7期生の山口と田淵です。10月13日のゼミ活動について報告します。今回のゼミでは教科書の5章「販売活動」と6章「設備投資と研究開発」の後半部分についてでした。先に6章の後半部分についてご報告します。後半部分は固定資産の減損、研究開発活動と無形固定資産、設備投資および研究開発と財務諸表についてです。
そもそも固定資産は土地や建物などの有形固定資産、ここでも度々取り上げられているのれんや特許権などの無形固定資産、長期貸付金、長期保有目的の株式および社債などの投資その他の資産に区分されます。
続いて本題の固定資産の減損について話します。固定資産の収益性が低下し、固定資産に対する投資額を回収できない場合があります。このようなときには製品の在庫について棚卸評価損を計上するとともに、設備の帳簿価格を回収可能な額まで減額しなければなりません。
このような会計処理のことを減損会計といいます。減損会計は2002年の固定資産の減額に係る会計基準に従って行われます。固定資産の減額に係る会計基準では3つのステップがあります。1つ目は減損の兆候を判断すること、2つ目は減損損失を計上する必要性を判定すること、3つ目は減損損失を測定することです。
減損の兆候の具体例としては営業損失が続き、キャッシュフローが継続してマイナスになった、事業の廃止や再編があった、経営環境が著しく悪化した、資産の市場価格が著しく下落した、などがあげられます。
次に減損損失の計上についてです。減損損失を認識すべきと判断された資産は帳簿価格を回収可能価額まで減額し減損損失として当期の特別損失として計上します。この際、回収可能価額は、売却による回収額としての正味現在価値と継続使用による回収額の使用価値のうち高いほうを採用します。このときに注意すべき点は減損処理の実施後に回収可能価額が帳簿価額を上回っても、減損損失の戻し入れは行わないということです。
続いて研究開発活動と無形固定資産についてです。研究開発費の売上高比率は自動車、精密機器には大きな変化は見られません。ですが、電機分野では概ね低下しておりその原因といて考えられる点は消費増税や世界同時株安、エネルギー価格の急落などの影響で、企業の主要業種における売上高や利益が減少したことがあげられます。一方で医薬品の分野では比率が大幅に増加しています。その理由は簡単な創薬(風邪薬など)に関してはもう完了しており、現在では難病とされているものにたいしての新薬が研究費を増加させている原因の1つに考えることができます。このことに関して橋本先生から、日本の製薬会社で最も大きい武田製薬工業ですらアメリカなどの世界の製薬会社の規模からするといつ買収されてもおかしくないくらいの規模であるとのご指摘を受けました。このような企業が行う研究開発活動はR&D(Research and Development)活動と呼ばれています。この会計処理はそれが発生した時点で全額を費用として計上するか支出額をいったん資産として繰り延べたうえで、その効果が期待される将来期間にわたって徐々に取り崩して、各期の費用として計上するという方法があります。しかし、「研究開発費に係る会計基準」によると現在は1番目の方法で計上しなければならず、2番目の方法を選択できるのは製品、サービス、生産方法とは直接関係しない支出だけです。よって、多くが研究をした時点で計上する形をとっています。研究開発の考え方に関しては、研究と開発というように区分されています。研究とは新しい知識の発見を目的とした計画的な調査や探求するという意味でこれは発生時点で費用に計上されます。開発とは研究の成果やその他の知識を具体化することにより、新しい製品、サービス、生産方法を生み出し、既存のそれらを著しく改良するための計画や設計の活動のことを指しこれに関しても発生時点で費用に計上されます。繰延資産に計上された開発費は5年以内に毎決算期において均等額以上を償却されます。これは、販売費および一般管理費として損益計算書に記載されます。
次に特許権に関してですが、そもそも特許権とは新規な発明を創作した者に与えられる独占権のことです。特許権を得るためには、特許庁に対して特許出願を行い、審査を経なければならなりません。また、新規性、進歩性のない発明には、特許が与えられません。特許権は登録によって発生し、存続期間は特許出願の日から20年です。登録後は、毎年特許料を支払わなければ権利が維持できません。橋本先生からもこのことについて仕訳についての話がありました。したがって、特許料を支払わない場合、特許出願の日から20年より前に権利が消滅してしまいます。この特許権を取得すると無形固定資産を習得することができます。そして、帳簿上の価額は研究開発費以外に登記に必要な登録免許税も含まれる特許権も有形固定資産と同様に減価償却されます(残存価額ゼロ、耐用年数は税法により8年)。
最後に有形固定資産の減価償却費と開発費の計上と減価償却とその後についてです。有形固定資産の減価償却費は2つに区分され、製造経費として製品製造原価の構成要素となるか販売費および一般管理費として処理されるかです。前者は工場の建物や設備などの製造関連資産、後者は販売部門と管理部門の有形固定資産です。開発費の計上は発生した時点で全額を費用として計上するか支出額をいったん資産として繰り延べたうえで、その効果が期待される将来期間にわたって徐々に取り崩して、各期の費用として計上するという2通りありどちらも販売費および一般管理費として計上されます。特許権を取得すれば貸借対照表に無形固定資産として掲載され、減価償却費を控除した未償却残高のみが貸借対照表に示されます。
