ゼミ生が語る「私の好きな京都」(2020年)
私の好きな京都:仁和寺
永島 明奈
(2017年度入学 鈴木ゼミ一期生)

1.仁和寺の概要
 仁和寺の歴史は仁和2年、第58代光孝天皇によって「西山御願寺」と称する一寺の建立を発願されたことに始まる。
 しかし翌年、光孝天皇は志半ばにして崩御されたため、第59代宇多天皇が先帝の遺志を継がれ、仁和4年に完成。寺号も元号から仁和寺となった。

 宇多天皇は寛平9年に譲位、後に出家し仁和寺第1世宇多法皇となる。以降、皇室出身者が仁和寺の代々住職を務め、平安~鎌倉期には門跡寺院として最高の格式を保った。 しかし、応仁元年に始まった応仁の乱で、仁和寺は一山のほとんどを兵火で焼失するという悲運に見舞われた。そのような中、本尊の阿弥陀三尊をはじめ什物、聖教などは仁和寺の院家であった真光院に移され、法燈とともに伝えられてきた。

 応仁の乱から約160年後の寛永11年、ようやく再興の機会が訪れる。『仁和寺御伝』によれば、同年7月24日、仁和寺第21世 覚深法親王は、上洛していた徳川幕府3代将軍家光に仁和寺再興を申し入れ、承諾されるのである。 さらには、慶長度の御所造替とも重なり、御所から紫宸殿、清涼殿など多くの建造物が下賜され、正保3年に伽藍の再建が完了。ようやく創建時の姿に戻ることが出来た。

 慶応3年、第30世純仁法親王が還俗したことにより皇室出身者が住職となる宮門跡の歴史を終える。また、明治20年には御殿の焼失があったが、大正時代になると再建。 昭和時代に入ると、仁和寺は真言宗御室派の総本山となり、近年では平成6年に古都京都の文化財としてユネスコの「世界遺産」に登録され、新たな歴史を刻んでいる。

2.仁和寺を選んだ理由
 私が仁和寺を選んだ理由は、京都に来てから初めて、自分一人だけで訪れたお寺だからである。また、私が今まで訪れた京都のお寺の中で、一番景観がきれいだと感じた。

3.仁和寺の境内内の各建物
 京都では珍しい道路に面した「二王門」(京都3大門のひとつ)より足を一歩踏み入れると、広大な境内には国宝の「金堂」をはじめ、重要文化財の「五重塔」「御影堂」「観音堂」や、御殿内の「遼廓亭」「飛濤亭」などがある。皇族や貴族とのゆかりが深かったため「仁和寺御殿」といわれる御所風建築物が特長である。

【金堂(国宝)】
 仁和寺の本尊である阿弥陀三尊を安置する御堂。慶長年間造営の御所 内裏紫宸殿を寛永年間に移築したもの。現存する最古の紫宸殿であり、当時の宮殿建築を伝える建築物として、国宝に指定されている。堂内は四天王像や梵天像も安置され、壁面には浄土図や観音図などが極彩色で描かれている。

【鐘楼(重要文化財)】
 入母屋造、本瓦葺。「鐘楼」の「楼」とは元来二階建ての建物を指す。階上は朱塗で高欄を周囲に廻らせ、下部は袴腰式と呼ばれる袴のような板張りの覆いが特徴的である。

【九所明神(重要文化財)】
 仁和寺の伽藍を守る社。社殿は本殿・左殿・右殿の三棟あり、八幡三神を本殿に、東側の左殿には賀茂上下・日吉・武答・稲荷を、西側の右殿には松尾・平野・小日吉・木野嶋の計九座の明神を祀る。九所明神の最古の記録は『御室相承記』に、建暦2年に境内南にあったものを東に遷宮した事が書かれている。現在の建物は寛永年間に建立されたものである。

【経蔵(重要文化財)】
 寛永~正保年間の建立。宝形造、本瓦葺。正面に両開きの板唐戸、左右に花頭窓を付け、禅宗様で統一される。内部は釈迦如来・文殊菩薩・普賢菩薩など六躯を安置し、壁面には八大菩薩や十六羅漢が描かれている。
 内部中央には八面体の回転式書架(輪蔵)を設け、各面に96箱、総計768の経箱が備えられていて、その中には天海版の『一切経』が収められている。

4.仁和寺の月例・年間恒例行事

◎月例行事
  ⇒月例法要

◦御影供(御影堂)
毎月21日
 
◦護摩供(大黒堂)
毎月28日

◎年間恒例行事

1月1日修正会
6日御室流華道生初式
7日初祈祷会
 
2月3日節分会
15日常楽会
 
3月3日土砂加持法要
20日春季名宝展(~5月31日まで)
 御室花まつり(~5月6日まで)
21日春季彼岸会
24日春季御室霊園水子地蔵尊供養会
 
5月12日御室流華道流祖奉献全国挿花大会
13日
 
6月6~8日授戒会 ※一般参拝不可
15日宗祖誕生会
 
9月8日開山忌
21日秋季彼岸会
23日秋季彼岸御室霊園供養会
 
10月1日秋季名宝展(~11月24日まで)
 
12月1日伝法潅頂 ※一般参拝不可

5.最後に
 京都には、様々な神社仏閣があるが、それぞれに魅力がある。自分でお気に入りの神社仏閣を見つけることもよいと思う。また、日本には四季があるので、季節の移ろいを感じられることも魅力である。私が、仁和寺を訪れた際には、比較的、若い世代の参拝客が少ないと感じた。もっと若い人たちが神社仏閣を訪れて、歴史や日本の四季に触れることが大切だと感じた。たまには、友だちを誘って、神社仏閣巡りをして、その魅力をもっと多くの人に知ってもらえたらいいなと思った。

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