bubble


 

HOME >研究紹介ページ

ヒアルロン酸生合成機構の解明

HAS 関節機能の低下が原因で寝たきりになる高齢者が増えています。この要因として、関節でクッションや潤滑の役割をするヒアルロン酸の減少があります。ヒアルロン酸は、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)とグルクロン酸(GlcA)がβ‐1,3とβ‐1,4 結合で交互に連結した2糖ユニットの繰り返し構造からなる高分子多糖であり、特に結合組織の細胞外マトリックス成分として存在しています。私達は、世界に先駆けて、動物のヒアルロン酸合成酵素を見出し、ヒアルロン酸合成機構の解明に取り組んできました。そして、HAS組換えタンパク質を用いた試験管内ヒアルロン酸合成システムの開発に成功し、合成酵素を活性化する化合物の探索を始めています。今後、ヒアルロン酸生合成機構の全容解明に取り組み、その研究を通じて、医療への技術展開を目指します。


がん幹細胞性制御機構の解明

癌微小環境 乳癌発症モデルマウスを用いた解析から、乳癌細胞でヒアルロン酸産生を増加すると、がん幹細胞性が発現することが分かりました。ヒアルロン酸の過剰な産生は、細胞内糖ヌクレオチドの代謝を大きく変動させると考えられます。そこで、質量分析やメタボローム解析を実施し、ヒアルロン酸過剰産生乳癌細胞では、解糖系の代表的な側副路であるヘキソサミン合成経路の代謝流束が著しく加速していることが明らかとなりました。ヒアルロン酸過剰産生乳癌細胞では、ヘキソサミン合成経路の加速が、低酸素誘導因子HIF-1を介したシグナルを惹起し、解糖系を中心とする糖代謝プログラムを正に制御することも明らかとなりました。今後は、ヒアルロン酸合成と共役したヘキソサミン合成経路が、細胞内糖代謝の中心ネットワークを通じてがん幹細胞性の制御に働く機構の解明を進めます。

がん幹細胞ニッチ形成機構の解明

癌微小環境
癌幹細胞は正常幹細胞と同様に、特殊な微小環境(幹細胞ニッチ)内で生存し、その幹細胞性を維持していると考えられています。従って、癌幹細胞の幹細胞性を喪失させ、悪性転換を阻止するためには、癌幹細胞ニッチを標的とすることが重要です。本研究の主目的は、癌幹細胞ニッチの形成を支配している細胞成分及び分子を同定し、その形成をコントロールすることにより、癌を休眠に導くための新規治療法を確立することです。

▲ページトップに戻る