財務諸表の作成と公開(後半)(2016年12月22日)

こんにちは!7期生の松嶋です。今週は先週に引き続き『財務諸表の作成と公開』について発表を行いました。先週は財務諸表の体系と公開、損益計算書の内容までの発表を行なったので今週は残りの貸借対照表の内容、株主資本等変動計算書、附属明細表と個別注記表及び四半期財務諸表について見ていきます。

貸借対照表とは、企業の財政状態を明らかにするため貸借対照表日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、株主、債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。ただし、正規の簿記の原則に従って処理された場合に生じた簿外資産及び簿外負債は、貸借対照兵の記載外に置くことができる。という貸借対照表原則一、貸借対照表の本質から導き出される財務諸表の一部である。貸借対照表は大きく分けて調達した資本の運用状態である資産とその資本の調達源泉を示す負債、純資産で構成されています。資産は貸借対照表上では大きく分けて流動資産、固定資産に分類されています。その分類基準には営業循環基準と一年基準があります。前者は現金→仕入→製造→売上→現金というような企業の本業での取引に該当します。これらの取引によって発生した受取手形などについては期日が一年以上であっても流動資産となります。後者は受取手形などの債権の期日が一年以上かどうかによって分類する基準です。これは資産だけでなく負債にも適用されます。
次に流動資産、固定資産の性質による分類について見ていきます。流動資産には貸借対照表上では分類されていませんが、換金性が高い当座資産(ex 現金、受取手形)、企業本来の生産や販売のために保有している棚卸資産(ex 商品、貯蔵品)、上記以外のその他流動資産(ex 前払費用、短期貸付金)に分けることができます。これらは企業の分析の際に使われることが多いようです。次に固定資産では企業が一年を超えて利用するために保有し、モノとしての実態を備えている有形固定資産(ex 備品、建物)、モノとしての実態を備えていない資産や権利である無形固定資産(ex 特許権、のれん)、それ以外のものを投資その他の資産(ex 投資有価証券、長期貸付金)に分類しています。これらの分類は貸借対照表上に分類して表示されています。
次に繰延資産とは既に対価の支払いが終了または支払い義務が確定し、それに対応する役務の提供受けたもの、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用で、通常、周囲との間対応関係から次期以降にわたって、その効果の及ぶ期間に配分処理されたものをいいます。簡単にいうと費用であるが、その効果が来季以降にもあると考えられるものが収容されます。この繰延資産は費用収益対応の原則に基づいて、翌期以降に任意で費用配分ができるので、発生した期に一気に費用計上することも認められます。
次に負債について見ていきます。負債は流動と固定に分類されますが、前述したようにその基準は資産の時と同様です。流動負債もまた貸借対照表上では分類されていませんが、性質によって商品売買取引から生じた営業債務(ex 買掛金、支払手形)、商品売買取引以外から生じた債務である営業外債務(未払金、短期借入金)、上記以外のその他の流動負債(経過勘定や引当金)に分類されます。固定負債の代表的項目には長期借入金と社債および退職給付引当金があるということです。
ここで資産負債の説明は終了しました。最後に総資産から総負債を引いた純資産の部について見ていきます。純資産の部の内訳には大きく分けて株主資本、評価・換算差額等、新株予約権があり連結会計の場合には少数株主持分も含まれます。株主資本とは資本金、資本剰余金、利益剰余金、自己株式から構成されており株主持分とも言われています。次に評価・換算差額等について説明を行います。評価・換算差額等にはその他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、土地再評価差額金(時限立法で一時期計上されていた)が含まれます。連結貸借対照表を作成すると、為替換算調整勘定もここに計上されます。発表ではその他有価証券評価差額金について詳しく説明を行いました。その他有価証券評価差額金とは、その他有価証券(売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券。合資会社、合同会社の出資や持ち合い株などがこれに該当する)の時価評価に伴う含み損益を純資産の部に計上するための勘定科目です。その中で全部純資産直入法と部分純資産直入法の違いについて解説を行いました。全部純資産直入法とは銘柄別の評価差益と評価差損を相殺した残額を貸借対照表の純資産の部に計上する方法です。部分純資産直入法とは評価差益は純資産の部に計上するが、評価差損は同期の損失として損益計算書での純利益の計算に含める方法です。純資産直入法を適用すると、貸借対照表が示す当期中の資本の増加額が損益計算書の当期純利益額と一致しなくなり、クリーン・サープラス関係が維持されなくなります。反対に部分純資産直入法を採用すると評価差損だけを利益計算に算入されるので保守主義の原則に合致するものであることから部分純資産の方が会計的に優れている処理方法だと言えます。
次に新株予約権とは、それを発行した株式会社に対して権利を行使することによって、その株式会社の株式の交付を受けることができる権利のことです。ストックオプション等の報酬として使われることもあります。
次に株主資本変動等計算書について見ていきます。株主資本変動等計算書とは、貸借対照表の純資産の部の1会計期間における変動額のうち、主として株主に帰属する部分である(株主資本)の各項目の変動事由を報告するために作成する開示書類です。要するに株主資本の変動を詳細に表したものと考えてもらったら良いと思います。
次に付属明細表と個別注記表について解説を行います。付属明細表とは財務諸表を補足するものとして、重要項目の期中増減の内訳明細等を表示した書類である。会社法(435条2項)はこの書類を付属明細書と呼び、財務諸表規則は附属明細表と呼んでいます。注記表とは財務諸表に関する重要な情報を、財務諸表とは別に注記することで明瞭性の原則を犠牲にせずに情報量増やすことができるもの。現在開示されている注記情報は、重要な会計方針(ex 減価償却方法)、継続企業の前提(ex 売上高の著しい減少)、貸借対照表と損益計算書の記載項目の詳細(ex 資産の担保)、重要な後発事象(ex 火災による重大な損害)などである。
最後に四半期財務諸表について説明を行います。四半期財務諸表とは、金融商品取引法(24条4-7)により要請される四半期(3ヶ月)ごとの財務諸表などの報告書のことです。ではなぜ四半期財務諸表を作成するかと言うと、これまで順調に増加してきて企業利益が、期中に生じた経済環境の変化によって減少傾向に転じることがあり、当社にとってこの情報は極めて重要であるためであるため、もし年一回の財務報告であれば投資者は次回の有価証券報告書の公表時まで、この情報知ることができないからです。すなわち当事者にタイムリーな情報開示を行うことを目的として行われます。その四半期財務諸表の性質としては実績主義と予測主義があります。実績主義は、3カ月間を年度と並ぶ独立の会計期間とみなし、正規の決算の場合と同じ会計処理を行うことにより、あくまで3カ月間の経済活動の確定的な実績を表示すべきであるとする考え方。もう一つの考え方である予測主義は、3カ月間を1事業年度の構成期間とみなすものです。この考えの下では四半期財務諸表は3カ月間の確定的な実績を表示するのではなく、1事業年度の経営成績や年度末の財政状態の予想を可能にする情報を表示することが重視される。予測主義においては、経営者の恣意性の介入や企業間比較がこんなになるため日本では採用されていません。
ここまでで、財務諸表の作成と公開についての発表は終了です。次回もう一度有価証券評価差額金と繰延ヘッジ損益について発表を行う予定です。今年度最後のゼミ活動ということもあり、発表の後は今後のゼミ活動についてゼミ生で話し合いました。二月には卒論発表、追いコン、明治との合同合宿、工場見学と行事が立て込んでいるのでそれに向けて準備を進めていくように先生は述べられました。