札幌税関検査事件
第一審判決

異議申出棄却決定取消等請求、輸入禁制品該当通知処分等取消請求事件
札幌地方裁判所 昭和50年(行ウ)第1、2号
昭和55年3月25日 判決

原告       松栄直勝
被告(1号事件) 国
被告(2号事件) 函館税関長
         函館税関札幌税関支署長

■ 主 文
■ 事 実
■ 理 由

■ 参照条文


一1 被告函館税関札幌税関支署長が関税定率法21条3項に基づき、原告に対して昭和49年5月9日付でした、別紙物件目録(一)の各物件が輸入禁制品に該当する旨の通知処分及び同年6月7日付でした同目録(二)の各物件が輸入禁制品に該当する旨の通知処分をいずれも取消す。
  被告函館税関長が関税定率法21条5項に基づき、原告に対して昭和49年11月6日付でした、別紙物件目録(一)の各物件についての決定通知書番号第2号の異議申出棄却決定及び同目録(二)の各物件についての決定通知書番号第3号の異議申出棄却決定をいずれも取消す。
 原告の被告国に対する請求をいずれも棄却する。
 訴訟費用は、原告に生じた費用の2分の1と被告函館税関札幌税関支署長及び被告函館税関長に生じた費用を被告函館税関札幌税関支署長及び被告函館税関長の負担とし、原告に生じたその余の費用と被告国に生じた費用を原告の負担とする。

一 原告
1 (昭和50年(行ウ)第2号事件につき)
(一) 主文第一項同旨。
(二) 訴訟費用は、被告函館税関札幌税関支署長及び被告函館税関長の負担とする。
2 (昭和50年(行ウ)第1号事件につき)
(一) 被告国は原告に対し、別紙物件目録(三)及び(四)の各郵便物を引渡せ。
(二) 被告国は原告に対し、金100万円を支払え。
(三) 訴訟費用は被告国の負担とする。
(四) 第(一)項につき仮執行宣言。


(被告函館税関長及び被告函館税関札幌税関支署長)

1 本案前の申立
(一) 本件訴えをいずれも却下する。
(二) 訴訟費用は原告の負担とする。
2 本案についての申立
(一) 原告の請求をいずれも棄却する。
(二) 訴訟費用は原告の負担とする。
(被告国)
1 主文第二項同旨。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 原告の請求が認容される場合、担保の提供を条件とする仮執行免脱宣言。
(1)(被告函館税関支署長(以下、被告税関支署長という)及び被告函館税関長(以下、被告税関長という)の各行政処分の存在)
[1](a) 原告は、昭和49年3月下旬、アメリカ合衆国、ドイツ連邦共和国等所在の商社に対し、別紙物件目録(一)の8ミリ映画フイルム、雑誌、カタログ、及び同目録(二)の書籍(以下、「本件物件(一)、(二)」のごとくいい、これを総称して「本件物件」という)の購入を注文したところ、右商社らは、右注文に応じ、同年3月下旬から4月下旬にかけて、本件物件を包有する別紙物件目録(三)、(四)のとおりの原告あての7通の外国郵便物(以下、「本件郵便物」という)を差し出し、これらはそのころ札幌中央郵便局に到着した。
[2] そこで、札幌中央郵便局は、関税法76条3項に基づき、そのころその旨を被告税関支署長に通知したので、同被告は、関税法76条1項但書に基づき、そのころ税関職員に右本件郵便物中にある本件物件について検査をさせた。
[3](b) その結果、被告税関支署長は、関税定率法21条3項に基づき、昭和49年5月9日原告に対して、本件物件(一)につき左記理由を付したうえ、それが同法21条1項3号に掲げる貨物に該当する旨の通知をした。
    記
 本件物件(一)の番号1、2につき「男女の性交行為を漫画で描いたもので、性器並びに性交行為が過大に描写されている。」
 同番号3、4につき「男女の性交行為が撮影されており、性器、陰毛等肉体の特定部分が明瞭かつ判然としている。」
 同番号5につき「男女の裸体及び性交行為が印刷されており性器、陰毛等肉体の特定部が明瞭かつ判然としている。」
 同番号6、7につき「女性の裸体を印刷したもので、性器、陰毛等肉体の特定部分が明瞭かつ判然としている。」
[4] また、被告税関支署長は、同様に、同年6月7日原告に対して、本件物件(二)につき左記理由を付したうえ、右同旨の通知をした。
    記
 本件物件(二)の番号8につき「図版のなかに男女の性器、性愛行為及び性交行為を描写しているものが多数掲載されており、風俗を害するものと認められる。」
[5](c) 原告は、右各通知を受けたが不服であつたので、関税定率法21条4項に基づき、被告税関長に対し、昭和49年5月20日本件物件(一)についての通知に対し異議申出をし、また、同年7月5日本件物件(二)についての通知に対し異議申出をした。
[6] しかるところ、被告税関長は、同法21条5項に基づき、同年11月6日本件物件(一)についての通知に対する異議申出に対し、左記理由でこれを棄却する旨の決定をし、その旨の通知(決定通知書番号第2号)は同月19日原告に到達した。
    記
 申出にかかる映画フイルムは、そのいずれも性愛、性交行為が明らかに撮影されており、また、雑誌3冊、カタログ3点には露出された陰毛、性器若しくは性愛、性交行為を明らかに表現した写真が多数掲載されており、我国の社会事情からみて風俗を害すべきものと認められる。
[7] また、被告税関長は、同様に、昭和49年11月6日本件物件(二)についての通知に対する異議申出に対し、左記理由でこれを棄却する旨の決定をし、その旨の通知(決定通知書番号第3号)は同月19日原告に到達した。
    記
 申出にかかる書籍2冊には、性愛、性交行為を明らかに描写した興味本位の絵画が一部掲載されており、現状においては、我国の社会事情からみて風俗を害すべきものと認められる。
(2)(右行政処分の処分性について)
[8] 関税定率法21条1項は、輸入禁制品を法定しているが、同時に、輸入禁制品に該当するかどうかの第一次的判定権限を税関長に専属させている。輸入禁制品が法定されているだけでは、当然に輸入禁止が実現しうるものではなく、特に、禁制品に該当するか否か疑問の余地がある場合、禁止が実現するか否かは税関長の判定にまたなければならないわけである。
[9] 税関長の輸入禁制品該当通知に対しては、1か月以内に異議申立ができるが、異議申立に対する決定が確定すると該当通知を争うことができなくなる。本件のごとく当該物品が郵便物の場合、輸入禁制品該当通知が確定すると、郵便物を保管している郵政庁は、右決定通知書日付から当該郵便物を2か月間保管し、その間名あて人からの任意放棄の申出がなければ、返送又は転送の処置がとられ、返送又は転送できない場合は、当該郵便物はすべて棄却され、他の包有品は一般の還付不能郵便物の例により処理される(外国郵便物通関交換事務取扱規程33条)。
[10] したがつて、本件においては、被告税関支署長の行つた各通知(以下、「本件通知」という)が確定すると、本件物件は原告に引渡されないことに確定するという法的効果を生ずる。
[11] このことは、関税法76条4項が、同法70条を読み替え準用し、結局、郵便物中の信書以外の物につき、輸入禁制品該当通知が確定すると、検査の完了又は条件の具備を証明し、その確認を受けることができないことになり、「郵政官署はその郵便物を発送し、又は名あて人に交付しない」と定めていることからも明らかである。
[12] なお、外国来郵便物の名あて人の郵政官署に対する郵便物引渡請求権の法的性質をどうみようとも、本来交付されるべき郵便物の交付を受けられないことは、名あて人の権利ないしは法益の侵害といいうる。
[13] したがつて、本件通知及び被告税関長の行つた決定(以下、「本件決定」という)によつて原告の権利が侵害されることは明らかであり、これらが行政事件訴訟法に規定する抗告訴訟の対象となるべき行政処分に該当することは明白というべきである。
[14] これに反する解釈は、憲法32条、裁判所法3条の趣旨に適合しない。なぜならば、本件通知及び本件決定の行政処分性を否定することは、これらに対する出訴可能性を閉ざすものであるからである。

(3)(行政処分の違法、違憲)
[15](a) 被告税関支署長の行つた本件通知は、次の理由で違法、違憲である。
(ア)(関税法76条に関する違法、違憲)
[16] 被告税関支署長は、本件通知を行うために、関税法76条1項但書に規定する検査の一環として本件郵便物を開披し、本件物件の表現内容を審査した。
[17] しかしながら、右の扱いは違法である。なぜならば、本件物件は個人あて通常郵便物中の表現物であるから、右条項にいう「信書」に該当するもので同条項の検査の対象となし得ず、仮に「信書」でないとしても、これに準じて右規定に基づく検査の対象としない扱いをすべきものだからである。
[18] 関税法76条1項但書の検査において、個人あて通常郵便物中の表現物も検査の対象となり、その表現内容も審査されるとすれば、検閲のための検査を行つたことになり、かつ、通信の秘密を侵すことになるから、右条項はその限りにおいて憲法21条2項に違反するとともに、プライバシーの権利を侵した意味で憲法13条に違反する。
[19] 本件通知は、これを行うためになされた右検査が、右のとおり違法、違憲であるから、違法、違憲である。
(イ)(関税定率法21条3項に関する違法、違憲)
[20] 本件物件は、いずれも個人あて通常郵便物中の少数の表現物であるから、関税定率法21条3項にいう「貨物」に該当せず、同条項の定める税関長の通知の対象とならない。
[21] 右の主張が認められないとしても、そもそも右条項は表現物の表現内容を不適当と認めた場合、その輸入を不可能ならしめることを許す点で検閲の禁止を定めた憲法21条2項に違反する。
(ウ)(関税定率法21条1項に関する違法、違憲)
[22] 本件物件は、いずれもわいせつ性を有するものではない。仮にこれを有するとしても、個人あて通常郵便物として送付されてきた少数のもので自己の用に供するものにすぎないから、関税定率法21条1項3号にいう「風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品」に該当するものではない。
[23] 仮に本件(物件)が右条項に該当するとすれば、関税定率法21条1項3号の規定は、その限りで表現の自由、学問の自由を侵すから憲法21条1項、23条に違反する。また、関税定率法の右規定は、「風俗を害する」というあいまいな概念規定のもとに広く規制の対象を包括するもので適正ならざる手続によつて個人から当該物件に対する権利を奪うものであるから、憲法31条、29条に違反する。
(b) 被告税関長の行つた本件決定は、次の理由で違法、違憲である。
(ア)(内容的違法、違憲)
[24] 本件決定の前提となつた本件物件の検査が違法、違憲であること、本件物件が関税定率法21条3項にいう「貨物」に該当しないこと、本件決定の検閲性、本件物件が同法21条1項3号にいう風俗を害すべき書籍等に該当しないこと、右規定の違憲性については、すべて既に本件通知に関し主張したところと同旨である。
(イ)(手続的違法)
[25] 本件決定の理由は、前記(1)(c)のとおりであるが、右は「風俗を害すべきもの」の意味及び本件物件が何故風俗を害するのかの理由を明示していない点に理由不備の違法がある。
(1) 引渡請求について
[26](a) 本件物件は、いずれも前記のとおり原告が外国の商社から買い受け、郵送中のものであつて、各商社が郵便物を差出した時点で本件物件を内容とする本件郵便物も原告の所有となつたものである。
[27] なお、万国郵便条約(昭和46年条約第11号。以下同じ)4条は、郵便物の所有関係を定めた規定ではない。郵便物の内容の所有関係は、差出人と受取人間の契約によつて定まるのであつて、郵便物送達契約とは別の次元の問題である。郵便物の差出人に取戻又はあて名変更権及び損害賠償請求権が認められていることは、郵便物の所有権が受取人にあることの妨げとはならない。
[28] しかるに、被告国は、本件郵便物を占有している。
[29](b) 原告は、本件郵便物が札幌中央郵便局に到着し、右郵便局から、その旨通知を受けた際、本件郵便物の占有を取得した。
[30] しかるに、被告国は原告の本件郵便物に対する占有を侵奪した。
[31](c) 本件物件が、各外国の商社によつて、原告を受取人とする郵便物として差出された際、差出人である各商社と郵政庁とは郵便物送達契約を締結したものであるが、郵便物の差出人と被告国との間の郵便物の送達契約は、その実質において受取人を受益者とする第三者のためにする契約であり、しかも、その性質上、受益の意思表示を必要としない特殊の契約と解すべきである。仮に受益の意思表示を必要とすると解するとしても、原告は、本件郵便物の引渡しを被告国に対して請求しているのであるから、受益の意思を表示しているとみるべきである。
[32] なお、万国郵便条約29条1項(g)にいう「名あて国において輸入又は流布が禁止されている物品」とは、公安、公衆衛生、動植物保護又は専売等の理由により輸入が禁止されている物品であり、わいせつ物は同条約29条1項(f)に該当するが、本件物件は右のいずれに該当するものでもない。

(2) 損害賠償請求について
[33](a) 被告税関支署長は、前記のとおり、本件郵便物の検査にあたり、(ア)本件郵便物を開披し、本件物件の表現内容を審査したうえ、(イ)本件物件が関税定率法21条1項3号の風俗を害すべき書籍等に該当すると認定して、原告に対し、その旨通知したものであり、また、(ウ)被告税関長は前記のとおり右通知に対する原告の異議申出につきこれを棄却する旨の決定を行つたが、右本件通知及び本件決定は、いずれも公務員による公権力の行使である。
[34](b) 右(ア)の点は前記(一)(3)(a)(ア)のとおり、右(イ)の点は前記(一)(3)(a)(イ)及び(ウ)のとおり、右(ウ)の点は前記(一)(3)(b)(ア)のとおりそれぞれ違法、違憲である。
[35](c) 原告は、右(ア)により、何人にも知られることなく本件物件を入手することを妨げられ、右(イ)及び(ウ)によりすみやかに本件物件を入手することを妨げられているのであつて、このために精神的苦痛を被つているが、右精神的苦痛を慰藉するには金100万円が相当である。
[36] よつて、原告は被告税関支署長及び被告税関長に対し、それぞれ本件通知及び本件決定の取消を求めるとともに、被告国に対し、所有権、占有権及び第三者のためにする契約における受益者の権利に基づき、本件郵便物の引渡及び国家賠償法1条に基づき、慰藉料金100万円の支払を求める。
[37] 関税定率法21条3項の通知は、輸入が郵便によつてなされる場合は、これにより当該郵便物の名あて人に対して、その郵便物の内容物が輸入を禁止されているものに該当することを認識させることを目的とするもの、すなわち、当該郵便物の内容物が同条1項3号所定の輸入禁制品に該当すると認めるにつき相当の理由があるとの税関長の認識を表示する、いわゆる観念の通知にすぎないのであつて、これによつて当該郵便物の輸入の禁止又は不許可の効果を生ずるものでないことはもとより、当該郵便物を輸入しようとする者の権利・義務に何らの制約を加えるものでもない。
[38] 関税定率法21条3項の税関長の通知の性質が既に述べたとおりのものであると同様に、同条5項による右通知についての異議申出に対する決定も右通知のもととなつた税関長の認識を維持するかどうかの判断であつて、同条1項3号の輸入禁制品が書籍、図画等の表現物であるのにかんがみ、税関長の判断に過誤なきを期するため、慎重に再度の考案の機会を与えたものに過ぎない。
[39] これを要するに、関税定率法21条1項各号は、社会公共の見地から輸入禁止を相当とする物件を法定したものであつて、同項3号に規定する輸入禁制品に該当する郵便物は輸入の禁止ないしは不許可等の行政庁の何らの処分をも要せず法律上当然に輸入することができないのである。
[40] 本件決定によつて本件通知が確定すると本件物件は原告に引渡されないという法的効果についていえば、右効果は、万国郵便条約29条1項(g)、同条2項、外国郵便規則75条2項に基づく効果であつて、本件該当通知あるいは異議申出棄却決定自体の効果ではない。さらに、外国郵便物の受取人は、外国郵便条約及び郵便関係国内法令上、郵政庁に対し外国郵便物の引渡請求権を有しないのであるから、右に法的効果というところも、結局自己あての郵便物を配達して貰えないという受取人の事実上の不利益にすぎない。
[41] したがつて、本件通知及び本件決定は、いずれも原告の権利義務に何らの変動をも及ぼすものではないから、抗告訴訟の対象となる行政処分ではなく、原告の被告税関長及び被告税関支署長に対する訴えは、いずれも不適法である。
[42](一) (一)(1)(a)の事実のうち、本件物件を包有する本件郵便物が昭和49年3月下旬から4月下旬にかけて札幌中央郵便局に到着したこと、被告税関支署長が税関職員に本件物件の検査をさせたことは認めるが、その余は不知。

[43](二) (一)(3)(a)(ア)の事実中、被告税関支署長が本件郵便物を開披して検査したことは認めるが、本件物件の表現内容を審査したことは否認する。
[44] 被告税関支署長は札幌中央郵便局から通知呈示された本件郵便物のうち、別紙物件目録(三)の(ア)及び(イ)については信書が含まれていないと認められたので、(ア)については昭和49年4月10日、(イ)については同月18日、それぞれ税関職員が郵便局職員の立会のもとに開披検査したところ、内容物は、それぞれ、8ミリカラー映画フイルム各1巻であつて、いずれも男女の陰部、陰毛及び性交行為が漫画で描写されていることが一見して明白なものであつた。
[45] 本件郵便物のうち同目録(ウ)、(エ)及び(オ)については、内容物中に信書が含まれている可能性があると認められたので、この場合においては名あて人に開披させ又はその承諾を得たうえで検査をする必要があるため(関税法76条2項、関税法施行令66条2項)その旨を札幌中央郵便局を通じ原告あてに通知したところ、同年5月9日、原告が函館税関札幌税関支署札幌外郵出張所に来所したので、原告の承諾を得たうえで、税関職員が郵便局職員の立会のもとに開披検査を行つた。
[46] その結果、内容物は、
 (ウ)は8ミリカラー映画フイルム1巻、カタログ3点
 (エ)は雑誌「EROTISK TVANG」1冊
 (オ)は雑誌「KITTEN」、「LOVELY No.2」の2冊
であつて、いずれも男女の陰部、陰毛及び性交行為を撮影したフイルム並びにそれらの写真を登載した雑誌及びパンフレツトであることが一見して明白なものであつた。
[47] また、本件郵便物のうち、別紙物件目録(四)の(カ)及び(キ)は信書が含まれていないと認められたので、(カ)については同年4月1日、(キ)については同月12日それぞれ税関職員が郵便局職員の立会のもとに、開披検査をした。
[48] その結果、内容物は
 (カ)は書籍「A HISTORY OF EROTICISM No.4」1冊
 (キ)は書籍「A HISTORY OF EROTICISM No.5」1冊
であつて、いずれも男女の陰部、陰毛及び性交行為を描写しているものが多数登載されていることが一見して明白なものであつた。
[49] 被告税関支署長は、以上のような検査の結果に基づいて、本件郵便物の内容物は男女の陰部、陰毛及び性交行為を撮影し、或いは描写したフイルム又はそれを登載した書籍、雑誌、カタログであつたので、関税定率法21条1項3号に該当すると認める旨本件通知を行つたものである。
[50] 被告税関支署長の行つた右検査は、関税の税額確定及び他の法令の規定による輸出又は輸入に関しての条件を具備しているか等の確認のため、信書以外の外国郵便物につき一様に実施されるもので(関税法76条3、4項、77条)、税関長が右検査により外国来郵便物のなかに関税定率法21条1項3号に該当する物件があることを覚知したとしても、それは税関長が関税法の右の規定により実施を義務づけられている関税検査の過程においてたまたま右該当の物件のあることを知つたに止まるのであつて、右は、刑事訴訟法239条2項に定める、公務員が「その職務を行うことにより犯罪があると思料するとき」の一場合に外ならないのである。つまり、映画フイルムはニユース用とその他のものとで税率を異にする(関税定率法別表第37類7)のであるから、その内容も検査しなければならず、書籍にしてもその中に高価な課税物品(ダイヤモンド等)が隠されていることもあるのであつて、そのため書籍のページも開いてみる必要があり、それらの検査の過程において一見明白なわいせつ性のある表現物を覚知するにすぎないわけである。
[51] また、憲法21条2項にいう「通信の秘密」とは信書の秘密のことであり(郵便法9条参照)、本件で、信書の秘密を侵していないことはもちろんである。関税法及び関税定率法においては、郵便物も、「貨物」であることに変わりはない(関税法2条3号)。これらの法律における「貨物」とは、全ての物品を意味し、関税法76条においては、郵便物も課税の対象となる貨物であることを前提として(同法3条)、ただ、郵便物の特殊性から簡易な税関手続を定めているにすぎないのである。

[52](三) (一)(3)(a)(イ)の主張は争う。
[53] 税関検査は、既に主張したように税額確定等の目的のために行われるものであつて、それとは別に、特別に関税定率法21条1項3号該当物品発見のための検査をしているわけではないから、原告の右主張はすでに前提において失当である。
[54] さらに、「検閲」とは公権力が外に発表されるべき思想の内容をあらかじめ審査し、不適当とみとめるときは、その発表を禁止することであるが、外国郵便物の受取人は郵政庁(国)に対して郵便物の引渡請求権を有しないのであるから、郵政庁により自己あての外国来郵便物を差止めされたとしても何ら法律上の請求をなしえない立場にある。
[55] したがつて、いずれにせよ本件通知をもつて「検閲」が行われたと解することはできない。

[56](四) (一)(3)(a)(ウ)の主張は争う。
[57] 関税定率法21条1項3号は、輸入者の輸入目的によつて区別することなく、該当物品は一切輸入禁止物とすることは明らかである。刑法175条が頒布等のみを禁止し、単純所持を禁止していないのは、わいせつ物の源泉が国内にある限り、頒布等を禁止すれば、わいせつ物の源泉はそのまま凍結され、それが外部に流布されることがないから、一般に社会の風俗が害されるおそれはないからであつて、わいせつ物の源泉が国外にある場合に、単純所持目的の輸入を認めることは、わが国の刑事手続をもつてはその源泉を根絶できないから、結局、単純所持目的の輸入を不特定多数認めることになり、そのことはとりもなおさず、国内において不特定多数の単純所持目的者に対する頒布、販売を認めるのと同じ結果を招来するのである。このことが刑法175条の立法趣旨に反することは明らかである。したがつて、わいせつ物の源泉が国外にある場合には、当該物品が国内に流布されることを防止するためには、輸入の段階で、その目的が単純所持にあるか否かにかかわらず、規制する他はないのである。

[58](五) (一)(3)(b)の主張は争う。
[59] 本件決定は適法になされたものである。被告税関長は、原告からの異議申出に対し、諮問番号第1号(5月20日付分)同第2号(7月5日付分)「輸入映画等に対する異議の申出について」をもつて同年6月21日及び8月3日それぞれ輸入映画等審議会に諮問したところ、同年10月21日付で同会から本件物件は関税定率法21条1項3号に規定する物品に該当すると認めるとの答申を受けた。
[60] そこで、被告税関長は、右異議申出を理由がないものと認め、本件決定を行い、右決定は、同月19日、原告に到達したものである。
[61] 原告の本件決定が内容的に違法、違憲である旨の主張に対する被告の認否、主張は、前項の本件通知に関する認否、主張と同趣旨である。
[62](一) (二)(1)の事実中、被告国が本件郵便物を占有していることは認めるが、その余の事実は否認する。
[63] なお、本件郵便物は札幌中央郵便局において保管中である。

[64](二)(1) 郵便物の所有権及び占有権が受取人に移動するのは、郵便物が受取人に配達され、これを受領したときであると解されるから、郵便物が受取人に到着しない以上、受取人が物権的な権利を取得するいわれはない。
[65] 万国郵便条約4条は「郵便物は、名あて国の法令に基づいて差押えられた場合を除くほか、権利者に交付される時までは差出人に所属する」と規定し、このことを明らかにしている。同条は、後に述べる郵便利用関係の性格にかんがみ、郵便物の内容物の所有権の帰属とは一応別個に右のように定め、郵便物が受取権利者に送達されるまでは差出人に所属するとの一律的な取扱いをすることとしているのである。なお、同条約が郵便物を取戻し、又はあて名を変更する権利(27条1項)、書留郵便物が亡失した場合の損害賠償請求権(40条2項、3項)をそれぞれ差出人に認めているのも、いずれも右の原則に基づくものである。
[66] 郵便の利用関係は、郵便の利用に関する利用者側の申込と郵政庁側の承諾という双方の合意によつて成立する一種の契約関係であるが、郵便事業は、巨大な組織により、大量の郵便物を簡易迅速かつ公平に処理しなければならないものであるから、郵便物の引受けの都度、個々に契約の内容を定めることは、郵便業務の簡易迅速性に副わないばかりでなく、実際の取扱い上も不可能なことが多いので、その契約内容はあらかじめ定められ、郵便を利用する場合には、何人もこのあらかじめ定められた契約内容によることとせられている。すなわち、国は、条約及び郵便法令によつてあらかじめ画一的にその利用条件を定め、利用者はすべてこの利用条件に従つてのみ郵便を利用し得ることとし、各場合によつて任意にその条件を変えることは許されないこととされているのであつて、その意味で、郵便の利用関係は、いわゆる付合契約と解されているのである。そして、郵便物の送達契約における国(郵政庁)の債務は、契約の相手方である差出人に対するものであつて、第三者である受取人に対するものではない。郵便物の送達契約は、受取人に直接郵便物の配達請求権を取得せしめることを目的とする契約ではなく、受取人が郵便物の配達を受けるのは、差出人に対する国(郵政庁)の債務の履行としてなされた結果にすぎない。したがつて、郵便物の受取人は国(郵政庁)に対しその引渡を請求する何らの権利を有しないものである。
[67] 外国郵便物に関しても右のことは妥当する。外国郵便物に関しては、万国郵便条約その他の郵便関係国内法令によれば、郵政庁は、郵便物に関して差出人以外の者に対して義務を負うものではない(同条約4条、40条、郵便法13条参照)のである。そして、外国郵便物の差出人と郵政庁との郵便送達契約も、大量の郵便物を簡易迅速に処理するために、条約及び国内法令によつて画一的に定められているのであつて、郵便物に関する差出人と受取人間の個別的権利関係、あるいは私法上の権利関係を考慮せずに郵便関係法令(条約を含む)に基づいて画一的に処理するところに、正に郵便関係法令の趣旨があるのであり、郵便関係法令は、一般の私法法規等に対して特別法の関係にあるというべきで、前記郵便関係法規からみれば、私法上の権利に基づいて郵便物の引渡請求ができないことももちろんである。
[68](2) 本件郵便物の内容物である本件物件は、いずれも輸入禁制品であるわいせつ物であり、万国郵便条約で通常郵便物に入れることを禁ぜられているものである(同条約29条1項(g))。もしも、差出人において、右の禁制を犯し、禁制品を包有する郵便物が誤つて引き受けられて発送された場合には、その物品の包有を発見した郵政庁の属する国の法令に従つて取り扱うこととされている(同条2項)。これを受けて、外国郵便規則75条2項は、かかる規定違反の郵便物は差出国に返送すると規定している(外国郵便取扱規程(昭和47年2月8日公達第3号)187条ないし190条参照)。
[69] したがつて、本件郵便物の内容物が原告の所有であると否とを問わず、本件郵便物は、右のとおり万国郵便条約に違反するものであるから差出国に返送しなければならないものであつて、この点からも原告に本件郵便物の引渡請求権のないことは明らかである。
[70](一) (二)(2)(a)の事実のうち、被告税関支署長が本件物件の表現内容を審査したことは否認するが、その余の事実は認める。

[71](二) 同(b)に関する被告国の認否、主張は、前記被告税関庁及び被告税関支署長の当該主張に関する認否、主張と同趣旨である。

[72](三) 同(c)は争う。前記のとおり、原告には本件物件についての引渡請求権がない以上、原告の権利は侵害されていない。
[1] 本件物件を包有する原告宛の本件郵便物が昭和49年3月下旬から4月下旬にかけて外国来郵便物として札幌中央郵便局に到着したところ、被告税関支署長が関税定率法21条3項に基づき、同年5月9日原告に対し、右本件郵便物中に包有せる本件物件(一)につき、原告主張の理由を付し、同法21条1項3号に掲げる貨物に該当すると認める相当の理由がある旨の通知をし、次いで、同年6月7日原告に対し、右本件郵便物中に包有せる本件物件(二)につき、右同旨の通知をしたこと、原告の右各通知についての同法21条4項に基づく各異議申出に対し、被告税関長が同法21条5項に基づき、同年11月6日これを夫々棄却する旨の決定をし、右各決定は同年同月19日原告に告知されたことは、いずれも当事者間に争いがない。

[2] そこで先ず、本件通知及び決定が抗告訴訟の対象となり得る処分に当たるか否かの点について検討する。
[3] 行政事件訴訟法3条2項に規定される取消訴訟は、当該処分又は裁決の取消を求めるにつき法律上の利益を有する者に限り提起し得るものであるが、元来、抗告訴訟は行政庁の処分その他公権力の行使の排除によつて右原告の権利及び利益の保護救済を図ることを目的とするものであるから、ここにいう処分とは、行政庁の行為のうちそれによつて直接国民の権利義務又は保護に値すると認められるに足りる利益、地位を形成し又はその範囲を確定するところの固有の法律効果をもつたものをいうものと解される。
[4] 関税法67条は、貨物を輸入しようとする者は税関長の許可を受けなければならない旨定めているから、これは、税関長に対しおよそ貨物の輸入につき右許可をすること及び右許可をしないこととする権限を与えているものというべく、しかして右許可は、一般的輸入禁止を特定の場合について解除するものであり、輸入申告をした者は貨物につき通関手続に従つてこれを入手すべき利益ないし地位を有するものと解される。
[5] ところで、外国貨物で郵政官署から交付された郵便物は、関税法上輸入を許可された貨物とみなされるにいたるのであるが(同法74条)、それには先ず、郵政官署が輸入される信書以外の物を内容とする郵便物を受取つたときは、その旨を税関に通知しなければならず(同法76条3項)、税関長は右郵便物中にある信書以外の物について税関職員に必要な検査をさせ(同法76条1項但書)、税関長は当該郵便物に係る関税額を郵政官署を経て名あて人に通知し(同法77条1項)、右郵便物を受取ろうとする者は、印紙を以て右関税を納付しその交付を受ける(同条3項)という手続が先行するものである。
[6] しかして、税関長は、右手続において、右輸入されようとする貨物のうち関税定率法21条1項3号に掲げる貨物すなわち公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品(以下、「風俗を害すべき書籍等」という)に該当すると認めるのに相当の理由がある貨物があると認めるときは、これを輸入しようとする者に対しその旨を通知し(同法21条3項)、その者においてこれに不服のあるときは、右税関長に対し異議の申出をし(同条4項)、これに対し、税関長は輸入映画等審議会に諮問のうえ決定する(同条5項)ことと定められているところである。そして、右貨物の右異議棄却決定後の取扱いについては、通関に関する手続法上何ら定めるところがなく、また、税関長は前記関税額の通知をなさないままになるものである。
[7] そうしてみると、右通知は、税関長の判断の結果の表明すなわち観念の通知に過ぎず、これを当該貨物を輸入しようとする者に知らせることによつて、その者自身の当該貨物を輸入するについての善処を促すものであつて、税関長の輸入不許可処分そのものではないが、その内容が、単に税関長において当該貨物は輸入禁制品に該当すると認めるというに過ぎないものではなく、かく認めるのに相当の理由があることとするものであり、他方、税関長が輸入禁制品と認める相当の理由があるものとしながら自ら輸入許可をなすことは、それ自体矛盾であると考えられるから、右通知は、税関長において、その故に右当該貨物については輸入許可を与えない考えであることの態度を予め外部に告知、表明するものに他ならないと解さざるを得ない。したがつて、税関長が右通知をなし、それが手続法上確定したときは、税関長はこれに自ら拘束されて、もはや当該貨物に関する限り、これをそのままにしておいて輸入許可をなすことは許されなくなるものである。これを輸入申告者の側から見れば、輸入の許可を受けることなく貨物を輸入することは禁じられているから(関税法111条)、右通知により税関長の不許可処分をまつまでもなく、右通知の存在が障碍となり、当該貨物の交付を受けることが期待されないことが動かないものになるという効果を受けるものである。
[8] 次に、右通知に対する異議申出及びこれについての決定の制度は、右通知の適正を確保するため、税関長をしてかかる通知につき再度の考案の機会を与えるためのものと解される。
[9] されば、右貨物を輸入しようとする者は、右通知及び決定の一連の手続により税関長の許可を得られなくなることになり、結局、輸入することができないことに帰するにいたるものというべく、しからば、税関長の右通知及び決定は、一連の行為として、関税額の通知をなさないことと相まつて、貨物を輸入しようとする者に対して、輸入につき必要なその許可を与えないことに帰する固有の効果を及ぼすものであつて、これにより、右輸入しようとする者は、関税法の定めるところに従い輸入することについての利益ないしは地位をついに失うに至るものということができる。しかして、かかる利益は抗告訴訟を以て保護するに値するものというのが相当と考えられるから、税関長のなす右通知及び決定は抗告訴訟の対象となる行政庁の処分に当たるものというべきである。
[10] なお、付言すれば、前示の如く関税定率法21条1項は、公安又は風俗を害すべき書籍等は輸入してはならない旨定めるところであり、被告らは、輸入禁制品に該当する貨物は右規定の効果として法律上当然に輸入できないものであることの反面として、本件通知及び決定は何らの法律上の効果を有し得ないものである旨主張する。
[11] しかし、通関手続上当該貨物がこれに該当するか否かの確定は、その判断を内容とする確認行為をまたなければならず、税関長の右通知及び決定はこれに相当するものというべく、他方、当該貨物が実体法上輸入禁制品に当たるということと、これに対して輸入許可又は不許可処分がなされるということとは別個のことであり、実体法上輸入禁制品であるものにつき然らずとの判断の下に輸入許可がなされることがあり得るし、反面、実体法上輸入禁制品でないものにつき輸入禁制品に当たるとの判断の下に輸入不許可処分がなされることもあり得ることである。手続法上税関長において輸入禁制品該当と認めた以上、この貨物に関する限り税関長自ら輸入許可を与えることは矛盾であるから、税関長は、これにつき自ら輸入許可処分をなすことは許されない、すなわち手続法上かかることはあり得ないというに過ぎない。したがつて、実体法上の輸入禁制品については、税関長は輸入を許可することはもとより、これを禁止する権限も処分もあり得ないというものではないのである。
[12] さて、一般に関税定率法21条に基づく税関長の通知及び決定の性格が右のとおりであるとしても、本件においては、輸入が郵便によつて行なわれようとしたことから、被告らは、外国郵便物の受取人である原告が郵便物に対する権利を有しないことを理由として、本件通知及び決定が原告の権利義務に変動を及ぼさない旨主張する。しかしながら、輸入できないことによる原告の不利益を考えるにあたつて、その対象となるのは輸入しようとする貨物すなわち郵便物の内容物に対する権利であつて、郵便物そのものに対する権利ではないから、被告らの右主張は理由がない。
[13] 以上述べたところによると、関税定率法21条3項に基づきなされた被告税関支署長の本件処分及び同条5項に基づきなされた被告税関長の本件決定は、いずれも行政事件訴訟法3条2項に規定される処分に該当すると解される。

[14] そこで進んで、本件通知及び決定処分の適法性について検討することとする。

[15]1(一) 本件処分が依拠する関税定率法21条3項は、「関税法第6章に定めるところに従い輸入されようとする貨物のうち、関税定率法21条1項3号に掲げる貨物に該当すると認めるのに相当の理由がある貨物」を処分の対象とするもので、右「貨物」には輸入されようとする手段、その数量或いは輸入目的などによつて何らかの制限を加えられるとは解されない。
[16](二) そこで、右規定と憲法21条2項との関係につき検討する。
[17] 憲法21条2項は検閲を禁止しているが、ここに「検閲」とは、公権力が外に発表されるべき思想の内容を予め審査し、不適当と認めるときはその発表を禁止することを意味するものと解するのが相当である。したがつて、行政庁のなす処分が検閲に相当するときは、その処分は、特段の事情のない以上、違法、違憲となるものといわなければならない。
[18] ところで本件において、行政機関である被告税関支署長及び被告税関長は、本件通知及び決定をなすに当たり、思想表現の方法たる本件物件につき関税法76条1項により検査をし、その際覚知した事実に基づきそれが輸入禁制品である旨の判断をし、よつて本件通知及び決定をなすにいたつたものであり、その結果、本件物件を輸入しようとした原告はこれを輸入することができなくなつたものであることは前示のとおりであるから、本件通知及び決定処分は検閲に相当するものといわなければならない。
[19](三) もつとも、輸入行為は、それ自体としては、思想を表明し、伝達する行為ではない。しかしながら、当該貨物を輸入しようとする者につき、その思想表現受容の権利(いわゆる「知る権利」)の保障の観点から見るならば――かかる保障も同様に認められるべきである――輸入禁止行為を思想表現を発表することを禁止することと同視すべきであるから、結局、輸入禁止の検閲性については前記のとおり解する外はない。
[20](四) なお、被告らは、関税法76条1項にいう検査は、税額の確定及び他の法令の規定による輸入の許可、承認等の有無又は他の法令の規定による検査の完了若しくは条件の具備の有無の確認のため、輸入されようとするすべての貨物につき、一様に実施されるものであり、また、税関長は、右検査の過程において、たまたま輸入禁制品該当の貨物のあることを知つたに過ぎないものであるから、その検閲性を問題にする余地はないと主張する。しかし、仮に右主張のとおりであつて、右検査自体は検閲の目的ないし意図の下になされるものではないとしても、このことは本件通知及び決定が検閲に当たることを妨げるものではない。けだし、税関長が右のごとくして知り得た事実に基づいて更に本件物件の表現内容につき判断し、これに基づいて、前記性格を具有する本件処分をなすものであることにおいては、検閲一般の場合と選ぶところはなく、また、その効果に影響を及ぼすものではないからである。
[21](五) また、憲法が検閲を禁止する理由として、行政権力の恣意的判断と手続的保障の欠缺とがあげられることにかんがみると、前述の如く本件処分及び決定を抗告訴訟の対象たる処分と解した場合、行政機関の判断が司法機関の審査に服することをもつて本件処分及び決定が憲法で禁止される検閲に至らない程度の検閲性しか有しないと解することもできないではない。しかし、検閲が禁止される理由の最大のものは、それが事前抑制であるゆえ思想表現が公表される機会が奪われることであると解されるところ、行政庁の行つた処分の是非を司法機関が審査する場合においては、司法機関による判断がなされるまでは行政庁の行つた処分が一応の有効性を有し、この間思想表現が公表される機会が奪われるのであるから、行政庁による処分手続が開始されてから司法機関による判断が確定するまでの時間的間隔が無視できる程度に短いことが特に制度的に保障されているごとき場合には別に考える余地はあろうが、単に一般的に司法機関が事後審査という形で手続に関与することをもつて当該手続が検閲たる性格を免れると解することはできない。そして、関税定率法21条3項の手続においては、関税法76条の検査によつて貨物が輸入禁制品に該当する疑いが生じてから抗告訴訟の判断の確定までの期間を無視できる程度に短くならしめる規定も存しないところであるから、結局、本件処分及び決定が抗告訴訟の対象となることをもつてその検閲性を否定することはできない。なお本件異議申出に対する決定については、関税定率法21条5項は、税関長は輸入映画等審議会に諮問して決定する旨定めているところであるが、右規定から明らかなように、右異議申出及びこれに対する決定の手続は、単に税関長に再度の考案の機会を与えるものに過ぎず、かつ税関長は右諮問に拘束されるものではないのであるから、右輸入映画等審議会の諮問の制度があるからといつて本件通知及び決定の検閲性を否定することはできないものと考えられる。

[22]2(一) 次に、表現の自由といえども本質的に社会的なものであることを免れず、他人の人権と関連するから、その限りにおいて濫用は許されず、一定の制約を受けることがあることは認めざるを得ないところである。しかし、その制約を実現させるための手段として検閲を行うことは、当該規制の対象となる行為の性格が特に他人の利益と衝突するおそれの程度が強く、若しこれを行わなければ社会公共の福祉にとつて明白かつ差し迫つた危険が存在するがごとき、いわば、制約を受ける者の側からみて表現の自由の濫用とでもいうがごとき場合であつて、事後的規制方法によつては規制としての実効性が望み得ないごとき場合は、事情によつては別様に考える余地があろうが、そうでない場合、これが許される余地はないところであるといわなければならない。けだし、若し右制約を達成するために安易に検閲が許されるとするならば、そのための検査が広く表現行為一般につき行われることにならざるを得ず、かくては、表現の自由を保障し、ただ濫用にわたる例外的な場合にのみ一定の制約を受けるに過ぎないとする憲法21条の趣旨と相反することとなるからである。
[23](二) そこで、関税定率法21条1項3号掲記の風俗を害すべき書籍等の輸入に対する検閲につき検討する。
[24](1) 先ず、輸入においては、物品が単に国外から国内に移動するにすぎず、一般に、一旦国内に入ると、その物品が輸入されたものか否か、いかに輸入されたかの判定はかなり困難であるうえ、輸入先である国外において輸入行為に関する証拠を得ることも困難であるから、関税法109条のごとき刑事罰規定によつて規制することは不可能でないにせよ、右規定の存在のみによつては、その規制の実効性に限界が存することは疑いないところである。
[25](2) しかしながら、他方、関税定率法21条1項3号掲記の風俗を害すべき書籍等についていえば、わいせつな書籍等はこれに含まれるものと解されるが、かかるわいせつな書籍等の輸入がなされるときにおいて、それが明らかに頒布若しくは販売し又は公然陳列されようとしているなど一般人に流通、公表される対象となつているため、よつて性的秩序を守り、最小限度の性道徳を維持することが侵害されることが予見されるときのごとき場合においてこそ、行為の性格が他人の利益と衝突するおそれの程度が強く、事前にこれを規制する処分をしなければ右社会的利益に対し明白かつ差し迫つた危険が存在すると認める余地があろうけれども、右のごとき場合以外においては、事前にこれを規制する処分をとらなければ明白かつ差し迫つた危険が存在することになる状況を見出し難い。
[26](3) しからば、右のごとき場合以外においては、前述のとおり、事後的規制の実効性に限界があるにしてもなおこれが不可能ではないことにかんがみると、税関長は関税法21条3項所定の通知及び同条5項所定の決定をなし、以て輸入を許可しない効果をもつ処分をすることは許されないものというべく、これを要するに、同法21条3項ないし5項は、右の限度においてのみ憲法21条に違反しないと解する余地があるに過ぎないものというべきである。
[27](4) なお、前述のように、本件のごときそれ自体思想表現の発表ではない行為に対し禁止措置をとることも思想表現受容の権利尊重の観点からなお検閲に含まれると解するにしても、それが例外的に許される場合の基準は、純然たる発表行為禁止措置の場合に比し緩やかに解すべきで、特に本件のごとく、思想表現内容が外国来のものである場合においては、輸入国の利益を優先するとの見地から右のように解することが合理的であるという見解もあり得よう。しかし、当裁判所は、思想表現の領域において国境に右ほどの意義を見出し得ず、かつ、外国に対しては我国の利益を優先させるべきことを主張することに意義を見出せるとしても、国民に対する関係においてはこれと同一に論ずることに左袒することはできないから右見解を採用しない。
[28](5) もつとも、以上のように解すれば、輸入禁制品に当たる貨物の輸入を処罰する法制(関税法109条参照)の下では、輸入しようとする者にその処罰を受ける危険が多いものということはできようが、しかし、右危険性についても、先ず国民のこれについての判断に委ねることがその個人の基本的人権を尊重する所以であり、然らずして国民のこれについての判断の以前に、すなわちその判断のなされないまま公権力がこれに代つて右判断すなわち検閲をなさなければならない合理的根拠とすることはできないものと考えられる。
[29](6) 本件においては、仮に、本件物件がわいせつなものに当たり、関税定率法21条1項3号掲記の貨物に該当するものとしても、いまだ、これを輸入する行為が他人の利益と衝突するおそれの程度が強く、その輸入により直ちに右明白かつ差し迫つた危険の存在が予見されるべき例外的事情の存することを認めるに足りる証拠はなく、かえつて、原告がその性の研究資料に使用する目的で本件物件を注文、輸入せんとしたことはともかく、前記認定のとおり、本件物件は郵便物として送付された少数のものに過ぎないことから見れば、むしろ、かかる事情は存しない場合であるというのが相当である。

[30] そうしてみれば、本件のごとき場合に関税定率法21条3項の通知及び同条5項の決定を行うことは検閲に該当し、しかも、例外的にそれが許される場合であるといい難いところであるから、本件物件について本件通知及び本件決定を行つたことはその限りで違法、違憲であるといわなければならない。
[31] したがつて、本件通知及び決定は、その余について判断するまでもなく、既に、この点において取消を免れず、原告の被告税関支署長及び同税関長に対する本訴請求は理由がある。
[32] 郵便事業の利用関係は私法上の契約関係に外ならないけれども、一般に、郵便物として差出されたものに対しては、少くともそれが郵便官署が管理する通常の郵便物集配過程にある以上、名あて人は、郵便法規に定める手続によらないで、任意に、当該郵便物或いはその内容物の私法上の権利に基づき、郵便官署に郵便物引渡等の請求を行なうことはできないものと解するを相当とする。けだし、郵便利用の大量性、簡易迅速性にかんがみれば、郵便官署に対する請求が定型化されることに、個々の郵便利用者又は第三者の私法上の権利主張を封じることにより起り得る不当性を越えた合理性があり、万国郵便条約(昭和46年条約第11号)4条が「郵便物は名あて国の法令に基づいて差出された場合を除く外、権利者に交付される時までは差出人に所属する」と定め、郵便法43条が、「郵便物の差出人は当該郵便物の配達前又は交付前に限り、あて名の変更又は取もどしを差出郵便局に請求することができる」旨規定しているのも、また更に、同法第6章などの郵便関係法規が置かれているのもかかる観点を考慮して定められたものと解されるからである。
[33] この理は外国郵便物についても変りはない。前記のとおり、本件物件は外国郵便物として外国において差出され、札幌中央郵便局に到着したもので、同局において保管にかかるものである(このことは原告において明らかに争わない)以上、原告は郵便法規に定める手続を離れて、任意に、本件郵便物についての所有権、占有権或いは郵便契約によつて生じた地位を根拠とする被告国に対する私法上の請求権を行使することはできないものと言わざるを得ない。
[34]1(一) 原告は、本件物件はいずれも少数の表現物でありかつ通常郵便物として送付されて来たものであるから関税法76条1項但書にいう「信書」に該当し、右条項に基づく検査の対象外であるのに、被告税関支署長は本件郵便物を開披しかつ本件物件を検査し、以て原告の信書の秘密を侵したことにおいて違法である旨主張するところである。
[35] 被告税関支署長が本件郵便物につき、関税法76条1項但書の検査に際し、これを開披したことは当事者間に争いがない。
[36] 証人浪打昭一の証言及び弁論の全趣旨によれば、税関においては一般に、葉書、手紙などの特定人宛の通信文を除き、それ以外のすべての郵便物中の物品に対し関税法76条1項但書の検査を行なつているが、右検査は関税の税額確定及び他の法令の規定による輸出入に関する条件具備の有無の確認を目的とするものの、書籍、印刷物にあつては、ページを捲り、映画フイルムにあつてはこれを映写してみて、その際、これにより表現内容をも把握し得たもののうち関税定率法21条1項3号に該当すると認めたものにつき同条3項の通知の手続をとることとしていることが認められる。
[37] 右事実によれば、税関職員が関税定率法21条1項3号の輸入禁制品発見を主観的に意図しているか否かはともかくも、関税法76条1項但書の検査が行なわれる場合、右検査は画像により意味内容を表現している物で、一見明白に右輸入禁制品に該当するものについては、これを発見する機能を有しているものといわざるを得ず、しからば、関税法76条1項但書の検査は右の限度で物の表現内容を審査するものであり、本件通知をなすに当たつても、被告税関支署長は本件物件の表現内容を審査したものというのが相当である。
[38] しかしながら、関税法76条1項但書にいう「信書」とは、特定人に対し伝達されることを予定して作成された文書その他の表現物を意味すると解せられる。そして、検証の結果及び弁論の全趣旨によれば、本件物件はいずれもその表現内容を不特定の者に対して伝達されることを予定して作られた8ミリ映画フイルム、カタログ、雑誌、書籍と認められるから、少数でかつ通常郵便物の内容物として送付されて来たものではあるが、右「信書」には該当しないというべきである。
[39] また、同条項において「信書」を検査の対象から除外した趣旨は、特定人に対し伝達されるべき表現行為とその受領とは、不特定人に対し伝達されるべき表現行為とその受領に比しても通信の秘密の観点において質的に異なつた価値を有すると判断されるからに外ならないから、前述した意味での「信書」以外の物品はそれが表現物であつても「信書」と同一の取扱をすべきものであつて、検査の対象から除外すべきものであるとは解し得ない。
[40] なお、被告税関支署長は、本件郵便物を開披するにあたつて「信書」が含まれている可能性のある書状3通については、名あて人である原告の承諾を得たうえでこれを開披し、しかも結果として、そこに「信書」は含まれていなかつた(このことは原告において明らかに争わないことである)のであるから、被告税関支署長の行つた検査が関税法76条2項の信書の秘密の不可侵に違反するものでないことは明らかである。
[41](二) さて、いわゆるプライバシーの権利の一内容とされる「国民が自己の意に反して自己の生活の諸相についての情報を公的調査により明らかにされることはない」という権利が憲法上尊重されるべきことは明らかであり、憲法21条2項の定める通信の秘密の保護は右の権利の通信という局面における現われであると解せられる。
[42] したがつて、憲法21条2項にいう通信の秘密とは、「信書」を内容とする通信に限られずに広く特定人に対する通信一般を意味すると解されるが、憲法21条2項は明示的にはその不可侵性について何らの制限を付してはいないものの、通信の秘密の保護も公共の福祉の要請に基づく制限を受くべきものと解するのが相当である。すなわち、通信には単なる表現された意味内容の伝達のみならず、物の移転を伴う場合があるという側面があり、右の物の移転に関し、通信の秘密の保護に優越する公共の利益を実現する目的のためその目的達成にとつて不可欠な最小限の手段と牴触する限度において、通信の秘密の保護も制限を受けざるを得ないというべきである。
[43] これを本件のごとき外国郵便物についてみるに、外国来郵便物が国内に入るに際しては、その信書の秘密に関する部分を除き、通信の秘密に対しても、適正な関税が賦課徴収されるべく確保されること、輸入条件を具備していない物品及び輸入禁制品が輸入されないことという公共的要請が優越すると考えられ、また、輸入においては一般に、一旦、国内に入つてしまうと或る物品が輸入されたものか否か、如何に輸入されたかの判定は著しく困難であるから、当該物品が外国来郵便物として国内に入るに際して、その入口である税関においてこれを検査する以外には右の公共的要請を的確に実現する方法はないのである。つまり、郵便物もこれが関税線を越えて送付される以上、その信書にあたる部分を除き、関税線を越えるに際し通関手続に服すべきはその性質上やむを得ないところである。されば、被告税関支署長が関税額の確定、輸入条件の具備の確認及び輸入禁制品の発見を目的として、税関において検査を行なつたとしても、何ら憲法21条2項の通信の秘密の不可侵の規定に反するものではなく、また、右規定の背景にあるプライバシーの権利を侵すものでもない。
[44](三) 前記のとおり、「検閲」とは何らかの発表禁止措置をとることをその要素とするものであるから、関税賦課のための検査を受けること自体を右検閲の禁止との関係で問題とする余地はない。

[45] 被告税関支署長が関税定率法21条3項に基づき、昭和49年5月9日原告に対し本件物件(一)につき、同法21条1項3号掲記の貨物に該当する旨の通知をし、次いで、同年6月7日原告に対し本件物件(二)につき、同旨の通知をしたこと、被告税関長は原告の右各通知に対する異議申出に対し、同法21条5項に基づき、同年11月16日これらを棄却する旨の決定をしたこと、右通知及び決定は違法、違憲というべきものであることは前示第一の一及び三に説示するとおりである。
[46] 原告はこれにより本件物件の入手を妨げられ、精神的苦痛を被つた旨主張するのであるが、原告は、本件通知及び決定により本件物件の入手が一時妨げられたに過ぎず、本件物件の入手が終局的に不可能になつたわけではなく、なお将来その入手の余地が残されているものであり、他方、本件物件の入手を一時妨げられた場合に精神的損害があるとしても、もともと財産権の侵害に基づく精神的損害の賠償を求め得るためには、侵害された財産が被害者にとつて特別の主観的、精神的な価値を有し、そのため単に財産的損害の賠償だけでは到底償い得ないほど甚大な精神的苦痛を被つたと認めるべき特段の事情がなければならず、かつ、それは特別事情による損害として相手方に予見可能性があつた場合であることを要するものと解すべきところ、本件において原告にかかる特別事情の存したこと及び被告税関支署長及び同税関長においてかかる事情を予見し得たことを認めるに足りる証拠は存しないところである。
[47] してみると、本件通知及び決定により本件物件の入手が一時妨げられたことを原因として慰藉料の賠償を求める原告の請求は未だ理由がないものといわなければならない。

[48]第三 よつて、原告の被告税関支署長及び被告税関長に対する請求を認容し、被告国に対する請求はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法89条、93条を各適用して主文のとおり判決する。

  (裁判官 磯部喬 笹村将文 寺田逸郎)

物件目録(省略)
第21条 左の各号に掲げる貨物は、輸入してはならない。
  三 公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻物その他の物品
(第2項略)
3 税関長は、関税法第6章に定めるところに従い輸入されようとする貨物のうちに第1項第3号に掲げる貨物に該当すると認めるのに相当の理由がある貨物があるときは、当該貨物を輸入しようとする者に対し、その旨を通知しなければならない。
4 前項の通知を受けた者は、その通知について不服があるときは、その通知を受けた日から1月以内に、不服の理由を記載した書面をもつて、その通知をした税関長に対して異議を申し出ることができる。
5 税関長は、前項の異議があつたときは、政令で定めるところにより、輸入映画等審議会に諮問して、当該申出に対する決定をし、書面によりこれをその申出をした者に通知しなければならない。
第67条 貨物を輸出し、又は輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、当該貨物の品名並びに数量及び価格(輸入貨物については、課税標準となるべき数量及び価格)その他必要な事項を税関長に申告し、貨物につき必要な検査を経て、その許可を受けなければならない。
第76条 第67条から第73条まで(輸出又は輸入の許可・輸出申告又は輸入申告に際しての提出書類・貨物の検査場所・証明又は確認・原産地を偽つた表示等がされている貨物の輸入・関税の納付と輸入の許可・輸入の許可前における貨物の引取)及び前条の規定は、郵便物については適用しない。ただし、税関長は、輸出され、又は輸入される郵便物中にある信書以外の物について、政令で定めるところにより、税関職員に必要な検査をさせるものとする。
2 税関職員は、前項但書の検査をするに際しては、信書の秘密を侵してはならない。
3 郵政官署は、第1項但書に規定する物を内容とする郵便物を受け取つたときは、その旨を税関に通知しなければならない。
4 第70条(証明又は確認)の規定は、第1項但書の規定により検査を受ける郵便物について準用する。この場合において、同条第1項中「輸出申告又は輸入申告」とあり、又は同条第2項中「第67条(輸出又は輸入の許可)の検査その他輸出申告又は輸入申告に係る税関の審査」とあるのは、「第76葉第1項但書の検査その他郵便物に係る税関の審査」と、同条第3項中「輸出又は輸入を許可しない。」とあるのは「郵政官署は、その郵便物を発送し、又は名あて人に交付しない。」と読み替えるものとする。

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