優れた自律エージェントを得る一方法として進化計算手法の適用が研究されている.例えば,Robocupサッカーを題材として,選手やチームを遺伝的アルゴリズム等で成長させ,その有効性を評価する研究が報告されている.
本研究では,粒子群最適化手法(Particle Swarm Optimization: PSO)を用いて,Robocupサッカーシミュレーションリーグのチームフォーメーションを調整することを試み,この課題におけるPSOの有効性を調べた.
実験の結果,得点と失点を総合的に1つの指標で評価した単目的PSOの場合,および,得点と失点を独立した評価指標として用いた2目的PSOの場合のいずれにおいても,得点増加の変化より失点減少の変化のほうが難しく失点減少の変化が見られないことが多かった.また,評価値が高いチームの選手ホームポジションの分布を調べたところ,ボールの位置に合わせた攻撃的もしくは守備的なポジショニングの偏りは明確には見られず,ボールの位置に対して偏りなくバランスのとれたポジショニングとなった(ただしチームコードの違いに合わせて分布に違いが存在する)ことがわかった.