受講生のみなさんへ

*10月2日   イントロダクション
      これから扱うヒンドゥー教は「融合・融和」そのものではあるが、それは必ずしも「大いなる寛容」と
      同義ではないという少し皮肉な見方を述べました。
*10月9日   ヴィシュヌとシヴァ
   ヒンドゥー教では大きな存在であるヴィシュヌ神もシヴァ神も、リグ・ヴェーダに登場はするものの、
   マイナーな存在であったことを知りました。どうしてそれが大きな存在になっていったのかをこれから見ていきます。
*10月16日  シヴァ信仰の広がり
   シヴァ信仰が土着信仰を見事に取り込んでインド全土に広まっていった様子を説明しました。
*10月23日  ヴィシュヌ信仰の広がり
   ヴィシュヌ信仰は化身の思想によってインド全土に広がりましたが、その化身の内有名な
   10化身の話をしました。
*10月30日 ヴィシュヌ信仰の広がりの続きで、クリシュナ信仰について少し詳しく話しました。
   クリシュナは古代インドの超スーパースターであったようです。
*11月6日 二大叙事詩に入りました。まず、比較的話が単純なラーマーヤナからはじめました。
   この話ほどインドの人たちが好むものはなく、また、アジアにこれほど広がっている話はありません。
*11月13日 次にマハーバーラタの内容を概説しました。さいわい、ピーター・ブルックの映画の
   ヴィデオがありますのでその一部を見ました。ありとあらゆるものをぶち込んだこの叙事詩は
   登場人物も膨大で話も複雑ですがインド理解に不可欠であることは言うまでもありません。
*11月20日 マハーバーラタ最後の場面、映画でも表現してましたが、大乗菩薩道を思わせるようなと
   ころがあります。紀元前後のインドでこのような利他行による救いが広く流行っていたことを窺わせます。
*11月27日 マハーバーラタに挿入されている「バガヴァッド・ギーター」についてその一節を読みながら、
   ヒンドゥー教最高の聖典といわれる所以を解説しました。ヒンドゥー教がインドに広く拡がった
   わけもよく分かりますし、なぜ、ヒンドゥー教とヴァルナ制度とがつながっているのかも分かったと思います。
*12月4日 バガヴァッド・ギーターに述べられた悪人でも救われるという思想を、親鸞の悪人正機と
   対照して見てみました。ギーターにおいては親鸞のような絶対他力というところまではいっていない
   ことがわかったと思います。
*12月11日 バクティ思想のその後の展開と題して、南インドで興ったバクティ運動、特に
   アールワールと呼ばれる人たちの活動を説明し、そのような活動が結局、猫学派とよばれる
   絶対他力思想へとつながっていったと考えられます。
*12月18日 アールワールの影響を受けたと思われる南インドのヒンドゥー教ヴィシュヌ派の
   シュリーヴァイシュナヴァのラーマーヌジャという哲学者が、宇宙の根源ブラフマンは
   ヴィシュヌと同一であると主張することにより、インドのヴェーダーンタ哲学内で長年
   葛藤のあったブラフマン一元論と人格神ヴィシュヌ信仰との相克に終止符を打ったことに
   なることを説明しました。
*1月8日 古代インドの人生観として、ダルマ(法)・アルタ(財)・カーマ(愛)という問題
   (ひとまとめにしてtrivarga=三つどもえといいます)を取り上げていきます。今日は、
   マハーバーラタに、この三つがバランスよくとれているのが理想的であるという議論を紹介しました。
*1月15日 ダルマ・シャーストラの代表として、マヌ法典の内容をのぞいてみました。
   ヴァルナ社会の安定のためのバラモン中心の社会生活規範が詳細に規定されてます。
   この姿勢が現代までインドのカーストを存続せしめた第一の原因と言っていいでしょう。
*1月22日  アルタ・シャーストラの内容とカーマ・スートラの内容の一部を紹介しました。
      とくに、アルタ・シャーストラ(実利論)の内容には驚いた方もあったと思います。
      あのインドが、何故、現代でも「政治大国」であるのか、という謎の一部が解けたように思えませんか。
      一方、カーマ・スートラは、世間でとやかく言われるような一部分以外は、人間生活の情緒面を
      強調した一種の教養書という感じで、これからはそのようなとらえ方がなされることを期待してます。


*秋学期定期試験について

 #実施日時・・・2月12日(水)2時限(11:00〜12:00)  #教室・・・501  #試験形式・・・記述式。  #試験範囲・・・授業中に講義した内容すべて。

*秋学期授業内容のポイント

1 インドの土着性とはどのようなものであったと思うか。インダス文明以来ヒンドゥー教の   成立までを視野に入れて考えてみよう。 2 シヴァ神とヴィシュヌ神とはヒンドゥー教の二大神であるが、それぞれの信仰がインドで どのようにして広まっていったか具体例を挙げながら考えてみよう。 3 マハーバーラタのアウトラインをまず辿ってみよう。また、この物語がヒンドゥー教に おいて持つ意味について考えてみよう。 4 今度は、ラーマーヤナのアウトラインを辿ってみよう。また、この物語がヒンドゥー教に おいて持つ意味について考えてみよう。 5 バガヴァッド・ギーターとはいかなる文献であろうか。また、何故ヒンドゥー教で重要な 聖典と言われるのか、内容の一部を読みながら考えてみよう。 6 三つどもえ(trivarga)といわれる古代インドの人々の人生観とはいかなるものであったか。   そこから現代のインドの何が見えてくるであろうか。

私のHPに掲載した二つの論文「インド理解のキーワード---ヒンドゥーイズム---」 「反目と融和---インド亜大陸におけるヒンドゥー教とイスラム教の交流---」が上記の勉強の 役に少しは立つかもしれませんから見てください。

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Last modified: Fri Jan 31 15:29:54 JST 2003