財務諸表の作成と公開 前編(2014年11月13日)

5期生の西岡真理です。
12月に入りましたね!
遅くなりましたが11月13日の内容を報告します。

財務諸表の作成と公開

1.財務諸表の体系
財務諸表の体系
財務諸表…貸借対照表と損益計算書に代表される、企業が企業活動 に伴って変動する財務の状況を記録・計算・整理して明確になった 経理内容、株主に報告するために作成される様々な計算表を指す。
会社法では計算書類と呼ぶ。
連結財務諸表を作成しない企業はキャッシュフロー計算書を作成し なければならない。

損益計算書…営業年度の収益と費用を対応させて企業の経営成績を 示す
貸借対照表…決算日現在の資産、負債、資本の有高を示し企業の財 政状態を示す
株主資本等変動計算書…株主資本、その他の純資産項目の期中変動 を表示している
付属明細表…財務諸表の重要項目について、その内容と期中増減を 示す

2.財務諸表の公開
ディスクロージャー…企業の事業内容など広く一般に公開すること
→強制されたのと、自主的に行われるものとの2通りある

<強制されたディスクロージャー>
①金融商品取引法に従った財務諸表の開示
1億円以上の有価証券の募集または売出をする企業は有価証券届出 書を作成、開示。
事業年度ごとに有価証券報告書を作成、開示。

②会社法に従った計算書類の開示
・資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社を大会社 と規定
・大会社は、計算書類と事業報告、付属明細書、監査報告、会計監 査報告において株主と債権者の閲覧の必要性
・株主自身における企業内容の直接把握

③証券取引所の規則に従った決算情報の開示
・取締役会で決算案が承認され次第決算の概要を発表
・各社は、所定の様式で決算短信という書類を作成し、証券取引所 に提出する

<自主的なディスクロージャー>
情報不足が資本コストの増加につながり、不利な資金調達を招く恐 れがあることから、企業は独自の判断で投資者の意思決定に有用な 情報をちょうどいい機会に開示する必要がある

・オンライン、ティスクロージャー
インターネットによる企業の財務情報開示
決算報告、アニュアル・レポート、有価証券報告書、などがあげら れる

・インベスター、リレーションズ
企業が自社株の投資価値を株主や投資者に訴え、株主の裾野を広げ ていく広報活動のこと

3.損益計算書の内容
<営業利益の計算>
営業利益=売上高-売上原価-販売費および一般管理費

売上高…売上高は値引きや返品だけでなく、売上割戻控除した純額 で損益計算書の冒頭に記載する
売上純利益…売上高から売上原価を控除した差額のこと
販売費および一般管理費…これは、一括して営業費と呼ばれ、当期 製造費以外で販売と一般管理業務に関して発生したすべての費用の こと
営業利益…企業の本来の業務から生まれた利益を示す

<経常利益の計算>
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

営業外収益…余剰資金のある企業が金融活動で得た収益のこと
営業外費用…一般に企業の営業活動以外に経常的に発生する費用で あり、企業の財務活動や投資活動など本業以外の活動によって発生 する費用のこと
支払利息、手形売却損、有価証券売却損などがあげられる
経常利益…通常の営業活動以外の収益を足したり、営業活動以外の 費用を差し引いたりした利益のこと
本業と副業を合わせた会社の実力を示す利益のこと

<当期純利益の計算>
当期純利益とは、法人税などの社会的コストを支払ったうえでの純 粋な企業の経営活動の成果のこと
当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失-法人税等

特別利益…企業の経常的な経営活動とは直接かかわりのない、特別 な要因で発生した臨時的な利益のこと
固定資産売却益、貸倒引当金戻入、など
特別損失…企業の経常的な経営活動とは直接かかわりのない、特別 な要因で発生した臨時的な損失のこと
災害損失、固定資産売却損など
法人税等…法人税・住民税及び事業税など企業の課税所得に基づい て計上される税金のこと

4.包括利益の表示
<包括利益>
貸借対照表に直接参入してきた有価証券の評価損益・土地再評価な ども企業活動で生じた損益であるとして損益計算書に反映させた最 終利益のことで、企業の最終的なもうけである純利益に資産価値の 増減を加えた総合的な利益指標をいう

メリット→決算操作の余地をなくすことで、企業実態の透明性が高 まること
デメリット→本業のもうけがわかりにくいことや、業績が株価や為 替などの市場動向によって大きく左右されること

<包括利益の必要性>
包括利益の表示によって提供される情報は、投資家等の財務諸表利 用者が企業全体の事業活動について検討するに役立つことが期待さ れるのと同時に、貸借対照表との連携明示することを通じて、財務 諸表の理解可能性と比較可能性を高めることができる

<包括利益の表示方法>
1計算書方式…当期純利益の表示と包括利益の表示を一つの計算書 (損益および包括利益計算書)で行う形式
2計算書方式…当期純利益を表示する損益計算書と、包括利益を表 示する包括利益計算書からなる形式

しかし、包括利益を表示するにも反対意見も多い。
・本業からどれだけの儲けが生じたかわかりにくい
・純利益が経営指標や投資家の投資判断材料として定着しているた め、一時的な混乱を招く恐れがある
・業績が、株価や為替などの市場動向によって大きく左右される可 能性がある

→よって会社保有の金融商品などの含み損益の増減額や為替影響の 増減額も「その他包括利益」として従来の利益に加え表示している 連結財務諸表だけに導入してIFRSとの結合をした。

11月13日のゼミの報告は以上です。