3つの利益と企業の収益源(6期生)(2015年4月16日)


6期生の高井智章です。初投稿になります。6期生の皆さん、橋本ゼミの先輩方、これからよろしくお願いします。

4/16のゼミ活動では、決算の読み方について、2つの日経新聞の記事を用いて考察し、その記事を基に関連情報を先生の方から提示していただきました。

まず、田中さんが発表しました一つ目の記事は、企業活動の決算における「利益」についての記事でした。なかでも重要になるのが営業利益、経常利益、純利益の3つになります。売上高から原材料費や人件費などの事業の運営に必要な費用を引いた残りが営業利益で、「本業のもうけ」であると言えます。この営業利益から借入金に対する利払いを引いたり、出資先から得た配当金などを足したりした金額が経常利益です。これは企業の総合的な収益力を示しています。企業活動では一時的に発生する損失や利益(ex.リストラに伴う費用や保有株の売却益など)を特別損益と呼びます。先ほどの経常利益からこの特別損益を足し引きし、税金を引いた残りが純利益となります。当期純利益は期間中に企業が稼いだ最終的な利益を表しています。決算発表において、営業利益は減少していても、資産売却などによって純利益が増加しているケースは珍しくありません。例えばファミリーマートの14年3〜11月期の連結営業利益は前年比−13%でしたが、純利益は+20%でした。これは韓国のコンビニエンスストア事業からの撤退に伴い、株式売却益を特別損失に計上したからであります。しかし、このような資産の売却による特別利益は、毎年期待できる利益ではありません。企業の競争力や成長性を把握するには、営業利益や経常利益にもしっかり注視しなければなりません。
以上の発表の後、橋本先生によるコンビニ業界の現状や、特別損益についての解説などをいただきました。現在、コンビニ業界の売上は、セブンイレブン、ローソンが1位、2位を占めています。これらの持株会社(他の株式会社を支配する目的で、その会社の株式を保有する会社を指す。ホールディングカンパニーとも呼ぶ。)はそれぞれ7&iホールディングス、三菱商事となりますが、7&iホールディングスに見られるように、流通の主役は百貨店やスーパーマーケットから、コンビニエンスストアにシフトしています。また、特別利益の売上ランキングによると、1位が電気電力系企業、2位が民間鉄道企業だそうです。先の東日本大震災で原子力発電所の使用停止になっている東京電力は、今まで原発でまかなっていた電力のほとんどを火力発電によって補っています。しかし、円安の影響で火力発電に使用する燃料が高騰し、電気を作る段階で利益が生まれず、おそらく原発関連の処理で赤字になっていると考えられます。そこで今まで保有してた余剰の土地などの固定資産を売却し、特別利益に計上することで純利益をやり繰りしているのだと推測できます。

次に田村さんが発表しました二つ目の記事は、収益の牽引役を知るというテーマで書かれていました。幅広い事業を手掛ける企業は、売上高や利益を事業部ごとに開示しています。部門別の動向を把握することにより、投資家は連結全体の業績の行方を読みやすくなります。パナソニックは2013年3月期まで、2期連続で計上した巨額赤字から復活しましたが、稼ぎ頭は不振の元凶であった薄型テレビなどのAV機器から、車載・産業機器と住宅関連にシフトしています。パナソニックはこの2分野で営業利益の7割を稼ぎ出しました。大手自動車メーカーなどグローバル企業の場合、その所在地(日本、北米、欧州、アジアなど)別に収益を開示していることもあり、どの地域が業績全体に貢献しているのかを把握するのに役立ちます。ホンダの14年4〜12月期は北米の営業利益が前年同期比−24%であった一方、アジアの営業利益は+26%であり、アジアが稼ぎ頭に成長したことが読み取れます。
以上の発表の後、橋本先生によるパナソニックとソニーの比較、パナソニックの戦略変更、日本の有名な経営戦略などの解説をいただきました。ソニーはパナソニック同様、テレビを主力製品として勝負してきましたが、液晶テレビの市場価格の下落により、売れば売るほど損失が出るというマイナススパイラルに陥っていました。一方のパナソニックも、液晶テレビの市場価格の下落により、主力商品の高価なプラズマテレビは売れなくなってきていました(液晶との違いであるレスポンスもほとんど差がなくなっていた)。このような状況の中、両社とも主力商品の入れ替えが急務になっていました。ソニーはスマートフォンに力を入れるようになり、パナソニックは記事の通り車載機器や住宅関連事業に進出していきました。結果はソニーの失敗、パナソニックの成功になりました。この要因の一つとして、ホールセール(卸売)とリテイル(小売)があります。この場合、ソニーはリテイルの継続、パナソニックはホールセールに切り替えたと言えます。法人相手に大型の取引をすることで確かな利益を計上できるようになったのがパナソニックの勝因であると考えられます。ここからは私の意見ですが、スマートフォン事業は、車載機器や住宅関連事業よりも事業参入しやすい業界であるように思います。これはつまり、ソニーのような大企業でなくとも、技術のある企業ならどこでも参入でき、業界のシェア争奪競争が過激化すると考えられます。現在も新規参入企業が相次ぐ業界ですから、いくら力のあるソニーといえど、競り勝つのは難しかったのではないかと考えます。最後にパナソニックの話から分岐して、日本の代表的な経営システムであるJITと事業部制について復習しました。JITとはJust In Timeの略であり、トヨタが導入した保有在庫を極力減らしながら製品製造を行うシステムです。非常に計画的で効率的なシステムではありますが、東日本大震災の際に、下請け工場が大規模な被害を受け生産ラインがストップしてしまうという問題が発生しました。事業部制とは、パナソニックの創設者である松下幸之助が導入したシステムであり、企業において、本社の下に事業ごとに組織を設けるという組織形態であります。これを行う事で本社の負担を減らし、事業部単位での経済的な収支や意思決定が行われるようになり迅速な経営が出来るようになり、また多角化したり、広域において事業所がある大企業では本社による判断が難しくなるため事業部制が取られるようになりました。

4/16のゼミ活動の報告は以上になります。