ゼミ生が語る「私の好きな京都」(2020年)
世界遺産 栂尾山 高山寺
永島 明奈
(2017年度入学 鈴木ゼミ一期生)

<高山寺>
 高山寺は、京都市右京区栂尾(とがのお)にある。創建は奈良時代に遡り、その後、神護寺の別院であったのが、1206年に明恵上人が後鳥羽上皇よりその寺域を賜り、名を高山寺として再興した。 神護寺のある高雄から白雲橋を越え、周山街道を道なりに進むと表参道に入る。石段上の左手に「栂尾山 高山寺」の石碑がある。やがて道は平坦になり、かつて大門があったと伝える場所に今は石灯籠が立つ。木漏れ日のもと正方形の石敷きが17枚連なる意匠が美しい。

<高山寺の寺宝 明恵上人>
 草創から現在に至るまで、高山寺は明恵(みょうえ)上人の寺である。明恵は、1173年に生まれ、1232年に没した。8歳で父母を失い、高雄山神護寺の文覚について出家する。東大寺で華厳を学び、勧修寺の興然から密教の伝授を受けた。1206年、後鳥羽院より栂尾の地を賜り、高山寺を開いた。

<鳥獣人物戯画>
 高山寺を代表する宝物。現状は甲乙丙丁4巻からなる。甲巻は擬人化された動物を描き、乙巻は実在・空想上を合わせた動物図譜となっている。丙巻は前半が人間風俗画、後半が動物戯画、丁巻は勝負事を中心に人物を描く。甲巻が白眉とされ、動物たちの遊戯を躍動感あふれる筆致で描く。甲乙巻が平安時代後期の成立、丙丁巻は鎌倉時代の制作と考えられる。鳥羽僧正覚猷(かくゆう、1053~1140)の筆と伝えるが、他にも絵仏師定智、義清阿闍梨などの名前が指摘されている。いずれも確証はなく、作者未詳である。天台僧の「をこ絵」(即興的な戯画)の伝統に連なるものであろうと考えられている。

<日本最古の茶園>
 高山寺は日本ではじめて茶が作られた場所として知られている。栄西禅師が宋から持ち帰った茶の実を明恵につたえ、山内で植え育てたところ、修行の妨げとなる眠りを覚ます効果があるので衆僧にすすめたという。最古の茶園は清滝川の対岸、深瀬(ふかいぜ)三本木にあった。中世以来、栂尾の茶を本茶、それ以外を非茶と呼ぶ。「日本最古之茶園」碑が立つ現在の茶園は、もと高山寺の中心的僧房十無尽院(じゅうむじんいん)があった場所と考えられている。5月中旬に茶摘みが行われる。

<献茶式>
 茶祖明恵上人に新茶を献上する法会。毎年11月8日午前に開山堂で執り行われる。 宇治から茶業組合役員も参列し、明恵上人ならびに茶業界物故者に感謝の祈りをささげる。開山堂内の明恵上人坐像を拝する数少ない機会でもある。

 私は、以前に家族で高山寺を訪れた際に、高山寺の幻想的な雰囲気がとても気に入った。比較的山奥にあり、アクセスが難しい場所ではあるが、実際に訪れてみると違う世界のように空気が違っていて、とても良かった。普段は、寺院に興味がない人も、足を運んでみてほしいと思う。高山寺は、世界遺産なので、このような貴重な建造物や品を守っていくべきだと思った。また、季節によって高山寺の見せる風景も違うので、四季折々の楽しみ方もあっていいだろう。

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