ゼミ生が語る「私の好きな京都」(2020年)
京都水族館
菅浪 大志
(2017年度入学 鈴木ゼミ一期生)

 私が今回紹介するのは「京都水族館」である。
 まず、京都水族館はJR京都駅中央口より西へ徒歩で約15分、またはJR山陰本線梅小路京都西駅より徒歩7分に位置している。近くには『古都京都の文化遺産』として世界遺産に登録されている東寺(教王護国寺)や西本願寺があり、『京都鉄道博物館』も徒歩15分圏内に存在している。

 京都水族館は2012年に開業した日本最大級の内陸型水族館である。また当施設は100%人工海水を使用した日本発の水族館でもある。約250種、1万5000匹を展示している。管理運営はオリックス不動産が隣接する梅小路公園の一部を京都市から借用して管理・運営している。また、人工海水は大成建設の高性能濾過システムで生み出している。
 京都水族館のコンセプトは「水と共につながる、いのち。」である。京都は三方を山に囲まれた京都盆地には豊富な水の恵みがある。例えば、京都市内には鴨川、桂川、宇治川をはじめ、10もの一級河川が流れている。京都は古くから山紫水明(さんしすいめい)の都としての川文化を築いている。京都がもつ独特な川文化を伝える役割として展示するだけでなく、遊びながら学ぶことができる場を目指している。

 主な展示は以下の通りである。
 どこの水族館にもあるような「オットセイ」や「アザラシ」、「ペンギン」、「クラゲ」、「イルカ」の展示は当たり前だが、京都水族館ならではの「京の川」や「京都の海」、「交流プラザ」、「山紫水明」、「京の里山」の展示エリアが京都水族館のコンセプトやメッセージ性が含んでいると感じることができる。

(1) 京の川 「生きた化石」や「世界最大級の両生類」であるオオサンショウウオを観ることができる。そして「京の川」は由良川の上流・中流・下流を一つの水槽で表現している。
(2) オットセイ ミナミアメリカオットセイを水中の泳いでいる姿や岩場に上がっている姿を観ることができる。
(3) アザラシ ゴマアザラシをチューブ状の水槽で観ることができる。そこを泳いでいるときは上に飛んでいくように観ることができる。
(4) 京の海 約500トンの人工海洋水の大水槽で日本海側では「金樽イワシ」と言われるイワシの群れや京料理の高級食材として親しまれているアマダイなどの約50種類を観ることができる。
(5) ペンギン アフリカ大陸南部に生息するケープペンギンを丘の上でのんびりしているところやダイナミックに泳ぐ姿を観ることができる。
(6) クラゲワンダー 西日本最多となる約20種5000匹のクラゲを生態に合わせてさまざまな水槽で展示している。
(7) イルカスタジアム 毎日開催されているイルカパフォーマンスでは、反動イルカのダイナミックなジャンプやトレーナと息のあったパフォーマンスが観られる。
(8) 交流プラザ 交流プラザでは季節ごとにいろんな楽しみ方ができるスペースに変身するような場所を提供、展示している。
(9) 三紫明水 深泥池や昔あった巨椋池に住む生き物や琵琶湖とつながりのある生き物たちなど京都特有の生き物などを展示している。また、京都の希少動物が、どういう生き方をして、どのような理由で絶滅の危機に瀕しているのか展示している。
(10) 京の里山 季節の移り変わりに合わせてお米を育て、九条ネギや聖護院かぶらなどの京野菜を育てている。

 京都水族館の料金は大人(大学生を含む)が2200円、高校生は1700円、中・小学生は1100円、幼児(3歳以上)は700円である。関西にある海遊館と比較をすると少し行きやすい価格となっている。また、京都水族館では「夜のすいぞくかん」を開催している。館内が暗くなる午後5時から「イルカスタジアム」「京の海」「ペンギン」のエリアを中心に夜限定の照明で幻想的な演出が見ることができる。

 京都水族館は名前の通り京都の水族館だが、名前だけでなく展示も京都の水族館である。例えば、周りの山々から京都盆地へ流れ込む川を再現するかのような「京の川」の展示がある。また、「三紫水明」では展示だけでなく、伝えるというメッセージ性がある。京都の希少生物が「どのような理由で絶滅に瀕しているか」や希少生物を取り巻く京都の歴史と文化を紹介することで京都の環境を守る情報発信として事実を多くの人に伝える役割を果たしている。そして、京都水族館の特徴として「京の里山」エリアの展示がある。水族館に京都の里山風景を再現しているスペースでお米や九条ネギ、聖護院かぶらなどの京都特有の野菜を育てていることは「京都らしさ」や京都水族館にしかない魅力がある。
 水族館といえば、展示されている生物を観る場である。しかし、「京都水族館」には他の水族館にはない場であると考える。その第一が「京都らしさ」を前面に出している点である。第二に「メッセージ性」を含んでいる点である。他にはない水族館の強みは京都水族館のコンセプトである「水と共につながる、いのち。」に基づいている。独特な川文化を築いてきた京都の自然や生き物を見て考えるきっかけになる「窓」を目指している。そういった点でエドュケーション(教育)とエンターテイメント(娯楽)の両面が「京都水族館」にはある。

 京都水族館は『近づくことは、いつも新しい入り口であると私たちは思っています。京都水族館に来る前と、来た後では、何かが変わる。近づくと、もっと好きなる』そのような場づくりを目指している。
 ぜひ、みなさんも訪れてみてはいかがでしょうか。

参考:
京都水族館HP

●もどる>