ゼミ生が語る「私の好きな京都」(2019年春学期)
たけびしスタジアム京都
菅浪大志
(2017年度入学 鈴木ゼミ一期生)

 スポーツを続けている私が紹介するのは、「たけびしスタジアム京都」である。「たけびしスタジアム京都」とは、京都市の西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場のことである。京都に本社をおく産業用電子機器などを扱う商社である株式会社たけびしが命名権を得て2019年から「たけびしスタジアム京都」に改名された。命名権を得たことに関して「当社は、長きに渡り京都で育ってきた企業として、地域社会に貢献できる企業でありたいとの想いから、同じ西京極にある当施設のネーミングライツを取得いたしました」と発表している。
 一方、ネーミングライツを募集した京都市は、ネーミングライツを通して京都のスポーツ振興に寄与するのが目的である。また、「たけびしスタジアム京都」のネーミングライツによる売却命名権取引額は年間4千万円で契約期間は10年である。売却命名権取引により、得た収入は施設の維持管理に充てられる。

 「たけびしスタジアム京都」は、阪急京都本線西京極駅から徒歩で10分ほどの距離にある京都市西京極総合運動公園内に位置する
 京都市西京極総合運動公園は、「たけびしスタジアム京都」の他に野球場もある。野球場は、サプリメントメーカーの株式会社わかさ生活が命名権を得て「わかさスタジアム京都」となっている。また、体育館は「ハンナリーズアリーナ」であり、京都ハンナリーズの運営会社である株式会社スポーツコミュニケーションKYOTOが命名権を得ている。
 京都市西京極総合運動公園は、1930年に昭和天皇の成婚奉祝記念に京都市運動場として建設され、1946年には、第1回国民体育大会が開催された。その後、1988年の第43回国民体育大会の開催を機に、1982年からナイター照明設備や電光掲示板を設置するなど、全面改修を進めた。1995年に京都パープルサンガ(現:京都サンガF.C.)の日本プロサッカーリーグ、いわゆるJリーグへの加盟に合わせて陸上競技場兼球技場として、バックスタンドとサイドスタンドの座席化と電光掲示板の大型化といった改修を行い、今に至るまで京都サンガF.C.のホームスタジアムとして使用されている。尚、来季から京都サンガF.C.のホームスタジアムは、京都府亀岡市の「京都スタジアム(仮称)」となる予定である。
 「たけびしスタジアム京都」は、主に、陸上競技・サッカー・ラグビー・アメリカンフットボールなどの練習や競技の場として使われている。

 陸上競技では、小学生や中学生、高校生、大学生といった学生スポーツが毎年行われている。年齢によって競技クラスを分けることで20歳代から80歳代の方がマスターズで競技を行い生涯スポーツの場としても利用されている。主に全国区でテレビ中継される競技は、1月の第2日曜日には、皇后杯全国都道府県対抗女子駅伝競争大会が行われる。また、3月には、およそ1万6000人が参加する京都マラソンが行われる。近年、京都マラソンの申し込み者数は、増加傾向にあり倍率が5倍を超えている。そして、12月には全国高等学校駅伝競争大会が毎年行われる。
 サッカーは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟している京都サンガF.C.のホームスタジアムとして使用されている。また、約50の大学が加盟している関西学生サッカーリーグや社会人スポーツとして関西サッカーリーグの公式試合も開催されている。大人だけでなく、小学生や中学生、高校生や大学生が試合を行なっている。

 ラグビーは関西ラグビーフットボール協会が主催するリーグ戦が主催されている。リーグ戦は、関西大学リーグや関西社会人リーグの会場として利用されている。アメリカンフットボールも同様で約50の大学からなる関西学生アメリカンフットボール連盟の試合が行われている。
一般の方も個人や団体で貸し切ることも可能である。平日の全日利用ではおよそ15万円から貸し切れる。土曜日、日曜日、祝日の全日利用は、およそ18万円だ。また、午前や午後のみ、夜間の貸し切りにすると利用料金を抑えることも可能である。
 京都市西京極総合運動公園を管理している公益財団法人京都市スポーツ協会はお正月に「たけびしスタジアム京都」を無料開放している。施設の無料開放に関して、京都市スポーツ協会は「年末年始は生活が不規則になりがちです。運動で汗を流したり、ご家族親戚でお正月遊びをするなど、広いグラウンドでのびのびと体を動かして新年のスタートを気持ちよく切りましょう」と案内している。この期間は「たけびしスタジアム京都」の隣にある補助競技場も無料開放しており、凧揚げなどの正月遊びやバドミントン、キャッチボールといった特別なことができるのも特徴である。スポーツをしない人でも、スポーツ施設に足を運ぶきっかけになるかもしれない。
 スポーツ庁のスポーツ基本企画では、「成人の週1回以上のスポーツ実施率が65%程度、週3回以上のスポーツ実施率が30%程度となることを目標としている。国民のスポーツ参加を促進する取り組みの充実を通じて、国民の誰もがいつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会の実現を目指します」とあり、この方針を実現するために国や京都府、京都市はスポーツや健康に関する政策や事業に取り組んでいる。
 2014年に公益財団法人京都市スポーツ協会が行った調査によると、京都市西京極総合運動公園は、安全なので散歩やジョギング、ペットの散歩コースとして地元の利用者が多い。その上で、公園内にあるスポーツ施設の利用に繋がれば、さらに京都を盛り上げるかもしれない。
 今やスポーツとは勝敗を争う目的で行う競技だけではなく、身近なものとなっている。スポーツは、老若男女を問わず、ライフステージや心身の状態に合わせて、楽しみや喜びを求めるものとなっている。スポーツ施設として、「たけびしスタジアム京都」では、子供からお年寄りまでたくさんの人が利用している。スポーツは、一部の人だけが行うのではない。プロスポーツや競技スポーツ、学生スポーツだけでなく、生涯スポーツの場として2019年から新たな名前となった「たけびしスタジアム京都」で、自分に合ったスポーツのあり方を見つけることができるかもしれない。

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