私家版仏和辞典

平塚徹京都産業大学 外国語学部

京都産業大学外国語学部では、英語ドイツ語フランス語スペイン語イタリア語ロシア語中国語韓国語インドネシア語を専門的に学ぶことができます。


普通の仏和辞典に登録されていない単語・語句や書かれていない説明を掲載しています。適宜、増補していきます。

A

à+数詞+heure
〜時の方向に。[クロックポジションによる表現](→à midi)
à la toute fin
最後に。au début(初めは)を強調した au tout début にならって、à la fin を強調した表現。
à midi
12時の方向に。[クロックポジションによる表現](→à+数詞+heures)
à part+不定詞
〜することを除けば。Je ne peux rien faire à part attendre.(私は待つことしかできない)。à part(〜を除いて)は名詞句やque節を取るが、21世紀に入ってから不定詞を取ることもことも増えている。
À quand+名詞句 ?
〜はいつか?辞書には例文で掲載されているが、このパターンは近年増加傾向にある。à quandというバイグラムは、主に、jusqu’à quandか、remonterとともに使われるか、このパターンの三通り。
à toute
《口語》また後で。いったん別れる時のくだけた挨拶。à tout à l’heure(また後で)の短縮形。touteとなっているのは、à tout à l’heureではリエゾンで発音されるtoutの最後の子音tが、à toutと省略してしまうと発音されなくなるから。
À très vite.
また近いうちに。21世紀に入ってから急増している。理屈で考えると、À très bientôt.(また近いうちに)、À demain.(また明日)、À lundi.(月曜日に)、À la semaine prochaine.(また来週)のように前置詞àの後には再会する時を表す表現が来るはずだが、速度を表すviteが来ている。À très vite.全体で成句になっていて、À vite.とは言わない。
à visée+形容詞
〜目的の。à visée thérapeutique 治療目的の。 à visée diagnostique 診断目的の。à visée pédagogique 教育目的の。
abasourdir
耳を聾する。唖然とさせる。もともとは[abazurdir]という発音だが、[abasurdir]と発音する人も多い。assourdir(耳を聾する)の影響と思われる。
abducté
《UFO研究》宇宙人に誘拐された(人)。[<abducterの過去分詞]→abducter
abducter
《UFO研究》(宇宙人が地球人を)誘拐する。→abducté, abduction
abduction
《UFO研究》宇宙人による地球人の誘拐。→abducter
acheter+国籍形容詞
〜製品を買う。acheter françaisフランス製品を買う。acheter japonais日本製品を買う。
acheter pour+金額+de+商品
[商品]を[金額]分買う。仏和辞典ではpourの交換・代価を表す用法として用例が挙がっているが、この表現では金額は商品の量を表しているのでおかしい。全体として熟語になっていると考えるべきである。
aire de restauration
フードコート。近年、使用が急増している。
allez
さあ。allerのvousに対する命令形に由来するが、間投詞になっていて、tuで話している場合でも使われる。
allume-gaz
チャッカマン。多目的ライター。もともとレンジやコンロのガスに点火するガス点火器を意味する語で、辞書でもそのように説明されている。しかし、現在ではむしろ「チャッカマン」と呼ばれる多目的ライターを指すのに使われている。
amarsir
火星に着陸する。地球(Terre)に着陸することをatterrir、月(lune)に着陸することをalunirということから、火星(Mars)に着陸することamarsirと言うことがあるが、正式には火星でもatterrirを使う。名詞形はamarsissage。
amateur
愛好家。素人。日本語の「アマチュア」だが、フランス語からの直接の借用ではこの発音にはならない。フランス語から英語に借用されたものが日本語に借用されたので、このような発音になっている。
âne rouge
[l’〜]パズルの一種。日本では「娘」と書かれたコマを外に出すのが伝統的なパターンで、「箱入り娘」と呼ばれている。フランスではâne(ロバ)と呼ばれるコマを外に出す。

図 l’âne rouge
Anti-Terre
反地球。対地球。SF等に出てくる太陽を挟んで地球の反対側にある空想上の惑星。ギリシア語でantichthonをフランス語にしたものと思われる。Contre-Terreとも言うが、これは英語のCounter-Earthをフランス語にしたもの。
anthropocène
人新世。[<英語 Anthropocene]
anxiogène
不安を引き起こす。本来は学術的な用語であるが、近年、使用が急増している。
apnéiste
フリーダイバー。フリーダイビング(plongée en apnée、あるいは単にapnée)をする人。
appel entrant
《電話》着信。→ appel sortant
appel sortant
《電話》発信。→ appel entrant
aréoport
《誤》空港。aéroportの誤り。特に子供の誤った発音、あるいは、それを模倣したもの。
arrêt maladie
病気休暇。近年、使用が急増している。être en arrêt maladie 病気休暇中である。
aspirateur à main
ハンディクリーナー。
assis sur un tas d’or
金持ちの。(→dormir sur un tas d’or)
assurance sur la vie
生存保険。保険者が満期時に生存しているときにのみ保険金が支払われる保険(保険期間の間に被保険者が死亡しても保険金は支払われない)。保険期間の間に被保険者が死亡した場合にのみ保険金が支払われる(満期時に生存していると保険金が支払われない)assurance-décès(死亡保険)とは正反対の保険。いわゆるassurance-vie(生命保険)は、普通、この両者を組み合わせた「生死混合保険」のこと。その意味で、assurance sur la vieとassurance-vieは同じではない。
au cas où
念のため。本来、後に条件法の文が続くが、話し言葉で文が続かない用法が見られる。『プログレッシブ仏和辞典 第2版』には登録されている。発音が/okɑzu/となっているが、リエゾンしない発音もる。
au cœur de
の真ん中に、の中心に。20世紀末から使用が増加している。[英語の at the heart of のなぞりか]
Au cœur du temps
『タイムトンネル』。タイムトラベルをテーマにした1960年代のアメリカのSFテレビドラマ。
au deuxième degré
(言葉などが)裏の意味を持った、暗示的な。辞書にはau second degréが登録されているが、secondの代わりにdeuxièmeと言うこともある。
au final
結局。最後には。形容詞であるはずのfinalを名詞として用いているという理由から、アカデミー・フランセーズは誤用とし、finalementやpour finirを用いることを推奨している。しかし、この表現は近年急増している。
aujourd'hui
かつては、「今日」はhuiと言ったが、短すぎるので、au jour d’hui(今日の日に)という言い方が生まれた。これが、本来のhuiに取って代わって、現代フランス語で「今日」を表す語となった。
auriverde
ブラジルの。[<ポルトガル語。auri-(金の)+verde(緑色の)。ブラジルの国旗の色から。]
aut’chose
autre choseのくだけた発音を標記したもの。くだけた話し言葉では、子音に挟まれたrやlを脱落させることがある。(→pauv’con, quat’quatre)
autolâtrie
自己崇拝。
autopartage
カーシェアリング。
autoréalisateur, -trice
自己成就する。自己実現する。(→prophétie autoréalisatrice)
avant de+不定詞
そして、〜した。文字通りには「〜する前に」だが、むしろ、出来事を順番に述べている場合がある。《pour+不定詞》(〜するために)が「そして、〜した」を意味する場合があるのと似ている。《avant que+接続法》も同じ。
avoir le seum
ムカつく。若者言葉。近年急増している。[seum < アラビア語 سم]
avoir mal au dos
「背中が痛い」だが、それよりも「腰が痛い」である可能性が高い。あるいは「肩が凝っている」に相当する場合もある。dosは日本語の「背中」よりも範囲が広い。→ mal de dos
avocat du diable
悪魔の代弁者。辞書には登録され、意味も説明されているが、「悪魔の代弁者」という訳語は載っていない。英語のdevil’s advocate。
avoir son revers
(良いことについて)悪い面がある。Toute [Chaque] médaille a son revers.(どんなメダルにも裏がある)ということわざの述語の部分が次第に独立して用いられるようになってきている。
avoir un mal de chien
ひどく苦労する。近年、使用が急増している。
Azor
犬の名前(cf. Médor)。他人に付きまとう人。

B

bâche
ブルーシート。仏和辞典には「防水シート」などの訳語はあるが、「ブルーシート」という訳語は見当たらない。これは、英語のtarpaulinおよびその略語のtarpについても同様。
Bariquand et Marre
バリカン・エ・マール社。バリカンを製造していたフランスの会社の名前で、バリカンの語源となった。金田一京助がこの語源を発見した経緯を座談会「語源を語る」(『言語生活』35号1954年)で説明している。『日本国語大辞典』や『大辞泉』はBarriquand、『日本大百科全書(ニッポニカ)』はBariquant と、綴りを誤っているので注意が必要。
bas carbone
低炭素の。
bas de gamme
仏和辞典には「低級品(の)」等の訳語が載っているが、「ローエンド(の)」という訳語を加えたい。(→ haut de gamme, milieu de gamme, entrée de gamme)
bémol
難点、欠点。長所や利点を挙げた後で、難点や欠点を付け加えるときに使う。
bien à soi
独自の、独特の。《avoir une manière[façon] bien à lui de+不定詞》〜する仕方が独特だ。
bien porter son nom
名前が相応しい。名前が合っている。ne pas bien porter son nom 名前が相応しくない、名前が合っていない。
billiard
1000兆(1015)。ペルチエ(Peletier, Pelletier)式の命数法。シュケ(Chuquet)式では、mille billions。(→ -illiard)
billion
1兆(1012)。英語では10億(109)。かつては、フランスでは10億(1948年まで)、イギリスでは1兆だった。
bis repetita
《ラテン語》二度繰り返されたこと。
b’jour
bonjour のくだけた発音。
blanco
修正液、ホワイト。規範的には、correcteur liquide。
blond comme les blés
小麦のような金髪の。実った小麦畑が美しい黄金色になることから生まれたたとえ。blondとblésが頭韻を踏んでいることを指摘したい。
bonhomme allumette
棒人間。胴体と手足を棒のような線で描いた単純な人物画。
Bonne fin de journée
夕方の別れの挨拶。
botter en touche
質問をかわす、はぐらかす。ラグビーでタッチキックする(ボールをタッチラインの外に出すことをねらって蹴る)ことから。
Bouillon de culture
フランスで放送されていた文化番組。本来は、「培養液」という意味で、転じて「温床」という意味もある。この語においては、cultureはもともと「培養」という意味であるわけだが、「文化」という意味もあるので、それにかけて考えられた番組名である。
bouton de chaleur
汗疹(あせも)。
bracelet
腕輪(ブレスレット)だけでなく、足輪(アンクレット)も意味する。『星の王子さま』の第17章に出てくるbraceletは、腕輪やブレスレットと訳されているが、本当は足輪ではないかと思われる。bracelet électroniqueは、GPS監視のために足首に装着する端末。
bras
日常語としては「腕」だが、解剖学用語としては「上腕」である。仏和辞典を引くと、正確には肩から肘までを指すということが書いてあるが、「正確には」というのは、正確には、「解剖学では」である。これは、英語のarmやラテン語のbrachiumについても同じで、どちらも、本来、「腕」を指す語だが、医学用語としては「上腕」を指す。(→jambe)
bricolage
DIY。伝統的に「日曜大工」と言う訳語が当てられているが、近年では「DIY」と言う言葉の方がよく使われるようになったので、訳語の選択肢に入れるべきだろう。
brise-glace
アイスブレイク。辞書には砕氷船などの意味が登録されているが、アイスブレイク、つまり、初対面の人々が話し合いしやすくするためのテクニックの意味はまだ登録されていない。

C

cahier d’écriture
習字帳、ペンマンシップ。筆記体を習得するための教材。フランスは筆記体を常用し、子供の時から習う。
caldeira
カルデラ。英語のcalderaと綴りが少し違う。スペイン語起源のcalderaを使う英語に対して、フランス語ではポルトガル語起源のcaldeiraを用いる。しかし、フランス語では、スペイン語起源のcalderaも用いられる。
caméra cachée
ドッキリ。隠しカメラのことだが、そこから、出演者をだましたりしてその反応を楽しむテレビ番組の手法を言う。caméra invisibleとも言った。
candidater
立候補する、出願する、志願する。1990年頃から使用頻度が増加している。[<candidat+-er]
canelé
カヌレー。溝のついた円筒形のボルドーの伝統的な焼き菓子。普通canneléと綴るが、nが一つのcaneléという綴りもある。これは1985年にボルドー・カヌレ協会(Confrérie du Canelé Bordelais)が発足した際に、ボルドーのカヌレを他地域のものと区別してブランドを守るために定められた綴りである。よって、ボルドー以外で作られたカヌレーはcanneléと綴るが、caneléと綴るとボルドーで作られたものでなければならない。
capacitisme
障害者差別。(→validisme)
carabistouille
冗談。うそ。ベルギーおよびフランス北部の言葉。21世紀以降、全国的に認知されるようになり、使用が急増している。マクロン大統領がよく使う。
caracoler en tête
群を抜いて一番だ。
carnivore
伝統的に「肉食性の」という術語が使われているが、最近は「動物食の」という言い方が増えている。(→herbivore)
carnivores
食肉目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「ネコ目」となる。詳しくは、青木淳一「動物分類名の表記に関する論議—食肉目か、ネコ目か—」(Proceedings of the Japanese Society of Systematic Zoology (51), 69-72)を参照。(→diptères, hémiptères, hyménoptères, isoptères, lépidoptères, périssodactyles, primates, squamates, trichoptères)
carrousel
騎馬パレード(場)。辞書では[karuzεl]という発音になっているが、実際には[karusεl]と発音する人も多い。
carte à gratter
スクラッチカード。硬貨で引っ掻くと当たり・ハズレが出てくるくじ。jeu de grattageとも言う。
cartésien
デカルトの。「デカルト座標系」と言えば「直交座標系」のことだが、フランスでは「デカルト座標」(système de coordonnées cartésiennes)は「直交座標系」も含めて「斜行座標系」一般を指している。
cassis
クロフサスグリ。カシス。発音は[kasis]だが、ブルターニュ地方では[kasi]と発音する人もいる。[kasi]と発音する人もいる。
caverne d’Ali Baba
アリババの洞窟。宝物がいっぱいの場所。何が宝物かは主観による。英語だと、Aladdin’s caveとなり、同じ『アラビア千一夜』からの表現だが、人物が違う。
cavité
腔。『小学館ロベール』『クラウン』『プログレッシブ』『ディコ』は、「こう」、『ロワイヤル仏和中辞典』『プチ・ロワイヤル』は「くう」とふりがなをふっている。もともとの読みは「こう」であるが、解剖学では「孔」との区別のため「くう」と読むことになっている。上述の仏和辞典では、この二つの読みのうち一方のみが記載されている。
Ce n’est pas tous les jours que …
…なんてそうそうない。珍しいことを「毎日ではない」という緩叙法。
centre de marques
アウトレットモール。アウトレットショップはmagasin d’usine。
c'est noté
分かりました、了解しました。頭の中にメモしたということ。英語のduly notedを参照。
chacun pour soi
各人は自分のために。名詞として用いられる。C'est chacun pour soi.「各人は自分のために」だ。Chacun pour soi (et Dieu pour tous)(各人は自分のために、神は万人のために)という諺から。英語にも似た諺があるが、後半の言い方が反対。Every man for himself (and the devil take the hindmost) (各人は自分のために、最後の者は悪魔に捕まる)。英語でも、It is every man for himself.のように言う。
chasse gardée
私有の狩猟場。私有地。縄張り。勢力圏。専門分野。専有物。もともと私有の狩猟場の意味だが、そこから比喩的に、他人が立ち入ることを拒否する領域や、他人が触れることを拒否する物事を表すように意味が拡張している。La chasse gardée des États-Unis(アメリカの裏庭)。
chasseurs-cueilleurs
狩猟採集民。英語のhunters-gatherers。
chaîne du froid
コールド・チェーン(cold chain)、低温流通体系。
chais pas
知らん。je ne sais pasのくだけた言い方。英語のI dunno。
chauffeur
運転手。英語に借用されているが、20世紀に入ってから「おかかえ運転手」という意味になった。
cheval cabré
後ろ脚で立った馬。フェラーリの紋章。イタリア語のCavallino Rampante(後ろ脚で立った若駒)。日本では「跳ね馬」。これは英語のPrancing Horseに近い。
chicon
アンディーヴ。フランス北部、ベルギー、ルクセンブルクでは、endiveの代わりに、chiconと呼ぶ。
chifoumi
じゃんけん。ただし、フランスでは、パーは指を開かずに、互いにくっつける。また、紙・石・はさみの他にpuits(井戸)がある。井戸は石とはさみには勝つが、紙には負ける。石とはさみは井戸に落ちてしまうが、紙は井戸にふたをするかららしい。puitsが無いバリエーションも存在するようだが、逆にpuitsに加えてpente(坂道)があるバリエーションも存在するようである。
chimio
化学療法。[chimiotheerapieの短縮語]
chocolatine
パン・オ・ショコラ(pain au chocolat)のフランス南西部およびケベックでの呼び方。
chronophage
時間のかかる[かかりすぎる]。[<chrono-(時間)+ -phage(食べる)]
ch’t’aime
je t’aime [ʒətɛm] のくだけた発音 [ʃtɛm] を表記した綴り。
chuis
je suisのくだけた言い方。
cigale
蝉を意味する語だが、『新スタンダード仏和辞典』には、「《誤って》(北フランスで)きりぎりす・こおろぎの類」と説明されている。この問題については、以下の文献を参照。
cinq majeur
バスケットボールのスターティングメンバー。(meneurポイントガード、arrièreシューティングガード、ailierスモールフォワード、ailier fortパワーフォワード、pivotセンター)
cisgenre
シスジェンダーの。シスジェンダー[の人]
cité des Doges
ドージェたちの都市。ヴェネツィアのこと。
classe éco
エコノミークラス。[classe économiqueの短縮形]
clé, clef
鍵。ふた通りの綴りがある。もともとはclefと綴ることが多かったが、Google Books Ngram Viewerで調べると、cléと綴る方が多くなっている。
cloué au sol
(飛行機が)飛べない。cloué au tarmacとも言う。
Club Med
地中海クラブ。本来はフランスの観光旅行会社の名称だが、財政赤字を抱えてユーロの不安定要因になっている南ヨーロッパの国々(ポルトガル・イタリア・ギリシア・スペイン)を揶揄して言う。これらの四カ国の頭文字を取ったPIGSという蔑称もある。
combinaison robotique
→exosquelette motorisé
comme la misère sur le pauvre monde
突然容赦なく。s’abattre sur …(…に襲いかかる)、se jeter sur …(…に飛びかかる)などと一緒に使われる。つまり、「不幸が世界を襲うときのように突然容赦なく」の意味である。
comme par exemple
例えば〜のような。例示するための表現commeとpar exempleを重ねて強調した表現。冗語的だとして推奨されない言い方だが、使用は増加している。類似した表現にainsi par exempleがある。
commerce équitable
フェアトレード。
comorbidité
共存症。
compagnie (aérienne) à bas prix [coût]
ローコストキャリア(LCC)、格安航空会社。
complotisme
陰謀説。陰謀論。conspirationnismeとも言う。
comprendre
X, comprendre Y で「X(Yの意)」。語句の意味を説明する注釈。le “serious game”, comprendre jeux à visée pédagogique.「シリアスゲーム」(教育目的のゲームの意)。
comté
郡(アメリカ合衆国の行政単位)。普通の仏和辞典には、「伯爵領」という本来の意味の他に、「イギリスやアングロサクソン各国の州」という説明が載っているが、「アメリカの郡」という説明は載っていない。英語のcountyを同じ語源のcomtéに訳しただけである。中国や台湾の「県」、ポーランドの「郡」などもcomtéと訳されるようである。(→paroisse)
conflit d'intérêts
利益相反。仏和辞典には、「利害の対立」「利害の衝突」「利害の抵触」とあるが、「利益相反」は見当たらない。これは、英語のconflict of interest[s]についても似た状況である。
connaisseur
玄人、通、目利き。鑑定家。英語にconnoisseurという昔の綴りで借用されている。
consensus
合意、コンセンサス。ラテン語からの借用なので、enを[ɛ̃]と読んで[kɔ̃sɛ̃sys]と発音するのだが、 普通の綴り字の読み方の規則に従って[kɔ̃sɑ̃sys]とも発音される。
conspirationnisme
陰謀説。陰謀論。complotismeとも言う。
continent
大陸;大州。本来、「大陸」を意味する語だが、les cinq continents(五大陸)などと言う場合に、Australie(オーストラリア)ではなく、Océanie(オセアニア)が数え上げられていて驚かされる。この場合のcontinentは、「大陸」ではなく、「ヨーロッパ州」や「アジア州」などの「大州」の意味で使われている。その意味では、les cinq continentsは「五大州」と訳す方が正しい。Petit Robertでは、Partie du monde「世界の部分」と定義して、Les cinq continents sont traditionnellement l’Europe, l’Asie, l’Afrique, l’Amérique et l’Océanie.(五大州は、伝統的に、ヨーロッパ・アジア・アフリカ・アメリカ・オセアニアである)という例文を載せている。
Contre-Terre
→Anti-Terre
copie conforme
完全なコピー。Pour copie conforme(原本と相違ないことを証す)から。
cordiste
ロープアクセス技術者、ロープ高所作業員。
coté+形容詞
〜に関しては。coté japonais日本側では。≪coté+無冠詞名詞≫と同様の表現。
couenne
(料理用の)豚の皮。本来の発音は[kwan]。これは、solennel(荘厳な)を[sɔlanɛl]と発音するのと同じ。しかし、[kwɛn]と発音する人もいる。
coup de rabot
予算の削減。[<鉋をかけること]
crayon à papier
鉛筆。crayonだけで鉛筆だが、この語は鉛筆以外の筆記道具にもcrayon à bille(ボールペン)やcrayon feutre(フェルトペン)のように使われるので、鉛筆を特に区別してcrayon à papierなどと言う。地域によってcrayon de papierなどさまざまな呼び名がある。
croiser les doigts
幸運を祈る、成功を祈る。中指を人差し指の背に重ねる厄よけのジェスチャーを表す英語のcross one’s figureに由来する。デズモンド・モリス他著『ジェスチュア』(ちくま学芸文庫、英語の原著は1979年)第二章「指十字 The Fingers Cross」によると、このジェスチャー自体がイギリス発祥のものであろうと推測され、フランスでは余り行われていなかった(ただし、中央フランスは少し行われていたようである)。大木充他著『フランス人の身ぶり辞典』(くろしお出版、1985年)には、「幸運を祈る身ぶりとして知られている中指を人差し指にからめる、いわゆる指十字の身ぶりは、今日のフランスにおいては、非常に稀にしか用いられない。」とある(p.205)。しかし、にむらじゅんこ著『しぐさで伝えるフランス語』(三修社、2001年)には、「試験の前や、お稽古発表の前などにこのジェスチャーをよく見かけます。」とあり(p.19)、近年になって急激に一般化したことをうかがわせる。
croisiériste
クルージング客。クルージング会社。辞書には「クルージング客」の意味が載っているが、実際には「クルージング会社」の意味でも使われている。
cryptarithme
覆面算。
cryptide
未確認動物、未確認生物。
cuiller, cuillère
スプーン。ふた通りの綴りがある。もともとはcuillerと綴ることが多かったが、Google Books Ngram Viewerで調べると、cuillèreと綴る方が多くなっている。

D

dans sa bulle
自分だけの世界に閉じこもって。
dans un monde qui bouge[change]
変化する世界で
dans un mouchoir de poche
僅差で。競争や選挙で使われる。20世紀後半から次第に使用が増えている。[ハンカチほどの狭い範囲の中にいるということから]
de+数詞+ans+所有形容詞+aîné/cadet
...より...歳年上・年下の。Il est de dix ans mon aîné. 彼は私より10歳年上だ。英語の《数詞+years+所有形容詞+senior/junior》(He is ten years my senior)を参照.
de carte postale
絵はがきのように美しい。paysage de carte postale(絵葉書のように美しい景色)。décor de carte postale(絵葉書のように美しい景観)。近年、使用が増加している。
de jour comme de nuit
昼も夜も、昼夜を問わず。元々はde jour et de nuitという言い方が使われていたが、20世紀後半にde jour comme de nuitが増え始め、21世紀には頻度が逆転している。
de son chef, de son propre chef, de son plein chef
自分の意志で、自分の判断で。本来はde son chefが用いられたが、次第に使用が減少していて、代わりにde son propre chefが増加しつつある。de son plein chefの使用は少ない。
décarbonation
脱炭素化。
décarboner
脱炭素化する。
déconfinement
外出制限解除。
décroissance
反成長。本来、減少を意味する語だが、「反成長」という新しい概念を表す語として使われている。英語ではdegrowth。
Déliateur
[Le 〜]『ピアノのテクニック』の邦題で知られるピアノの教本。この語は辞書には登録されていないが、délier([指先など]の動きを敏捷にする)の派生語であり、「指をほぐすもの」という意味で命名されたと考えられる。
décocher
選択解除する、選択を解除する、チェックマークを外す、✓印を外す。
dématérialisation
ペーパーレス化。
demi-tasse
デミタス。小型のコーヒーカップ。英語にもdemitasseとして入っている。日本語の「デミタス」も、英語のdemitasseも、辞書で調べるとフランス語から来ていると書いてある(一見して分かることだが)。ところが、demi-tasseをフランス語の辞典で引いても余り出ていない。これは、この語がほとんど使われなくなっているためで、古めの辞書を引くとちゃんと載っている。
désert médical
無医地区。近年、使用が急増している。
désintox
依存症治療。依存症回復施設。依存症リハビリ施設。en désintox(施設で依存症の治療中の)。désintoxeという綴りもあるが、désintoxの方が圧倒的に多い。21世紀に入り急増している。[désintoxicationの短縮語]
désocialisation
非社会化。
désocialiser
(人を)非社会化する。
間接目的語代名詞+動詞+dessus
《動詞+sur+代名詞》に代わる。sauter sur lui → lui sauter dessus。tirer sur lui → lui tirer dessus。Google Books Ngram Viewerで見ると、このような語法は近年増加している。
数詞/数詞+de tension
血圧の言い方。フランスでは血圧の単位としてcmHg(水銀柱センチメートル)も用いられる。12/8 de tensionは、「最高血圧12cmHg、最低血圧8 cmHg」。
détritus
ごみ。ラテン語からの借用語なので、本来、語末のsを読むが、実際には読まない話者も多い。
devenir poussière
塵に帰る。
dieu
特定の領域で極めて優れた才能や技術を持つ人。le dieu du {jazz / tennis / golf}{ジャズ/テニス/ゴルフ}の神様。au ping-pong je suis un dieu.ピンポンは、俺、すごいんだぜ。(Jean-Philippe Toussaint, Monsieur, p.64)
dioxygène
二酸素、酸素分子、二原子酸素。21世紀に入って使用が増加している。
diptères
双翅目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「ハエ目」となる。(→carnivores)
Discours sur l’état de l’Union
[le 〜](アメリカ大統領が行う)一般教書演説。(英語:State of the Union Address)
distanciel
遠隔の。en distanciel(遠隔の、遠隔で)。⇔ présentiel(対面の)
dixième art
第10芸術。テレビゲームのこと。
dormir sur un tas d’or
金持ちだ。(→assis sur un tas d’or)
droitisation
右傾化。
droitiser
右傾化させる。droitiser son discours 右寄りの発言をする。se droitiser 右傾化する。
duo comique
お笑いコンビ。

E

-e
地名語尾。ドイツやオランダの-enで終わる地名は、フランス語では語尾が-eになる。イタリアやスペインの-aで終わる地名は、フランス語では語尾が-eになる。
éco-conduite
エコドライブ。
écoresponsable
環境に配慮した。écologiquement responsable。
e dans l'a
aとeの合字、つまり、æの字のこと。(→e dans l'o)
e dans l'o
oとeの合字、つまり、œの字のこと。(→e dans l'a)
empreinte écologique
エコロジカル・フットプリント
en allé
s'enfuirやs'envolerとの類推により、s'en allerのen allerが一語と見なされて、en alléという過去分詞が見られる。誤りとされつつも、文学的とも見なされている。Il s'est en allé. Il s'en est en allé.
en bord de mer
海辺で、海辺の。近年、使用が増加している。
en boucle
何度も何度も。
en bout de course
がたがきた。元々は、à bout de courseと言ったが、20世紀末頃から、en bout de courseという言い方の多くなっている。
en charge de 〜
〜を担当して。〜担当の。être en charge de 〜(〜を担当している)。ministre en charge de 〜(〜担当大臣)。英語のin charge of 〜 のなぞり。アカデミー・フランセーズはこれを誤用とし、être en charge de 〜 の代わりに、avoir la charge de 〜 や être chargé de 〜 を使うべきだとしている。
en externe
→en interne
en interne
内部で。近年、急速に仕様が増えているが、アカデミー・フランセーズは誤用としている。en externe(外部に)についても同様。
en perdre son latin
全く分からない。(y) perdre son latin に同じ。
en prendre plein les yeux
光景に驚く。21世紀に入って急速に使用が増加している。en prendre plein les mirettes や en prendre plein la vue とも言う。
en plateau
スタジオで、スタジオに。
en termes de 〜
〜に関して。〜の観点から。[<英語 in terms of]アカデミーフランセーズは、これを英語語法だとし、「〜の用語では」の意味でのみ使用すべきだとしている。
en veille
〔コンピュータが〕スリープ・モード中の。英語と逆の言い方になっている。英語では、起こせば目覚める睡眠状態に喩えているのに対して、フランス語では、すぐ活動できるように覚醒したまま待機している状態に喩えている。
enceint
enceinte(妊娠した)の男性形。辞書にはenceinteが立項されて、女性形のみの形容詞とされているが、enceintという男性形が使われることがある。
enceinte connectée
スマートスピーカー。enceinte intelligenteとも言う。
encoignure
隅、角。[ɑ̃kwaɲyr]と[ɑ̃kɔɲyr]の二通りの発音があるが、辞書によっては片方の発音しか載っていない。[ɑ̃kwaɲyr](『プログレッシブ』『小学館ロベール』。[ɑ̃kɔɲyr](『クラウン』第7版、『ディコ』)。
énergivore
エネルギーを大量に消費する、エネルギーを食う。
entier naturel
自然数。「日本では0を含まないが、フランスでは0を含む」という説明があるが(『基礎 仏和数学用語・用例辞典』、『岩波 数学入門辞典』)、これは数学教育の場合と考えるべきであろう。もともと自然数に0は入っていなかったが、後に自然数を集合論的に定義して0を含めるやり方が出てきた。現在、数学においてはこの両方があるが、学校教育では、日本は(高校まで)前者を、フランスは後者を教えているというだけのことだろう(さすがブルバキを生み出した国)。なお、positif(正の)という言葉の違いも連動している。フランスでは、0もnombre positifに含めるので、「entier naturelとはentier positifだ」と言った場合、一見、「自然数とは正の整数だ」と言っているようだが、実際には0を含めている。(→positif, négatif)
entrée de gamme
(製品が)入門者向け。(→ haut de gamme, bas de gamme, milieu de gamme)
entrer dans l’histoire
歴史に名を残す。rentrer dans l’histoireとも言う。
être en passe de devenir
〜になりそうだ。《être en pas de+不定詞》で「〜する見込みがある、〜しそうだ」だが、不定詞はdevenirであることが多い。
être sur le pont
仕事中だ。[<甲板の上にいる]
être vent debout contre …
…に断固として反対している。[<vent debout(向かい風)]
-eur
名詞語尾。行為者、あるいは、状態・性質・行為などの意味を表す。英語で-eurで終わる単語は、フランス語からの外来語か、それをもとにした語。例えば、amateur(アマチュア)、entrepreneur(アントレプレナー)、liqueur(リキュール)など。
européennes
[les 〜]欧州議会議員選挙。les élections européennesを略したもの。les élections présidentielles(大統領選挙)をles présidentielles、les élections législatives(国民議会議員選挙)をles législatives、les élections municipales(市会議員選挙)をles municipalesと略して言うのと同じ。après les européennes欧州議会義委員選挙後。
exoplanète
太陽系外惑星。(→planète extrasolaire)
exemplier
ハンドアウト。
exosquelette motorisé
パワードスーツ。combinaison robotiqueとも言う。

F

faire carton plein
大成功する。
faire chaud au cœur
励ます、勇気づける。Ça me fait chaud au cœur.それには勇気づけられる。
faire de l'ombre à 〜
〜を上回る。〜より目立つ。
faire monter mayonnaise
→mayonnaise
faire polémique
論争を引き起こす。21世紀に入ってから使用が急増している。faire débatのdébatを類義語のpolémiqueに入れ替えた表現と考えられる。faire de la polémiqueは「論争する」なので意味が異なる。
faire son âge
年相応に見える。paraître son âgeとも言う。ne pas faire son âge(年齢より若く見える)。
faux contact
接触不良。
féminicide
女性殺害(性別的要因によるもの)、フェミサイド。英語では、femicide。
feu de forêt, incendie de forêt
森林火災、山火事。日本語では「山火事」というが、フランス語ではfeu de montagne、incendie de montagneとはあまり言わず、feu de forêt、incendie de forêtと言うのが普通。日本では山は木が生えているイメージだが、フランスではそうでないためと思われる。英語でもmountain fireとは言わずに、forest fireと言うが、むしろwildfireの方が多い。
feuille de route
ロードマップ
feuilleteur
→folioscope
feuilletoscope
→folioscope
folioscope
パラパラマンガ。feuilletoscopeやfeuilleteurとも言う。
fracture numérique
デジタル・ディバイド 、情報格差。
frais de tenue de compte
口座維持手数料。フランスの銀行は口座を維持するのに手数料がかかる。もっとも、日本の銀行も導入を検討している。
français signé
フランス語対応手話。langue des signes française(フランス手話)とは異なる。
franchir la ligne rouge
限界を超える、一線を超える。文字通りには「赤線を越える」。フランスでは以前追い越し禁止ラインが黄色だったので、franchir la ligne jaune(黄線を越える)と言った。現在は、franchir la ligne blanche(白線を越える)と言う言い方もあるが、franchir la ligne rouge(赤線を越える)という言い方が最も多くなっている。英語のcross the red line(赤線を越える)の影響と思われる。
freiner des quatre fers
あらゆる手段を講じて反対する。ferは蹄鉄のこと。
friseur, friseuse
《古》理髪師。現在ではcoiffeurというが、friseurはドイツ語のFriseurをはじめ多くの言語に借用されて、現在も使わている。ドイツ語を経由しているものも多い。外国語に古語が残っている例。

G

gagnant-gagnant
ウィンウィンの。英語win-win。
gare 〜
〜駅で・に。前置詞無し無冠詞で、場所の状況補語となる。rue 〜(〜通りで・に)やplace 〜(〜広場で・に)などと同じ。
-genèse, -génèse
発生、形成、産出を意味する語形成要素。綴りに揺れがあり、辞書によって綴りが違う語もある。グリコーゲン合成:glycogenèse(クラウン)、glycogénèse(小学館ロベール、ロワイヤル)。造山運動:orogenèse(ロワイヤル)、orogénèse(小学館ロベール)。単為生殖:parthénogenèse(小学館ロベール)、parthénogénèse(クラウン、ロワイヤル)。
génitif
〔言語学〕属格、〔スラブ語〕生格、〔ドイツ語〕2格、〔英語〕所有格。
géolocaliser
〜の地理的位置を特定する。英語のgeolocate。
gérondif
〔フランス語〕ジェロンディフ、〔イタリア語〕ジェルンディオ、〔スペイン語・ポルトガル語〕現在分詞、〔ラテン語〕動名詞、〔英語〕動名詞、ジェランド、〔ロシア語〕副動詞。
glace sans tain
→miroir sans tain
gn
伝統的な綴り字の読み方の規則では、[ɲ]と発音するとされている。しかし、現在では、[nj]と発音される傾向にある。
googliser
ググる。
goutte de trop
[la 〜]我慢の限界を超えさせるもの。C’est la goutte de trop. もう我慢の限界だ。21世紀になってから使用が急増している。おそらく水でいっぱいになった容器にもう一滴入れると溢れるというイメージから。英語のlast strawを参照。
grand bleu
[le 〜]大洋、大海。
gravé dans le marbre
確定している、変更できない。大理石に彫り込まれた碑文に喩えた表現。英語のcarved in stoneを参照。Rien n’est gravé dans le marbre何も決まっていない。
gréviculture
ストライキ文化。労働者が頻繁にストライキをする傾向を指して言う。フランスはストが多い。
grippe porcine
豚インフルエンザ。
guerre par procuration
代理戦争。
gymnastique douce
軽い体操。gym douceとも言う。
gynéco
《口語》婦人科医。婦人科学の。gynécologueおよびgynécologiqueの短縮語。
gynoïde
ガイノイド、女性型アンドロイド。

H

h/f
(求人広告で)性別不問。(homme/femmeの略)
handball
ハンドボール。ドイツ語からの借用語なので[ɑ̃dbal]と発音する。しかし、英語の影響で[ɛndbol]とも発音されるらしい。
haut de gamme
仏和辞典には「高級品(の)」等の訳語が載っているが、「ハイエンド(の)」という訳語を加えたい。(→ bas de gamme, milieu de gamme, entrée de gamme)
héliporter
ヘリコプターで運ぶ。仏和辞典には、héliportage(ヘリコプター輸送)、héliporté(ヘリコプターで運ばれる;ヘリコプターによる)は登録されているが、この動詞は登録されていない。(HÉLIPORTER : Transporter (des troupes, du matériel ) par hélicoptère (Grand Robert deuxième édition, 2001) )
hémiptères
半翅目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「カメムシ目」となる。(→carnivores)
herbivore
伝統的に「草食性の」という術語が使われているが、最近は「植物食の」という言い方が増えている。(→carnivore)
historique
《コンピュータ》履歴。historique de navigation(閲覧履歴)。
huile essentielle
精油。最近は「エッセンシャルオイル」とも言うので、訳語の選択肢に加えたい。
hyménoptères
膜翅目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「ハチ目」となる。(→carnivores)
homme au foyer
専業主夫。femme au foyer(専業主婦)に基づいた表現。性別を区別したくなければ、personne au foyerとなる。
horodateur
駐車券発行機。
hors (de) pair
比類のない。かつてはhors de pairだったが、現在ではhors pairの方が多い。
humoriste
お笑い芸人、お笑いタレント。辞書にはこのような訳語は載っていないが、日本のお笑い芸人ないしお笑いタレントをフランス語で言うならhumoristeになる。

I

iel
性別を区別しない新しい3人称代名詞。ilとelleを組み合わせて作られた。2021年にロベールのオンライン版の辞書に掲載されると大きな反発を引き起こした。
il prend fantaisie à+名詞+de+不定詞
〜したいに気が〜に起こる。仏和辞典には、《Il lui prend la fantaisie de+不定詞》のように定冠詞を伴う形で登録されているが、実際には無冠詞の場合も見られる。Elles [=les graines] dorment dans le secret de la terre jusqu’à ce qu’il prenne fantaisie à l’une d’elles de se réveiller. (Le petit prince, V)
il va sans dire que ...
...は言うまでもない。英語の it goes without saying that ... のもとになった表現。
il n’y a pas photo
違いは明らかだ。競馬で着順が分かりにくいときに写真判定することに由来する表現。違いが明らかだから、「判定写真は無い」と言うこと。
il y a écrit ...
...と書いてある。(cf. il y a marqué ...)
il y a marqué ...
...と書いてある。(cf. il y a écrit ...)
-illiard
ペルチエ(Peletier, Pelletier)式の命数法の語尾。X-illiardはX-illionの1000倍。(→billiard, trilliard, quadrilliard, quintilliard, sextilliard, septilliard, octilliard)
imparfait
〔フランス語・イタリア語〕半過去、〔言語学〕未完了過去、〔スペイン語〕線過去、不完了過去、〔ポルトガル語〕不完全過去、〔ドイツ語〕過去形。
immunodéprimé
免疫抑制された(人)。
incendie de forêt
→ feu de forêt。
infectiologie
感染症学。(→infectiologue)
infectiologue
感染症学者。(→infectiologie)
inférieur
≪数学≫本来は、inférieur à 〜 で「〜より小さい」の意味だが、数学用語として使われている場合には注意が必要。a < ba est strictement inférieur à bと言い、aba est inférieur à bと言うことになっている。これに従っている場合には、単にinférieur à 〜 と言うと、等しい場合も含むことになる。もっとも、inférieurの日常的な意味に従って、a < ba est inférieur à bと言うこともあり、abを明確にa est inférieur ou égale à bと言うこともある。
infox
フェイクニュース。[infoとintoxのかばん語]
instrumental
〔言語学〕具格、〔スラブ語〕造格。
interpeller
綴り字の読み方の規則からは[ɛ̃tɛrpɛle]のはずだが、実際には、[ɛ̃tɛrpəle]と発音され、辞書にもその発音が示されている。しかし、綴り字の規則に当てはまらないことに注意を促しているものはほとんどない。Grevisse(Le Bon usage)は[ɛ̃tɛrpɛle]ないし[ɛ̃tɛrpele]と発音した方が良いとしているが、RobertはOn écrirait mieux interpelerとしている。
isoptères
等翅目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「シロアリ目」となる。(→carnivores)
itinérance
ローミング

J

J’ai l’intime conviction que …
…だと確信している。intime convictionは本来は「内的確信」や「心証」という意味だが、見出しの言い回しは単に強く確信していることを言うのに用いられる。
jambe
日常語としては「下肢」全体を指すが、解剖学用語としては膝から足首までの「下腿」を指す。英語のlegも解剖学では下腿のみを指すことがある。また、ラテン語のcrūsも、解剖学では下腿を指す。(→bras)
Je t’arrête tout de suite.
ここでおしまいだ。これ以上言うな。近年、使用が急増している。→ Je vous arrête tout de suite.
Je vous demande de vous arrêter !
やめてください。エドゥアール・バラデュールが1995年の大統領選第一回投票後の敗北宣言で聴衆を静めるために言った言葉。その後、色々と使われて、番組タイトルにもなった。
Je vous arrête tout de suite.
ここでおしまいです。これ以上言わないで。近年、使用が急増している。→ Je t’arrête tout de suite.
jeter
「投げる」から「捨てる」という意味が生じているが、同じ転義は東北方言の「なげる」や関西弁の「ほる(<ほうる)」にも見られる。英語のthrow awayやドイツ語のwegwerfenも参照。
jeu d’arcade
アーケードゲーム。ゲームセンターなどに設置されるゲーム。
jeu de plates-formes
プラットフォームゲーム。画面上のキャラクターを操作して、障害を越えて移動させていくゲーム。
jeu des erreurs
間違い探し(二つの絵の違いを探すパズル)。
J moins+数詞
当日…日前(=jour J moins+数詞)。
joaillier
正しい発音は/ʒɔaje/だが、/ʒɔalje/と発音されることが多い。
judokate
女性柔道家。judoka(柔道家)の女性形。本来、男女同形だが、judokateもよく使用されている。

K

kiloannum
〔地質学・天文学〕キロ年、千年。略号ka。
Knesset
[la 〜]クネセト。イスラエル議会。フランスのニュースでは、イスラエル議会を指すのに、この語が用いられている。[<ヘブライ語כנסת]
kof
咳の擬音語。kof kof コンコン。[<英語 cough]
kryptonite
クリプトナイト。スーパーマンの弱点とされる物質。転じて、当該の人物を無力にする弱点の意味で用いられる。talon d’Achille(アキレスの踵)と類義。[<英語 kryptonite]

L

La mayonnaise prend.
→mayonnaise
langue de Confucius
孔子の言語。中国語のこと。(→langue de Molière)
langue de Molière
モリエールの言語。フランス語のこと。langue de Voltaireとも言う。その他の言語の呼び方については、Liste de périphrases désignant des languesを参照。
langue de Shakespeare
シェークスピアの言語。英語のこと。(→langue de Molière)
langue des signes
手話。辞書にはlangage des signesが登録されているが、1970年代末頃からlangue des signesという言い方が急速に広まっている。手話を自然言語とみなす考え方を反映しているのではなかろうか。
langue des signes française
フランス手話。français signé(フランス語対応手話)とは異なる。
lecteur MP3
MP3プレーヤー。(cf. baladeur numériqueデジタルオーディオプレーヤー)
le doigt sur la couture du pantalon
気をつけの姿勢で。le petit doigt sur la couture du pantalon を掲載している辞書があるが、petitのない言い方もある。
le orange
オレンジ色、交通信号機の黄色。正しくは l’orange だが、近年、色をいう場合には、le orange とエリズィヨンしないことが増えており、アカデミー・フランセーズは誤用としている。女性名詞である果物のオレンジではなく、男性名詞の色名であることを明確にしようとする心理が働いているのではないだろうか。
Le roi est mort, vive le roi !
王は死んだ。王様万歳!新王即位の宣言。英語では、The king is dead, long live the king! と訳されて使われている。roiの部分を様々な語に入れ替えたパロディー表現を生み出している。Le Latin est mort, vive le latin !(ラテン語史の本の題名)。
le temps est compté
残り時間はわずかだ。
légume
野菜。主に複数で使われると説明されるが、ある一種類の野菜について言う場合には単数になる。
lentement mais sûrement
ゆっくりと、しかし確実に。おそらく、英語の slowly but surely のなぞり。ドイツ語の langsam aber sicher など、他の言語にも多く見られる。日本語の「ゆっくりと、しかし確実に」もおそらく同じ。
lépidoptères
鱗翅目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「チョウ目」となる。(→carnivores)
lever le voile sur ...
...を明らかにする。仏和辞典にはlever le voile de ...が載っているが、現在では、lever le voile surの方が用いられている。
lèvre
唇。広義には、あるいは解剖学的には、赤い部分(「赤唇縁」あるいは「唇紅」)だけではなく、鼻・鼻唇溝(いわゆる法令線)・オトガイ唇溝に囲まれた部分を指す。解剖学用語では「口唇」。これは、鼻の下などを含み、ヒゲも生える。英語のlipと同様。赤い唇は人間にしかないが、フランス語のlèvreは、それが存在しない馬や犬の口の周りについても言う。
Liége
アクサンの向きを間違っていると思ってはいけない。ベルギーの都市Liège(リエージュ)は、20世紀の前半まで、Liégeと書かれていたのである。確かに現代フランス語の正書法から言うとおかしな綴りではあるが、間違いというよりは、古風な綴りなのである。以前、ベルギーワッフルのお店でLiégeという綴りを見ててっきり間違っていると思ったが、調べてみると昔の綴りだと分かって驚いた。
liker
いいねする。[<英語 like]
linguiste
言語学者。辞書に記載されている発音は[lε̃ɡɥist]だが、実際には[lε̃ɡwist]とも発音される。(→ linguistique)
linguistique
言語学。辞書に記載されている発音は[lε̃ɡɥistik]だが、実際には[lε̃ɡwistik]とも発音される。(→ linguiste)
loi type
模範法、モデル法。英語model law。
long-temps
longtempsの古い綴り。
Louvain-la-Neuve
ルーヴァン=ラ=ヌーヴ。ベルギー・フランデレン地方のルーヴェンにあるルーヴェン・カトリック大学から、オランダ語話者との対立により、フランス語話者が分離して作ったルーヴァン・カトリック大学を受け入れるためにワロン地方に計画的に建設された学園都市(「ルーヴァン」は、「ルーヴェン」のフランス語名)。そのため、「新しい方のルーヴァン」という名前になっている。
lumière noire
ブラックライト。
luso-
ポルトガルの。lusophoneポルトガル語話者。
lys, lis
ユリ。2通りの綴りがある。もともとはlisの方が多かったが、近年ではむしろlysの方が多くなっている。

M

M
ローマ数字の100万(=million)。1000(=mille)を表すMの上にマクロンを付けて、その1000倍を表す。10億(=milliard)はMの上に二重線をつける。
mêmeの略記。ノートを取るときなどに使われる。
machine à cash
ドル箱、大きな収益源。
machine à pince
クレーンゲーム。
Madame Soleil
マダム・ソレイユ(1913-1996)。フランスの有名な占星術師。Je ne suis pas Madame Soleil. 私はマダム・ソレイユではない。先のことは分からない。ポンピドゥー大統領が記者会見で言ってから、よく使われるようになった表現。Je n’ai pas de boule de crisstal.(水晶玉は持っていない)と同じ意味。
madeleine de Proust
[la 〜]プルーストのマドレーヌ。子供時代を思い出させる味や匂い。プルーストの『失われた時を求めて』より。
magasin de bricolage
ホームセンター。
maillon faible
鎖の中で最も弱い環。比喩的に、全体の中で最も弱く、そこが壊れると全体が崩壊するような部分を意味する。[おそらく、英語の weak(est) link から]
main dans la main
手に手をとって。一致団結して。辞書には la main dans la main が載っているが、近年は1つ目の定冠詞を落とすことが多い。travailler main dans la main 協力して働く。marcher main dans la main 手をつないで歩く。
mais pas que
それだけではない。文末や単独でも使用されるが、アカデミー・フランセーズはこれを誤用とし、mais pas seulementやmais pas uniquementと言うべきだとしている。
maison hantée
辞書には、単に「幽霊屋敷、お化け屋敷」と書いてあるだけだが、本来のお化け屋敷だけでなく、遊園地のアトラクションのお化け屋敷も言う。
mal de dos
背中の痛みだけでなく、腰痛や肩こりも指す。dosは日本語の「背中」よりも範囲が広い。英語のback painおよびbackを参照。→ avoir mal au dos
manège
回転運動によるアトラクション。辞書には「メリーゴーランド、回転木馬」とあるが、意味が拡張して、回転運動によるアトラクション全般を指すのに用いられるようになっている。
manger+国籍形容詞
manger chinois中華料理を食べる。manger françaisフランス産の食材を食べる。
marcher dans les pas de 〜
〜をまねる、〜に見習う。辞書には、marcher sur les pas de 〜 が載っているが、近年、前置詞をsurではなく、dansとする言い方が増えている。
marelle
石蹴り遊び。石蹴り遊びの枠。この語は仏和辞典に登録されているものの、枠がどのようなものか図版は掲載されていない。この枠は多くの場合、以下のようなものである。
marque à la pomme
[la 〜]アップル社のこと。
marque au losange
[la 〜]ルノー社のこと。
mayonnaise
マヨネーズ(=sauce mayonnaise)。卵黄に酢を加えて撹拌したものに食用油を少しずつ加えながら撹拌して作る(もっとも、フランスでは酢よりもからしの方が本来の材料のようである)。乳化によって材料が混ざっていき、半固体状になっていくことによって、マヨネーズができる。この撹拌によって乳化していくことをmonterという。よって、faire monter la mayonnaiseとは、撹拌して乳化させることによってマヨネーズを作ることなのである。そこから転じて「大げさに言う」という意味でも使われる。また、乳化により半固体状になっていくことをLa mayonnaise prend.と言う(辞書には、「マヨネーズが固まる」と書いてあるが、マヨネーズが乾燥して固まることではない)。これが転じて、「事態が好転する」という意味でも使われる。食用油を混ぜていくのが難しいため、半固体状になってくることによって、事態の好転を喩えたのであろう。
m’dame
madame のくだけた発音(cf. m'sieur)。
Médor
犬の典型的な名前(cf. Azor)。典型的と言っても、「ポチ」と同じように、実際にこの名前の犬は恐らくそんなに多くはないと思われる。英語なら、RoverやFidoか。
m’enfin
しょうがないなあ。mais enfinの縮約した言い方。ベルギーのマンガGaston Lagaffeの主人公の口癖で知られる。
mercure
水銀。温度計。温度。本来は水銀を表す語だが、水銀が温度計に使われることから、換喩により、温度計、そして温度を言うのに使われる。
messidor
メシドール。フランス革命暦の月で、6月下旬から7月中旬に当たる。ラテン語のmessis(収穫[cf. フランス語moisson])に由来するので、「収穫月」と訳される。初夏に「収穫」とは奇異に思われるかもしれないが、小麦の収穫期はこの頃。日本語でも「麦秋」と言う。
métal rare
レアメタル。métal mineurとも言う(英語のminor metal)。
Météorite d'Orgueil
オルゲイユ隕石。単にOrgueilとも言う。1864年にフランス南西部のオルグイユ村付近に落下した隕石。京都産業⼤学の神山天文台もその一部を所蔵。日本では「オルゲイユ」という表記が定着しているが、これはOrgueilをO-r-gu-e-ilと分析して [ɔ-ʁ-ɡ-ɛ-j] と読んだ発音をカタカナ表記したものと考えられる。しかし、正しくは O-r-g-ue-il と分析して [ɔ-ʁ-ɡ-œ-j] と発音するので、「オルグイユ」と転写する方が正しい。
métropole de Tokyo
東京都(英語:Tokyo metropolis)。他の道府県と同様にpréfecture de Tokyoとも言う。(→préfecture)
mettre à niveau
アップグレードアップする。(→mise à niveau)
milieu de gamme
仏和辞典には「中級品」という訳語が載っているが、「ミッドレンジ」という訳語を加えたい。(→ haut de gamme, bas de gamme, entrée de gamme)
miroir sans tain
マジックミラー。glace sans tainとも言うが、miroir sans tainの使用が増加している。
mise à niveau
アップグレード。(→mettre à niveau)
mode opératoire
(犯罪者の)手口、やり口。modus operandi。
Moi président de la République
私が共和国大統領になったら。2012年のフランス大統領選のテレビ討論会で、どのような大統領になるつもりか聞かれたオランド候補が繰り返し使った表現。
MoDem
通信機器のモデムのことではない。Mouvement démocrate(民主運動)の略。フランスの中道政党。2007年にフランソワ・バイルFrançois Bayrouが結成。
monde d’après
その後の世界。(特に)ポストコロナの世界。
monétiser
...を利用してお金を得る。元々は、金属を貨幣に鋳造することや、新通貨を導入することだが、何かをお金にするということを意味するのに用いられている。monnayerを参照。
Monsieur et Madame ... ont un fils
「何々夫妻に息子がいる。なんて名前?」と聞くなぞなぞ。答えの名前と姓でダジャレになる。息子が娘になったり、息子たちになったりなど、バリエーションがある。
Monsieur Michu
普通の人、一般人。女性は、Madame Michu。
morpion
≪ゲーム≫モルピオン。仏和辞典には、紙に○や×などを書いてする「五目並べ」となっている。仏仏辞典や百科事典をしらべても、「5つ」並べるとなっている。しかし、morpionの最も単純なバージョンは3行3列の枠に「3つ」並べるものであり、日本で言う「三目並べ」「みつならべ」「まるばつ」「まるかけ」「まるぺけ」と呼ばれるものと同じである。

図 morpion
Motus
フランスのクイズ番組。単語を当てるゲームなので、mot(単語)にラテン語風の語尾-usを付けて造語したと思われる。
mouchoir
ハンカチ、ティッシュ、鼻紙。mouchoirは鼻をかむ(se moucher)ための布や紙という意味。欧米ではハンカチは鼻をかむための布なのである。仏和辞典では「ティッシュ」などの訳はついていない(mouchoir en papierなどにはついている)。
moustique-tigre
ヒトスジシマカ(一筋縞蚊)。学名:Aedes (Stegomyia) albopictus。デング熱・チクングンヤ熱などの感染症を媒介するヤブカの一種。
moyen
スウェーデン語にmojäng [mʊˈjɛŋ](ガジェット)として借用されている。Minecraftを作ったスウェーデンのゲーム会社Mojang社の社名にもなっている。
m’sieu
m’sieurに同じ。語末のrを発音しないことも綴り字に反映させたもの。
m’sieur
monsieur[mǝsjø]の曖昧母音が脱落した発音[msjø]を綴りで表したもの(cf. m'dame)。
mutique
無言症の。黙っている。病気の症状としての無言症だけでなく、意図的に黙っていることも言う。rester mutique黙ったままでいる。

N

nacelle
(観覧車の)ゴンドラ、キャビン、のりかご。仏和辞典には、気球などのゴンドラの意味が載っているが、観覧車のゴンドラの意味は載っていない。
n’avoir de cesse de+不定詞
〜するのをやめない。誤用とされている。ne (pas) cesser de+不定詞(〜するのをやめない)とn’avoir (pas) de cesse que+接続法[avant de+不定詞](〜するまでやめない)の混淆。
Ne … pas … qui veut.
望んだ者が…するわけではない。誰でも…できるわけではない。(→ N’est pas ... qui veut.、N’est pas cocu qui veut.)
négatif
≪数学≫負の。ただし、フランスでは、数学用語としては、0を含めることになっている。0を含めない場合は、strictement négatifと言わなければいけないことになっている。(→positif)
N’est pas … qui veut.
望んだものが…になるわけではない。誰でも…になれるわけではない。(→ N’est pas cocu qui veut.、Ne … pas … qui veut.)
N’est pas cocu qui veut.
望んだ者がコキュになるわけではない。誰でもコキュになれるわけではない。「コキュ」は妻を寝取られた夫のこと。ラブレーの言葉とされているが、原文はIl n'est (respondit frere Jan) coqu, qui veult.[=Il n’est (répondit frère Jean) cocu qui veut.](『第三之書』第28章)。劇作家・映画監督のサーシャ・ギトリSacha GuitryもElles et toiで書いており、彼の言葉としても知られている。(→ N’est pas … qui veut、Ne … pas … qui veut)
n’est pas sans rappeler 〜
〜を思い出させる、〜に似ている。20世紀以降、使用が急増している。n’est pas sans évoquer 〜 という言い方もある。
n’est pas un long fleuve tranquille
簡単ではない。フランス映画『人生は長く静かな河(La vie est un long fleuve tranquille)』(1988年)から。
New York
都市名とは限らない。à New Yorkなら「ニューヨークで」だが、dans le New Yorkなら「ニューヨーク州で」である。アメリカの州名は、男性名詞だと、≪dans le+州名≫、女性名詞だと≪en+州名≫となる。(→Washington)
niveau+無冠詞名詞
〜については、〜に関しては。《côté+無冠詞名詞》を参照。
nom
文法用語としては「名詞」。しかし、もともと、「名詞」と「形容詞」の両方を合わせたものがnomと呼ばれていた。ラテン語においては名詞と形容詞は性・数・格を有し、形態的に類似していたので、まとめて考えられたのである。名詞と形容詞を区別するには、nom substantif「実体詞(現在の名詞)」とnom adjectif「形容詞」と言った。後に、形容詞が名詞から独立してadjectifと呼ばれるようになり、nomは現在の名詞だけを指す用語となった。
nomophobe
無携帯電話恐怖症患者。携帯電話依存症患者。(→nomophobie)
nomophobie
無携帯電話恐怖症。携帯電話依存症。[<英語nomophobia<no+mobile(-phone)+phobia]
Notre maison brûle et nous regardons ailleurs.
我々の家が燃えているのに、我々は他所を見ている。2002年にヨハネスブルグで行われた持続可能な開発に関する世界首脳会議の総会で当時のフランス大統領ジャック・シラクが言った言葉。地球温暖化などの環境破壊が進んでいるのに、人類がそれに無関心でいることを表している。

O

octilliard
1051。ペルチエ(Peletier, Pelletier)式の命数法。octillionの1000倍。(→ -illiard)
octillion
1048。英語では1027
oculométrie
アイトラッキング。眼球の動きを計測する技術。そのための装置は、oculomètre(アイトラッカー)。
ocytocine
オキシトシン。英語ではoxytocinだが、フランス語ではoxytocineではなく、ocytocineである。もともと、ギリシア語のὀξύς(速い)とτόκος(出産)から造語されたが、フランス語では、ὠκύς(速い)とτόκος(出産)に基づく語に換えている。ギリシア語にὠκυτόκος(安産をもたらす)という語があるので、ocytocineの方がより古典語を踏まえた造語になっている。ギリシア語でも、ωκυτοκίνηと呼んでいる。
odonyme
道の名称。hodonymeとも綴る。odonymieあるいはhodonymieは、道の名称についての学問。。
œ
œcuménisme「世界教会運動」、Œdipe「エディプス」、œnologie「ワイン醸造学」のように、œの後に子音字が来ると、[ø]や[œ]ではなく、[e]と発音する。辞書にはこの発音が記載されている。しかし、実際には、フランス人たちも[ø]と発音している。これは誤った発音とされているので、辞書には余り記載されていない。「oe の読み方」
œufs au plat, œufs sur le plat
目玉焼きだが、本来は、フライパンではなく、耐熱用の皿にバターを溶かして、そこに卵を入れて加熱して作ったもの。platはその時に使う耐熱用の皿のこと。「目玉焼きはお皿で作る」
ognon
タマネギ。oignonと綴ってきたが、1990年の正字法改革により、発音通り、ognonと綴っても良くなった。しかし、Google Books Ngram Viewerによると、かつてもognonという綴りはかなり行われていた。ognonはLittréにも登録されている。oignonという綴りは、かつて[ɲ]をignで表した名残。
ondelette
《数学》ウェーブレット(英語wavelet)。ウェーブレットは1982年頃にフランス人Jean Morletが実際に応用を試みてから、その実用性が注目されるようになった。彼はAlex Grossmanとともにウェーブレット変換の研究を行い、フランス語のonde(波)に小さいことを表す語尾-eletteをつけてondeletteという言葉を作った。その後、これを英語にしてwaveletという言葉を作った。つまり、waveletよりもondeletteの方が若干先に作られた言葉なのである。Morlet以外にも、Stéphane MallatやYves Meyerなどウェーブレットの数学的基礎の構築にフランス人研究者たちが果たした役割は大きい。
On y soit qui mal y pense
《誤》インターネットで検索するとヒットするが、これでは意味が通じない。正しくは、Honni soit qui mal y pense「悪しき思いを抱く者に災いあれ」。honniが古語なので分からずに、on yと誤って書き取ったもの。イギリスのガーター勲章に使われているが、こちらはnが1つで、Honi soit qui mal y pense。
oralisme
口話法。
oraliste
口話法の。 
Orgueil
→ Météorite d'Orgueil。
osciller
振動する。発音は[osile]だが、[osije]と発音する人も多い。
oscillo-battant
(窓が)内開きと内倒しの両方が可能な。fenêtre oscillo-battante ドレーキップ(窓)。「ドレーキップ」はドイツ語のDrehkipp-Fensterから。英語では tilt and turn window。(『大改造!!劇的ビフォーアフター』(2014年1月19日放送分)で、「オシロバトン」と紹介された。)
ouaip
ああ、うん。ouiのくだけた言い方ouaisの変異形。発音は、[wɛp]。早めに唇を閉じて、最後にpの音がついたものと考えられる。英語のyesがくだけたyepやnoがくだけたnopeと比較しうる。ベルギーのマンガLucky Luke『ラッキー・ルーク』によって広まったらしい。
ouistiti
チーズ。マーモセットを意味する言葉だが、写真を撮るときに笑顔を作るために言う。
oups
おっと、いけね、しまった。[<英語 oops]
ouvrir le champ des possible
新しい可能性を開く。21世紀末から使用が増えている。

P

palais du rire
(遊園地などの)びっくりハウス。
pan de l’histoire
歴史の一部。
papèterie
文房具店。1990年の正書法改革で、papeterieを[papɛtri]という発音に合わせたpapèterieという綴りも認められている。あまり使われない一方で、papéterieという綴りも見られる。
papier bulle
気泡緩衝材、プチプチ。元々は「マニラ紙」をbulleと呼んでいて、papier bulleも「マニラ紙」を意味した。しかし、「気泡」の意味のbulleと混同されて、papier bulleは気泡のある紙状のもの、すなわち気泡緩衝材を指すようになり、普通にはこの意味で用いられている。film à bullesとも言う。
par défaut
デフォールトで、初期設定で、特に指定しなければ。英語のby default。
paramétrer
(パラメータを)設定する。
paroisse
ルイジアナ州の郡。アメリカ合衆国の行政単位の郡はcountyであるが、ルイジアナ州だけはparishを用いている。これのフランス語がparoisse。なお、ルイジアナ州はもともとフランス領で、英語とフランス語を公用語としている。(→comté)
partie émergée de l’iceberg
partie visible de l’icebergとも言う。partie immergée[cachée] de l’iceberg(隠された最も重要な部分)と対比した表現。他の西洋語が日本語の「氷山の一角」と同様の表現であるのと異なる(英語:tip of the iceberg、ドイツ語:Spitze des Eisberg、イタリア語:punta dell’iceberg、スペイン語:punta del iceberg)。
part des anges
天使の分け前、天使の取り分。ワインやブランデーの樽熟成の間にアルコールが蒸発することにより生ずる減少分。
participe
〔言語学〕分詞、〔ロシア語〕形動詞。
pas que
→mais paas que
passage obligé
避けて通れないもの。必見のもの。
passer commande
注文する、発注する。仏和辞書には、passer une commandeが登録されているが、実際は無冠詞の場合の方が多い。
pâte à tartiner
スプレッド。パンやクラッカーに塗るペースト状の食品の総称。
pauv’con
pauvre conのくだけた発音を標記したもの。pov’conとも綴る。くだけた話し言葉では、子音に挟まれたrやlを脱落させることがある。サルコジ大統領のCasse-toi pauvre con ! 発言のせいでよく見られる。(→aut’chose, quat’quatre)
pavé tactile
トラックパッド。
pays du Matin calme
[le 〜]朝鮮の別称。「朝鮮」を誤訳したらしい。
pêche à pied
潮干狩り。rocailleとも言うらしい。
pendu
ハングマン。単語を当てるゲーム。単語に入っていると思う文字をひとつずつ言って単語を当てるが、文字が単語に含まれていないと絞首台に吊るされた人の絵が描かれていく。jouer au penduハングマンをする。
perdre de+所有形容詞+抽象名詞
〜が減る。perdre de son importance重要性が減る。perdre de sa force力が減る。perdre de sa valeur価値が減る。perdre de son efficacité効力が減る。部分冠詞を用いた表現よりも、《de+所有形容詞》を用いた言い方の方が多い。
périssodactyles
奇蹄目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「ウマ目」となる。(→carnivores)
permalien
(ブログの)パーマリンク、固定リンク。(英語:permalink)(→rétrolien)
perron
建物の入り口の前などにある階段。かつて駅のプラットフォームの意味でも用いられたようで、この意味で多くの言語に借用されている。
personne au foyer
→homme au foyer。
perturbateur endocrinien
内分泌攪乱物質。いわゆる「環境ホルモン」の正式名称。
petit chapeau
アクサン・シルコンフレクス(accent circonflexe)の俗称。
petit doigt
直感、勘。本来所有形容詞と使う。Mon petit doigt me dit que 〜(私の勘では〜)。[<小指]
petit juif
肘をぶつけると腕がしびれることがあるが、その部分をpetit juifという。これは、浅いところを尺骨神経が通っているためである。英語でfunny boneやcrazy boneと呼ばれている部分に対応するが、日本語にはこの部分を指す言葉は存在しない。『小学館ロベール仏和大辞典』には「上腕骨尺骨神経溝:内側上顆の後面」となっている。この部分をぶつけることをse cogner le petit juifという。
pétrinien
聖ペテロの。ピョートル大帝の。
peu importe
〜に関わらず、〜と関係なく、〜がどうであろうと、どんな〜であろうと。「〜はどうでもいい」と言う意味の表現だが、 他の文に従属させる用法も見られる。
pharma
薬学(の)。製薬(の)。製薬会社。étudiant en pharma(薬学生)。industrie pharma(製薬産業)[pharmacieおよびpharmaceutiqueの短縮形]。
photo de famille
家族写真。集合写真。文字通りには「家族写真」という意味だが、実際には「集合写真」の意味でも用いられている。
pilote de chasse
戦闘機パイロット。[<avion de chasse(戦闘機)]
pile d’assiettes
高積雲のレンズ雲が幾つも重なったもの。皿を重ねたように見えることから、pile d’assiettesと呼ぶ。
place Saint-Marc
[la 〜](ベネツィアの)サン・マルコ広場。発音に注意。通常Saint Marcの最後のcは発音するが、この広場の名前では発音しない。lion de Saint-Marc(サン・マルコの獅子)も同様。
planète bleue
[la 〜]青い惑星。地球のこと。
planète extrasolaire
太陽系外惑星。(→exoplanète)
planète rouge
[la 〜]赤い惑星。火星のこと。
plaque de plâtre
石膏ボード。placoplâtreあるいは省略してplacoとも言う。
plat
「皿」や「料理」だけでなく、「浅めの鍋」も意味する。「目玉焼きはお皿で作る」
plat pays
フランドル。ベルギー。仏和辞典には、平地や平野などの訳語が載っているが、特定の地域を指す用法は載っていない。
plateforme (téléphonique)
コールセンター。英語のcall centerの借用翻訳であるcentre d’appel(s)と呼ばれることが多いが、plateforme téléphoniqueあるいは単にplateformeとも呼ばれる。近年、使用が急増している。
pleurer
人称動詞だが、ヴェルレーヌが詩で非人称動詞として用いている。Il pleure dans mon coeur. Comme il pleut sur la ville. 堀口大學が、「巷に雨の降るごとく、我が心にも涙降る」と訳している。
plus que doubler
二倍以上になる。複合時制や不定詞で用いられる。La population a plus que doublé. 人口は2倍以上になった。Le nombre va plus que doubler. 数は2倍以上になるだろう。単純時制で用いる場合には、plus queの後ろにあるdoublerを活用することができないので、faireを補って活用する。La production fait plus que doubler(生産量が2倍以上になる)。doubler(2倍になる)をtripler(3倍になる)、quadrupler(4倍になる)、quintupler(5倍になる)、décupler(10倍になる)、centupler(100倍になる)などに換えることもできる。
plus vrai que nature
本物よりリアルな。
plusieurs
「多い」というニュアンスで使われる語だが、場合によっては、複数であることを意味する場合もある。un ou plusieursのように1と対比される場合を参照。deux ou plusieursという表現の場合には、3以上の数を表していると考えられる。
plussoyer
(言われたことや書かれたことに)賛同する。
pneu
タイヤ。発音は[pnø]だが、特にフランス南部および南西部において[pənø]あるいは[pønø]と発音される。
poêle
フライパン。発音は[pwal]だが、[pwɛl]と言う発音が優勢な地域もある(ブルターニュ地方、旧ノール=パ・ド・カレー地域圏、フランス語圏スイスの東部周辺部)。
point
スウェーデン語にpoäng [poˈɛŋ], [po̯ɛŋ](ポイント、スコア)として借用されている。スウェーデンの家具量販店IKEAのアームチェアPoäng(ポエング)の名称にもなっている。
point final
以上!終わり![ピリオド(終止符)の意味から、これ以上言うことはないという意味で使われる]。point barreとも言う。un point, c’est toutやpoint à la ligneと類似の表現。
polaire
フリース(= laine polaire, fibre polaire)。veste en polaire フリースジャケット。
police
標準フランス語では、一人一人の警察官を指すには、policeではなく、agent de policeやpolicierを用いる。しかし、カナダのフランス語では、この意味でもpoliceを用いることができる。なお、男性警官でも女性名詞。
poser ses valises
身を落ち着ける、住む。[<スーツケースを置く]
positif
≪数学≫正の。ただし、フランスでは、数学用語としては、0を含めることになっている。0を含めない場合は、strictement positifと言わなければいけないことになっている。(→entier naturel, négatif)
post-édition, postédition
ポストエディット。
pouce levé
サムズアップ(親指を立てるジェスチャー)。サムズダウン(親指を下げるジェスチャー)は、pouce baissé。
pov’con
→pauv’con
pour de bon, pour tout de bon, tout de bon
本当に、本気で。全て同じ意味だが、tout de bon から pour tout de bon を介して pour de bon に入れ代わってきた。
pour ne rien arranger
さらに悪いことに。近年、使用が増加している。
pour (vous) donner un ordre d’idée
どれぐらいか分かりやすく言うと。数量などについて分かりやすく説明する時にいう表現。
pousser (forcer) qn dans ses retranchements
追い詰める。pousser (forcer) qn dans ses derniers retranchementsのみを掲載している仏和辞典もあるが、derniersを抜かすこともよくある。
pré-édition, préédition
プリエディット。
préf
お気に入りの。お気に入り。préféréの短縮形。
préfecture
(日本の)都道府県。県だけでなく道府県にも言う。préfecture de Hokkaido北海道、préfecture de Kyoto京都府、préfecture d’Osaka大阪府、préfecture de Tokyo東京都。ただし、東京都はmétropole de Tokyoとも言う(→métropole de Tokyo)。
premier violon
「コンサートマスター」と「第1バイオリン」の両方の意味がある。一見紛らわしいが、オーケストラでは、コンサートマスターは一人なのに対して、第1バイオリンは複数人いるので、単数でle premier violonと言えば「コンサートマスター」、複数でles premiers violonsと言えば「第1バイオリン」ということになる(第1バイオリンのうちの一人はun premier violon)。もちろん、弦楽四重奏のように第1バイオリンが一人なら、単数のle premier violonで「第1バイオリン」となる。このように、二つの意味があっても、混乱することは無い。
prendre la main sur 〜
〜を掌握する。21世紀末から使用が急増している。
prendre un air + 形容詞
〜な様子をする。21世紀に入って使用が急増している。
prénom composé
複合名。フランスでは、Jean-Paulのようにハイフンで繋ぐ。日本のフランス関係の専門家は、このハイフンを等号にして「ジャン=ポール」のように表記する。しかし、新聞などでは、間を詰めて「ジャンポール」のように表記することが多い。
présentiel
対面の。en présentiel(対面の、対面で)。⇔ distanciel(遠隔の)
président
[中国などの](国家)主席。
présider
[国を直接目的語にして]...の大統領を務める。
Presque !
(クイズの解答などに対して)惜しい! 英語のalmostを参照。
pression arterielle
血圧。広義の血圧には、動脈圧・毛細血管圧・静脈圧などがあるが、通常は動脈圧のことを指す。英語のblood pressureやドイツ語のBlutdruckなど多くの言語で事情は同じだが、フランス語では正確にpression artérielle(動脈圧)と言っている。
prêt à l’emploi
プラグアンドプレイの。すぐに使える。
principe de précaution
予防原則。1970年代にドイツで言われ始めたVorsorgeprinzipのフランス語。フランスでは1990年以降急激に使用が増加した。
proc
《口語》検事 。procureur(e)の短縮語。
primates
霊長目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「サル目」となる。(→carnivores)
prophétie autoréalisatrice
自己成就予言(予言されたという事実が予言自体の成就を引き起こす予言)。「予言の自己成就」。マートンのself-fulfiling prophecy。
province
州。日本の令制国。中国・ベトナムの省。韓国・北朝鮮の道。province de Musashi 武蔵国。武蔵の田舎ではない。

Q

quadrige
古代の並列四頭立ての二輪戦車。「も舌に及ばず」という慣用句に出てくる「駟」という漢字を使って訳す手もあるだろうが、さすがにこのような訳語を提案している仏和辞典は見当たらない。
quadrilliard
1027。ペルチエ(Peletier, Pelletier)式の命数法。quadrillionの1000倍。(→ -illiard)
quadrillion
1𥝱じょ(1024)。英語では1000兆(1015)。かつては、フランスでは1000兆、イギリスでは1𥝱じょだった。
Quand A éternue[tousse], B s'enrhume
Aがくしゃみ[咳]をすると、Bが風邪をひく。Quand Renault éternue, la France s'enrhume. ルノーがくしゃみをすると、フランスが風邪をひく。おそらく、英語のWhen A sneezes[coughs], B catches (a) cold.のなぞり。
Quand on parle du loup
《ことわざ》噂をすれば。Quand on parle du loup, on en voit la queue.(狼の話をすると、しっぽが見える)の省略形。日本語でもしばしば「噂をすれば影がさす」の後半を省略して「噂をすれば」と言うが、フランス語でも全く同じように後半を省略して Quand on parle du loup.(狼の話をすれば)と言う。その他の言語においても、対応する諺に同様の省略形が見られる。以下、青字の部分を省略して、赤字の部分だけを言うことが多い。
quart
15分。「〜時15分」は《〜 heures et quart》、「〜時15分前」は《〜 heures moins le quart》だが、かつては、《〜 heures un quart》や《〜 heures moins un quart》という言い方が用いられていた。ベルギーでは、《〜 heures quart》や《〜 heures moins quart》という。《〜 heures moins quart》は、スイスや旧ローヌ=アルプ地域圏でも見られる。Google Books Ngram Viewerによる使用頻度の変遷は以下のとおり。
quart d’heure de politesse
友人の家に食事に招かれた時に礼儀として15分遅れて行くこと。招待する側に時間的余裕を与えるためのフランスの習慣。
quatorzaine
検疫のための14日間の隔離。
quat’quatre
quatre-quatre(四輪駆動車)の一つ目のreが脱落した発音を表した綴り。二つ目のreが脱落したquat’quatという発音もあるらしい。(→pauv’con, aut’chose)
quintilliard
1033。ペルチエ(Peletier, Pelletier)式の命数法。quintillionの1000倍。(→ -illiard)
quintillion
1030。英語では1018。かつては、フランスでは1018、イギリスでは1030だった。

R

racisé
人種差別を受けた(人)。「有色人種(の)」という意味で用いられることもあり、議論になっている。
radio-crochet
(ラジオの)歌謡オーディション番組(cf. télé-crochet)。
Raiponce
ラプンツェル(グリム童話)。
rayon vert
グリーンフラッシュ、緑閃光。珍しい気象現象で、ジュール・ヴェルヌの小説『緑の光線』、そして、エリック・ロメール監督の映画『緑の光線』のタイトルにもなっている。
réaliser
「実現する」以外に、英語の影響で「理解する、気づく」と言う意味があるが、同じことは、ドイツ語のrealisieren、イタリア語のrealizzare、ラテアンアメリカや米国のスペイン語のrealizarでも起きている。
réalité augmentée
拡張現実、強化現実(英語:augmented reality)。réalité virtuelle(ヴァーチャル・リアリティー、仮想現実)の対概念。
réchauffer le cœur
慰める、励ます。21世紀に入って使用が増加している。
reconfinement
外出制限再開。
réduire la voilure
(事業などを)縮小する、スケールダウンする。1990年代から使用が増加している。[<(帆船の)帆を小さくする]
régalien
辞書には「国王の、王権に由来する」という意味が載っているが、転じて「国家の、国家主権に属する」という意味でも用いられる。
régulation
→théorie de la régulation
reine des preuves
[l’〜]証拠の女王。ラテン語の法格言Confessio est regina probatio[num]「自白は証拠の女王」のフランス語訳l’aveu [ la confession ] est la reine des preuvesで使われている表現。王でなく女王なのは、もちろん、証拠を意味する言葉が女性名詞だから。これに倣って、L’ADN est la reine des preuves.「DNA鑑定は証拠の女王」などと言ったりする。
relevé de notes
成績表。合否結果も載っている場合は、relevé de notes et résultatsと言う。
remonter
上に戻ってくる。上に戻っていく。接頭辞re-には、「再び」と言う意味だけでなく、「逆方向に」と言う意味もあるので、下に行ったものが上に戻ることも表す。redescendreも、上に行ったものが下に戻ることも意味する。
rendre
〔生徒や学生が答案(copie)や宿題(devoir)を〕提出する、出す。そもそも、教師が出したものを「返す」と発想しているのだろう。
rentier
金利生活者。英語に借用されて、不労所得生活者の意味で使われている。ここから、rentier stateという語が作られ、日本では「レンティア国家」と訳されている。しかし、rentierの英語での発音はフランス語由来の「ランティエ」であり、「レンティア」は幽霊英単語である。
requiem
死者のためのミサ。鎮魂曲。レクイエム。辞書に記載されている発音は[rekɥijεm]だが、実際には[rekwijεm]とも発音される。
Réserve fédérale
連邦準備制度(英語:Federal Reserve [System])。もっとも、実際には、制度そのものよりも連邦準備銀行ないしは連邦準備制度理事会を指していると考える方が良い。
restauration de Meiji
明治維新。英語では、Meiji Restoration。いずれも、明治維新を「明治の王政復古」と呼んでいる。
rétrolien
(ブログの)トラックバック。(英語:trackback)(→permalien)
rétropédaler
ペダルを反対方向に漕ぐ。後退するために漕ぐ。後退する。
réunir les conditions
条件を揃える、条件を満たす。Les conditions ne sont pas réunies. 条件が揃っていない、条件が満たされていない。
revenu universel
ベーシックインカム。revenu de baseとも言う。
réversion
《法》取戻権。本来の発音は、[revɛrsjɔ̃]だが、動詞reverserの影響で、[rəvɛrsjɔ̃]とも発音される。
révolution américaine
アメリカ独立。英語では、American Revolution。アメリカ独立を市民革命と捉え、大西洋革命の中に位置付けた呼称と言える。日本でも、「アメリカ独立革命」あるいは「アメリカ革命」と言う。
riverain
周辺住民。多くの辞書には「沿岸住民・沿道住民」という訳が載っているが、ニュースでは工場や発電所などの施設の周辺住民についても用いられている(白水社『ディコ仏和辞典』第1版には、「周辺住民」の訳が載っている)。les riverains de la centrale nucléaire原子力発電所の周辺住民。
rivière des Perles
珠江(旧称:粤江)中華人民共和国南部の川。英語ではThe Pearl River。英語もフランス語も「珠江」の直訳。
rocaille
→pêche à pied

S

salle d’arcade
ゲームセンター。
salle de bain(s)
浴室、バスルーム。浴槽と洗い場からなる日本の浴室とは異なり、浴槽やシャワーの他、洗面台、トイレなどもあったりする。
salon de coiffure
美容院、床屋。日本では美容師と理容師は免許が違うので、美容院と床屋は法律上区別できるが、フランスでは免許にそのような区別がないので、美容院と床屋を法律上区別できない。
sans déconner
まじで。まさか。冗談だろ。
santé
フランスではくしゃみをした人にÀ tes souhaits !あるいはÀ vos souhaits !と言うが、スイスのフランス語圏ではSanté !と言う。ドイツ語のGesundheit!のなぞり。フランスの周囲では、スペイン語¡Salud!、イタリア語Salute!、オランダ語Gezondheid!など、同じ言い方をする言語が多い。
s’appelle reviens
〜は「戻ってこい」という名前だ。ものを貸すときに、必ず返せといういう意味でいう。
sas vélo
自転車用二段停止線。信号交差点の横断歩道と自動車用停止線の間に設けられた自転車用の停車スペース。sas cyclableとも言う。
sauf que
ただ、しかし。本来は「〜ということを除けば」という意味だが、逆接の接続詞としても使われる。アカデミー・フランセーズはこれを誤用とし、maisを使うべきだとしている。
scénarimage
絵コンテ。英語の storyboard の方がよく使われる。[<scénario+image]
se dire oui
結婚する。お互いに「はい(誓います)」と言うことから。
se tirer une balle dans le pied
自分の損になることをする。[<自分の足に弾を打ち込む]
sédation terminale
終末期の鎮静(英語:terminal sedation)。
sensu stricto
《ラテン語》厳密な意味で。狭義で。ジャック・モノー著『偶然と必然』の付録IIIにこの語句が出てくるが、渡辺格・村上光彦訳(みすず書房)では、ラテン語だということに気がつかなかったのか、訳さずに原語のまま書いてある。
s’en va-t-en guerre
戦争に行った。s’en va en guerreに現在の規範からは誤ったリエゾンが適用されている。もともと、Marlbrough s’en va-t-en guerreという歌の題名および歌詞。この歌には、他に、Il reviendra-z-à Pâquesやquatre-z-officiersというリエゾンも出てくる。よく知られた歌なので、様々なパロディーを生み出している。
septilliard
1045。ペルチエ(Peletier, Pelletier)式の命数法。septillionの1000倍。(→ -illiard)
septillion
1042。英語では1024
se revendiquer (de) ...
自分は...だと主張する。自分は...を支持していると明言する。revendiquerを代名動詞として用いるのは誤用とされているが、使用が増えている。
seum
→ avoir le seum。
sextilliard
1039。ペルチエ(Peletier, Pelletier)式の命数法。sextillionの1000倍。(→ -illiard)
sextillion
1036。英語では1021。かつては、フランスでは1021、イギリスでは1036だった。
shall
châle(ショール)の19世紀初頭頃の綴り。Littréには登録されている。
siffler entre ses doigts
指笛を吹く
s'il vous plaît
どうぞ、お願いします。定型表現として、vousが意識されずに、tuで話しているときにも使われることがある。S'il vous plaît... dessine-moi un mouton !(『星の王子さま』第2章)
si il(s)
siはil(s)の前でエリズィヨンしてs'il(s)になるのが規則だが、近年、この規則が守られない場合が増えている。
Si je fusse une grenouille…
Davide Caliの絵本の題名。《Si+接続法半過去》というのはフランス語としては普通ではない。おそらくイタリア語法であろう。イタリア語なら、« Se fossi una rana… »
simplissime
極度に単純な、極度に簡単な。[<simple+-issime]
soins palliatifs
緩和ケア。1980年頃から使用が急増した。
soirée pyjama
パジャマパーティー。
Sois gentil et tiens courage !
優しくあれ、そして勇気をもて。アンネ・フランクの3冊目の最後の日記の裏表紙に書かれていていたフランス語。「勇気をもて」は通常ならaie courgae。tiens courageはオランダ語のhoud moedをなぞったものと思われる。オランダ語では、moed houden(勇気を保つ)と言う。
solution hydro-alcoolique
手指消毒剤。液状のもの。ゲル状なら、gel hydro-alcoolique 。
sopalin
キッチンペーパー。商標だが、一般名称化している。開発した会社のSociété du papier-lingeの略語から。
sortir de terre
建てられる、建設される。[<〔植物が〕生える、芽を出す]
sortir la tête de l’eau
苦況を脱する[<水から頭を出す]。この表現は近年使用が増えているようである。
souffler ses bougies
誕生日を祝う。誕生日を迎える。[<ろうそくを吹き消す]数詞でろうそくの本数を指定して何歳の誕生日かを示すことができる。souffler ses dix bougies 10歳になる。10周年を迎える。souffler ses vingt bougies 20歳になる。20周年を迎える。
souhaiter bon(ne)+名詞
Je vous souhaite { bonne chance / bon courage }. のように、しばしば、目的語を無冠詞にする。これは、souhaiterが、発話動詞のように、Bonne chance !やBon courage !などの定型表現を直接引用として従えているのではないだろうか。
sourcil
眉。辞書には最後のlを発音しないと書いてあるが、実際には発音する。cil(まつげ)の発音の影響であろう。ベルギーでは発音しない。
sous le radar
気づかれずに。複数形を用いて、sous les radarsとも言う。[英語で近年よく使われるようになったunder the radarという言い回しにならったものではないかと推測される]
sous les radars
→ sous le radar
spécisme
種差別。英語speciesism。
spiruline
スピルリナ。Spirulina(スピルリナ属)をフランス語化した語。もっとも、スピルリナの多くは、現在、スピルリナ属には属していないらしい。
squamates
有鱗目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「トカゲ目」となる。(→carnivores)
stylet
スタイラス。
stylo-pinceau
筆ペン。
stratosphérique
とても高い。「成層圏の」という意味だが、比喩的にとても高いことを表すのに用いられる。
supercorde
→théorie des supercordes
supérieur
≪数学≫本来は、supérieur à 〜 で「〜より大きい」の意味だが、数学用語として使われている場合には注意が必要。a > ba est strictement supérieur à bと言い、aba est supérieur à bと言うことになっている。これに従っている場合には、単にsupérieur à 〜 と言うと、等しい場合も含むことになる。もっとも、supérieurの日常的な意味に従って、a > ba est supérieur à bと言うこともあり、abを明確にa est supérieur ou égale à bと言うこともある。
sur décision de 〜
〜の決定により。本来は、sur la décision de 〜 だが、無冠詞の言い方が多くなった。de 〜 の代わりに形容詞を取ることもある。sur ordre de を参照。
surtourisme, sur-tourisme
オーバーツーリズム

T

-t-
母音で終わる語に母音字で始まる接尾辞を付ける場合、tが現れることがある。bijou→bijoutier, bijouterie、café→cafetier, cafèterie、cacao→cacaoté。元の語の最後の子音を落とす場合もある。miroir→miroitier, miroiterie、velours→velouteux。(→-ter)
tableau blanc
ホワイトボード。
tableau électrique
分電盤。仏和辞典にはtableau de distribution(配電盤)は掲載されているが、一般家庭において馴染みのあるtableau électrique(分電盤)は掲載されていない。
tadam
ジャジャーン!
tagliatelle
タリアテッレ(細長いリボン状のパスタ)。イタリア語からの借用語で、発音は[taljatɛl]だが、[tagljatɛl]とも発音される。
taïkonaute
中国の宇宙飛行士。中国語の「太空人tàikōngrén」から作られた言葉。ソ連・ロシアの宇宙飛行士にはロシア語由来のcosmonaute、アメリカの宇宙飛行士にはastronaute、ヨーロッパの宇宙飛行士にはspationauteを使う。
taquin
15パズル。仏和辞典にもある程度載っているが、「15パズル」という訳語を採用しているものは見当たらない。

図 taquin
tendance
流行の。くだけた文体で形容詞として用いられる。不変化。
-te
女性形語尾。chou→choute、chouchou→chouchoute、coi→coite、favori→favorite、rigolo→rigolote、dissous→dissoute(sが落ちることに注意)、joudoka→judokate。
télé-crochet
(テレビの)歌謡オーディション番組(cf. radio-crochet)。
-ter
第1群規則動詞語尾-erを母音で終わる語に付ける場合、子音tが現れることがある(chapeauter、caillouter)。擬音語にも付く(froufrouter、glouglouter)。最後の子音字を落として付ける場合もある(siroter、caoutchouter)。最後の子音を落とす場合もある(miroir→miroiter、velours→velouter)。
terre rare
レアアース、希土類元素。
texter
携帯メッセージ(texto)を読み書きする。(→textoter)
textoter
携帯メッセージ(texto)を読み書きする。(→texter)
théonyme
神名。théonymieは神名の起源、意味、変遷についての学問。
théorie de la régulation
《経済》レギュラシオン理論。régulation(調整)を重視するフランスの経済学理論。
théorie des supercordes
《物理》超弦理論(英語superstring theory)。
tiens
おや、まあ。tenirのtuに対する命令形に由来するが、間投詞になっていて、vousで話している場合でも使われる。
tir ami
味方による誤射・誤爆。feu amiとも言う。英語のfriendly fire。
tomber le masque
マスクをはずす。正体を現す。
toujours déjà
常に既に。ある時点から始まったにもかかわらず、それ以前の状態を思考することができなくなっていることを表す。哲学や思想において用いられる。日常的な言い回しではない。ドイツ語のimmer schon。英語のalways already。
tous+名詞複数形+confondus
全ての〜を通して。toutes tendances confondues 全ての派閥を通して。tous secteurs confondus 全ての部門を通して。
tout de+色彩名詞+vêtu [habillé]
全身...で覆われた。tout de blanc vêtu 全身白ずくめの。tout de noir vêtu 全身黒ずくめの。
tout de+物質名詞+vêtu
全体が...で覆われた。tout de bois vêtu 全体が木で覆われた。tout de verre vêtu 全体がガラスで覆われた。
tout droit sorti de
〜から出てきたような、(小説や映画などの)〜に出てくる ような。
tout-en-un
オール・イン・ワン。(書籍が)全ての情報を一冊に詰め込んだ。(コンピュータが)ディスプレイ一体型の。プリンター複合機。多機能の。
Tout le monde il est beau, tout le monde il est gentil
映画のタイトル。tout le mondeを代名詞ilで受けるのは標準的なフランス語では許されない語法だが、この文は映画のタイトルとしてよく知られている。このような言い方が可能なフランス語もあるのだということで言語学の論文にも引用されている。
tout sauf
[名詞・形容詞の前で]少しも...でない。C'est tout sauf simple. 少しも単純でない。英語の anything but や、ドイツ語の alles andere als と類似した表現。詳しくは、拙論「フランス語の tout sauf・英語の anything but・ ドイツ語の alles andere als」を参照。
toutes ces années
長年。ずっと。pendant toutes ces années(長年・ずっと)。durant toutes ces années(長年・ずっと)。après toutes ces années(久しぶりに)。depuis toutes ces années(ずっと以前から)。21世紀に入ってから使用が増加している。
transgenre
トランスジェンダー。トランスジェンダー[の人]。
travail d'orfèvre
精巧な作品。精巧な仕事。使用が増加している。orfèvreは金銀細工師を意味するが、この表現では比喩的に精巧な仕事をする職人の意味で用いられている。
trichoptères
毛翅目。しかし、『学術用語集 動物学編(増訂版)』に従うと、「トビケラ目」となる。(→carnivores)
trilliard
十垓(1021)。ペルチエ(Peletier, Pelletier)式の命数法。シュケ(Chuquet)式では、mille trillions。(→ -illiard)
trillion
100京(1018)。英語では1兆(1012)。かつては、フランスでは1兆(1948年まで)、イギリスでは100京だった。
Tsahal
イスラエル国防軍。[<ヘブライ語צה"ל]
tueur en série
シリアルキラー、殺人鬼。
tyrolienne
ジップライン。ワイヤーロープを滑車で滑り降りる遊び。[<tyrolien(チロル地方の)]
twittosphère
ツイッター界。

U

Un, deux, trois, soleil
1、2、3、太陽。だるまさんがころんだに似た遊び。親が壁に向かって「1、2、3、太陽」と言って振り返る。子は壁から20メートルほど離れたpoulailler(鶏小屋)あるいはniche(犬小屋)と呼ばれるスタートラインから親が見ていない間に壁に近づいて行く。親に動いているところを見られた子はスタートラインに戻る。壁に触れた子が勝ちで、次の親になる。ベルギーでは、Un, deux, trois, piano(1、2、3、ピアノ)と言う。ケベックでは、Bleu, blanc, rouge(青、白、赤)とも言う。
Une hirondelle ne fait pas le printemps.
《諺》ツバメが一羽来たからといって春にはならない。ヨーロッパの多くの言語に同じ諺があるが、「春」が「夏」になっているものも多い。ギリシア語・ラテン語・イタリア語では「春」だが、英語・ドイツ語・スペイン語・ポルトガル語では「夏」になっている。ゲルマン語ではもともと一年を「冬」と「夏」に分けていたために「夏」と訳したのであろう。スペイン語とポルトガル語では、もともと「春」を表していた語が「夏」を意味するようになってしまったために季節がずれたと思われる。
古典語ギリシア語μία χελιδὼν ἔαρ οὐ ποιεῖ(アリストテレス『ニコマコス倫理学』1.7.16[1098a18])
ラテン語Una hirundo non facit ver.
本来のものを継承イタリア語Una rondine non fa primavera.
フランス語Une hirondelle ne fait pas le printemps.
古代ゲルマンの二季制の名残英語One swallow does not make a summer.
ドイツ語Eine Schwalbe macht noch keinen Sommer.
季節名の歴史的変化の結果スペイン語Una golondrina no hace verano.
ポルトガル語Uma andorinha não faz verão.
université d’été
政党の夏期研修(Stage de formation politique (d’un parti), Le nouveau Petit Robert)。季節になるとニュースに良く出てくるが、仏和辞典には載っていない。本来は大学の夏期講座を指す語。
user et abuser de
を乱用する。user(使用する)とabuser(乱用する)を重ねた言葉遊び。
Ushuaïa
ウシュアイア。アルゼンチンの南端にあるフエゴ島の都市で、「世界最南端の都市」とされている。TF1放送のNicolas Hulotの人気番組Ushuaïa, le magazine de l’extrême及びUshuaïa Natureの題名に使われているが、世界最南端の都市の名前によって、世界の果てまで行くということを意味しているのだろう。

V

vaccinodrome
ワクチン接種会場。
valentine
2月14日の聖バレンタイン祭に男性が選ぶ女性の恋人。valentin(聖バレンタイン祭に女性が選ぶ男性)の女性形。
validisme
障害者差別。(→capacitisme)
van
ワンボックスカー、ワンボックスワゴン、バン。辞書では発音は[vɑ̃]となっているが、実際には[van]とも発音される。おそらく、当初、英語から「競走馬運搬車」の意味で借用された時にはフランス語の綴り字の読み方の規則に従って[vɑ̃]と発音されたが、のちに「ワンボックスカー、ワンボックスワゴン」の意味で再び借用された際に、英語からの借用語だという意識により[van]と発音されるようになったものと推測される。
vapotage
電子たばこを吸うこと。[vapoter(電子たばこを吸う)から]
vapoteur
電子たばこを吸う人。[vapoter(電子たばこを吸う)から]
vapoteuse
電子たばこ。[vapoter(電子たばこを吸う)から]
variole du singe
サル痘。
végan, végane
ヴィーガン、完全菜食主義者。[<英語vegan]
véganisme
ヴィーガニズム、完全菜食主義。[<英語veganism]
véganisme
ヴィーガニズム。[<英語veganism]
verbe à particule
〔英文法〕句動詞。英語のphrasal verb。
vert pomme
青リンゴ色。リンゴには黄色、緑、赤とさまざまな色があるが、日本ではリンゴと言えば赤である。しかし、フランス語ではリンゴは明るい緑色と結びついていて、リンゴのような緑色という意味のvert pommeという表現が存在する。ベルギーの画家マグリットはリンゴをしばしば明るい緑色で描いていた。同様の表現は英語のapple greenやドイツ語のapfelgrünのように他の西洋語に見られるが、近年では使用頻度はフランス語ほど高くない。
ville fantôme
ゴーストタウン。
Vieux Continent
ヨーロッパ(大陸)。『仏和大辞典』は「旧大陸・旧大陸」としているが、これではヨーロッパ・アフリカ・アジアを指していることになる。そもそも、Le Vieux Continentは単数形なので、旧大陸全てを指すことはできない。
vin mousseux
発泡性ワイン。スパークリングワイン。シャンパンは除外されると言われているが、これは正確ではない。例えば、『プチ・ロベール』でchampagne(シャンパン)を引くと、シャンパーニュ地方の限定された地域で生産されたvin mousseuxと定義されている。定義上は、 シャンパンはvin mousseuxに含まれるのである。しかし、普通はシャンパンだと分かっていればchampagne(シャンパン)だと言ってvin mousseuxだとは言わないので、vin mousseuxと言うとシャンパンではないだろうということになる。これは、mousseuxを名詞化して用いる日常的な用法の場合により顕著に見られるようで、例えば、『プチ・ロベール』でmousseuxを引くと、シャンパンを除くあらゆるvin mousseuxと説明されている。しかし、この説明自体、逆にシャンパンがvin mousseuxに含まれることを前提にしている。これは、例えば「人間」と「動物」のような関係だろうか。人間は動物であるが、人間であることが分かっていれば、わざわざ「動物」だとは言わない。だから「動物」だと言えば、人間ではないだろうということになる。しかし、だからと言って人間が動物ではないということにはならない。シャンパンは、動物の中の人間くらい、発泡酒の中で特別な存在だいうことであろう。(この説明は言語学の語用論で言う尺度含意を応用した)
virelangue
早口言葉。英語のtongue twisterのなぞり。最近作られた言葉で、辞書には登録されていない。フランスにも昔から早口言葉はあるが、それを指す言葉はなぜか無かったようである。
visiter
訪れる。場所や建物を訪れることを意味し、人を訪れる場合にはaller voirやrendre visite àを使う。しかし、かつては人を訪れる場合にもvisiterが使われていて、英語のvisitはその用法を維持している。
voisin de chambre
ルームメイト。同室者。隣の部屋の人ではない。
voler la vedette (à 〜)
(〜の)お株を奪う、人気を奪う。
Vous êtes en état d’arrestation.
あなたを逮捕します。英語のYou are under arrest.に相当する言い回し。
Vous n'avez pas le monopole du cœur.
あなただけが心を持っているわけではない。1974年のフランス大統領選のテレビ討論会で、ジスカール・デスタンがミッテランに対して言った言葉。

W

Washington
都市名とは限らない。à Washingtonなら「ワシントンで」だが、dans le Washingtonなら「ワシントン州で」である。アメリカの州名は、男性名詞だと、≪dans le+州名≫、女性名詞だと≪en+州名≫となる。(→New York)
W.-C.
トイレ。W.-C.、toilettesなどのトイレを指す語は複数で使うのことになっているが、1つだということを強調する場合などに、単数でun W.-C.ということもある。特にベルギーやフランス北部では単数形の使用が多いらしい。更に詳しくは、GrevisseのLe bon usageを参照。
webinaire
ウェビナー。[英語の webinarに倣った造語。< web+(sem)inaire < 英語web+(sem)inar]
week-end semi-universel
→week-end universel
week-end universel
土曜日・日曜日の週末。イスラム圏では金曜日が礼拝のための休日なので、木曜日・金曜日や金曜日・土曜日が週末になっている国があり、それと対比して言う。金曜日・土曜日が週末の場合は、week-end semi-universelと言う。
wok
中華鍋。Petit Robertには登録済み。[<広東語 鑊wok6]

X

Y

Z

zapper
英語のzapから「ザップする(リモコンでチャンネルを次々切り替える)」の借用で、仏和辞書には「〜を次々と切り替える」という意味も載っているが、さらに意味が拡張して、「〜無しですます」「〜を抜かす」「〜を無視する」「〜を忘れる」という意味でも用いられている。
zézayer
[ʒ]や[ʃ]と発音するべきところで、[z]や[s]を発音する。zézéyerという綴りもあるが、使用頻度は低い。
zone d’ombre
未解明の領域。


©平塚徹(京都産業大学 外国語学部)

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