 5月16日    アタルヴァ・ヴェーダに続いて梵書(Brahmana)文献に見られる創造神話を見ました。そこには、言葉による 創造という興味ある神話と共に、旧約聖書のノアの洪水にも類似している洪水神話があることも説明しました。 *5月23日    梵書文献に見られるもう一つの重要な神話、「ブリグの地獄遍歴物語」を読み、地獄の概念が次第に 定まってきた様子、因果応報の思想の芽生え等を確認し、しかし、現世をまきこんだ輪廻思想はまだ この時代には登場していなかったという重要なことを学びました。 *5月30日    輪廻思想の初期形態をウパニシャッド文献から見ました。水と共に循環している生命を、 祭祀神秘主義のヴェールに包んで謎のような文章にしたバラモンたちのやり方が特徴的です。 *6月6日    宇宙原理として古代のインドの人々が考えたbrahmanのことについて考えました。インドに独特の 帰一思想の流れやbrahmanという語の変遷などを辿ってみました。brahmanを知るものはインドを知る と言っても過言ではありません。 *6月13日    個人原理として古代インドの人々が見いだしたアートマン(atman)について説明しました。 そして、古代インドの神秘思想の核心である梵我一如(brahman=atman)の思想を考えました。 「汝(のアートマン)はそれ(ブラフマン)である。」(tat tvam asi)に代表される大文章 (mahavakya)の意味するところを現代の目で考えるとどうなるか、ということを一緒に考えました。 来週もこの問題を考えてみたいと思っています。 *6月20日    梵我一如の認識について多くの人が理解できないと書いてくれましたので、この問題を少し考えました。 我々日常の客体化した世界とは異なって対象と一体化した世界であること、それは、我々が時々経験することでは、 「我を忘れる」という対象に没頭した世界が比較的理解可能なのではないか、といったことを話しました。 *6月27日    バラモンの主張する梵我一如の思想に挑戦するかのように登場した仏教の思想を見ることにします。 まず、ブッダの世界観をよく表している縁起という見方と、無我の主張である五蘊という考えかたを学びました。 *7月4日    ブッダの「はじめての説法」から四聖諦と八正道をみることにします。ブッダが目覚めた真実と 目覚めに至る道とを示したものです。今日は四聖諦の苦諦の説明まででした。 *7月11日    ブッダの覚りの内容、四聖諦・八正道の説明に終始しました。

春学期試験について

#日時  7月18日(木)第2時限 #教室  116 #形式  記述式 #今までの授業で特に重要なトピックスをあげておきますので勉強に利用してください。 1 古代インドにおける初期輪廻思想について整理してみよう。いつ頃から表面に登場してきたか。 二道・五火のおしえとは何を意味していたか。輪廻と不可分離の関係にある思想にどのようなものがあるかなどを考えてみよう。 2 宇宙開闢の歌といわれる古代インドの讃歌はなにを表現しようとしていたか。また、そこに見られる 「かの唯一なるもの」について考えてみよう。 3 マヌと大洪水の物語を思いだし、それのインド思想に持つ意味を考えてみよう。 4 ブラフマンとはなにか。アートマンとはなにか。それぞれの意味の変遷を見てインドにおけるその重要性を知ろう。 5 マハーヴァーキヤ(mahavakya・大文章)とはなにか。何故、それは大文章と呼ばれるか、を考えてみよう。 6 仏教でいわれる「縁起」とはどのようなことあるか、また、それは、インドにおいてどのような 意味を持つか考えてみよう。 7 五蘊の主張は誰によって何のためになされたのか、まとめてみよう。

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Last modified: Sun Jan 19 16:02:35 JST 2003