金融危機と資産評価(2015年10月22日)

6期生の武内です。遅くなってしまい申し訳ありません。10月22日のゼミの活動を報告します。今日の発表は発表者が欠席のため、次回に延期になりました。そのため、「有価証券の評価方法が時価評価にされるようになったのはなぜか」についての話になります。
 従来の日本の会計基準では取得原価主義が主流でした。それは取得原価はあくまで実際の取引価格であるため客観性があり、検証することが容易だからです取得原価主義の立場からは時価評価は未実現利益であり客観性に乏しいこと、毎期時価評価替えすることから検証可能性の観点から問題があるとされていました。しかし、取得原価主義では資産価格が実態と大きく離れてしまうため、誤った安定性が報告されます。ROE(自己資本比率)を重視する外国人投資家に納得される報告をするには取得原価による評価では限界があるため時価評価に変わっていきました。   
 それまでの日本は間接金融が主流でした。間接金融は債務者と債権者が仲介役を介してして融資する形態です。日本では銀行が預金者から集めたお金を企業に融資し、企業からの利子で預金者に利子を支払っていました。この銀行の役割が債権者保護と利害調整機能です。この関係から銀行のB/Sは純資産が極端に少ない数字になります。
 日本が間接金融から直接金融になったのはバブルによる影響もあります。好景気により個人株主が増え銀行からお金を借りるよりも個人株主から直接融資してもらった方がリスクが少ないため企業は株主から資金調達するようになっていきました。いわゆる,エクイティファイナンスです。個人株主は銀行に預金するよりも投資した方が配当が高く、当時はどんどん株価は上がっていたため投資する人が増えていきました。そのため、銀行は融資する企業を必死に探さなくてはならなくなりました。
ところが、従来の企業は銀行と密着していたため簡単には乗り換えさせることはできません。そのため、新興企業の融資先を探す(そだてる)ようになります。ただ、銀行もお金を返せないところに貸すわけにはいきません。その分、土地を担保にしてお金を貸すようになります。バブル時の日本はこのまま人口が増え土地の値段はどんどん上がっていくと考えられていました。
しかし、バブルが崩壊し上がると考えられていた土地が暴落し不良債権が大量に発生します。企業と銀行は密着していたためどちらかが傾くと一気に危うくなります。
一部の銀行は経営危機に追い込まれ、いわゆるBIS規制の問題もあり、資本の増強のために公的資金(つまり税金)が使われました。その後の銀行経営はこの時代の不良債権の処理という足枷に悩まされてきました。つい最近まで、超低金利時代を背景に、本業の経営成績を示す業務純益では莫大な利益を上げながらも、法人税を払っていなかったのは、その繰越損失の処理で利益が相殺されていたためです。
金利が低いのは良いこともありますが悪いことも多いのです。年金や貯蓄が生活の支えであるお年寄りは、超低金利のため利子収入が大きく目減りしました。これ私たちも同じです。あまり意識はしていませんでしたが、われわれが銀行の経営を支えていたといってもよいでしょう。どうしてそこまで銀行を支えなければいけないのかといえば、銀行が経済社会において、一方(預金者)における余剰資金を、必要とする他方(企業)へ送り出すという心臓の役割を果たしているからという他はないかもしれません。
 以上です。大まかな流れがわかっていても文章で書くのはまとまりきらなかったです。難しく感じました。