リサイクリング(2016年5月18日)

 6期生の北村です。5月12日のゼミ内容を報告します。
今回のゼミは、小林君からの「リサイクリング」の発表と今期の演習で教科書として扱っている企業会計入門のDiscussion[2-1]について各班で意見をまとめて発表するという内容でした。まず、「リサイクリング」の発表内容について記述していきます。
 リサイクリングとは、包括利益を表示した計算書類において、当期純利益を算定するために必要な手続きのことです。「その他の包括利益」の内、実現した金額を組換調整(リサイクリング)をすることにより当期純利益に振り替えます。
 ではなぜこのリサイクリングが必要なのかというところは、利益観の違いが関係しています。日本基準の当期純利益重視は、会計期間中の貸借対照表における株主資本の増減は損益計算書の当期純利益と一致するクリーンサープラス関係をとっています。IFRSの包括利益重視では、会計期間中の貸借対照表における純資産の増減は包括利益計算書の包括利益と一致するという方法をとっています。世界的な動向を考慮すると、包括利益重視の立場をとることになりますが、日本における周辺法や投資家の指標としては、当期純利益重視のデータも必要となり、包括利益だけでなく当期純利益も表示する必要があります。そのため、包括利益を当期純利益と「それ以外の部分」(その他の包括利益)に分け、「その他の包括利益」のうち実現した分を当期純利益に振り替えることで、従来と同じ当期純利益を表示することが可能となります。
 この利益観の違いが発生してしまう理由は、収益の認識の違いによって起こります。日本は、取得原価と保守主義の原則を重視し、実現主義による収益認識を行ってきました。世界的な動向としては、企業価値を測定するための時価主義が重視され、発生主義により包括利益の認識を行っています。つまり実現主義を重視するか否かによって、当期純利益と包括利益の2つの利益観が発生しているということでした。
 これらのことから小林君は、リサイクリングとは、発生主義によって算出される包括利益の存在を認めつつ、自国に必要である実現主義による当期純利益を表示させるための手段とし、発生主義によって認識されていた項目から実現した項目を当期純利益に振り替えることをいうと考えをまとめてくれました。
 次に企業会計入門のDiscussion2の発表内容について記述していきます。まずDiscussion2の内容は国や地方自治体に複式簿記を取り入れるべきだと主張されたとき、どのような意見を答えますか、というものでした。まず一つ目の班は、国の会計制度に注目した発表でした。この班の意見は、制度上からの財政の効率化や費用削減は望めないが、複式簿記の特徴としての不正発見は効果を発揮するのではないかと考えました。しかし、導入に当たり教育コストや現在の支出と勘定科目の対応など膨大なコストがかかることが掛かることが予想されます。そのため、節約努力による繰越が制度として存在しない状態での複式簿記の導入は現実的ではないという意見でした。もう一つの班は、複式簿記を取り入れると、収益以上の費用を使えば損失になり、次年度以降に繰り延べられるので、当期の損益には影響しないので無理に予算を使い切ろうという発想はなくなり、お金の配分を効率的に出来るようになり、無駄が減るのではないかという意見でした。
 以上が5月12日のゼミ内容です。最後まで読んでいただきありがとうございました。