企業の設立と資金調達:その1(6期生)(2015年6月4日)

6期生の棚橋祐紀です。6月4日のゼミ内容を報告します。

今回のゼミでははじめの30分間は検定が近いということで日商簿記3級の過去問を解き、後半に橋本先生から教科書の第3章「企業の設立と資金調達」に基づいて会計と株式会社の関係について説明していただきました。

会計と株式会社は切っても切り離せない関係です。平成18年5月1日に会社法が施行され、有限会社という制度がなくなり、法律上の規制で株式会社と同じ規制を受けることになりました。現在株式会社は約98%になります。その中で上場会社という証券取引所で売買を認められた会社があります。株式を上場するためには様々な条件を満たす必要があるため、約4000社という全株式会社の1%にも満たない数字になっています。そのため、上場会社には有名で規模の大きな会社が多いといえます。
何故株式会社が多いのか。それは、株式会社は有限責任社員のみで構成されているからです。有限責任社員は、会社の債務(借金)に対して自分が出資をした金額までの責任をとれば良いとされています。文字通り、責任に上限があります。そこで、会計で大切な利害調整と情報提供が必要になります。企業を取り巻く株主や債権者といった利害関係者の企業への情報要求はさまざまで、利害関係者相互間で互いに利害が対立することがしばしばあり、その代表的なものに「株主と債権者との関係」があります。例えば、企業がより多くの利益を配当として還元してくれたほうが得をする株主に対して、あまり多くの利益を企業が配当として社外に流出してしまっては会社の財務的基盤が弱くなり、企業に融資している資金の返済が受けられなくなってしまうリスクが高まってしまう債権者という関係です。そこで、財務会計は会計情報を利害関係者に提供するという目的に加えて利害関係者相互間の利害を調整する公正なルールとしての機能も担うようになります。それが財務会計の利害調整機能と呼ばれるものです。また、投資家は株や債権の購入によるキャピタルゲインの配当や利息収入などを目的にさまざまな企業に投資を行いますが、投資判断にあたっては投資先企業についての情報が不可欠になります。これが情報提供機能と呼ばれます。

会社を設立するには「定款」という書面をつくり、設立登記をすることによってはじめて成立し、それ自体が権利・義務の主体となって経済活動を遂行することが法的に認められるようになります。他方、株式会社のの設立には、さらに2つの追加的な手続きが必要になります。定款の内容について公証人の認定を得ることと、出資振込金保管証明書または残高証明書を受領することです。 株式会社の定款には、会社が発行できる発行可能株式数の4分の1以上発行すればいいことになっています。残りの未発行株式は、自己資本を追加的に調達する必要が生じた時点で発行され、また、未発行株式数が少なくなってくれば、株主総会での決議を経て定款を変更することにより、発行可能株式数の枠をその時点での発行済み株式数の4倍まで増加することができます。これを授権資本制度といいます。
以前の会社設立に発行する株式は額面株式であれ無額面株式であれ、その発行価額が5万円以上でなければなりませんでした。しかし、会社が株式発行によって自由に資金調達を行う妨げとなるため、2001年10月以降に株式の額面制度が廃止されました。
株式会社の資本金については発行価額の2分の1までは資本金としないことが、会社法によって許容されています。かつて、株式会社の資本金は、1000万円以上でなければならないとされていましたが、会社設立の妨げとなるため、この最低資本金制度は2006年5月から廃止されました。そこから、特例制度によらなくとも資本金1円からの会社設立が可能となりました。

今回は先生によっての解説でしたが、また発表者がパワーポイントでまとめてくるとのことです。

6月4日のゼミ内容は以上になります。