財務諸表の作成と公開(前半)(2016年12月15日)

こんにちは!七期の松嶋です。今週は授業の前半で『税金と配当』をカク君が発表を行い、後半で『財務諸表の作成と公開』の発表を私が行いました。
財務諸表とは財務会計のゴールであり核となる部分です。今回は財務諸表の体系と公開、損益計算書の内容について詳しく見ていきます。まず財務諸表とは金融商品取引法に従った名称であり、会社法はこれを計算書類と呼びます。その中でも企業の一定期間の経営成績を表示する損益計算書、一時点の財政状態を表示する貸借対照表及び、株主資本情報を表示する株主資本等変動計算書の名称は同じですが、補足情報を表示するものだけ附属明細表と個別注記表(附属明細書、事業報告)に分かれます。前者が金融商品取引法での名称、後者が会社法での名称です。
これら財務諸表などを含む企業情報の開示をディスクロージャーと言います。ディスクロージャーには強制されたものと企業が自主的に行うものに分けることができます。強制されたディスクロージャーは金融商品取引法、会社法、証券取引所の規則に従った決算情報の3つから構成されており、各自で投資家や債権者保護を目的として企業にディスクロージャーを義務付けています。自主的なディスクロージャーは投資者の意思決定に有用な情報をタイムリーに開示することで企業と投資者の間に長期的な信頼関係が形成されることを目的として行われます。主なものに企業が自社株の投資価値を株主や投資家に訴え、株主の視野を広げていく広報活動であるIR(インベスターリレーションズ)が挙げられます。自主的なディスクロージャーという位置付けですが、日本インベスター・リレーションズ協議会が2015年1月に第22回『IR活動の実態調査』を行ったところ、回答997社中、95%の企業が行っていると回答したことからもわかるように上場している大企業はIR活動を積極的に行なっています。
次に損益計算書の内容について説明を行います。損益計算書とは、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。という損益計算書原則一、損益計算書の本質から導き出される財務諸表の一部である。その構成としては(報告式で作成する場合)上から①売上高(売上から値引きや返品を控除した純額、)、②売上原価、③売上総利益(売上から売上原価を差し引いたもの。粗利益ともいう)④販売費及び一般管理費(当期製造費用以外で販売と一般業に関して発生したすべての費用。)⑤営業利益(売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたもの。企業の本業での利益)⑥営業外収益⑦営業外費用⑧経常利益(営業利益から営業外損益を差し引いたもの。企業の経常的な収益力)⑨特別利益⑩特別損失、税引前当期純利益、法人税住民税及び事業税、当期純利益(分配可能な期間利益)の順で表示されます。
最後に包括利益について説明を行います。包括利益は日本の現行の損益計算書では表示を要請されていませんが、国際的な会計基準に基づく財務諸表では資産から負債を控除して算定した純資産額が、期首から期末へと変化した増加額として表示されます。ただし資本取引は除きます。包括利益の情報が必要となる理由の一例を挙げると、持ち合い株式の時価変動から生じた『その他有価証券評価差額金』は利益計算に含めることなく、貸借対照表の純資産の部に計上されることから貸借対照表と損益計算書の結びつきを維持するためである。ここで今週の発表は終了です。貸借対照表と補足情報については次週続きの発表を行います。