連結株主資本等変動計算書他(2016年1月21日)

6期生の北村です。1月21日のゼミ活動を報告します。

今回のゼミではまず、吉田さんの教科書第11章の後半部分の発表でしたので、その発表について説明していきます。
 まず連結株主資本等変動計算書についてです。連結株主資本等変動計算書とは、連結貸借対照表の純資産の部を構成する項目について、期首残高から期中の増減を経て期末残高に至るプロセスを表示するために作成する書面であり、株主資本各項目については当期期首残高、期首変動額および当期末残高に区分し、当期変動額は剰余金の配当など当期変動事由ごとにその金額を表示します。
 次に子会社の配当の処理についてです。子会社が剰余金をもとに配当を行った場合は、親会社と被支配株主の両方に配当が行われます。親会社では子会社からの配当を個別の損益計算書に受取配当として収益に計上するが、連結グループから見ると、連結グループ内で資金が移動しているにすぎません。そして子会社から親会社へ行われた配当は内部取引として相殺消去します。親会社が子会社の資本剰余金から配当を受け取った場合は、子会社株式の減額として処理します。原則として親会社の個別上、受取配当金として収益計上しません。資本剰余金による配当は、投資(出資)の払い戻しと考えられます。
 次にセグメント情報についてです。連結財務諸表に含めるべき子会社は親会社による支配の有無によって判定されるため、親会社とは事業内容が著しく相違する会社が含まれます。異質な事業を営む子会社の財務諸表を合算すると、企業集団の財務内容に関する判断について誤解が生じる恐れがあります。そこで財務諸表の作成に際しては、そのような誤解を防止するとともに、多角化した事業内容に関する詳細な情報を提供するために、企業集団全体の数値を、事業の種類別などに区別した情報を追加することになっています。このように一つの会計主体をいくつかの部門に分割し、各部門別に作成された会計の情報をセグメント情報といいます。今回は、ホンダの事業の種類別、所在地別のセグメント情報を挙げてくれました。そして、会計基準第17号「セグメント情報の開示に関する会計基準」が2010年4月から適用されたことにより、セグメント情報の作成はマネジメント・アプローチという方式に変更されました。マネジメント・アプローチとは、経営者が内部報告と業績管理目的のために用いているセグメントをそのまま外部報告に用いる手法です。これにより、客観的にセグメントが区分され、情報利用者は、経営者の観点から企業を見ることができます。そして、外部報告のためのセグメント情報の開示にあたり、企業の追加コストは比較的低いという利点があります。ただし、このアプローチによれば、企業間の比較可能性が低下し企業機密に関わる情報が開示されるので、競争企業に有利な情報を提供することがあります。
 最後に企業の合併についてです。企業の合併の方法には、弱い側の会社が強い会社に買収されて、弱い側の会社の株式が支配を失うタイプであるパーチェス法と、両者の株式が合併後の会社でほぼ対等に支配を維持するタイプである持分プーリング法があります。日本は持分プーリング法を適用してきましたが、国際会計基準と相違するため、会社の合併をパーチェスで会計処理すべきこととしました。合併により株主が支配を失う側の会社(被取得企業)の資産と負債は、時価で評価して、地方の会社(取得企業)に引き継がれます。その取得原価としては、引き継いだ純資産の価値と、引き渡した支払い対価のうち、より高い信頼性をもって測定できるほうが採用されます。したがって上場会社が自社株を対価とする合併では、その株価に基づく金額が取得原価となります。引き継いだ純資産の時価よりも、その取得原価が大きければ、その差額は被取得企業の超過収益力に対して対価が支払われたことを意味します。よってのれんとして資産計上します。資産計上したのれんは、その効果が期待される期間にわたって、規則的な方法で減価償却されます。逆に、引き継いだ純資産額よりも支払った対価が少なければ、割安での取得と考えて、差額は特別利益に計上されます。
 この発表の後の先生のお話では、なぜ合併をパーチェス法でするほうがよいのかということになり、生徒の回答では経済的実態にあっているからというものがありましたが、先生の解説では、現在IFRSでは資産負債アプローチを採用しており、これは会社を売る会計といわれており、時価をとります。パーチェス法は時価をとりますが、プーリング法は時価をとらないので、現在のIFRSに合っているパーチェス法の方が良いということでした。
 次に岩佐さんの発表の後入先出法のことについて触れました。後入先出法とは、新しく入ってきたものを先に出す在庫の評価方法です。しかし、これは現在廃止されています。その廃止された理由について説明してもらいました。後入先出法を先入先出法と比べると、利益の違いが生じます。しかし、ここで問題なのは、利益ではなく期末に残った在庫の方です。IFRSは、公正価値(時価)で表示しています。後入先出法だと古い方の時価の在庫が残ってしまうので、B/Sを公正価値で測定するというIFRSの考え方とズレが生じてしまいます。在庫にあるのはより最新の時価の方が良いのでIFRSの考え方に従うと、先入先出法が採用され、後入先出法は廃止されたということでした。しかし、企業を継続させるためなら、後入先出法の方がいいと一概にどちらがいいかというのは判断が難しいということでした。
 今回で演習2の授業は、全て終えました。現在は、春休み中の明治大学との合同合宿にむけて準備をしている段階です。せっかく東京の方へ行き、他大学の方と触れる機会なので、今後の学生生活の良い刺激にしたいと考えています。

以上がゼミ活動の報告です。最後まで読んでいただきありがとうございました。