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岡田英彦 (Hidehiko OKADA) ホーム > 研究テーマ

小画面ペン入力UIにおけるポインティング操作効率の評価

概要

近年,携帯電話が普及しその利用者層も幅広くなっていることから,携帯電話のユーザビリティの重要性がますます高まっている.このような背景のなか,タッチパネルを備えペン入力による操作が可能な携帯電話が市場に提供されつつある.

携帯電話は一般的に,ペン入力UIが従来利用されてきたPCやPDAなどに比べると画面サイズが小さいため,携帯電話においてもペン入力UIが利用者にとって十分に使いやすいかどうかを評価し,その有効性を検証する必要がある.

ペン入力UIのユーザビリティに関しては,これまでにも様々な研究が行われているが,従来のPDAよりもさらに小画面である携帯電話上での有効性検証は当該研究分野の新たな課題となっている.

本研究では,小画面ペン入力UIにおける画面設計に対して有益な知見を得ることを目的に,実機を用いたユーザ操作実験を行い,携帯電話における操作の速度や精度をPCやPDAの場合と比較した.

実験結果の考察により,小画面ペン入力UIにおける画面設計,特に,サイズが比較的小さい選択対象オブジェクトに関して以下のような知見を得た.

(1) 携帯電話の場合にはPDAおよびPCの場合に比べ,速度が有意に下回り,精度も多くの場合有意に下回る.したがって,携帯電話のような小画面上での選択対象オブジェクトの設計においては,PDAやPC上での設計よりも難易度の上限を小さくすることが望ましい.ただし,今回の実験のように小サイズのオブジェクトの場合には距離の減少が精度向上には有効でなく,サイズの増加が必要な可能性がある.

(2) 携帯電話の場合,設置・把持状態間の速度差が非常に大きくなる傾向にあり,設置状態であっても,速度が速いために精度が上がらない(この傾向はPDAでは見られない).したがって,設置・把持状態の検知に適応したUI設計が可能となっても,「設置時なら把持時より精度良く操作できるはずでありその分サイズを下げられる」とは期待すべきでないと考えられる.

このような知見を踏まえ,今後,小画面ペン入力UIにおける選択対象オブジェクトのサイズや距離の設計指針を導出してゆくことが目標である.

Keywords

usability, pen-based user interface, small screen, throughput, error rate, Fitts' law

スライド

研究目的

実験概要

実験で用いた端末

設計指針の考察

まとめ

J-GLOBAL - 小画面ペン入力UIにおけるポインティング操作効率の評価【文献】

JDreamII - 抄録(要約)