ちなみに、Max/MSP には開発元の Cycling '74社が開発した Jitter というCG用ソフトウェアが存在し、OpenGL を利用する機能がありますが、Jitter はマトリクスデータ(配列や画像データなど)をベースにした処理を行うものであり、GEM は OpenGL をベースに3D処理を中心に扱うものです。同じようなことができますが、内部の動きは全く違うものとなっています。
ARToolKit をGEM 上で簡単に利用できるようにするものです。ARToolKit とはビデオカメラとビジュアルマーカーを用いることで、映像上のマーカーにCGを重ね合わせ、簡単にAugmented Reality (拡張現実感) アプリケーションを構築できるようにするライブラリ&ツールキットです。しかし、C/C++等のプログラミング言語でないと扱えないとことから、コンテンツ制作に利用できる人が限られることのほか、制作作業における細かな調整作業やインタラクティブな動作確認にはあまり向いていないという問題点がありました。ARToolKit for GEM は、オーサリング環境としても利用できるPureDataやMax/MSPのビジュアルプログラミングの機能を最大限に活かし、これらの問題点を解決します。また、GEM の一機能として動作することにより、ビデオ入力の制御がより柔軟に行えるようになったことや、既存のムービーファイルの映像でも処理が可能であるため、アプリケーション構築やテスト環境としての応用性も広がりました。 |
(財)イメージ情報科学研究所にて始められた、尺八によるインタラクティブ・アート・パフォーマンス・プロジェクトです。様々なセンサ(加速度センサやジャイロセンサなど)を用い、尺八の動きや首振りといった演奏に重要な動作によってシンセサイザなどを制御する「サイバー尺八システム」をコアにプロジェクトは進められました。ここでは、その制御システムや作品制作のためのソフトウェア基盤の研究開発をはじめ、実際の作品制作・コンサート活動、演奏中の生体情報計測や作品評価など野心的な試みを行ってきました。平#はソフトウェアシステムの開発やコンサートサポート、生体情報計測周りなどを担当していました。現在は、尺八演奏家の志村哲氏(竹号:禅保)とサイバー尺八製作者の金森務氏で演奏活動を続けています。 |
音痴(調子外れ)治療・カウンセリングでも有名な愛知教育大学 村尾忠廣教授との共同研究として開発したシステムです。音痴の人が自宅で一人でも治療用の訓練ができるよう、PCを利用してゲーム感覚で楽しみながら音痴治療の訓練ができるシステムとなっています。基本機能は音声のピッチ(音高)をリアルタイムで画面表示(ビジュアルフィードバック)するものですが、音痴のタイプやその治療方法に合わせた訓練内容が選択できるようになっています。現在のPCの計算能力では当たり前のようにできる処理ですが、開発当時のマシンの処理能力では精一杯の処理を行っていました。 |