電子メール補足

メールソフトでの設定

Webブラウザで使用する方法は特に準備が必要がないのでコンピュータに詳しくなくても使えるし、借り物のPCでも使えるという利点もある。しかし、新着メールの有無を確認するためには頻繁にアクセスする必要があり面倒である。そこで、Macに標準でついてくるメールソフトで読み書きできるように設定しておこう。

設定方法は情報センターのページの「電子メールの利用」の項目のとおり。学外からMacやスマートフォンのメールソフトで電子メールを送受信する場合は多要素認証を設定し、アプリの設定も正しく行う必要があることに注意。

メールソフトを設定しておけば、起動中は定期的に新着メールを自動的にチェックして通知してくれる。チェックの頻度は設定で変更可能である。常に起動した状態にしておくとよいだろう。

電子メールのお作法

一口に「メール」と呼んでも、インターネット上の電子メール(以下e-mailと呼ぶ)と、LINE、Twitter、Discordなどのメッセージ機能(以下インスタントメッセージと呼ぶ)とは文化が違い、e-mailではそれなりの作法を要求されることが多いので注意する必要がある。e-mailは現在でもビジネス上の連絡に頻繁に使われている。いつまで使い続けられるかはわからないが、数年で無くなる気もしないので最低限のマナーは理解しておこう。

違いを簡単に理解するには、e-mailは手紙の延長、インスタントメッセージは電話の延長、と考えれば良いが、最近では手紙を書くこともあまりないだろうから皆さんには分かりにくいかもしれない。とにかくe-mailでは関係が希薄な相手とやりとりをすることが多いので、相手の立場で考えることが重要である。

以下によくある注意点を挙げる。

件名は適切に

多くのメールアプリでは受信リストに差出人と件名が一覧表示される。受信者はこれらを手がかりにメールを読むが、不適切な件名がついていると見逃したり後回しにされたり無視されることもある。スパムフィルターによって自動的に迷惑メール判定される可能性も高くなる。読み手が主題を理解できる程度に簡潔に書こう。

いまいちな例(それぞれなぜダメか考えてみよう)

現実にはこれらのダメな件名のメールを日々受けとる現実がある。

返答を繰り返していくうちに件名がそのままで、内容がすっかりずれてしまうこともある。そのような場合は適当なタイミングで件名を変更するとよいだろう。

場合によっては、自動的に処理する都合で変な件名を指定されることがある。私も「情報理工学部 水口」などといった件名での送信を指定されて辟易したことがあるが、反抗してムダに労力を費やすこともないので、そのような場合はおとなしく従っておこう。

まず名を名乗れ

インスタントメッセージを送ってくる相手は基本的に知っている人であり、電話帳に登録されていたり送信者情報が表示されたりするので、わざわざ名乗らなくても誰から送られてきたのかが分かるようになっている。一方、e-mailの場合、差出人(技術的にはFromフィールドと呼ぶ)にメールアドレスおよび設定されていれば差出人の名前が表示されるようになっているが、文化的に本文の冒頭で名乗るのが一般的である。特にe-mailを仕事で使用する際には初めて送る相手も多いので、習慣として名乗るようにしよう。あまり親しくない相手には所属等、自分が何者か分かる情報も書くべきである。

また、冒頭には相手の名前も書いておくことが一般的である。受け取った側も、間違いなく自分宛に送られた内容であることが分かり安心できる。

ダメな例(差出人はダミーのアドレスです)

件名:こんにちは
差出人:g123456@cc.kyoto-su.ac.jp
本文:質問したいことがあるので明日研究室にお伺いしてもよろしいでしょうか?

確認課題
本演習で説明した電子メールのマナーについて質問したいという前提で、このメールの件名と本文を適切に修正して、指示された宛先に送りなさい。ただし、本当の質問と混乱しないように件名の冒頭には(練習)とつけておくこと

簡潔に書こう

手紙と同じ、と言っても通常は時候の挨拶(「拝啓、桜花のみぎり、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか」といった文面)は省略されるのが普通であるし、不必要に丁寧に書く必要はない。

ただし一部方面で、例えば宛名を呼び捨てにするな、などといった変な習慣がはびこっていたりする。郷に入れば郷に従え、とは言うが……

重要な情報を平文で送らない

e-mailは複数のメールサーバーを中継して転送されて相手に届く仕組みである。また、e-mailは暗号化されない(平文=暗号化されていない、元のままの文字)。であるので、転送経路のサーバで中身を盗み見ることが論理的には可能である。送る相手に直接届くのではなく、他人が目にする可能性を意識しておこう。

練習:どのような情報をe-mailで送ると危険か考えてみよう。

重要な情報は暗号化して送る手段もある。

(できれば)プレインテキストで

最近のメールアプリはHTML(Hyper Text Markup Language: Webページを記述するための言語)で書かれた本文を送受信することができるが、古いアプリでe-mailを読んでいる人も世の中には少なからずいる。極力プレインテキスト(plain text: 文字情報のみのデータのこと)を使うべきである。

初期設定がHTMLになっているメールアプリも最近は増えているので注意。Office365メールも勝手にHTMLで送信するので困ったものであるがそういう時代か……

次の文字コードの設定や半角カナ問題なども含めて古くさい老害的な考え方とも言えるが、先生や将来就職して君たちの上司になるような人は昔からコンピュータを扱っていて、いまだに古いアプリを使っていることも多いので無用なトラブルを避けるための処世術と思っておこう。相手がHTMLメールを読めることを知っていて、相手も使ってきているようならば同じように使っておいてもよいのだが。

(できれば)文字コードの設定はJISにする

コンピュータが日本語を扱うためには大きく分けて4種類の文字コードと呼ばれる、数字と文字の対応付け方法が存在する(詳しくは文字コードの回で説明する)。本来e-mailではJISコードという文字コードを使っているので、メールアプリをこれ以外に設定すると文字化けと呼ばれる、正しく文字が読めない現象が発生する。多くのメールアプリでは初期設定がJISコードのはずなので、不用意に変更しないように気をつけよう。最近ではUnicodeを扱うことのできるメールアプリが多くなったが、JISコードには含まれておらずUnicodeのみに含まれているような文字(絵文字など)を使うと、自動的に文字コードを変更してしまうメールアプリ(Macの標準メールアプリなど)も存在するので気をつけよう。

とは言っても、今時Unicodeを扱えない環境を使っているのもどうかとは思うが。

たまに初期設定がJISコードでないアプリが存在するのが問題である。文字コードを自動的に判別する機能があるアプリなら文字化けはだいたい回避できるが、たまにうまく行かなかったりするし、古いアプリでは対応していないので、極力JISコードを使うべきである。

(できれば)不用意に半角カナは使わない

半角カナ(1バイト文字のカタカナ)は昔からトラブルの種になりやすいので使用しない方が良い(e-mailに限らず、一般的に)。

これも特に年寄りが古いプログラムを使っているときに問題になりやすいので気をつけよう。また、歴史的経緯や技術的に、新たに使う必要が無いものなので、理由無く半角カナを使っていると素人っぽさが目立つ。

文字を組み合わせた絵文字(アスキーアート)などによく使われているので注意が必要である。

すぐに返事が来ることを期待しない

e-mailは受信者が都合の良いときに読んで返事をすればよい、という考え方で使われてきたので、すぐに返事が来ることを期待してはいけない。逆に、e-mailを受け取った場合、通常はすぐに返事をする必要は無い。返事をすぐに求めるならば電話などの別の手段を使うべきである。

とは言え、受け取ったメールをそのまま放置していると送り手も読んで貰えたかどうか心配になるので、返事が遅れそうな場合は「受け取りました。後ほどお返事します。」くらいの簡単な返事をまず返しておく、といった気遣いをするのが良いだろう。同様に、質問のメールを送って回答をもらったら、感謝の意を伝えるのとともに受け取ったことを相手に伝えるため、単に「ありがとうございました。」だけでもよいので返事を送っておくのが良い。

なお、電子メールを夜に送るときには「夜間に失礼します」などと書き添えたり、遠慮して夜には送らないという風習が一部で見受けられる。都合が良いときに返事をすればよいという原則からすると電子メールを夜中に送っても問題が無いのだが(相手も寝ていれば見ないだけのことなので)、日本社会は妙に気遣いを気にする文化なので時と場合に応じて相手に合わせておこう。

添付ファイルについて

電子メールには文章を書く以外に、写真やデータなどのファイルを添付して送信することができる。ただし、添付ファイルのデータサイズには上限があることが多い。上限は使用しているメールの環境に依存するが、せいぜい数MBが限界と思っておいてよいだろう。上限を超える場合は送受信ができない。送信に成功しても受信側が失敗していることもある。データサイズが大きい場合は電子メール以外の受け渡し方法を使うこと。

ワープロのファイルなどを送る場合、相手が使用可能かどうか事前に確認すべき、という主張も一部に存在しているようだが、少々気にしすぎな感もある。相手が編集する必要がない場合はPDF形式のファイルで送ればほぼ問題が無い。Macの場合、どのようなアプリを使っていても「プリント」(印刷)メニューからPDF形式のファイルを作成して保存することができる。

練習:PDFとは何か調べておこう。

定期的にチェックしよう

学生、特に1回生のうちは、電子メールを受け取ることもあまりないだろうからついチェックを怠ってしまうかもしれないが、授業関係などで重要な連絡があるかもしれない。こまめにチェックするのが一番であるが、滅多に届かないメールをチェックするのも面倒である。必ず上記のようにメールソフトやスマートフォンで設定しておいて自動的に受信するようにしよう。

恐れず使ってみよう

……と注意点が沢山で面倒なので使う気にならなくなるかもしれないが、やってみないことには何事も上達しない。失敗したり教えて貰いながら覚えていけば良いので、とにかく使ってみることが大事である。基本的な考え方として「相手の立場で読んでみる」ことを心がけると良いだろう。

いまだに多くの会社や組織ではよく使われているし、就職活動でも使うことになるだろうから、早い内にe-mailのマナー(と良い日本語の書き方)を身につけよう。

本日の課題

指示されたアドレス宛に、自己紹介メールを送信せよ。

件名は適切につけること(どのような件名が適切か考えなさい、という意味)。
本文は自己紹介、例えば、趣味、特技、大学での抱負、将来の夢、などを書くこと。これらは例であって、自己紹介であれば何でも構わない。とにかく、読んだ人に自分がどのような人物であるか印象づけて覚えてもらうように内容を工夫すること。一言二言を箇条書きで書くのではなく、ちゃんと日本語の文章で書くこと(英語でも構わない。日本語と英語以外の言語は担当教員が多分理解できないので申し訳ないがご勘弁)。
他、本項で説明した注意事項(電子メールのマナー)に留意すること。

締切:今週土曜日の24:00まで

次回の予習