証券取引法164条合憲判決 | ||||
控訴審判決 | ||||
短期売買利益返還請求控訴事件 東京高等裁判所 平成12年(ネ)第2963号 平成12年9月28日 第10民事部 判決 控訴人 (被告) フリージアコンピュータ株式会社 被控訴人(原告) 技研興業株式会社 口頭弁論終結の日 平成12年8月24日 ■ 主 文 ■ 事 実 及び 理 由 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 一 控訴人 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 3 訴訟費用は、第1、2審ともに被控訴人の負担とする。 二 被控訴人 主文と同旨 [1] 原判決3頁7行目から7頁11行目までに記載のとおりであるから、これを引用する。 [2]一 引用にかかる請求原因1ないし4の事実(原判決3頁7行目から4頁11行目までに記載の事実)は当事者間に争いがなく、本件訴状が平成11年11月8日に、訴えの変更の申立書が平成12年1月17日にそれぞれ控訴人に送達されたことは本件記録上明らかである。 [3] 証券取引法164条1項は、上場会社等の役員又は主要株主(以下「役員等」という。)がその職務又は地位により取得した内部情報(秘密)を不当に利用することを防止する目的で、一般の投資家と比べて当該会社の重要な内部情報を得やすい立場にある役員等が同項所定の有価証券等の短期売買を行い、利益を得た場合には、当然に短期売買差益の提供請求をすることができることとし、一律にその利益の全部を会社に提供させることとした規定であり、これによって間接的にいわゆるインサイダー取引の防止を図ったものである。 [4] そして、一般投資家が知り得ない内部情報を利用した取引が、本質的に不公正であり、証券市場の適正な運営ないし一般投資家の証券市場に対する信頼を損なわせることにかんがみると、右規定は、財産権に対する必要かつ合理的な制限であり、公共の福祉にかなうものであるから、右規定が憲法29条1項に違反するものとはいえない。 [5] 控訴人の主張は,これと異なり、役員等の内部情報(秘密)の不当利用及び一般投資家の損害の発生を右規定の適用の要件とするものであるから、採用することができない。 [6]三 よって、被控訴人の請求は理由があり、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから、主文のとおり判決する。 | ||||
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