財務諸表の作成と公開(補遺)(2017年1月12日)

こんにちは!7期生の松嶋です。今回は前回、説明が不十分だったその他有価証券評価差額金と繰延ヘッジ損益についてのプレゼンテーションを行いました。
その他有価証券評価差額金とは、その他有価証券(売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券。合資会社、合同会社の出資や持ち合い株などがこれに該当する)の時価評価に伴う含み損益を純資産の部に計上するための勘定科目です。今回は全部純資産直入法と部分純資産直入法の仕訳の違いを述べた後、クリーンサープラス関係について詳しく説明しました。クリーンサープラス関係とは貸借対照表と損益計算書の関係において、出資者からの出資の追加や引き出しがない限り、1期間における資本の増減がその期間の利益と等しくなっていることである。そこで、その他有価証券評価差額金等の損益計算書を介さずに資本の増減が認識されてしまうものについては、当期純利益にそれらの増減を含めた包括利益が適用されます。そうする事で、クリーンサープラス関係が成立するということです。
次に繰延ヘッジ損益について説明を行いました。まずヘッジ会計とは、ヘッジ対象(相場変動等による損失の可能性を回避しようとする対象項目)とヘッジ手段(その目的のために利用されるデリバティブなど)の損益計上のタイミング合わせることによってヘッジの効果を会計に反映させるための会計処理です。取引によって生じる将来のキャッシュフローが市場相場の変動等に影響受ける場合、これと逆の動きをする取引をしてキャッシュフローの変動による影響を相殺することで、経営の安定化を図る目的で行われます。それらの中で全てのヘッジ対象、手段が当期に認識されるとは限らないため、ヘッジ対象の損益が認識される期間まで純資産にその損益を繰り延べていくのが繰延ヘッジ会計です。
以上で私の発表は終了しました。発表を終えて、橋本先生から包括利益の採用について、日本では連結財務諸表のみの採用であるがなぜそのようなことが行われているか、また時価評価と取得原価について解説をしていただきました。日本では、税法の力が強くIFRSによる連結財務諸表と様々なところで整合性が取れないということで連結財務諸表についてはIFRSへのコンバージェンスを行い、単体財務諸表については日本基準を採用することにより連単で住み分けを行なっているので、包括利益などの項目については連結財務諸表のみの記載ということでした。また時価評価と取得原価では、継続企業として企業を主体的に見るのか、モノと見るのかによって考え方は変わってくるということでした。またその考え方の基礎となる社会システムが国ごとにバラバラであるため難しい問題であると思いました。