Webの普及に伴い,Webアクセシビリティの重要性がますます高まっており,設計ガイドラインの策定,規格化,検査手法・自動化ツールの開発などが活発に進められている.また,現状の各種Webサイトにおけるアクセシビリティの達成状況の評価分析も行われており,自治体,企業,省庁のWebサイトを対象とした評価結果が報告されている.
あるWebページがアクセシビリティのガイドラインをどの程度良く準拠しているか(達成度)を評価する場合,問題点の数の大小だけを基準に評価することは適切とは言えない.この理由は,規模の大きなページほど問題点になり得る要素も多く含み得るため,問題点の数が同一であっても,ページの規模が異なれば達成度は同一とは言えないためである.
そこで本研究では,ページの規模と問題点の数をもとに達成度を評価する方法として事例に基づく手法を考え,国内教育機関(大学,高校,中学校,小学校)のWebページを対象に,同手法の適用を試みた.
ページの規模として<img>数を,達成度の観点としてJIS5.4abの問題点の数を用い,規模に対する問題数の割合を4カテゴリ間で比較した.この結果,大学サイトは問題数が多いが規模を考慮すれば達成度は最良であることなどがわかった.また,本適用事例を通して,事例データから得られる予測モデルを達成度良否の識別境界として用いるという評価方法を示した.