ゼミ生が語る「私の好きな京都」(2020年春学期)
阪急電車に乗っかって
飯塚 みのり
(2018年度入学 鈴木ゼミ2期生)

 私は阪急電車が好きである。京都に住んでいる、あるいは通勤・通学をしていれば、阪急を利用する人は多いだろう。また有川浩原作の小説や映画にもなっており、他の地域からの認知度や“京都といえば阪急電車”と認識もされている。阪急電車が多くの人から愛されるのには理由がある。

<沿革>
 阪急電車は大阪梅田と京都・神戸・宝塚を結ぶ電車で、阪急阪神HDの子会社である。始まりは1910年に開業した箕面有馬電気軌道で、創業者は小林一三である。1918年に阪神急行電鉄に社名を変更し、この社名の略称である「阪急」が現在でも使われることとなる。1943年には現在の京阪電車と合併するが戦後分離し、1973年に現在の社名である阪急電鉄株式会社となった。創業当社から沿線開発のために鉄道以外の事業も多角的に展開し、その例として阪急百貨店やホテル、不動産、宝塚歌劇団などがよく知られている。2010年には開業100年を迎えた。

<路線について>
 主要な路線は神戸本線、宝塚本線、京都本線の3つがあり、それぞれに支線を有する。京都線の支線には嵐山線があり、行楽シーズンには多くの観光客が利用する路線である。一方で通勤客が多い駅は烏丸駅と京都河原町駅であり、阪急の全駅の中でも1日あたりの乗降客数がトップ10に入る。ここで各路線の案内色であるラインカラーに込められた意味がとても素敵なので是非紹介したい。まず神戸線は港町神戸の海のブルー、宝塚線は箕面の紅葉のオレンジ、そして京都線は古都京都の木々のグリーンである。このカラーリングはその電車に乗ればどこへ行けるか教えてくれているようだ。

 <魅力>


 阪急電車の魅力は、大きく分けて二つ挙げられる。一つ目は外観や内観といった“見た目”である。まず車体は「阪急マルーン」という紫のようなこげ茶のような、絶妙な色が採用されている。鉄などの素材がむき出しの電車も多い中、阪急は開業時からこの色を使い、“阪急ブランド”が守られている。過去にはイメージチェンジのために色の変更が提案されたが、利用者からの猛反発があり色が持続された。それだけマルーンが阪急のイメージであり、魅力であると認識されていてことがわかる。また内装はゴールデンオリーブ色のアンゴラ山羊の毛がシートに用いられ、内張の木目調にもこだわりがある。この上品さも実に阪急らしい。さらに私が特に好きなのが「ラッピング列車」である。代表的な列車は、京都線で土日のみ運行し和を感じさせる「京とれいん」だ。これは特急券なしで乗れるので非常に贅沢である。また各線ごとにもラッピング列車が設定されており、京都線は古都-Koto-という列車が走っている。写真の通り可愛らしいイラストと共に、四季の京都が描かれている。他には「くまのがっこう」や「スヌーピー」とコラボした電車などもある。車内の中吊り広告にはこのために書き下ろされた絵本のページや名言などが載せられ、子どもから大人まで幅広い世代が楽しめる電車として活躍している。さらに「SDGsトレイン」では、環境に関するイラストと17の目標のステッカー、車内広告全てをSDGs関連にすることで、地域社会に啓発する役割を果たしている。キャラクターを採用した列車では、見た目にこだわることで利用客や周辺住民の満足度を高めている。時にはSDGsなどの社会問題の解決の重要性を訴えかける効果も見いだせる。このような取り組みをしている阪急電車に魅力を感じる。これらの電車の運行時間は不定期であるため、乗れたらラッキーである。

 二つ目の魅力は車掌さんの独特なアナウンスである。阪急好きには欠かせない要素ではないだろうか。私は通学時などに聞いて内容を覚え、自分でものまねをするくらい好きである。車掌さんの肉声が聴けるところが、他の鉄道と比べても貴重である。しかし2020年3月14日のダイヤ改正から、京都線の特急等の主要列車で英語アナウンスを含む自動音声アナウンスが導入された。これを初めて聞いたときはとても驚いた。観光客への対応だとしても、車掌さんの声を聞けなくなるのは寂しい。これからどう導入が進むかわからないが、私としては車掌さんに英語アナウンスを頑張ってもらい、肉声でのアナウンスを続けて欲しい。

<安心感はどこから>
 ここまでで述べた通り、阪急電車には多くの魅力がある。いつもこれらの魅力を感じながら利用しているが、それ以上に阪急電車に乗っていると心地がいい。私の最寄駅である京都線の桂駅では、車掌さんや駅員さん同士が仲良く話しているところをよく見かける。これは桂駅が乗務員区所であることから見られる光景であり、私をほっこりした気持ちにさせる。また昼過ぎの準急電車から見る、西京極—西院間の桜並木も好きである。人が少ない車内から外の景色を見ていると、ゆっくりとした時間が流れているようだ。阪急電車は私にとって安心感のあるあったかい場所である。これからも阪急電車に乗っかって出かけよう。

<参考文献>
阪急電鉄 駅別乗降人員(https://www.hankyu.co.jp/station/passenger.html
乗りものニュース『府民の憧れともいう「阪急マルーン」守り続けられるその色』 (https://trafficnews.jp/post/37536
阪急電鉄 阪急電鉄の車両へのこだわり(https://www.hankyu.co.jp/sp/global/ja/characteristic/good_for/index.html
SankeiBiz 「いつ見ても美しい阪急電車」(https://www.sankeibiz.jp/gallery/news/150927/gll1509271702001-n1.htm
阪急電鉄 阪急ラッピング列車コレクション(https://www.hankyu.co.jp/area_info/wrapping/
アラウンド関西 阪急電車×ジャッキコラボ(https://aroundkansai.com/hankyu-collabo-jackie/
ママスタセレクト 「スヌーピー、阪急電車へようこそ」(https://select.mamastar.jp/138438
鉄道チャンネル 「阪急と阪神の電車、初のSDGs共通デザイン」(https://tetsudo-ch.com/7035493.html
阪急阪神HD 「SDGsトレイン 未来のゆめ・まち号」(https://www.hankyu-hanshin.co.jp/yume-machi/sdgstrain/top.html
北摂アーカイブ+「阪急電車の車内アナウンスが英語の自動音声になった件について」(http://hokusetsu2018.jugem.jp/?eid=317
阪急電鉄 ブログdeバーチャル駅長2020 『[西京極]地元民ご用達花見スポット「天神川 桜並木」見頃を迎えています」
https://www.hankyu.co.jp/ekiblo/debukodx/29171/

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