くなってから〜22時頃まで)に烏丸北大路の交差点の真ん中で見ることである。この話を友人にした時、「夕方の方が幻想的で綺麗に見えるのではないか」と言われ、実際に見に行ったが、夕焼けがタワーの白と赤に同化して見えづらく、やはり夜の方がハッキリと臨む事ができる。どのくらいハッキリかというと、京都タワーがピンク色にライトアップされる日であった2019年9月29日に、色や形がきちんと認識できるのか、北大路で確認してから京都駅へ向かった。しかし差はほぼなく、北大路で見た通りのものであった。わざわざ北大路から見なくても、近くで見る方が鮮明で見えやすいが、そのような人は、至近距離で眺めたあと、地下鉄で北大路駅まで移動し、5番出入口から外へ出て交差点を渡りながら左手を見てほしい。これまでにない感動が得られるだろう。
この景色が私の好きな京都である。
この景色が出来た要因を北大路通と京都タワーの歴史から考える。1つ目は、烏丸通がほぼ真っ直ぐ伸びているためである。1974年の烏丸北大路から京都タワー方面を見た写真でも現在と同じように、真っ直ぐに遠くが見えている。それ以前の写真は私の調べでは見つからなかったため、京都タワーに関連する烏丸通について調べると、平安京があった時代、烏丸小路として整備されたものが今の烏丸通の元々の型となっている。ということは、現在2019年であるから、1225年前には既に真っ直ぐの道が存在したということになる。また、京都タワーの開業は1964年であるため、京都タワーが完成した当初から良い眺めを見ることが出来たのであろう。
2つ目は、京都市の景観条例により、詳細はエリアによって異なるが、基本的には高さ31m以上の建築物は建築不可である。そのため周りを遮るものがなにも無く、遠くの建造物が見えやすいという点がある。またこの条例について、市内中心部は最も厳しく、「田の字地区」と呼ばれる東は堀川通、西は河原町通、南は五条通、北は御池通に囲まれたエリアでは、高さ31m(10階程度)までの建築物しか許されていない。ちなみに北大路付近には大きな目印となるものがないため、京都タワーに登って烏丸通を見ても、烏丸北大路がどこかはわかりにくい。
3つめは、京都タワーは現在京都市を代表するランドマーク的な存在となっており、様々なイベントが日々開催されているため、ライトアップを行う価値があると認識されているという点が考えられる。景観を重視する京都の、玄関口である京都駅の目の前で、でかでかとライトアップを行うことは、景観を損ねるなどとして、地域住民のお叱りを受けたりしないのか。なぜライトアップを続けることが出来るのか。と感じ、調べてみたところ、実際に当初は一部の方からお叱りを受けていたようだが、観光で京都に大きく貢献していること等から中止になることはなく、現在まで続いているとの事だった。
これらのことから、私の好きな京都の景色が生み出されるためには、3つの要因が偶然に重なり合ったためであることが分かる。ひとつでも欠けていたら、感動することも、これをテーマに文章を書く事も出来なかった。私がこの景色を好きなのは、ただ遠くで暗い中で光っていて綺麗だという点だけでなく、景色から、ある種の儚さが垣間見えるためなどではないかと自覚した。
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