ゼミ生が語る「私の好きな京都」(2020年)
スポーツが与える地域への影響力
菅浪 大志
(2017年度入学 鈴木ゼミ一期生)

 スポーツを続けている私はスポーツのイベントや大会が地域に与える影響力に着目して論じる。
 私はスポーツのイベントや大会が開催されることによって、開催地周辺に多大なる影響を与えると考える。言うまでもなく、1番影響を与えることは、他所の地域から人を呼び込む集客である。人を呼び込むことで開催地へ向かう交通機関の利用や飲食、宿泊といった利用が見込まれる。多くの人を呼び込むことができるスポーツは地域を豊かにするような影響を与える可能性があると考える。

 スポーツと一言に言っても沢山の種目がある。まず、スポーツを大きく分けると「プロスポーツ」と「アマチュアスポーツ」に分けることができる。例えば、「プロスポーツ」であれば、プロ野球(NPB)や日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)、相撲、ゴルフ、ボクシングが日本における代表的な「プロスポーツ」である。一方で「アマチュアスポーツ」の代表例は学生スポーツであると考える。
 京都における「プロスポーツ」の代表例としてはバスケットボールの「京都ハンナリーズ」、サッカーの「京都サンガ」女子野球の「京都フローラ」である。一方で、京都府には中学校が197校、高校が104校、大学がキャンパスを含めて34校ある。

 京都の「プロスポーツ」や「アマチュアスポーツ」のイベントや大会の開催における地域への影響力について論じる。まず、「プロスポーツ」のイベントや大会の開催では少なくとも数千人単位での動員が見込まれる。また、「アマチュアスポーツ」のイベントや大会の開催においても少なくとも数百人単位での開催が見込まれる。よって、スポーツのイベントや大会が行われることで開催地域に多くの人を呼び込むことができる。
 例えば、2019年4月京都の「プロスポーツ」大会においての観客動員数は以下の通りである。

チーム名
(施設)
4月大会数 総観客動員数 1大会あたり平均 開催施設最大収容人数
京都ハンナリーズ
(ハンナリーズアリーナ)
3回 5,934名 約1,978名 2,500名
京都サンガ
(たけびしスタジアム京都
3回 17,243名 約5,748名 20,668名
京都フローラ
(わかさスタジアム京都)
8回 4,899名 約612名 20,000名
内野:座席13,300人
外野:芝生席6,700人

 上記に示している2019年4月開催の大会は全て京都市内で行われている大会である。スポーツの競技によって、開催時期が異なるが、京都の主な「プロスポーツ」が大会を行なっている4月に着目して統計値を出した。

 京都サンガの観客は大人であれば、およそ2,000円から7,000円である。単純に計算をしてチケット代だけで数百万円を超える金銭が動いている。そして、その人たちが交通機関を利用して飲食にも金銭を払うことを想定すると開催地域に多くの経済的な影響を与えることが考えられる。さらに、2019年4月の「プロスポーツ」の大会における総観客動員数は28,076名なので、チケット代以外に少なくとも1名あたり平均500円を開催地域で使用したと仮定をするとおよそ14,038,000円もの金額に達すると考えられる。
 よって、京都の「プロスポーツ」において開催地域に多大な金銭的影響を与えている。
 関西大学の分析によると2020年の新型コロナウイルスに伴うプロスポーツ関連の業界への経済的損失はおよそ2,747億円になると2020年5月13日に発表している。京都の「プロスポーツ」にだけ着目すると2020年4月から6月の3ヶ月において少なくとも数千万円規模での経済的損失が考えられる。

 公益財団法人京都市スポーツ協会 事務局によると京都市の主要スポーツ施設の利用状況は以下の通りである。

施設 年/月 利用件数 利用率
ハンナリーズアリーナ 2019/4 27 33,5%
2019/5 18 39,9%
2019/6 10 34,5%
たけびしスタジアム京都 2019/4 11 62,9%
2019/5 13 78,2%
2019/6 22 41,7%
わかさスタジアム京都 2019/4 51 67,5%
2019/5 45 72,5%
2019/6 78 68,2%

 2019年4月から6月までの3ヶ月間において、ハンナリーズアリーナは55件、たけびしスタジアム京都は46件、わかさスタジアム京都は174件の利用がある。一方、2020年4月と5月は新型コロナウイルスの影響により閉館しており、利用件数は0件である。また、たけびしスタジアム京都は現在改修工事を行なっているので、2020年2月以降は利用されていない。再び利用人数に関して2019年と2020年の比較を行うと2019年3月と4月の京都ハンナリーズにおける総観客動員数は23,189名、京都サンガにおける2019年の3月から6月は53,811名、京都フローラは2019年3月から5月は16,902名にも達していた。京都における「プロスポーツ」の2019年の3月から6月の4ヶ月の総観客動員数は93,902名だった。新型コロナウイルスの影響により2019年と比べて9万人を超える人の流れが途切れてしまったと言える。

 次に、「アマチュアスポーツ」にも目を向けて京都市のスポーツ施設の利用を示すと以下のようになる。

施設 2019/3 2019/4 2019/5 2019/6
ハンナリーズアリーナ プロ4件
アマチュア4件

計8件8日間
プロ2件
アマチュア4件

計6件7日間

アマチュア7件

計7件11日間

アマチュア11件

計11件11日間
たけびしスタジアム京都 プロ2件
アマチュア4件

計4件4日間
プロ3件
アマチュア13件

計16件16日間
プロ3件
アマチュア14件

計17件17日間
プロ2件
アマチュア8件

計10件12日間
わかさスタジアム京都 プロ2件
アマチュア6件

計8件8日間
プロ7件
アマチュア5件

計12件26日間
プロ1件
アマチュア5件

計6件11日間

アマチュア4件

計4件10日間

 京都市の各スポーツ施設の利用は比較的に「プロスポーツ」よりも「アマチュアスポーツ」の利用件数が多いとわかる。よって、利用件数だけで考えると「プロスポーツ」よりも「アマチュアスポーツ」の方が人を呼び込む機会が多いとわかる。また、「アマチュアスポーツ」において1大会あたりに呼び込むことのできる人数について詳しいデータがないためにあまり触れないが、「アマチュアスポーツ」よりも「プロスポーツ」の方が1大会あたりに呼び込むことができる人数は多いと想定はできる。
 よって、スポーツのイベントや大会が多くの人を呼び込むことで経済的な影響を与える。また、多くの人が交流する場である。そして、人と人が交流することで新たなコミュニティーを生み出す影響を与えると考える。スポーツのイベントや大会開催に伴い開催地には経済的影響を与え、そこで新たなコミュニティーにも影響を与えることで開催地周辺における「経済」と「人の繋がり」の両面を豊かにする要素があると考える。一方で、2020年は新型コロナウイルスにより「経済」と「人との繋がり」を豊かにする機会が減っている。新型コロナウイルスによるマイナスの影響が世界中に広がっているが、スポーツのイベントや大会が開催されることで開催地を豊かにすることが望まれると考える。

<引用文献・引用Webサイト>
・公益財団法人京都市スポーツ協会 事務局
・公益財団法人京都市スポーツ協会「情報誌ダッシュ」
・Bリーグ公式サイト
・女子プロ野球公式サイト
・Jリーグ公式サイト
・Wikipedia、コトバンク

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