ゴルジ体の構造と機能の発生細胞生物学的解析

 ゴルジ体(装置)は小胞輸送経路の中心に位置し、分泌タンパク質や膜タンパク質の修飾や一部の脂質、糖脂質の合成を担当するオルガネラです。ゴルジ体は、また合成修飾されたタンパク質群の品質管理を行うとともに、完成したタンパク質群を最終目的地にしたがって選別し配送する機能も担っています。近年、当研究室での研究から、細胞の増殖や死、組織形成にともなう細胞の分化や分極において、ゴルジ体が大きな役割を果たしている事が明らかとなってきています。

 細胞はゴルジ体の機能状態をモニターして、その構造や細胞内での局在を、細胞の機能発現に合わせて巧妙に調節していると推察されますが、その解析はほとんど進んでいません。そこで、ゴルジ体に局在するタンパク質、特に細胞周期や細胞運動の制御や細胞死の情報伝達への関与が示唆されているタンパク質の挙動や機能を生化学的・分子生物学的・細胞生物学的・発生生物学的手法を用いて解析し、@ゴルジ体の構造維持の分子機構やその細胞周期調節との連関を明らかにするとともに、Aゴルジ体から核や細胞質全体へどのような情報伝達が行われているのかを明らかにすることを目的として研究を進めています。また、初期発生の観察が容易でかつ培養細胞系での細胞生物学的解析が可能である、ゼブラフィッシュをモデル系として、Bゴルジ体が発生・組織形成や分化などの細胞の高次機能発現にどのような役割を果たしているかを明らかにする事を終局的な目的として研究を行っています。特に、初期発生でのゴルジ体、及びゴルジ体関連タンパク質の細胞内動態を解析するとともに、細胞の形態形成におけるゴルジ体の役割を明らかにする事を目指しています。

ゴルジとゼブラフィッシュ

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2020年07月24日 (金)  N. Nakamura